281 / 1,014
聖夜のプレゼント
9
しおりを挟む
美姫は秀一のエスコートでカウチに座った。
秀一はテーブルのすぐ傍に立ち、ワインクーラーからシャンパンボトルを抜き取り、白いタオルで濡れたボトルの部分を拭き取った。
シャンパンのキャップシールを切り取り、ボトルを少し斜めに傾け、コルクの上部を親指で抑えながらワイヤーを外す。コルクをしっかりと固定したまま慎重にボトルを回していき、手応えを感じた瞬間コルクとの隙間からガスが抜ける静かな音が聞こえた。
慣れた様子で片手でシャンパンボトルを手にし、斜めに傾けてシャンパングラスにゆっくりと注いでいく。完璧な位置で止めると、もうひとつのグラスにも注ぐ。
まるで一流のサーバーのような流麗な一連の所作に、美姫の唇からは溜め息しか出ない。
先程までは大観衆の前に立ち、皆にパフォーマンスを見せていた秀一を、自分が今独占しているのだと思うと、美姫はゾクゾクした戦慄に似た興奮を感じていた。
シャンパンボトルにコルクで蓋を閉め、ワインクーラーへと入れると、秀一は美姫の隣に座った。
シャンパングラスを手にして美姫へ渡すと、自らももうひとつのグラスを指に絡ませた。再び
「メリークリスマス...」
と見つめ合いながら、お互いのシャンパングラスを重ねた。
シャンパングラスを傾け、琥珀色の液体を口に含むと泡が弾けて鼻腔にまで芳ばしい匂いと味が広がっていく。
秀一はカウチの縁に躰を預けるとシャパングラスを硝子テーブルの上に置き、引き締まった腕で美姫の肩を優しく抱き寄せた。
昨夜バスタブでしたように背中から抱き締められ、美姫の心臓はもう壊れそうなくらいに脈動を打ち、息苦しさまで覚えた。
秀一は長い脚を伸ばし、その間に華奢な美姫の躰を挟んだ。そっと美姫が秀一を見上げると、フレーム越しのライトグレーの瞳が細められ、美姫を愛おしく見つめ返した。
そんなひとつひとつの仕草に、美姫は胸がキュンと絞られるような甘い痛みを覚える。
喉の渇きを覚えて、美姫はシャンパングラスを傾けた。
「今日のクリスマスイブのコンサート、本当に素敵でした......
皆さんそれぞれ個性に合った選曲をされていて、どの演奏も魅力的で聴き入ってしまいました」
話しながら今日のコンサートの様子を思い出しいていた。
個性の違うそれぞれの演奏も素晴らしかったし、アンコールで見せた全員での楽しそうな演奏も目に焼き付いている。
本当に、ここに来られて皆の演奏を聴くことが出来てよかった......
「モルテッソーニが、チャリティーコンサートなので気取った感じではなく、皆の好きなクリスマスに沿った曲選びをしようということになったのですよ」
「秀一さんがクラシック以外の曲をコンサートで演奏するのを初めて聴きました」
「えぇ、初めてですね......貴女と過ごすクリスマスを考えていたら、あの曲が思い浮かんだのですよ」
秀一の指先が美姫の髪を絡め取り、口づけを落とした。
自分のことを想い、あの曲を選曲し、そして聴衆の前で演奏した後......それを美姫の為だけに弾いてくれた。
それを思うと美姫の胸は一層高鳴り、あの時に感じていた独占欲や嫉妬心は泡のように消えていた。
秀一はテーブルのすぐ傍に立ち、ワインクーラーからシャンパンボトルを抜き取り、白いタオルで濡れたボトルの部分を拭き取った。
シャンパンのキャップシールを切り取り、ボトルを少し斜めに傾け、コルクの上部を親指で抑えながらワイヤーを外す。コルクをしっかりと固定したまま慎重にボトルを回していき、手応えを感じた瞬間コルクとの隙間からガスが抜ける静かな音が聞こえた。
慣れた様子で片手でシャンパンボトルを手にし、斜めに傾けてシャンパングラスにゆっくりと注いでいく。完璧な位置で止めると、もうひとつのグラスにも注ぐ。
まるで一流のサーバーのような流麗な一連の所作に、美姫の唇からは溜め息しか出ない。
先程までは大観衆の前に立ち、皆にパフォーマンスを見せていた秀一を、自分が今独占しているのだと思うと、美姫はゾクゾクした戦慄に似た興奮を感じていた。
シャンパンボトルにコルクで蓋を閉め、ワインクーラーへと入れると、秀一は美姫の隣に座った。
シャンパングラスを手にして美姫へ渡すと、自らももうひとつのグラスを指に絡ませた。再び
「メリークリスマス...」
と見つめ合いながら、お互いのシャンパングラスを重ねた。
シャンパングラスを傾け、琥珀色の液体を口に含むと泡が弾けて鼻腔にまで芳ばしい匂いと味が広がっていく。
秀一はカウチの縁に躰を預けるとシャパングラスを硝子テーブルの上に置き、引き締まった腕で美姫の肩を優しく抱き寄せた。
昨夜バスタブでしたように背中から抱き締められ、美姫の心臓はもう壊れそうなくらいに脈動を打ち、息苦しさまで覚えた。
秀一は長い脚を伸ばし、その間に華奢な美姫の躰を挟んだ。そっと美姫が秀一を見上げると、フレーム越しのライトグレーの瞳が細められ、美姫を愛おしく見つめ返した。
そんなひとつひとつの仕草に、美姫は胸がキュンと絞られるような甘い痛みを覚える。
喉の渇きを覚えて、美姫はシャンパングラスを傾けた。
「今日のクリスマスイブのコンサート、本当に素敵でした......
皆さんそれぞれ個性に合った選曲をされていて、どの演奏も魅力的で聴き入ってしまいました」
話しながら今日のコンサートの様子を思い出しいていた。
個性の違うそれぞれの演奏も素晴らしかったし、アンコールで見せた全員での楽しそうな演奏も目に焼き付いている。
本当に、ここに来られて皆の演奏を聴くことが出来てよかった......
「モルテッソーニが、チャリティーコンサートなので気取った感じではなく、皆の好きなクリスマスに沿った曲選びをしようということになったのですよ」
「秀一さんがクラシック以外の曲をコンサートで演奏するのを初めて聴きました」
「えぇ、初めてですね......貴女と過ごすクリスマスを考えていたら、あの曲が思い浮かんだのですよ」
秀一の指先が美姫の髪を絡め取り、口づけを落とした。
自分のことを想い、あの曲を選曲し、そして聴衆の前で演奏した後......それを美姫の為だけに弾いてくれた。
それを思うと美姫の胸は一層高鳴り、あの時に感じていた独占欲や嫉妬心は泡のように消えていた。
0
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【R18】仲のいいバイト仲間だと思ってたら、いきなり襲われちゃいました!
奏音 美都
恋愛
ファミレスのバイト仲間の豪。
ノリがよくて、いい友達だと思ってたんだけど……いきなり、襲われちゃった。
ダメだって思うのに、なんで拒否れないのー!!
【R18】幼馴染がイケメン過ぎる
ケセラセラ
恋愛
双子の兄弟、陽介と宗介は一卵性の双子でイケメンのお隣さん一つ上。真斗もお隣さんの同級生でイケメン。
幼稚園の頃からずっと仲良しで4人で遊んでいたけど、大学生にもなり他にもお友達や彼氏が欲しいと思うようになった主人公の吉本 華。
幼馴染の関係は壊したくないのに、3人はそうは思ってないようで。
関係が変わる時、歯車が大きく動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる