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After Story1 ー新しい命の誕生ー
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カーテン越しに、悠から声が掛かる。
「大和、手伝って」
「おぉ」
大和は少しカーテンを引き、その中に消えていった。上体を起こせるものの、腰を浮かせることが困難なので、着替えには手伝いがいるのだ。
やがて着替え終わったのか、大和が内側からカーテンを開けた。
再び隣に座った薫子のお腹をさすり、悠が声を掛ける。
「手術は長くなるから、ずっと待ってなくていいから。疲れたら、休んで」
悠は、申し訳なさそうに眉を下げた。
「薫子、こんな大変な時期に手術と重なってごめん。ほんとだったら、もっと早くに受けられてたのに......」
実は、悠は以前に医師からドナーからの角膜提供を告げられていた。それは薫子と別れて自暴自棄になっていた時期で、手術を受ける気力も体力もなかったので、医師と相談した上で見送ることになったのだった。
薫子はかなり大きくなったお腹を見つめて、ポンポンと撫でた。
「予定日まではあと4週間あるから、大丈夫だよ。赤ちゃんが生まれる前に、手術受けられてよかった」
もしかしたら、赤ちゃんが産まれる時に見られるかもしれないし......
角膜移植を受けたとしても視力が戻るという確証はないので、口に出すことはできないが、そんな希望を胸に笑みを見せた。
大和は美姫に顔を合わせると、悠に声を掛けた。
「じゃ、手術頑張れよ。また、顔見にくるから」
美姫も声を掛ける。
「悠、手術が上手くいくように祈ってるね」
悠は、柔らかい笑みを見せた。
「ありがとう」
薫子が二人を見送る為に、立ち上がった。
その時、下半身にパシャッと破裂するような音と感覚が広がった。薫子の口から、「ぁ......」と思わず小さく声が漏れる。
見下ろす薫子の視線に促されるように床を見つめた美姫の顔が、一気に青白くなる。
---薫子の足元には、水溜まりがどんどん広がっていた。
「薫子...」と言い掛けた美姫に、薫子は眉を苦しそうに歪め、黙って首を激しく振った。
お願い! 悠には、言わないで.....!!!
せっかくドナーが決まり、これから角膜移植の手術に向かう悠に心配をかけたくなかった。
悠は、違和感を覚えた。水が漏れるような音が聞こえ、帰ろうとしていたはずの美姫と大和の足音が聞こえず、妙に緊迫した空気が漂っている。
「何か、あった?」
薫子がビクッと肩を震わせる。
「何でもないの。これからふたりを、見送るところ」
間髪入れずに答えた薫子に、皆、どうしていいか分からず息を詰めた。その間にも、薫子の下にできた水溜りはどんどん広がっていく。
ばあやが堪らず、薫子の手を取った。薫子は必死に目で訴えた。
ばあや、お願い......
どうか......悠が手術室に向かうまで、何も言わないで。
「大和、手伝って」
「おぉ」
大和は少しカーテンを引き、その中に消えていった。上体を起こせるものの、腰を浮かせることが困難なので、着替えには手伝いがいるのだ。
やがて着替え終わったのか、大和が内側からカーテンを開けた。
再び隣に座った薫子のお腹をさすり、悠が声を掛ける。
「手術は長くなるから、ずっと待ってなくていいから。疲れたら、休んで」
悠は、申し訳なさそうに眉を下げた。
「薫子、こんな大変な時期に手術と重なってごめん。ほんとだったら、もっと早くに受けられてたのに......」
実は、悠は以前に医師からドナーからの角膜提供を告げられていた。それは薫子と別れて自暴自棄になっていた時期で、手術を受ける気力も体力もなかったので、医師と相談した上で見送ることになったのだった。
薫子はかなり大きくなったお腹を見つめて、ポンポンと撫でた。
「予定日まではあと4週間あるから、大丈夫だよ。赤ちゃんが生まれる前に、手術受けられてよかった」
もしかしたら、赤ちゃんが産まれる時に見られるかもしれないし......
角膜移植を受けたとしても視力が戻るという確証はないので、口に出すことはできないが、そんな希望を胸に笑みを見せた。
大和は美姫に顔を合わせると、悠に声を掛けた。
「じゃ、手術頑張れよ。また、顔見にくるから」
美姫も声を掛ける。
「悠、手術が上手くいくように祈ってるね」
悠は、柔らかい笑みを見せた。
「ありがとう」
薫子が二人を見送る為に、立ち上がった。
その時、下半身にパシャッと破裂するような音と感覚が広がった。薫子の口から、「ぁ......」と思わず小さく声が漏れる。
見下ろす薫子の視線に促されるように床を見つめた美姫の顔が、一気に青白くなる。
---薫子の足元には、水溜まりがどんどん広がっていた。
「薫子...」と言い掛けた美姫に、薫子は眉を苦しそうに歪め、黙って首を激しく振った。
お願い! 悠には、言わないで.....!!!
せっかくドナーが決まり、これから角膜移植の手術に向かう悠に心配をかけたくなかった。
悠は、違和感を覚えた。水が漏れるような音が聞こえ、帰ろうとしていたはずの美姫と大和の足音が聞こえず、妙に緊迫した空気が漂っている。
「何か、あった?」
薫子がビクッと肩を震わせる。
「何でもないの。これからふたりを、見送るところ」
間髪入れずに答えた薫子に、皆、どうしていいか分からず息を詰めた。その間にも、薫子の下にできた水溜りはどんどん広がっていく。
ばあやが堪らず、薫子の手を取った。薫子は必死に目で訴えた。
ばあや、お願い......
どうか......悠が手術室に向かうまで、何も言わないで。
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