【R18】初恋が実る時 ー対立する財閥令嬢と子息の密かな恋愛ストーリーー

奏音 美都

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運命の朝

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 成人式は1部と2部に分かれている。

 1部は櫻井ロイヤルホテル「鳳凰の間」にて、通常の成人式が行われる。この場には保護者や大学関係者、来賓が招待されている。

 2部は「絢爛の間」にて、パーティーが開かれる。これは、成人を迎えた者のみが参加出来、保護者であっても同席出来ない。学園側の配慮でもあったが、自分達で勝手にどこかでパーティーをされるよりも、決められた会場にいてくれた方が安心だという保護者側の意向もあった。

 その間、保護者と来賓には「風雅の間」にて、理事長主催の慰労会があり、親同士の交流が図られる。様々な企業のトップや経営者が集まる慰労会は人脈を作るのに最高の機会である為、参加率は非常に高い。金持ちの子息令嬢が集う成人式では、このような配慮も必要なのだ。

 そして、この慰労会には会場となっている櫻井ロイヤルホテル総帥である薫子の両親はもちろん、風間財閥の悠の両親も出席する予定であった。

 1部は午前10時に開始し、11時に終了。2部は少し間を空けて午後2時に開場し、10時でお開きとなるが、出入りの時間は各々の自由となっている。 慰労会も同様だ。

 そこに目をつけ、薫子と悠は計画を立てた。

 1部の成人式に出席した後、一旦それぞれ着替えと準備の為に家に戻り、2部のパーティーに参加すると見せかけて空港に行くのだ。

 不安になる度に何度も悠の言葉を聞き、LINEのメッセージを読み返し、彼への想いの強さを確かめた。

 そう、こうするしかない。
 愛する悠と一緒になるための、唯一残された手段なんだ...... 

 薫子はばあやと共に、櫻井ロイヤルホテルの成人式会場である「鳳凰の間」の入口に設置してある受付へと向かった。

 着物を着た受付嬢が笑顔を向ける。

「この度は、ご成人おめでとうございます」

 写真入りの名簿で名前を確認し、成人式の案内と共にセキュリティパスを渡された。

「こちらは、2部のパーティー会場に入場される際に必要となります。写真とお名前が裏に記載されていますので、お間違いないかご確認下さい。他人への譲渡は禁止されており、失くしても再発行致しませんので、お気を付け下さい」
「はい、分かりました」

 薫子は使う予定のないセキュリティパスを確認し、帯と揃いである鞄のがま口を開くと、それを中に入れた。 

「では、私は旦那様と奥様のお世話に参りますので、式が終わりましたら迎えに伺いますね」

 両親は一足先に到着し、今夜宿泊する予定の部屋で寛いでいる筈だ。母には出かける前に成人の祝いの言葉を掛けられたが、父には顔すら合わせていなかった。

「えぇ、ありがとう」

 ばあやの小さくなる後ろ姿を見送る。それを見つめているだけで瞳が熱くなり、潤み出す。

 だめ、こんな弱気では......

 胸元からハンカチを取り出し、そっと滲んだ涙に当てた。
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