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After Story 3 ー悲しみの中の幸福ー
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龍太郎はチャコールグレイのモーニングに白のネクタイ。胸元には、悠人に渡したはずのブートニアまで飾っていた。
いったい、どういうつもり......
怒りで躰を震わせる薫子に、龍太郎は3つ折りの紙を差し出した。
「これを、もらった」
警戒しつつ、龍太郎からそれを受け取る。折り畳まれた紙を開くと、見覚えのある字が並んでいた。
こ、れ......ばあやの字だ。
龍太郎にも手紙を書いていたのを知って動揺しつつも、ばあやの思いが籠もった手紙を噛み締めるようにして薫子は読み進めた。
『旦那様
どうかもう意地は張らず、素直な気持ちをお伝え下さい。それだけが、ばあやの望みでございます。
追伸
薫子様の挙式にご出席されないのなら、バージンロードを薫子様と歩くのは悠人様になりますが、それでもよろしいのですか? 父親として、とは申しません。嫉妬でも独占欲でも構いません。薫子様の隣に立ち、共に歩んで下さいませ。そこから、何かが生まれるかもしれません。
米田 典子』
龍太郎は、深く頭を下げた。
「今まで、すまなかった。
許してくれとは言わん。だが......今日一日、いや、お前を送り届けるまででいいから......どうか、一緒に歩いてくれんか」
初めて頭を下げた龍太郎の態度に動揺し、最期まで自分と父との関係を憂慮していたばあやの気持ちに心を大きく揺さぶられながらも、薫子は首を縦に振ることは出来なかった。
「どうして私が、あなたとヴァージンロードを歩かなければならないのですか。
言ったはずです。私はもう、あなたを父親とは思わないと。
あなたが私と歩きたいのは、お母様が愛してらしたお義父様と私を一緒に歩かせたくないからだけなのでしょう?そんな自分勝手な嫉妬の為に、私を利用しないで下さい」
龍太郎は唇を噛み締め、苦しそうに言葉を繋いだ。
『確かに、わしはあいつを......風間をお前と一緒に歩かせたくない。
その強い思いが、ここまで来させたと言っても過言ではない』
予想していたとはいえ、実際に龍太郎の口から聞き、薫子は更に失望を重ねた。だが、初めて自らの心情を語ろうとする龍太郎が何を言うのか、興味もあった。
『ようやく華子を手にし、薫子が生まれてからも、あいつの心はわしに向けられることはなかった。華子は表向きはわしに従いながらも心の中では拒否し、風間への秘めた思いを持ち続けた。そんな華子に苛立ち、焦り、風間に嫉妬した。
華子にも、お前に対しても......どう接していいのか分からんのだ。屋敷から出さず、贅沢なものを与え、不自由のない暮らしを与えてやることで、わしの所有物だと思いこませようとした。威圧的に接し、従わせることで、精神的に支配しようとしたのだ』
それが、どれだけ私とお母様を苦しめたのか、どうしてこの人は気づかないのだろう。なんて不器用な愛し方しか、出来ない人なのだろう。
薫子は、怒りよりもそんな龍太郎を不憫にさえ感じた。
「お前が風間の息子と恋人だと聞いた時、わしは華子に裏切られた気持ちになった。
どうしても、許せなかったのだ......わしのあいつへの思いを全て否定された気がして。
だから、お前をどうしても風間の息子の元へは行かせたくなかった。なんとしてでも......お前を、わしの手元に置いておきたかったのだ」
薫子は、大きく溜息を吐いた。
まだ父との和解など、遠いと感じた。
いったい、どういうつもり......
怒りで躰を震わせる薫子に、龍太郎は3つ折りの紙を差し出した。
「これを、もらった」
警戒しつつ、龍太郎からそれを受け取る。折り畳まれた紙を開くと、見覚えのある字が並んでいた。
こ、れ......ばあやの字だ。
龍太郎にも手紙を書いていたのを知って動揺しつつも、ばあやの思いが籠もった手紙を噛み締めるようにして薫子は読み進めた。
『旦那様
どうかもう意地は張らず、素直な気持ちをお伝え下さい。それだけが、ばあやの望みでございます。
追伸
薫子様の挙式にご出席されないのなら、バージンロードを薫子様と歩くのは悠人様になりますが、それでもよろしいのですか? 父親として、とは申しません。嫉妬でも独占欲でも構いません。薫子様の隣に立ち、共に歩んで下さいませ。そこから、何かが生まれるかもしれません。
米田 典子』
龍太郎は、深く頭を下げた。
「今まで、すまなかった。
許してくれとは言わん。だが......今日一日、いや、お前を送り届けるまででいいから......どうか、一緒に歩いてくれんか」
初めて頭を下げた龍太郎の態度に動揺し、最期まで自分と父との関係を憂慮していたばあやの気持ちに心を大きく揺さぶられながらも、薫子は首を縦に振ることは出来なかった。
「どうして私が、あなたとヴァージンロードを歩かなければならないのですか。
言ったはずです。私はもう、あなたを父親とは思わないと。
あなたが私と歩きたいのは、お母様が愛してらしたお義父様と私を一緒に歩かせたくないからだけなのでしょう?そんな自分勝手な嫉妬の為に、私を利用しないで下さい」
龍太郎は唇を噛み締め、苦しそうに言葉を繋いだ。
『確かに、わしはあいつを......風間をお前と一緒に歩かせたくない。
その強い思いが、ここまで来させたと言っても過言ではない』
予想していたとはいえ、実際に龍太郎の口から聞き、薫子は更に失望を重ねた。だが、初めて自らの心情を語ろうとする龍太郎が何を言うのか、興味もあった。
『ようやく華子を手にし、薫子が生まれてからも、あいつの心はわしに向けられることはなかった。華子は表向きはわしに従いながらも心の中では拒否し、風間への秘めた思いを持ち続けた。そんな華子に苛立ち、焦り、風間に嫉妬した。
華子にも、お前に対しても......どう接していいのか分からんのだ。屋敷から出さず、贅沢なものを与え、不自由のない暮らしを与えてやることで、わしの所有物だと思いこませようとした。威圧的に接し、従わせることで、精神的に支配しようとしたのだ』
それが、どれだけ私とお母様を苦しめたのか、どうしてこの人は気づかないのだろう。なんて不器用な愛し方しか、出来ない人なのだろう。
薫子は、怒りよりもそんな龍太郎を不憫にさえ感じた。
「お前が風間の息子と恋人だと聞いた時、わしは華子に裏切られた気持ちになった。
どうしても、許せなかったのだ......わしのあいつへの思いを全て否定された気がして。
だから、お前をどうしても風間の息子の元へは行かせたくなかった。なんとしてでも......お前を、わしの手元に置いておきたかったのだ」
薫子は、大きく溜息を吐いた。
まだ父との和解など、遠いと感じた。
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