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孤独
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フンッと美姫からまたそっぽを向き、レナードは不満げに音をたてて座った。ミシェルが笑いながら、美姫にあの艶っぽい英語で話しかける。
『ごめんなさいねぇ、ワガママ王子が。でもぉ、あたしもシューイチの向かいを譲る気はないのよねぇ……だって、あたし好みの顔なのよね、シューイチって。美しくて隙がなくて、冷たくて…ゾクゾクしちゃう。
もしあたしがシューイチのアソコに突っ込んだら、どんな風に啼くんだろう……とか、考えるだけであたし、3回はイケちゃうわ、ふふっ。
あ、でもミキみたいなタイプにも惹かれるわよ?ヤマトナデシコを激しく喘がせてみたい...なんて、初めて思ったわ…って、シューイチ、睨まないでよ……もぉー冗談よ、冗談。
ま、一番の理由はねぇ......カミルがモルテッソーニの近くに元カレのあたしを座らせたくないってことなのよね。あたし達の関係はただの体だけの関係だったんだから、気にすることないのにぃ、フフッ...』
その言葉に、カミルが顔を真っ赤にして唇を噛んだ。モルテッソーニは英語が分からないなりにもミシェルがカミルの名前を口にしたことで何か悟ったらしく、カミルを宥めるように優しく頭を撫でている。
こんな…男性の園で……秀一さんは、二年間も過ごしてたんだ……
美姫はウィーンに来て初めて知った事実に愕然とした。
頭が…追い、つかない……
モルテッソーニとカミルは恋人で、それ以前にミシェルはモルテッソーニと付き合っていて、ミシェルは秀一さんに興味があって、レナードも秀一さんが好き、ってこと……なん、だよね……?
信じてる、けど……
美姫は少し心配になり、秀一を見上げた。秀一は美姫のその表情を認めると、フ…という笑みを溢し、テーブルの下で大きな手が重なった。
食事の前に全員でお祈りを捧げる。両手を合わせ、モルテッソーニが神と食事に対しての感謝の言葉を唱えた後、皆の動きに合わせて美姫も胸の前で十字を切り、全員でお祈りの言葉を捧げた。
美姫は最後の『アーメン』のみは分かったので、一テンポ遅れて小さな声で唱えた。お祈りが終わると、途端に賑やかな食卓となった。
ハンナが手際よく皆にコンソメスープとパンを配り、ワインを注いでいく。コンソメスープにはお皿からはみ出るくらいの大きなソーセージが2本載せられていた。
久しぶりの秀一との再会で、皆が秀一に向かって質問したり、それに対する意見を述べているようだった。ミシェル、カミルは英語が出来るし、レナード、ザックはネイティブであるものの、食卓ではモルテッソーニを囲んでドイツ語で話されるため、どうしても美姫は話題についていけない。
最初のうちは秀一が気を遣って訳してくれていたものの、全ての会話を訳すのは到底無理で、しかも皆は秀一の日本での仕事やプライベートについて興味津々のため次から次へと質問攻めにあい、その対応に追われて美姫の通訳どころではなくなっていた。
ザックも美姫のことを気にして最初のうちは当たり障りのない話題を彼女に英語で話し掛けていたが、秀一の話題が気になる様子で、自然に会話が中断し、いつの間にかザックもその会話に加わっていた。
ザックに悪気がないのは美姫にも分かる。秀一が日本でどのような生活をしていたのか気になるだろうし、美姫にいちいち会話を訳していたのでは、皆との話題についていけなくなってしまう。
美姫もザックに気を遣ってもらうことに負い目を感じていたので、皆の輪の中で楽しそうに会話をしているザックを見て、正直安堵していた。
皆の声が、次第に遠ざかっていく……
こんなに賑やかな食卓にいながら、美姫はまるで自分が孤島に流されてしまったかのような孤独を感じていた。
『ごめんなさいねぇ、ワガママ王子が。でもぉ、あたしもシューイチの向かいを譲る気はないのよねぇ……だって、あたし好みの顔なのよね、シューイチって。美しくて隙がなくて、冷たくて…ゾクゾクしちゃう。
もしあたしがシューイチのアソコに突っ込んだら、どんな風に啼くんだろう……とか、考えるだけであたし、3回はイケちゃうわ、ふふっ。
あ、でもミキみたいなタイプにも惹かれるわよ?ヤマトナデシコを激しく喘がせてみたい...なんて、初めて思ったわ…って、シューイチ、睨まないでよ……もぉー冗談よ、冗談。
ま、一番の理由はねぇ......カミルがモルテッソーニの近くに元カレのあたしを座らせたくないってことなのよね。あたし達の関係はただの体だけの関係だったんだから、気にすることないのにぃ、フフッ...』
その言葉に、カミルが顔を真っ赤にして唇を噛んだ。モルテッソーニは英語が分からないなりにもミシェルがカミルの名前を口にしたことで何か悟ったらしく、カミルを宥めるように優しく頭を撫でている。
こんな…男性の園で……秀一さんは、二年間も過ごしてたんだ……
美姫はウィーンに来て初めて知った事実に愕然とした。
頭が…追い、つかない……
モルテッソーニとカミルは恋人で、それ以前にミシェルはモルテッソーニと付き合っていて、ミシェルは秀一さんに興味があって、レナードも秀一さんが好き、ってこと……なん、だよね……?
信じてる、けど……
美姫は少し心配になり、秀一を見上げた。秀一は美姫のその表情を認めると、フ…という笑みを溢し、テーブルの下で大きな手が重なった。
食事の前に全員でお祈りを捧げる。両手を合わせ、モルテッソーニが神と食事に対しての感謝の言葉を唱えた後、皆の動きに合わせて美姫も胸の前で十字を切り、全員でお祈りの言葉を捧げた。
美姫は最後の『アーメン』のみは分かったので、一テンポ遅れて小さな声で唱えた。お祈りが終わると、途端に賑やかな食卓となった。
ハンナが手際よく皆にコンソメスープとパンを配り、ワインを注いでいく。コンソメスープにはお皿からはみ出るくらいの大きなソーセージが2本載せられていた。
久しぶりの秀一との再会で、皆が秀一に向かって質問したり、それに対する意見を述べているようだった。ミシェル、カミルは英語が出来るし、レナード、ザックはネイティブであるものの、食卓ではモルテッソーニを囲んでドイツ語で話されるため、どうしても美姫は話題についていけない。
最初のうちは秀一が気を遣って訳してくれていたものの、全ての会話を訳すのは到底無理で、しかも皆は秀一の日本での仕事やプライベートについて興味津々のため次から次へと質問攻めにあい、その対応に追われて美姫の通訳どころではなくなっていた。
ザックも美姫のことを気にして最初のうちは当たり障りのない話題を彼女に英語で話し掛けていたが、秀一の話題が気になる様子で、自然に会話が中断し、いつの間にかザックもその会話に加わっていた。
ザックに悪気がないのは美姫にも分かる。秀一が日本でどのような生活をしていたのか気になるだろうし、美姫にいちいち会話を訳していたのでは、皆との話題についていけなくなってしまう。
美姫もザックに気を遣ってもらうことに負い目を感じていたので、皆の輪の中で楽しそうに会話をしているザックを見て、正直安堵していた。
皆の声が、次第に遠ざかっていく……
こんなに賑やかな食卓にいながら、美姫はまるで自分が孤島に流されてしまったかのような孤独を感じていた。
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