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同じ想い、異なる守り方 ー悠sideー
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『香西には、この後俺から駆け落ちのことは話すつもりだから』
薫子にLINEでメッセージを送った後、悠は息を吐いた。そして、隣に立っていた大和の肩をちょんと指で押した。
「ん?なんだよ?」
振り返った大和の目の前には、先程送信したばかりのメッセージが画面に表示されている。文字を追う大和の表情がみるみるうちに変化するのを、悠は冷静に見つめていた。
「おっ!...おまっっ!!本気、なのかよ......これ」
大和は今にも叫びだしそうになる口を手で押さえ、極力声を抑えた。
「こんなこと、冗談で薫子に送るわけない」
「そ、そりゃそうだけどよ......マズイだろ、それは」
大和は周りをきょろきょろしながら、更に声を潜めた。
「分かってる......けど、俺にも義理はあるから」
悠は大和を真っ直ぐに見据え、強い眼差しで答えた。
その奥に棲む決意を認めた大和は、未だ理解に苦しみながらもそれ以上は何も言わなかった。
後は、薫子に気づいてもらわないと......
薫子を探して視線を彷徨わせる。
遼と美姫と陽子が喋っている横で、薫子は何か考え事をしているように見えた。
薫子、大丈夫かな......いつも何かあると悪い方へ考えてしまう癖があるから、それに陥ってないといいけど。
しかも今日は、イギリスへ発つ日だ。薫子が土壇場で考えを変えないかと、悠は気が気ではなかった。
恐らく、その原因のひとつになっているのは香西だ。もちろん薫子には恋愛感情はないが、彼女にとって香西は大切な存在になりつつある。そんな彼を裏切ることへの罪悪感を、優しい薫子が感じない筈がない。
悠は、遼に対して嫉妬ともいえる感情を抱いていた。
美姫が他大学に行き、自分とは別の学部になったことで、薫子が寂しさを抱えていたことは知っていた。だが、薫子の内向的な性格ゆえ友人を作りにくいということは知っていたし、何よりも自分が薫子を支えてやりたいと思っていた。
薫子が内向的な性格を変えたいと思い、変わり始め、友人が出来ていくことを喜ばしく思う反面、遼が薫子の背中を押してやったのがきっかけであったことは面白くなかった。
薫子が悠の視線に気づき、見つめ返してきた。悠は以前薫子の家の前で合図した時のように電話をする仕草をして、スマホを見るようにと指示を出した。
これ以上何かしたら、誰かに怪しまれるな......
そう判断した悠は、薫子が理解したのを確認すると大和に話しかけた。
「じゃ、これから香西と話してくる」
「時間、大丈夫なのかよ?」
大和は暗にフライト時間のことを気にかけた。
ロンドン行きは成田発でも羽田発でも全ての航空会社のフライトが午前発の為、15時20分羽田発フランクフルト経由のバーミンガム行きのフライトを手配した。国際便は2時間前には空港に到着しなければならないので13時20分にそこに着くとして、渋滞も考慮し、12時半には家を出たい。
角帯に結びつけてある懐中時計を取り出し、確認すると11時15分だった。
「大丈夫。時間はそうかからないから」
「そっか......じゃ、後で迎えに行く」
「あぁ、悪いな」
遼はちょうど会話を終え、帰るようだった。遼の歩いていく先へと進み、待ち伏せするような形で声をかけた。
「香西...」
「よぉ!おっ、大和もいたいた!ちょうどいいから写真撮ろーぜ、写真」
遼は、嬉しそうにデジカメを片手に振りかざした。だが、悠は眉ひとつ動かさず、遼を見つめる。
「話があるんだ......」
その様子を見て真剣な話であることを察した遼からは、先程までの屈託のない笑みが消えた。
「...分かった...」
遼が頷いた後、大和は「じゃ、俺は帰るわ...」と言い、手を振って去って行った。
「あいつの...ことか?」
小さく聞いた遼に、「ああ」と悠は答えた。
薫子にLINEでメッセージを送った後、悠は息を吐いた。そして、隣に立っていた大和の肩をちょんと指で押した。
「ん?なんだよ?」
振り返った大和の目の前には、先程送信したばかりのメッセージが画面に表示されている。文字を追う大和の表情がみるみるうちに変化するのを、悠は冷静に見つめていた。
「おっ!...おまっっ!!本気、なのかよ......これ」
大和は今にも叫びだしそうになる口を手で押さえ、極力声を抑えた。
「こんなこと、冗談で薫子に送るわけない」
「そ、そりゃそうだけどよ......マズイだろ、それは」
大和は周りをきょろきょろしながら、更に声を潜めた。
「分かってる......けど、俺にも義理はあるから」
悠は大和を真っ直ぐに見据え、強い眼差しで答えた。
その奥に棲む決意を認めた大和は、未だ理解に苦しみながらもそれ以上は何も言わなかった。
後は、薫子に気づいてもらわないと......
