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白状
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昼休みに入り、カフェテリアで陽子と2人で真奈美を待つ。そんな中、薫子は陽子に対して何も話すことが出来ないもどかしさから、悶々とした気持ちを抱えていた。
「った...」
突然後頭部を叩はたかれ、振り返るとそこには予想通り遼の姿があった。
遼と顔を合わすのは新年会以来だ。これから遼を裏切って悠と駆け落ちするのだという思いが薫子の胸を錯綜し、そんな気まずさから彼の顔を見られずにいた。
だが、遼はそんな薫子の様子に構うことなく声をかけてきた。
「これから、飯か? なら、俺も一緒にする。
今日風間が親父の仕事の手伝いで大学来てねぇし、大和は3限以降の講義ねぇからって帰っちまったんだ。ったく、昼飯ぐらい付き合えっつーの」
遼から『風間』という名前を聞いただけで、心臓が飛び出しそうなくらい跳ね、心拍数が上昇する。
「遼、くん......どんだけ無神経なの。今日は女子会ランチだから、遠慮してくれる?」
陽子は、明らさまに不満気な表情を見せた。
遼が、薫子の父親には薫子と悠が付き合っていることは話さないと言ったことを聞いてはいたが、だからと言ってまだ彼を許したわけではなかった。それに、婚約発表したばかりの二人が一緒にランチだなんて、薫子の心情を思うととてもじゃないが認められない。
「っだよ、いいじゃねーか。俺も混ぜろよ」
そこへ、真奈美が息を切らして走ってきた。
「ご、ごめぇん。講義が長引いちゃって......」
そう言いながら薫子の隣に遼が立っているのを見た途端、ビクンッと躰を震わせる。
「こ、香西...くん......」
「あ、お前も一緒か。んじゃ、行くぞ」
遼は陽子の言葉も、真奈美の拒絶反応も気に留めず、先に立って歩き出した。
結局遼は、陽子の攻撃にも負けず、薫子達と一緒にランチをとることになった。
遼は席に着くと、不機嫌な陽子と怖がる真奈美を前にし、急に姿勢を正した。
「この前のことは......まぁ、俺にも...その......非はあった。っつーか、陽子はあの後こいつ送ったって聞いたし......悪かった。
薫子のダチとは、変な空気になりたくねぇんだ」
それを聞き、陽子と真奈美は顔を見合わせた。
暫くアイコンタクトした後、陽子がふぅっと息を吐いた。
「私はまだ、あの時の態度と言葉は許してないけど......別に、遼くんのことを嫌ってるわけじゃないから」
その後、真奈美も小声で「うん...」と言った。
遼が自分だけでなく、自分の友人にまで気を配り、謝るような潔さを持っていたことに薫子は内心驚いていた。
遼は自分との未来を考え、向き合おうとしてくれている。けれど、そんな彼の気持ちに背を向け、黙って悠と共に離れてしまうのだと思うと罪悪感を感じずにはいられなかった。
......遼ちゃんには、悠に感じるような愛情は持つことは出来ない。
けれど、この短い間に私の中で遼ちゃんは大切な友達...ううん、友達とも違う。まるで兄のような頼もしさを、感じ始めている。
遼ちゃんを裏切ることになるのだと思うと......たとえそれが愛する悠との未来のためだとわかっていても、胸が苦しくなる。
遼は、相変わらずトレーいっぱいに並べた食事に手をつけながら、陽子と真奈美に尋ねた。
「お前ら、成人式どうすんの? 聞いた話では、青海学園の成人式、めちゃめちゃ豪華らしいぞ。パーティーで美味いもん、たくさん食えるってさ」
薫子はそれを聞き、躰を硬くした。
そうだ、成人式には遼ちゃんも出席するんだ。悠との計画では、式の後に行われるパーティーには出席せず、空港に向かう予定だから、パーティーの時に私と悠だけでなく、大和や美姫までいないと絶対に不審に思われてしまう......
「あぁ...私は、地元の小学校で開かれる成人式に出席するつもり。地元の友達とは今でも遊ぶけどさ、中には地方の大学とか就職で離れちゃった子もいるしね」
「私は土曜から月曜まで名古屋に帰るわ。大学、東京にしてから地元の子と全然遊んでないし、親も成人式楽しみにしてるから」
薫子が俯いて黙りこくる中、陽子と真奈美はそれぞれの予定を話した。
陽子も真奈美も青海学園には大学から入学しているので、ふたりが地元の成人式に出席するであろうことは予想していた。
だが......
「二人とは、成人式で会うことはないんだね......」
実際にそれを聞き、当日だけでも陽子と真奈美に心配されることがないと知り、安堵しつつも......旅立つ前に顔を合わせることがないのかと思うと、寂しい気持ちが湧いてくる。
トーンの落ちた薫子の声に、陽子が慌てる。
「ま、成人式では会えないのは私だって寂しいけどさ。薫子の着物姿とか見たかったし。
でも、同じ大学なんだからいつでも会えるじゃん!」
陽子は、薫子が単純に同じ成人式に出られないことを残念に思っているのだと勘違いし、そんな彼女を励ますように明るく笑った。
だが、薫子には陽子と同じような笑顔を返すことは出来なかった。
成人式が終わったら、私はもうこの大学に通うことはない......
