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欲望の島 ーレナードsideー
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更衣室の出口は入口とは反対側にある。
扉を抜けると、そこはリゾート地だった。
透明度の高い美しい海は手前が薄いエメラルドグリーンでそこから遠くに行くほど青みが増し、それが陽光を受けてまるで鏡からの反射光のように煌めいていた。打ち寄せる波が穏やかに寄せてはまた打ち返し、波が引いたあとには砂浜に縞模様ができていた。真っ白でサラサラな砂浜は裸足で踏むとギュッと音がし、少し湿り気のある土が足に絡み付いて気持ち良かった。
等間隔に植えられたヤシの木が影となって伸び、どこからか吹き抜ける爽やかな風に葉を揺らせる。海岸沿いには洒落たビーチバーやレストランが並び、カジノやホテル、クラブなどの建物が遠くに見えた。
ここがスイスの山中だということをすっかり忘れさせ、まるで本物のリゾート地にいるような気分にさせる。
だが、爽やかな風景とは対照的な光景がそこにはあった。
海岸にいるものは皆、己の裸体を曝け出している。たとえ、ぶよぶよの脂肪に覆われた醜い塊でも、毛むくじゃらの怪物みたいでも、誰も気に留める者はいない。
確かに、ヌーディストビーチは世界中にあり、特に珍しいものではない。ただここでは、それ以上のことが行われていた。
濃厚にキスを交わす、中年の男と若い女。
激しく互いの性器を擦り合う、ゲイカップル。
男の顔の上に跨る女の後ろからもうひとりの女が腕を伸ばして胸を揉みしだきながら、男の上で激しく腰を振っている。
少し離れたところでは、男が女の腕に注射しながら嬌声を上げていた。
とんでもない、ところだ......
一刻も早くシューイチを見つけなくては、と思った。
ルカは興奮して色めき立っていた。
『なぁなぁ、何からする? いろいろ案内するぞ!
まずは手始めにカジノ行くか? 男二人でビーチ行ってもつまんねぇしな。
たまってんなら、男娼手配してくれるとこ、連れてってやるよ』
このお花畑野郎を一回、いや何度も殺したい。
『シューイチはどこだ!?』
『え、シューイチ!? シューイチって、シューイチ・クルスのことか?
お前、本当にあいつ追いかけるためだけに、ここに来たのか?』
『当たり前だ。それ以外、ここに来る用なんてない』
ルカは可哀想なものを見る目つきで、見てきた。
『せっかくDesire Islandに来たのに、何言ってんの!?
俺はあの時たまたま見かけたけど、そこで喋ってた人から聞いた話では、シューイチは滅多にホテルの部屋から出ないらしいよ。ここはセキュリティ厳しいから、ホテルの人間に聞いても、どの部屋に滞在してるか教えてくれないだろうし』
『じゃあ、シューイチを見たプールまで連れて行け!』
『その前に、女の子の手配していい?』
『今すぐだ! シューイチを見つけたら、ルカは女のとこでもどこでもいけばいいから!』
ルカは文句を言いながらも渋々付き合うことになった。こういうところは、ちょっとザックと似ている。ザックも僕ほどではないけど、相当シューイチのことを心配していた。
ルカがシューイチを目撃したというプールに連れて行ってもらう。プールでも先程のビーチ同様、男女がまぐわう姿があちこちで見られていた。
ここでシューイチも美しい肉体を晒し、多くの女に囲まれていたのかと思うと全身が熱くなり、胸が苦しくなった。
『ほら、やっぱりいないじゃん。もう諦めて行こうぜ』
ルカは少しでも時間を無駄にしたくないと、プールを出ようとしていた。
『待てよ、ルカ! シューイチにどうしても会いたいんだ!
