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爆発

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「ンンッ」

 大和はソファに座っている美姫に伸し掛るようにして唇を押し付けると、強引に舌を割り入れた。

 嫌。
 ヤダ......ヤダ......
 やめ、て......

 大和と思いが通じ合っている時はあんなに気持ち良く感じていたのに、今は気持ち悪さすら覚えた。こんな風にしか愛せなくなってしまった大和も、そうさせてしまった自分も悲しかった。

 蠢く大和の舌に誑かされながら、涙が目尻から耳の後ろへと流れていく。大和の躰がビクッと震え、唇が離れた。

「ち、違う......
 俺は、お前を泣かせたいわけじゃ、ねぇんだ」

 泣き出しそうな表情を見て、美姫の心が鋭く痛む。

「分かっ、てるよ......」
「お前を、愛したいんだ。美姫、お前に愛されたいんだ......
 ウッ......ッグ美、姫......ウゥッ......」

 大和は、美姫の胸に縋り付いて泣いた。

 悲しい。
 悲しい、よ......

 穏やかに見つめる大和が大好きだった。
 優しく微笑んでくれる大和が大好きだった。
 正義感が強くて、一生懸命な大和が大好きだった。
 嬉しそうに私をからかってくる大和が大好きだった。

 ずっと私を見守り愛してくれた、大和が大好きだった。

 本当に、大好きだったのに......

 美姫は少し躊躇った後、そっと大和の頭に触れた。それは愛おしさからくるものではなく、憐れみに近いものだった。

 今の私には、大和に申し訳ないと思う気持ちはあっても、支えてあげたいと思う気持ちはあっても......
 愛したいという気持ちには、なれない。

 応えてあげられなくて......ごめんね。
 ごめんね、大和......

 永遠の愛を、誓ったのに。

 絶対に大和を裏切らない、もう悲しませたくないと思っていたのに......私は結局、大和を深く傷つけてしまった。

 大和を突き放すことなど出来ない。
 来栖財閥を支えていかなくてはならない。

 そのためにも、離婚は出来ない。

 この先も、夫婦関係は続いていく。
 たとえ、大和を夫として愛せなくても......

 出口のない道が延々に続いているのが見えた。

 ---その先に、光は見えなかった。
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