【BLーR18】5人との、甘美で危険な戯れ

奏音 美都

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異変

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 小等部から中等部へと上がると、僕に対して松ノ内コンツェルンの後継者としての自覚を持つよう、家族からのプレッシャーが強くなった。

 両親もそうだけど、お祖父様は特に酷かった。

「お前は松ノ内の本家の一人息子であり、松ノ内コンツェルンの跡継ぎなんだ。遊んでばっかりいないで、勉強せい! 貴之のようには、絶対になるなよ!」

 それが、お祖父様の口癖だった。

 お祖父様は長男であるうちの父さんよりも、次男である貴之叔父さんの方を可愛がってた。松ノ内コンツェルンの後継者も、本当は父さんではなく、貴之叔父さんにしたかったんだと思う。

 そんな可愛がってた息子が家出して、しかも男と駆け落ちしたと知り、お祖父様は激昂した。可愛さ余って憎さ100倍ってやつだね。


 小さい時にはそんな大人の事情が絡んでたなんて知らなかったけど、この歳になると、色々と耳に入ってきちゃうんだよね。噂好きの人が多いから……

 だから、直貴の母親はゲイを拒絶し、親の仇のように憎んでる。

 直貴は幼い頃から母親に、『男同士の恋愛なんてありえない』だの、『気持ち悪い』だの、『頭がおかしい』だの言われて育てられてきた。

 そして最後には、

『いい? あなたは絶対にお父さんみたいになるんじゃないわよ!』

 この一言で終わるのだ。

 だから直貴には、普通の人よりもゲイに対しての拒絶意識が遥かに強かった。

 それなのに……僕は、直貴を好きになっちゃったんだ。

 どうして直貴を好きになったのか、明確な理由なんて分からない。守ってあげたくて、笑顔が見たくて、ずっと傍にいてあげたくて……そう思っていた。

 でもいつしか、それは従兄弟や友達に対するような感情以上のものだってことに気づいたんだ。 

 それは、恋愛。実ることのない、僕の初恋。
 それを知ってるから、僕は従兄弟であり、友達であるポジションを死守しようとした。

 親が分家の人間である直貴と仲良くしているのを良く思ってないことを知ってるから、小等部の時以上に成績を落とさないように勉強もした。学業だけじゃなく、習い事にも力を入れ、水泳やピアノでは数々のコンクールで賞をもらった。

 お祖父様はそんな僕を誇りに思い、『さすがわしの孫だ』、『本家の跡継ぎに相応しい』、と褒めてくれた。

 松ノ内コンツェルン会長として多くの従業員を従え、『鬼の松ノ内』と呼ばれているお祖父様だけど、僕にとっては頼めば何でも買ってくれ、言うことを聞いてくれる孫に甘いお爺ちゃんでしかない。

 直貴の隣にいられること。
 それが、僕の幸せなんだって思ってたんだ。

 ほんと、健気でしょ?
 あの頃の僕……

 でも、僕が愛情の片鱗を見せれば見せるほどに、直貴は遠ざかっていく。

 僕は、その理由を知ることになった。

 僕が学業や習い事を頑張れば頑張るほど、さすが本家の人間だと褒められ、持て囃される。一方、直貴は僕の成績には遠く及ばず、水泳でもピアノでも才能を開花させることはなかった。

 ただでさえ父親が男と駆け落ちして肩身の狭い思いをしているというのに、僕の我儘のせいで直貴は学校どころか習い事にも付き合わされ、その能力の違いを見せつけられる。それに、習い事の資金の出所は祖父からだから、ますます直貴の母親に対して親戚からの風当たりが強くなっていたのだ。
 
 僕は、それでも直貴を手放せない。それに、直貴だって僕から離れられることなんて出来ないんだ。

 物理的には遠ざかれないよ?
 だって、母親と同じく直貴も本家の人間である僕を無下にすることは出来ないからね。

 もう中学生になった直貴は、それを痛いほど自覚してるから……

 でも、心が拒絶していることを感じるんだ。僕を怯えたように見つめ、昔のように笑わなくなった。
 僕は、寂しく笑うしかなかった。
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