Anti Breve~アンチ・ブレイヴ~

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プロローグ

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「おい、てめぇ!何、俺らにガン飛ばしてんだ!?」



俺は小物だ。高校生活を静かに過ごしているオタクでカースト外に入れられてしまう筈だった小物だ。少しだけ喧嘩が強いだけの高校生だ。



「てめぇ、ちょっとこっち来いやゴラァ!」



――――それが何でだ?何でこうなった?



俺の周りにはザッヤンキーな金髪のピアス男、帽子を逆に被りキャンディを舐めている低身長の茶髪チャラ男、胸が溢れそうな黒髪美人、金髪にメイクを塗りたくったギャル。
いつの間にか俺はこのメンバーに仲間入りしていた。

しかも、

「おい、銀次!何、ボーッとしてんだよ?こいつ締めちまおうぜ」

ピアス男は腕を俺の肩に乗せて、気さくに話しかけてくる。

「それより銀銀~、今日の約束覚えてる~?
今日は一緒にパフェ行くんでしょ」

チャラ女は俺の頬を突きながら上目遣いで片目を瞑る。

「僕、又彼女と別れちゃったよ!銀、慰めて!!」

茶髪はポカポカと効果音が鳴りそうな殴り方で、俺の脇腹を小突く。

「俺の姉貴が入れ墨の職人でよ。どう、銀次もやってみない?カッコいいと思うよ」

一人称が俺、な黒髪美人は握り拳を作って俺の胸に当てる。

……なんだこいつら?
こっちは絡むつもりも無いのにやたら絡んでくる。

嫌気が差す。流れに合わせてここまでさしている自分にうっとうしく思う。

そんな彼らは今、一人の女子生徒を囲み、弄っている真っ最中である。

「メガネ、なにこっち見てたんだよ?度があってないなら、俺が殴って治してやろうか?」

「ウケるわ~、でも雷(らい)、女に手を出しちゃダメだよ~。後で私が|遊んで(・・・)あげるわよ~」

「劔(つるぎ)ちゃん、更衣室にでも連れてってイジメるんでしょ!やっぱ女子は怖いねぇ」

「俺は、そんな柔なことしねぇーぞ。女は拳で語るからな」

女子生徒は涙目でこちらを見ている。どうやら助けを求め求めているようだ。
俺はその視線に応じる。

「そろそろ帰ろうぜ。パフェ食いに行きたくなって来た」

さり気なく女子生徒の間に入り込んで、手の仕草で向こうに行け、と伝える。
ここでカッコよく止めることが出来たらいいのだが、どうせ俺には話を逸らすことが精一杯だ。
何故、慣れあっているのかも分らない程にバカな奴らだ……俺も含めて。
女子生徒は頭を下げてタッタタッタと教室の隅に逃げていった。

「つまんねぇーことすんなよ、銀次。折角のお財布が……」

ピアス男、勇士 雷生(ゆうし らいせい)が睨みを利かせる。怒りと言うより、純粋な疑問による睨みなのだろう。
そんな問いかけに心臓がドキッと跳ね上がる。

「そうだよ銀。僕達の唯一の楽しみなのに」

ジャンプして俺と眼線を合わせる茶髪、朝摩耶 龝(あさまや しゅう)はどうやら機嫌を損ねさせてしまったらしい。俺はどうしてか不安な気持ちになった。

見放されるのではないか、と。

慌てて訂正する。

「唯単に、パフェが食いに行きたかったんだよ。仕方ないから奢ってやるよ、劔がな」

機嫌を宥める為に、ギャルの癖して俺らには優しい劔に投げ出す。

「えっ、私なの~?!」

ギャルである撒菱 劔(まきびし つるぎ)は、男子二人と違って、鼻歌交じりで好調子のようだ。きっとお腹が空いているのだろう。劔と言う男っぽい名前だが、立派な女だ。……残念な胸をしているが。

「俺も、連れてけ」

黒髪美人の葭原 亜蓮(よしはら あれん)はムスッとした顔で俺の裾を引っ張る。

「ほんじゃ、皆んなで行く」

「え~、二人で行くって約束したじゃん!」

俺の言葉に劔が反対する。
しかしそう言うわけにもいかず、他の三人は帰りの支度を始めていた。

俺こと、十六夜 銀次(いざよい ぎんじ)は先に教室のドアに足を向ける。その足取りは重かった。
先程の会話に原因があったのは、確定であった。
あそこに居るのは、いざという時に何か起こさせないようにする為――――そういう建前(・・)だ。
俺という愚図はあそこで見放されたくないから、仕方なくいるという考えで、離れはしないのだ。