......頼む、から......協力、してくれ』
ルカが目を丸くした。
『レオが人にものを頼むなんて、初めて見た...... しかも、俺に。
わかったよ、協力してやる』
それから1時間が経ち、ルカがハッとして僕の肩を叩いた。
『あの女......シューイチに群がってた中のひとりだ。
しかもあの後、一緒に出て行ってた』
胸がでかいだけの、頭が悪そうな女だった。そんな女がシューイチに触れたのかと思うと、ムカムカした。
立ち上がり、ルカが指差した女に向かって歩いていく。女は一緒にいる男と、これから事を始めようとしているところだった。
『おい、そこの女。聞きたいことがある』
扉を抜けると、そこはリゾート地だった。
透明度の高い美しい海は手前が薄いエメラルドグリーンでそこから遠くに行くほど青みが増し、それが陽光を受けてまるで鏡からの反射光のように煌めいていた。打ち寄せる波が穏やかに寄せてはまた打ち返し、波が引いたあとには砂浜に縞模様ができていた。真っ白でサラサラな砂浜は裸足で踏むとギュッと音がし、少し湿り気のある土が足に絡み付いて気持ち良かった。
等間隔に植えられたヤシの木が影となって伸び、どこからか吹き抜ける爽やかな風に葉を揺らせる。海岸沿いには洒落たビーチバーやレストランが並び、カジノやホテル、クラブなどの建物が遠くに見えた。
ここがスイスの山中だということをすっかり忘れさせ、まるで本物のリゾート地にいるような気分にさせる。
だが、爽やかな風景とは対照的な光景がそこにはあった。
海岸にいるものは皆、己の裸体を曝け出している。たとえ、ぶよぶよの脂肪に覆われた醜い塊でも、毛むくじゃらの怪物みたいでも、誰も気に留める者はいない。
確かに、ヌーディストビーチは世界中にあり、特に珍しいものではない。ただここでは、それ以上のことが行われていた。
濃厚にキスを交わす、中年の男と若い女。
激しく互いの性器を擦り合う、ゲイカップル。
男の顔の上に跨る女の後ろからもうひとりの女が腕を伸ばして胸を揉みしだきながら、男の上で激しく腰を振っている。
少し離れたところでは、男が女の腕に注射しながら嬌声を上げていた。
とんでもない、ところだ......
一刻も早くシューイチを見つけなくては、と思った。
ルカは興奮して色めき立っていた。
『なぁなぁ、何からする? いろいろ案内するぞ!
まずは手始めにカジノ行くか? 男二人でビーチ行ってもつまんねぇしな。
たまってんなら、男娼手配してくれるとこ、連れてってやるよ』
このお花畑野郎を一回、いや何度も殺したい。
『シューイチはどこだ!?』
『え、シューイチ!? シューイチって、シューイチ・クルスのことか?
お前、本当にあいつ追いかけるためだけに、ここに来たのか?』
『当たり前だ。それ以外、ここに来る用なんてない』
ルカは可哀想なものを見る目つきで、見てきた。
『せっかくDesire Islandに来たのに、何言ってんの!?
俺はあの時たまたま見かけたけど、そこで喋ってた人から聞いた話では、シューイチは滅多にホテルの部屋から出ないらしいよ。ここはセキュリティ厳しいから、ホテルの人間に聞いても、どの部屋に滞在してるか教えてくれないだろうし』
『じゃあ、シューイチを見たプールまで連れて行け!』
『その前に、女の子の手配していい?』
『今すぐだ! シューイチを見つけたら、ルカは女のとこでもどこでもいけばいいから!』
ルカは文句を言いながらも渋々付き合うことになった。こういうところは、ちょっとザックと似ている。ザックも僕ほどではないけど、相当シューイチのことを心配していた。
ルカがシューイチを目撃したというプールに連れて行ってもらう。プールでも先程のビーチ同様、男女がまぐわう姿があちこちで見られていた。
ここでシューイチも美しい肉体を晒し、多くの女に囲まれていたのかと思うと全身が熱くなり、胸が苦しくなった。
『ほら、やっぱりいないじゃん。もう諦めて行こうぜ』
ルカは少しでも時間を無駄にしたくないと、プールを出ようとしていた。
『待てよ、ルカ! シューイチにどうしても会いたいんだ!
......頼む、から......協力、してくれ』
ルカが目を丸くした。
『レオが人にものを頼むなんて、初めて見た...... しかも、俺に。
わかったよ、協力してやる』
それから1時間が経ち、ルカがハッとして僕の肩を叩いた。
『あの女......シューイチに群がってた中のひとりだ。
しかもあの後、一緒に出て行ってた』
胸がでかいだけの、頭が悪そうな女だった。そんな女がシューイチに触れたのかと思うと、ムカムカした。
立ち上がり、ルカが指差した女に向かって歩いていく。女は一緒にいる男と、これから事を始めようとしているところだった。
『おい、そこの女。聞きたいことがある』
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