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愛され総受け女王は、20歳の誕生日に夫である美麗な年下国王に甘く淫らにお祝いされる
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朝食を終え、アンジェリーナ宛に届けられた贈り物を確認するため倉へと向かう。
途中、廊下で騎士隊長のアデラールに呼び止められる。背が高く、恰幅がいいのでアデラールが目の前に立つと思わず圧倒される。だが、顔立ちは精悍でありながらも親しみやすく、また面倒見が良く、リーダーシップに優れているので、騎士団の者たちから慕われていた。
「よぉ、アンジェリーナ、今日はお前の誕生日だな」
アンジェを『お前』呼ばわりとは随分馴れ馴れしいな。
アンジェリーナの隣に立つルノーの眉間に、皺が寄る。
アデラールの母はアンジェリーナの乳母として仕えていたため、同じ歳で城内に住むふたりはよく一緒に遊び、成長したのだとアンジェリーナから聞いていた。アンジェリーナにとってアデラールは仲の良い幼馴染みであり、信頼を寄せる騎士隊長であることは分かっていたが、気に入らない。
しかも、ルノーにはアデラールがアンジェリーナに対して幼馴染み以上の気持ちを抱いていることに気付いていた。
「ほら、やる」
ポンッと、アデラールがアンジェリーナに箱を渡す。
「アデル、ありがとう!」
アンジェリーナがアデラールのことを、親しげに『アデル』と呼ぶことも不服だった。
箱を開けると、中にはアップルパイが入っていた。
「城下にりんごが実ると、お袋がアップルパイ作ってくれて、お前それ好きだっただろ」
心なしか、アデラールの頬が赤く染まっている。
「アデル、覚えててくれたんだ! 嬉しいっ」
アデラールには、そんなことまで話しているのか。
ルノーの嫉妬心がジリジリと燃え上がる。
「もしかしてこれ、アデルが作ってくれたの?」
「あぁ、まあな……あんま、食い過ぎんなよ」
そう言っていつものようにアンジェリーナの頭をポンポンッと撫でようとしたアデラールの手をルノーが掴んだ。
「女王に対してそのような振る舞い、騎士団長として行き過ぎた行為だと思うが?」
冷たく咎めると、
「はっ、失礼しました!」
アデラールが最敬礼し、去っていった。騎士団長にとって、国王の立場であるルノーは絶対なのだ。
小声でアンジェリーナが囁く。
「……ルノー、私なら大丈夫だよ?」
「いや、俺が嫌なんだ」
すると突然、後ろから誰か近づいた。
「アンジェリーナちゃん、誕生日おめでとう♪」
レオンヌがアンジェリーナを後ろから抱き締めていた。シルバーの髪がふわりと揺れ、セクシーな香りがふわっと漂った。
「ッッ!!」
あまりの出来事に息を飲み込んだまま、ルノーが固まる。
「レ、レオン先生! もぉ、ふざけないでください」
アンジェリーナが困ったように、レオンヌを見上げる。
レオンヌはシャルール公国国立大学院の若き教授であり、アンジェリーナが王女だった頃の歴史学の講師でもある。こんな固い肩書とは真逆に、彼は周りに常に女性をはべらし、スキャンダラスな噂が絶えない。『シャルール公国全ての女性が俺の恋人』と言って憚らないレオンヌは、女性からの支持は絶大だが、恋人や妻、愛人を奪われた男性から恨みを買うこともしばしばだ。
王女であるアンジェリーナに対しても当初、邪な気持ちを抱いていたらしいが、あまりにも純粋無垢な彼女に手をだせなかったのだというメイド達の噂をルノーは耳にしていた。
「あれっ、怒っちゃった? まぁ、怒った顔も可愛いんだけどさ」
ルノーが拳をギュッと握り締めた。
よくも、そんな台詞をぬけぬけと……
「はいっ、アンジェリーナちゃんに俺から誕生日プレゼント」
「本、ですか?」
「そう。『カーマ・スートラ』って知ってる? 古代インドの性愛論書で性交についても詳しく書かれてるから、これでアンジェリーナちゃんに夜のお勉強してもらおうと思って」
「ッッ!」
途端に、アンジェリーナの顔が耳まで赤くなる。
「愛する旦那様を、喜ばせてあげたら?」
レオンヌがルノーを一瞥して、ニヤッと笑う。失礼な振る舞いに嫌味を言いたい気持ちでいっぱいになるが、元とはいえ、アンジェリーナの講師だった男だ。権力でねじ伏せることもできない。
「じゃあ、またパーティーでね!」
レオンヌが手をヒラヒラさせて、去っていった。
「アンジェ、レオンヌがふざけて贈っただけだ。別に読まなくてもいいから」
ルノーがアンジェリーナを気遣い、優しく肩に手をのせる。
するとアンジェリーナが未だに赤くなった顔のままで、小さく首を振った。
「ううん、私……読んでみたい。ルノーに喜んでもらえるなら、頑張って勉強する……」