ホントに愚図である。結局、自分一番であるのだ。

改善の見込みがない俺の生活は変化もなく、こうして続いているのだ。

重い足先の向こう側には、人集りが出来ていた。
俺が近づくと、見えない壁があるように、ススッと道が出来る。

「はぁー、お前ら、何やってんの?」

俺はその光景に溜息をつきながら、人集りの一人に尋ねてみる。

「ぎ、ぎ、銀次さん!それがドアが開かないんです!」

野次馬であろう一人の男子生徒が、俺に怯えながらも丁寧に経緯を語る。

そこへ、雷生達も集合する。何故か、道がもっと広がった。

「邪魔だぞ、てめぇーら」

それだけ言うと、雷生はドアに一発蹴りを入れる。
次の瞬間、



――――ドンッ、と。



作用・反作用の法則とは言い難い反動が雷生の身体を襲った。
脚は床から離れ、教室に並ぶ机を背に、吹っ飛ぶ。

跳ね返りに反応出来た俺は、すぐさま雷生に駆け寄った。
これでも、残念ながら、無念にも、友達として扱ってくれているい良い奴なのだ。
ちょっとの心配から、銀次は不安の声を出す。

「大丈夫か?」

手を差し伸べると、

「余計なお世話だ、いらねぇーよ」

パチン、と手を払い立ち上がる。余程、恥ずかしいのだろう。顔がほんのり赤くなる。

「なにやってんの~?雷、渾身の一発ギャグなの~?それならツボったんだけど~」

伸びのある声を掛ける劔は口を隠して、笑いを必死に隠そうとしている。
その行為に、雷生の顔の赤みは増していく。

「そんなことよりだ!!どうなってんだよ?!誰の悪戯じゃボケ!」

人集りを見回す雷生の切れ具合に、眼を合わした者は秒速で首を横に降る。

教室に囚われてしまう生徒達、混乱が騒めきになる。

そこへ、





「えっ?」





誰が最初に声を上げたであろう?
もしかしたら俺かもしれない。
分かるのは、さっきまで夕暮れの空に染まっていた窓が光に包まれていること。
脚には奇妙なマークが浮かんでいること。
周りに誰も居なくなってしまったこと。





「えっ?」





声を発したのは俺以外の誰でもない。

眼の前の景色は瞬時に切り替わった。見えるのは一面、透き通った白。
そこに佇む一人の女性。
人形のような美しいロングの白髪、何もかもを見透かしたような瞳、クッキリしたラインが醸し出す美形の面持ち、少し幼さを残す身体を包むワンピース。

この一面、真っ白な世界に入るのが映えている女性と対面している俺は、異様な雰囲気に飲み込まれそうになる。
何故か、この女性に感じてしまった。





――――人間じゃない。





そう思った時に、微かに女性が笑った。

「初めましてだね、十六夜 銀次君。君が感じ取った通り、僕は人間じゃない。謂わゆる神様だね。神様なんて大それた存在だけど、君が死んだから新しい世界に連れて来たとか、生き返らしたい人はいますかとか見たいなアンケートを取りに来た訳でもない。今日は仕事じゃなくてプライベートで来たんだ。君以外の学生達は今頃、異世界の召喚式で気を失っているだろう。あ、君は今、同じクラスの子達を想像したこもしれない。けどそれは早とちりだ。召喚されたのは君が居た学校の人物全員だ。生徒、教師、事務員、もしかしたら偶然居合わせた人も召喚されているかもしれない。さっきから召喚、召喚と厨二臭いことを言っているけど君なら分かってくれるよね?そう、これは皆んなが知ってる異世界召喚だ。召喚したのは僕ではないから睨まないでほしい。これも後であるであろうテンプレートだからね。……僕ばっかり喋っちゃってるね、質問はあるかい?」

「貴方様の名前は?」

俺の心は変わらず落ち着いていた。
聞きたいことは山程ある。
心を読むことが出来るのか?俺の名前を何で知ってる?何故、俺なのだ?俺達は帰ることが出来るのか?その他もろもろ……。
だが、敢えて名前を聞いた。理由は簡単に、名前を呼ぶ時に困るからだ。もし仮に本物の神様なら、おい、だとかお前、だとかは失礼に値すると思ったのである。
しかし、マイペースもここまでくれば、自己紹介の長所にプラスされるべきではないであろうか。

俺の切り返しに、名前も知らない神様は柔らかい笑みを見せてくれる。

「やっぱり君にして正解だよ、話が早く進むから楽しいね。僕の名前はラミファ。全知全能とかは言わないから安心してね。僕は人の夢を操るぐらい。そこらの魔法使いの方が役に立つぐらいの愚図さ。今こうして喋っているのも君の夢にお邪魔しているからこそ出来る芸当さ。それよりも本題に入らなくちゃだね。本題はね、この世界を面白くしてほしいんだ!この世界って言うのは君が今から行く異世界のことだよ。それと言うのも、この世界には魔王と勇者が居てね世界は混沌としているんだ。そこへ人間達がドバドバと勇者を召喚しちゃうもんだから均衡が崩れていっちゃったんだよ。この世界を担当している神様としてそれはあまり楽しくないんだよ。そこで君さ!ここで君が登場するんだ!君の役目は魔王の援護、もしくは勇者と闘うことだ。君……今更だけどこの呼び方は他人行儀だね。銀次と呼ぶよ。銀次を選んだら理由は単純に友達が居なかったらだ。銀次は今居た周りの人達を良くは思っていなかったんだろ?それを友達というのならこの世界きらボッチは消えてるよ。まぁ、それはいい。だから僕は銀次を選んだんだ。唯、これだけは聞いてほしい。答えを選ぶのは銀次だ。唯でさえこんな場所に連れてこられて意味の分からない話を詰め込まれて、いきなり答えを決めろなんて神様はなんて傲慢な奴なんだろうと思うだろう。それで構わない。けど、僕は銀次に何かを見出したんだ。それは何かは分からない。でも、その気持ちに少しでもこの答えたいと思ってくれたのなら選んでほしい。もう一度言うよ。これは銀次の選択だ。恨まないから安心してくれ。取り敢えずここで起こった記憶を消去するだけだ。……さぁ、どうする?」