もう、それから陽子と真奈ちゃんに会うことは......二度と、ないんだ。
「った...」
突然後頭部を叩はたかれ、振り返るとそこには予想通り遼の姿があった。
遼と顔を合わすのは新年会以来だ。これから遼を裏切って悠と駆け落ちするのだという思いが薫子の胸を錯綜し、そんな気まずさから彼の顔を見られずにいた。
だが、遼はそんな薫子の様子に構うことなく声をかけてきた。
「これから、飯か? なら、俺も一緒にする。
今日風間が親父の仕事の手伝いで大学来てねぇし、大和は3限以降の講義ねぇからって帰っちまったんだ。ったく、昼飯ぐらい付き合えっつーの」
遼から『風間』という名前を聞いただけで、心臓が飛び出しそうなくらい跳ね、心拍数が上昇する。
「遼、くん......どんだけ無神経なの。今日は女子会ランチだから、遠慮してくれる?」
陽子は、明らさまに不満気な表情を見せた。
遼が、薫子の父親には薫子と悠が付き合っていることは話さないと言ったことを聞いてはいたが、だからと言ってまだ彼を許したわけではなかった。それに、婚約発表したばかりの二人が一緒にランチだなんて、薫子の心情を思うととてもじゃないが認められない。
「っだよ、いいじゃねーか。俺も混ぜろよ」
そこへ、真奈美が息を切らして走ってきた。
「ご、ごめぇん。講義が長引いちゃって......」
そう言いながら薫子の隣に遼が立っているのを見た途端、ビクンッと躰を震わせる。
「こ、香西...くん......」
「あ、お前も一緒か。んじゃ、行くぞ」
遼は陽子の言葉も、真奈美の拒絶反応も気に留めず、先に立って歩き出した。
結局遼は、陽子の攻撃にも負けず、薫子達と一緒にランチをとることになった。
遼は席に着くと、不機嫌な陽子と怖がる真奈美を前にし、急に姿勢を正した。
「この前のことは......まぁ、俺にも...その......非はあった。っつーか、陽子はあの後こいつ送ったって聞いたし......悪かった。
薫子のダチとは、変な空気になりたくねぇんだ」
それを聞き、陽子と真奈美は顔を見合わせた。
暫くアイコンタクトした後、陽子がふぅっと息を吐いた。
「私はまだ、あの時の態度と言葉は許してないけど......別に、遼くんのことを嫌ってるわけじゃないから」
その後、真奈美も小声で「うん...」と言った。
遼が自分だけでなく、自分の友人にまで気を配り、謝るような潔さを持っていたことに薫子は内心驚いていた。
遼は自分との未来を考え、向き合おうとしてくれている。けれど、そんな彼の気持ちに背を向け、黙って悠と共に離れてしまうのだと思うと罪悪感を感じずにはいられなかった。
......遼ちゃんには、悠に感じるような愛情は持つことは出来ない。
けれど、この短い間に私の中で遼ちゃんは大切な友達...ううん、友達とも違う。まるで兄のような頼もしさを、感じ始めている。
遼ちゃんを裏切ることになるのだと思うと......たとえそれが愛する悠との未来のためだとわかっていても、胸が苦しくなる。
遼は、相変わらずトレーいっぱいに並べた食事に手をつけながら、陽子と真奈美に尋ねた。
「お前ら、成人式どうすんの? 聞いた話では、青海学園の成人式、めちゃめちゃ豪華らしいぞ。パーティーで美味いもん、たくさん食えるってさ」
薫子はそれを聞き、躰を硬くした。
そうだ、成人式には遼ちゃんも出席するんだ。悠との計画では、式の後に行われるパーティーには出席せず、空港に向かう予定だから、パーティーの時に私と悠だけでなく、大和や美姫までいないと絶対に不審に思われてしまう......
「あぁ...私は、地元の小学校で開かれる成人式に出席するつもり。地元の友達とは今でも遊ぶけどさ、中には地方の大学とか就職で離れちゃった子もいるしね」
「私は土曜から月曜まで名古屋に帰るわ。大学、東京にしてから地元の子と全然遊んでないし、親も成人式楽しみにしてるから」
薫子が俯いて黙りこくる中、陽子と真奈美はそれぞれの予定を話した。
陽子も真奈美も青海学園には大学から入学しているので、ふたりが地元の成人式に出席するであろうことは予想していた。
だが......
「二人とは、成人式で会うことはないんだね......」
実際にそれを聞き、当日だけでも陽子と真奈美に心配されることがないと知り、安堵しつつも......旅立つ前に顔を合わせることがないのかと思うと、寂しい気持ちが湧いてくる。
トーンの落ちた薫子の声に、陽子が慌てる。
「ま、成人式では会えないのは私だって寂しいけどさ。薫子の着物姿とか見たかったし。
でも、同じ大学なんだからいつでも会えるじゃん!」
陽子は、薫子が単純に同じ成人式に出られないことを残念に思っているのだと勘違いし、そんな彼女を励ますように明るく笑った。
だが、薫子には陽子と同じような笑顔を返すことは出来なかった。
成人式が終わったら、私はもうこの大学に通うことはない......
もう、それから陽子と真奈ちゃんに会うことは......二度と、ないんだ。
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