アンジェ……もう、君はなんで俺を喜ばせる言葉ばかり言うんだ。
たまらず、ルノーはアンジェリーナを片手で引き寄せると彼女の唇に接吻を落とした。
途中、廊下で騎士隊長のアデラールに呼び止められる。背が高く、恰幅がいいのでアデラールが目の前に立つと思わず圧倒される。だが、顔立ちは精悍でありながらも親しみやすく、また面倒見が良く、リーダーシップに優れているので、騎士団の者たちから慕われていた。
「よぉ、アンジェリーナ、今日はお前の誕生日だな」
アンジェを『お前』呼ばわりとは随分馴れ馴れしいな。
アンジェリーナの隣に立つルノーの眉間に、皺が寄る。
アデラールの母はアンジェリーナの乳母として仕えていたため、同じ歳で城内に住むふたりはよく一緒に遊び、成長したのだとアンジェリーナから聞いていた。アンジェリーナにとってアデラールは仲の良い幼馴染みであり、信頼を寄せる騎士隊長であることは分かっていたが、気に入らない。
しかも、ルノーにはアデラールがアンジェリーナに対して幼馴染み以上の気持ちを抱いていることに気付いていた。
「ほら、やる」
ポンッと、アデラールがアンジェリーナに箱を渡す。
「アデル、ありがとう!」
アンジェリーナがアデラールのことを、親しげに『アデル』と呼ぶことも不服だった。
箱を開けると、中にはアップルパイが入っていた。
「城下にりんごが実ると、お袋がアップルパイ作ってくれて、お前それ好きだっただろ」
心なしか、アデラールの頬が赤く染まっている。
「アデル、覚えててくれたんだ! 嬉しいっ」
アデラールには、そんなことまで話しているのか。
ルノーの嫉妬心がジリジリと燃え上がる。
「もしかしてこれ、アデルが作ってくれたの?」
「あぁ、まあな……あんま、食い過ぎんなよ」
そう言っていつものようにアンジェリーナの頭をポンポンッと撫でようとしたアデラールの手をルノーが掴んだ。
「女王に対してそのような振る舞い、騎士団長として行き過ぎた行為だと思うが?」
冷たく咎めると、
「はっ、失礼しました!」
アデラールが最敬礼し、去っていった。騎士団長にとって、国王の立場であるルノーは絶対なのだ。
小声でアンジェリーナが囁く。
「……ルノー、私なら大丈夫だよ?」
「いや、俺が嫌なんだ」
すると突然、後ろから誰か近づいた。
「アンジェリーナちゃん、誕生日おめでとう♪」
レオンヌがアンジェリーナを後ろから抱き締めていた。シルバーの髪がふわりと揺れ、セクシーな香りがふわっと漂った。
「ッッ!!」
あまりの出来事に息を飲み込んだまま、ルノーが固まる。
「レ、レオン先生! もぉ、ふざけないでください」
アンジェリーナが困ったように、レオンヌを見上げる。
レオンヌはシャルール公国国立大学院の若き教授であり、アンジェリーナが王女だった頃の歴史学の講師でもある。こんな固い肩書とは真逆に、彼は周りに常に女性をはべらし、スキャンダラスな噂が絶えない。『シャルール公国全ての女性が俺の恋人』と言って憚らないレオンヌは、女性からの支持は絶大だが、恋人や妻、愛人を奪われた男性から恨みを買うこともしばしばだ。
王女であるアンジェリーナに対しても当初、邪な気持ちを抱いていたらしいが、あまりにも純粋無垢な彼女に手をだせなかったのだというメイド達の噂をルノーは耳にしていた。
「あれっ、怒っちゃった? まぁ、怒った顔も可愛いんだけどさ」
ルノーが拳をギュッと握り締めた。
よくも、そんな台詞をぬけぬけと……
「はいっ、アンジェリーナちゃんに俺から誕生日プレゼント」
「本、ですか?」
「そう。『カーマ・スートラ』って知ってる? 古代インドの性愛論書で性交についても詳しく書かれてるから、これでアンジェリーナちゃんに夜のお勉強してもらおうと思って」
「ッッ!」
途端に、アンジェリーナの顔が耳まで赤くなる。
「愛する旦那様を、喜ばせてあげたら?」
レオンヌがルノーを一瞥して、ニヤッと笑う。失礼な振る舞いに嫌味を言いたい気持ちでいっぱいになるが、元とはいえ、アンジェリーナの講師だった男だ。権力でねじ伏せることもできない。
「じゃあ、またパーティーでね!」
レオンヌが手をヒラヒラさせて、去っていった。
「アンジェ、レオンヌがふざけて贈っただけだ。別に読まなくてもいいから」
ルノーがアンジェリーナを気遣い、優しく肩に手をのせる。
するとアンジェリーナが未だに赤くなった顔のままで、小さく首を振った。
「ううん、私……読んでみたい。ルノーに喜んでもらえるなら、頑張って勉強する……」
アンジェ……もう、君はなんで俺を喜ばせる言葉ばかり言うんだ。
たまらず、ルノーはアンジェリーナを片手で引き寄せると彼女の唇に接吻を落とした。
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