息を切らさず喋り続ける機械のような神様は、俺の答えを聞き出すため、口を閉ざす。眼つきは真剣そのものだ。

「……ラミファ様は誰の見方なんですか?」

様を付けるのは何とくなくだ。反感を買いたくないという思いからかもしれない。出来れば粗相を避けたいのだ。

俺が口を開いたのは答えを問われて直ぐだった。聞きたいことは色々あるが、どの異世界物でも考えてしまうことはあるのだ。





――――自分(おれ)の見方は誰だ?、と。





「強いて言うなら、君だけの見方か「冗談は入りません」」

この場を和まそうとする神様、ラミファの企みは俺の一言で無残にも切り捨てられた。

「折角の決め台詞が!神様から言われたい言葉ナンバーテンには入るであろうワードだよ?それをバッサリしちゃうなんて、君は少し辛辣なんじゃない。そもそもだね、僕が「脱線してますから」……そんなに、急かさないでよ。ハンサムな顔が歪んじゃってるよ。それじゃ、話すね。僕は誰の見方でもない。神様は均衡を保たなければいけないんだ。これが僕の答えかな」





「そんなことは聞いてないです。ラミファ様個人の見解を聞かせてください」





俺の真面目な眼差しは、ラミファ様のヘラヘラした顔を射抜く。するとどうだろう?どこか、してやられた顔になっていた。

「銀次はどこまでもやりにくい人だね。やっぱり君を見つけ出した僕は凄いね」

俺を通して自分を褒める神様。そこで、ラミファ様の顔色が変わる。キリッとした面持ちになる。雰囲気も変わり神としての貫禄と言うか、オーラが出ていた。

「よく聞いてくれ。僕は平和が好きなんだ。神様の娯楽なんかはどうでもいい。それが出来るのは銀次……君だけなんだ。どうか僕の願いを叶えてほしい」

神様なんて神々しい存在に頭を下げられるのは、十六年間生きていてこれが初めてだ。
答えは既に決まっていた。





「こんなの断ったら、それこそ罰当たりじゃないですか。やらせてもらいますよ、しぶしぶね」





俺の返答にラミファ様はニッコリと笑って見せた。その笑顔は人を引き付けるような魅力でもあったのか、少しの間見惚れてしまっていた。

「銀次は一言余計だね。でも寛大な心で許してあげよう」

「そもそも頼まれているのはこっちなんですからね」

「うっ……そうだね。しかしこれから君は言わば僕の使徒なんだ。不束者だがよろしく頼むよ!」

幼さを残した身体を限界まで伸ばして、俺の肩をポンと叩く。届いたことにご満悦なのかニコニコしている。

……不覚にも可愛いと思ってしまった。

「こちらこそ、よろしくお願いしますね」

「それじゃあ、早速異世界に送るね」

「えっ?」

素っ頓狂な声が出てしまう。

「あの、もっとこう向こうの世界の説明とか、具体的な対処方法とかはないんですか?」

「向こうで探してね!」

それだけ言うと、ラミファ様はいつも間に握っていたのであろう、杖を俺の頭に振りかざす。

「えいっ!!」

眩む視界の中に、ラミファ様の顔がうっすりと見えた。





「異世界で会おうね」





不安要素を残して。





※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※





いつもの日常に不満があった。
噯(おくび)にも出さないが、この日常に不承していた。
どうでもいい人間関係。
ヤンキーなんて、ギャルなんて、そう思っていたのにいつの間にか一緒にいるようになった。
あのグループに入ったきかっけはなんであっただろうか?今ではあまり覚えていない。
きっと、いつもと同じでその場に流されていたからであろう。……悪い癖だ。
俺は見方を作ってはその後ろに隠れて時間が経つまでやり過ごすような人間だ。
だからラミファ様に聞いたのだろう。

――――誰の味方か、と。

あそこで俺は盾にする者を欲していたのだろう。どうしようもないダメ野郎だ。

でも、変えたいと思った。変わりたいと思った。変えられると思った。

だから承諾した。正直、世界の平和なんてどうでも良かったのかもしれない。ラミファ様は勘違いしているのかもしれないし、分かっていて頼んだのかもしれない。
それでもいい。

自分を変えるチャンスなのだ。






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