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晴天の霹靂(へきれき) ー大和回想ー
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凛子おばさんがキュッと唇を結ぶと、俺を見つめた。
「大和くん」
「は、はい......」
緊張で声が上擦った俺に、おばさんが微笑む。
「あなたが来栖財閥の後継者になり、財閥を支えたいと言ってくれたのは嬉しかったけれど、結婚してすぐに後を継がせることはしないし、あなた達だけに来栖財閥再建の重圧を背負わせるようなことは決してしないから心配しないで。
これだけ大きな組織のトップだなんて、まだ未熟で若いあなたには荷が重すぎます。それは、22歳で財閥を引き継ぐことになった誠一郎さんが一番理解しているはずですから。
私と誠一郎さんで、これから少しずつ、組織や仕事の流れを教えていきます。分からないことや疑問に思うこと、知りたいことがあれば、何でも聞いて下さいね」
それを聞き、肩から力が抜けた。
そっか......だよな。
こんな社会経験もない、大学もまだ出てないような青二才の俺に、いきなり来栖財閥の後継者なんて......任せられるわけ、ないよな。
「はい、ありがとうございます」
まだ緊張しながら、頭を下げた。
「これから大和くんは来栖財閥の次期後継者として、それをよく思わない者達から非難されたり、反発を受けることがあるでしょう。
その覚悟は、ある?」
俺は凛子おばさんを見据え、胸を張ると力強く答えた。
「はい、あります」
おばさんはそれを受け、俺と美姫に対して力強く言った。
「約束します。あなた達ふたりを、私たちが支え、守っていきます。私たちの、全てをかけて......
それが、あなた達の決断に応えることになると思っていますから」
美姫が、凛子おばさんの手を握った。
「お母様、ありがとうございます」
凛子おばさんはホッとしたような表情を見せた後、感慨深げに声を漏らした。
「それにしても......まさか、私たちの願いが叶うなんて思ってもいなかったわ」
え。願い?
俺の疑問が顔に表れていたのか、おばさんがふふっと笑みを浮かべた。
「いつも誠一郎さんとね、話していたんですよ。美姫が大和君と結婚して、来栖財閥を継いでくれたら......って」
そう、だったのか......
初めて知った二人の思いに、驚き、照れつつも、嬉しい気持ちが湧いてきた。
そんな風に、おじさんとおばさんは俺のことを見ていてくれていたのか。
自分の親には、そんな風に思ってもらったことなんて一度もなかったな。
そんなことを考えたら、少し胸が痛んだ。
自分の親である彼らに対して、俺は家族だという思いを感じたことはなかった。別に憎んでもいないし、それなりに感謝はしているけど、どこか親を冷めた目で見ているところがあった。
それでも......やっぱり、結婚となったらあの人たちに報告しないわけにはいかないよな。
もし今までであれば、来栖財閥の令嬢との結婚であればすぐに認めてもらえただろうが、状況が状況だ。損得勘定でしか人を見ない親父が、信頼を失い、株価が暴落して価値の下がった来栖財閥をどう見るだろう。
そう思うと、いつも以上に親に会いたくない気持ちが大きくなった。
「大和くん」
「は、はい......」
緊張で声が上擦った俺に、おばさんが微笑む。
「あなたが来栖財閥の後継者になり、財閥を支えたいと言ってくれたのは嬉しかったけれど、結婚してすぐに後を継がせることはしないし、あなた達だけに来栖財閥再建の重圧を背負わせるようなことは決してしないから心配しないで。
これだけ大きな組織のトップだなんて、まだ未熟で若いあなたには荷が重すぎます。それは、22歳で財閥を引き継ぐことになった誠一郎さんが一番理解しているはずですから。
私と誠一郎さんで、これから少しずつ、組織や仕事の流れを教えていきます。分からないことや疑問に思うこと、知りたいことがあれば、何でも聞いて下さいね」
それを聞き、肩から力が抜けた。
そっか......だよな。
こんな社会経験もない、大学もまだ出てないような青二才の俺に、いきなり来栖財閥の後継者なんて......任せられるわけ、ないよな。
「はい、ありがとうございます」
まだ緊張しながら、頭を下げた。
「これから大和くんは来栖財閥の次期後継者として、それをよく思わない者達から非難されたり、反発を受けることがあるでしょう。
その覚悟は、ある?」
俺は凛子おばさんを見据え、胸を張ると力強く答えた。
「はい、あります」
おばさんはそれを受け、俺と美姫に対して力強く言った。
「約束します。あなた達ふたりを、私たちが支え、守っていきます。私たちの、全てをかけて......
それが、あなた達の決断に応えることになると思っていますから」
美姫が、凛子おばさんの手を握った。
「お母様、ありがとうございます」
凛子おばさんはホッとしたような表情を見せた後、感慨深げに声を漏らした。
「それにしても......まさか、私たちの願いが叶うなんて思ってもいなかったわ」
え。願い?
俺の疑問が顔に表れていたのか、おばさんがふふっと笑みを浮かべた。
「いつも誠一郎さんとね、話していたんですよ。美姫が大和君と結婚して、来栖財閥を継いでくれたら......って」
そう、だったのか......
初めて知った二人の思いに、驚き、照れつつも、嬉しい気持ちが湧いてきた。
そんな風に、おじさんとおばさんは俺のことを見ていてくれていたのか。
自分の親には、そんな風に思ってもらったことなんて一度もなかったな。
そんなことを考えたら、少し胸が痛んだ。
自分の親である彼らに対して、俺は家族だという思いを感じたことはなかった。別に憎んでもいないし、それなりに感謝はしているけど、どこか親を冷めた目で見ているところがあった。
それでも......やっぱり、結婚となったらあの人たちに報告しないわけにはいかないよな。
もし今までであれば、来栖財閥の令嬢との結婚であればすぐに認めてもらえただろうが、状況が状況だ。損得勘定でしか人を見ない親父が、信頼を失い、株価が暴落して価値の下がった来栖財閥をどう見るだろう。
そう思うと、いつも以上に親に会いたくない気持ちが大きくなった。
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