薫子を探して視線を彷徨わせる。
遼と美姫と陽子が喋っている横で、薫子は何か考え事をしているように見えた。
薫子、大丈夫かな......いつも何かあると悪い方へ考えてしまう癖があるから、それに陥ってないといいけど。
しかも今日は、イギリスへ発つ日だ。薫子が土壇場で考えを変えないかと、悠は気が気ではなかった。
恐らく、その原因のひとつになっているのは香西だ。もちろん薫子には恋愛感情はないが、彼女にとって香西は大切な存在になりつつある。そんな彼を裏切ることへの罪悪感を、優しい薫子が感じない筈がない。
悠は、遼に対して嫉妬ともいえる感情を抱いていた。
美姫が他大学に行き、自分とは別の学部になったことで、薫子が寂しさを抱えていたことは知っていた。だが、薫子の内向的な性格ゆえ友人を作りにくいということは知っていたし、何よりも自分が薫子を支えてやりたいと思っていた。
薫子が内向的な性格を変えたいと思い、変わり始め、友人が出来ていくことを喜ばしく思う反面、遼が薫子の背中を押してやったのがきっかけであったことは面白くなかった。
薫子が悠の視線に気づき、見つめ返してきた。悠は以前薫子の家の前で合図した時のように電話をする仕草をして、スマホを見るようにと指示を出した。
これ以上何かしたら、誰かに怪しまれるな......
そう判断した悠は、薫子が理解したのを確認すると大和に話しかけた。
「じゃ、これから香西と話してくる」
「時間、大丈夫なのかよ?」
大和は暗にフライト時間のことを気にかけた。
ロンドン行きは成田発でも羽田発でも全ての航空会社のフライトが午前発の為、15時20分羽田発フランクフルト経由のバーミンガム行きのフライトを手配した。国際便は2時間前には空港に到着しなければならないので13時20分にそこに着くとして、渋滞も考慮し、12時半には家を出たい。
角帯に結びつけてある懐中時計を取り出し、確認すると11時15分だった。
「大丈夫。時間はそうかからないから」
「そっか......じゃ、後で迎えに行く」
「あぁ、悪いな」
遼はちょうど会話を終え、帰るようだった。遼の歩いていく先へと進み、待ち伏せするような形で声をかけた。
「香西...」
「よぉ!おっ、大和もいたいた!ちょうどいいから写真撮ろーぜ、写真」
遼は、嬉しそうにデジカメを片手に振りかざした。だが、悠は眉ひとつ動かさず、遼を見つめる。
「話があるんだ......」
その様子を見て真剣な話であることを察した遼からは、先程までの屈託のない笑みが消えた。
「...分かった...」
遼が頷いた後、大和は「じゃ、俺は帰るわ...」と言い、手を振って去って行った。
「あいつの...ことか?」
小さく聞いた遼に、「ああ」と悠は答えた。
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