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約束
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薫子が悠の病室から出てくると、ちょうど大和が面談室から出てきたところだった。
「え...かお、るこ!?」
泣いている薫子を目の前に、大和は困惑した表情を見せた。
「ッグお、願......ウッウッ家、に...ックづれ、て......ヒクッ...ウッウッ」
その様子から見て、すぐに事情を聞きだすのは無理だし、薫子を置いて悠に問いただすわけにもいかないと判断した大和は、彼女を連れて病棟を後にすることにした。
「......行こう」
大和は涙が止まらない薫子を庇うようにして肩を抱き、駐車場まで連れてきた。
薫子を助手席に乗せると、堰を切ったように泣き崩れる。大和はそんな彼女にどう声を掛けるべきか分からず、ただ黙って見つめることしか出来なかった。
薫子さえ、悠に会いに行くことができれば......
それでもう、二人は大丈夫だって思ってた。
なんで薫子は泣いてんだ。
ふたりの間に、一体何があったんだ......
薫子に会わせる前に大和が悠を訪ねた時、確かに違和感は感じた。どこか緊張したような、張り詰めた空気がそこにはあった。
だがそれは、久しぶりに会う恋人との再会を目の前にしての高ぶりだと、大和は信じていた。
薫子の涙が枯れ果て、少しずつ落ち着きを取り戻したかのように思えた頃、大和はようやく口を開いた。
「悠に、何を言われたんだ?」
薫子は泣き腫らした目をハンカチで抑え、その隙間から大和を見上げた。
心配し、迷惑をかけた大和に、何も話さないわけにはいかない......
薫子は言葉を出そうとすると溢れ出そうになる涙を堪えるように上を見上げた後、再び俯いた。
「悠、に......別れよう、って言われたの」
「えぇっ!?」
予想もしていなかった答えに、大和の瞳孔が見開く。
もし今日、悠が薫子に別れを告げることを知っていれば、大和は薫子をここへは連れてこなかっただろう。
「な、んであいつ......」
あいつから別れを切り出すなんて、ありえねぇだろ。
大和は眉を潜め、訳がわからないというように呟いた。
薫子だって、信じたくない。悠が別れを切り出したことなど、悪夢だと思いたかった。だが、彼の言葉は薫子の耳にこだまのように余韻となって響き続けていた。
「悠、にね。
出会うべきじゃ、なかったって。結ばれては......いけない、運命だったんだって......言われ、たの......」
心が打ち震え、冷たい風が吹きすさぶ。
薫子は、もっとも愛し、大切にしたいと思っていた存在を失くしてしまった。
「私、には......新しい生活をする、覚悟がなかったって。もし駆け落ちできていたとしても、うまくいかなかっただろうって......言わ、れて。双方の親にも関係を知られてしまった今、関係を続けていくのは無理、だって。
だから、もう私と別、れ......ッウゥッ......」
私は悠の言葉を、否定することが出来なかった。それは、私の心の中で燻っていた思いだったから。
常にお父様の陰に怯えて、ふたりの関係が露呈するのを恐れていたこと。悠との新しい生活を楽しみにすることよりも、慣れない生活への不安と怯えに押し潰されていたこと。
それを悠は、見抜いていた。
そして、そんな私に失望し、恋心が、冷めてしまったんだ。
「え...かお、るこ!?」
泣いている薫子を目の前に、大和は困惑した表情を見せた。
「ッグお、願......ウッウッ家、に...ックづれ、て......ヒクッ...ウッウッ」
その様子から見て、すぐに事情を聞きだすのは無理だし、薫子を置いて悠に問いただすわけにもいかないと判断した大和は、彼女を連れて病棟を後にすることにした。
「......行こう」
大和は涙が止まらない薫子を庇うようにして肩を抱き、駐車場まで連れてきた。
薫子を助手席に乗せると、堰を切ったように泣き崩れる。大和はそんな彼女にどう声を掛けるべきか分からず、ただ黙って見つめることしか出来なかった。
薫子さえ、悠に会いに行くことができれば......
それでもう、二人は大丈夫だって思ってた。
なんで薫子は泣いてんだ。
ふたりの間に、一体何があったんだ......
薫子に会わせる前に大和が悠を訪ねた時、確かに違和感は感じた。どこか緊張したような、張り詰めた空気がそこにはあった。
だがそれは、久しぶりに会う恋人との再会を目の前にしての高ぶりだと、大和は信じていた。
薫子の涙が枯れ果て、少しずつ落ち着きを取り戻したかのように思えた頃、大和はようやく口を開いた。
「悠に、何を言われたんだ?」
薫子は泣き腫らした目をハンカチで抑え、その隙間から大和を見上げた。
心配し、迷惑をかけた大和に、何も話さないわけにはいかない......
薫子は言葉を出そうとすると溢れ出そうになる涙を堪えるように上を見上げた後、再び俯いた。
「悠、に......別れよう、って言われたの」
「えぇっ!?」
予想もしていなかった答えに、大和の瞳孔が見開く。
もし今日、悠が薫子に別れを告げることを知っていれば、大和は薫子をここへは連れてこなかっただろう。
「な、んであいつ......」
あいつから別れを切り出すなんて、ありえねぇだろ。
大和は眉を潜め、訳がわからないというように呟いた。
薫子だって、信じたくない。悠が別れを切り出したことなど、悪夢だと思いたかった。だが、彼の言葉は薫子の耳にこだまのように余韻となって響き続けていた。
「悠、にね。
出会うべきじゃ、なかったって。結ばれては......いけない、運命だったんだって......言われ、たの......」
心が打ち震え、冷たい風が吹きすさぶ。
薫子は、もっとも愛し、大切にしたいと思っていた存在を失くしてしまった。
「私、には......新しい生活をする、覚悟がなかったって。もし駆け落ちできていたとしても、うまくいかなかっただろうって......言わ、れて。双方の親にも関係を知られてしまった今、関係を続けていくのは無理、だって。
だから、もう私と別、れ......ッウゥッ......」
私は悠の言葉を、否定することが出来なかった。それは、私の心の中で燻っていた思いだったから。
常にお父様の陰に怯えて、ふたりの関係が露呈するのを恐れていたこと。悠との新しい生活を楽しみにすることよりも、慣れない生活への不安と怯えに押し潰されていたこと。
それを悠は、見抜いていた。
そして、そんな私に失望し、恋心が、冷めてしまったんだ。
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