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足枷
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『突然の訪問で驚かれたかな?
先ほどカヨコを通じて伝えてもらったが、今日ここに来たのは他でもない...ミキに話があってな。もちろん、シューイチについてのことだ。単刀直入に言わせてもらうと...ミキ、君からシューイチがウィーンに戻るように説得して欲しいんだ』
その言葉に、美姫はある程度予想はしていたものの、モルテッソーニから直接聞かされたことでショックを隠せなかった。
「なぜ...秀一さんにウィーンに来て欲しいのですか。秀一さんは日本でも活躍されていますし、ここには貴方の優秀な弟子たちがたくさんいるじゃないですか」
息急き切って答えた美姫は、まるで喧嘩腰のようになってしまい、慌てて姿勢を正した。
「なぜ...そのようなことを仰るんですか......日本には...秀一さんを必要とし、愛してくれる人がたくさんいます。彼は、日本にいても十分活躍出来ます......」
お願い、私から秀一さんを奪わないで下さい......
お願い、お願いですから......
美姫は必死で訴えた。
『シューイチほどのピアニストが、なぜ世界へと羽ばたくことなく、日本に留まっているのか...
それは、ミキ。君が原因なんだ。君はもう成人を迎え、シューイチの庇護を必要としない。そろそろ彼を...彼の足枷を外してやってくれないか』
あし、かせ......
その言葉は重く美姫の心にのしかかった。
足枷、だなんて......そんなつもり、ない。
私はただ...秀一さんの傍にいたいだけ。愛する人の傍にいたいだけ......
青ざめていく美姫の表情を窺い、モルテッソーニは申し訳なさそうに肩を竦めた。
『いや、すまない...言葉が過ぎたな。
だが、シューイチにとってミキの存在はそれほど大きいものだということだ。昔から、ね......』
そう言うと、モルテッソーニは秀一との過去の話を語り出した。
それは、美姫が生まれる前に遡る......
先ほどカヨコを通じて伝えてもらったが、今日ここに来たのは他でもない...ミキに話があってな。もちろん、シューイチについてのことだ。単刀直入に言わせてもらうと...ミキ、君からシューイチがウィーンに戻るように説得して欲しいんだ』
その言葉に、美姫はある程度予想はしていたものの、モルテッソーニから直接聞かされたことでショックを隠せなかった。
「なぜ...秀一さんにウィーンに来て欲しいのですか。秀一さんは日本でも活躍されていますし、ここには貴方の優秀な弟子たちがたくさんいるじゃないですか」
息急き切って答えた美姫は、まるで喧嘩腰のようになってしまい、慌てて姿勢を正した。
「なぜ...そのようなことを仰るんですか......日本には...秀一さんを必要とし、愛してくれる人がたくさんいます。彼は、日本にいても十分活躍出来ます......」
お願い、私から秀一さんを奪わないで下さい......
お願い、お願いですから......
美姫は必死で訴えた。
『シューイチほどのピアニストが、なぜ世界へと羽ばたくことなく、日本に留まっているのか...
それは、ミキ。君が原因なんだ。君はもう成人を迎え、シューイチの庇護を必要としない。そろそろ彼を...彼の足枷を外してやってくれないか』
あし、かせ......
その言葉は重く美姫の心にのしかかった。
足枷、だなんて......そんなつもり、ない。
私はただ...秀一さんの傍にいたいだけ。愛する人の傍にいたいだけ......
青ざめていく美姫の表情を窺い、モルテッソーニは申し訳なさそうに肩を竦めた。
『いや、すまない...言葉が過ぎたな。
だが、シューイチにとってミキの存在はそれほど大きいものだということだ。昔から、ね......』
そう言うと、モルテッソーニは秀一との過去の話を語り出した。
それは、美姫が生まれる前に遡る......
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