<本編完結!AS開始>【R18】愛するがゆえの罪 ー溜息が出るほど美しくて淫らな叔父と姪の禁断愛ストーリーー

奏音 美都

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美姫への想い ー大和過去編ー

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 だが、ついにその日は訪れた。

 いつもの学校からの帰り道。最近は口数が少なくなってきていた美姫だったが、その日は一言も発することはなかった。

 学校を出てから美姫の家までの帰り道、美姫が何度も俺に声を掛けようとしてはやめるのを感じていた。

 ついに、来たか......

 俺はそんな美姫に声を掛けることなく、重く暗い空気を引き摺ったまま美姫の家路へと黙って向かった。

 そんな俺達の気持ちを代弁するかのように、見上げると空一面に暗雲が立ち込めていた。嵐の前の静けさを感じた。

 美姫の家の門が目の前に迫ってきた。一歩一歩近づくにつれ、胸が苦しくなる。

 このまま、何も言わずに帰ってくれ。いいんだ、俺はこのままでも......
 ただ、お前の横に立ってるだけでいいから......

 だが、美姫は門の前で立ち止まり、俺に振り向いた。暗く重くどんよりとした空気が二人を包み込んだ。じっとりとした雨を含んだ空気の匂いがした。

「本当に……ごめんなさい。
 もう、私……大和とは、付き合えない」

 ダメ、だったか……

 いつかこの日が来ることは、心のどこかで分かってたし、覚悟してた。俺は本音を押し隠し、最後くらいはいい男であろうと、必死に虚勢を張った。

「……そっか……美姫に俺のこと好きになってもらって、美姫は俺が幸せにしてやりたかったんだけど……ダメなもんは、仕方ねぇよな……」

 心が、引き裂かれそうだ......

 俺じゃ、ダメなのか? お前の中には、まだあいつの影が消えてないのか?

 こんな無様な気持ち、美姫には知られたくない。美姫には、優しくて、理解のある男だと思われていたい。

 俺は美姫に心の内を覗かれないよう自分を奮い立たせ、「いい男」を演じ続けた。声が震えそうになるのを抑え、カラカラになった喉でわざと大きな声で明るく聞こえるように言った。

「恋人は解消だけどさ、これからは友達として付き合う前みたいに気軽な関係に戻ろうぜ。な?だから、もう『ごめん』とか変な罪悪感もたなくていいから」

 俺は、お前じゃなきゃダメなんだ。お前がもう恋人としてやっていけねぇなら、友達としてでもいい、から......
 お願いだ。お前の傍にいて、見守るだけでもさせてくれ......

 俺の心の奥は慟哭どうこくしていた。

 だがそんな気持ちも、俯いていた美姫の頬からコンクリートへと染み込んだ涙の跡を見た途端、吹き飛んだ。

「み、美姫っ!?な、泣くなっ!!」

 予想外の美姫の涙に慌て、慰めようとして美姫の肩に手を置きかけ、ハッとして手を離した。

 別れを告げられた俺が美姫を慰めるなんて、そんなこと.....出来るわけねぇよな......

「ごめん……ごめんね、大和……」

 何度も謝る美姫の震える華奢な肩に雨粒が落ち、染み込んで色濃く跡を残した。

 きっと、今までずっと苦しんできたんだろう。俺の気持ちを考え、罪悪感を感じ、何度も考えた末に辿り着いた上での別れだったんだろう。

 もう、美姫の心が俺に向くことはない......

 心の均衡が、ガラガラと音を立てて崩れ落ちた。

 一つずつ小さな染みを残していた雨粒はやがて重なって大きな染みとなり、いつしか染みを全て塗り潰し、全身を覆い尽くしていた。髪の毛から制服、靴下までぐっしょり濡れている美姫に声をかけた。

「美姫、ほら...風邪ひくから、中入れよ。俺は大丈夫だから」

 げん、かいだ。これ以上ここにいると、美姫に縋り付きそうだ。
 そんな真似は、絶対にしたくない......

 雨に濡れて前髪から滴る雫を制服の袖で拭い、美姫を安心させるように笑って見せた。すると、美姫がハッとした。

「ご、ごめん大和...今、タオルと傘持ってくるから待って...」
「いい。本当に大丈夫だから」

 お、願いだ。早く、行ってくれ......

 強張る喉から絞り出すようにして声を出した。

「っほんとに、だいじょぶ、だから......このまま、帰らせてくれ」

 頼む......

「わ、かった......」

 俺は美姫を背にし、来た道を重い足取りで戻った。

 美姫、美姫……美姫……おれ、は......
 本当に、お前のことが...…好き、だった。

 雷が鳴り始めた。豪雨は俺の躰を激しく叩きつける。

 ふらつきながら美姫の家のある通りから右に曲がり、細い路地に入った。突き当たりは行き止まりで滅多に誰も通らない。

 壁にもたれかかるとそのままズルズルと躰の力が抜けて滑り落ち、地面に脚を投げ出した。一人になると、今まで抑えていた嗚咽が込み上げてきた。

「っ...ぐ...うヴっっ......」

 なんで、あいつなんだ......なんで……なんで、お前は俺じゃダメなんだ......
 俺は......お前を救ってやれなかった。笑顔にしてやれなかった。

 美姫、俺は......俺はどうすれば、お前を幸せに出来た?

「…ッグウォーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!」

 地面に血が滲むほど何度も拳を打ち付け、発狂したように叫んだ咆哮ほうこうは、激しく叩きつける豪雨に飲み込まれた。
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