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29.実家
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シェニアさんが車を停めた場所には、パラベリ市にあるタウンハウスのような建物が立ち並んでいた。
「そこの28番って書かれた扉よ」
私とラミは車を降りて、シェニアさんに教えて貰った扉まで向かう。28番と書かれた扉をノックすれば、しばらく反応が無かった扉は、外を確かめるように少しだけ開く。
「どちら様ですか?」
隙間からは中の人物は見えず、声だけがした。
「プルム・サンシャインと申します」
そう私が答えても、住人は無言で、しばらく扉も動かない。こちらも黙って中の様子をうかがっていると、やっと扉が全て開いた。
扉を開けた男性は、私の父親像としては想像もしていなかった、端正な顔立ちの中年男性だった。中肉中背で背は標準よりも少し高く、髪の色は透き通った海の様な神秘的なコバルトブルーで、あまりに自分とはかけ離れたその容姿に、この人は父親ではないと思う。
「プルム……すまなかった……私のせいで……」
いや、どうやらこの人が父親で合っていたようだ……。
「私のお父さんですか?」
「ああ、父と名乗る資格があるなら……」
父とわかれば、急に目の前にいるこの男性に親しみを覚え、愛を期待する感情が高まり始める。
「あの……お話しするお時間をいただけませんか?」
「もちろん。さあ、中へ」
ユグレが先に連絡を取っていたのが良かったのか、父はすんなりと私とラミを家の中に招き入れてくれ、リビングルームまで案内してくれた。玄関からここまでは人の気配をまったく感じず、部屋は綺麗に整頓されているが、無造作に置かれた日用品にどこか違和感を感じた。リビングの隅の日当たりのいい場所にロッキングチェアが置かれており、そこには女性もののひざ掛けが掛けられていて、何となく母のではないかと感じる。
「あの、モルフォさん……あの椅子に触れてみても良いですか?」
「あれは……」
父は物憂げな様子で返事をためらっている。
「ダメなら無理は言いません。変なお願いをしてすいませんでした」
「いや、プルム、良かったら座ってくれ」
「いいんですか!?」
「ああ」
私はロッキングチェアに向かい、ひざ掛けを手に持って腰を掛けた。ゆらゆらと前後に揺らせば、どこか懐かしい気持ちが心の中に広がり、陽だまりを感じれば、胸が締め付けられて涙がこぼれてしまった。
「ごめんなさい、私、疲れてるのかしら……」
慌てて涙を拭けば、父が私の元にやってきて跪いて手を握ってくれた。
「これは、プルムのお母さんのお気に入りの椅子だったんだ。プルムがお腹の中にいる時、この椅子に座ってお腹を愛おしそうにさすりながら、ゆらゆらと揺れていたんだよ」
「お母さんの……だった?」
私の問いかけに、父は言葉に詰まり俯いてしまう。そういえば、この家に入った時から感じる日用品の違和感は、時が止まったようだったのだ。壁に掛けられたカレンダーは、よく見れば日付が二十年以上前のものである。
父と部屋の様子に嫌な予感がし、母が今はいないことを理解した。
「プルム……まずはあちらのソファに移動しないか? 連れの人も立たせたままでは悪い。それに、これからお互いにキツイ話になる」
父の指し示したソファに移動し、三人で腰を掛けた。父は杖を取り出すと、テーブルの上に紅茶を出してくれた。
「魔法を使われるんですね」
ラミの質問に、父は苦笑いしながら紅茶に口をつける。
「ああ、家の中だけは他に人がいないのを良い事に魔法を使ってしまう」
「失礼ですが、プルムの母親である奥様は?」
「プルムを出産して、そのまま亡くなったよ」
父は、私の方を見ようとしなかった。
「それはお気の毒に……それで、プルムを施設に預ける事になったんですか?」
「端的にいえばそうだ」
「では、詳細に教えて頂けますか?」
父はやっと顔を上げ、私を見て頷いた。
「妻の名はマリー。科学界の人間で、私が魔法を使える事も知らなかった——」
⁕
大学の卒業旅行に科学界に来たんだ。
その時に、たまたま街で出会ったのが、花屋で働いていたマリーだよ。私の一目惚れだった。
彼女に会いたくて、旅行中は毎日花を買いに行き、旅行が終わって魔法界に帰れば、彼女に会いたくて仕方なかった。
それで、思い切ってこちらに移住する事を決意して、仕事も見つけ、マリーと交際を始めることが出来たんだ。そのまま結婚まではトントン拍子で進んだ。
彼女は科学界の養護施設で育ったので、家族に憧れがあったんだ。私との結婚も喜んでくれたが、プルムを身籠った時の彼女の喜びは別格で、涙を流して喜んでいたよ。
マリーは妊娠中はずっと酷い眩暈や嘔吐を繰り返したが、最初は私も悪阻だと思っていて、こちらの医師に診断と対処法を委ねていた。だが、どんどん大きくなるお腹と比例するように衰弱していくマリーを見て、やっと科学界と魔法界の人間の身体の作りの違いに気づき、私は魔法界の図書館に何度も通って調べたんだ。
それで、胎児の魔力が強くて、お腹にいる段階で魔水晶から振動数を取り込んでいるんだと思った。実際はプルム自身が振動数を生み出す特殊な力があったんだが……。
科学界の人間の身体は、私達とは構造が異なり、魔力を生み出せる身体ではない。振動数に晒されるのもあまり良くないのに、それを私達のように直接体内に入れるとなると、魔法界の人間とは比べ物にならないほど負担が大きく、猛毒でしかなかった。
妻を助けたい一心で……私は……プルム、すまない。私は妻に中絶を勧めた。
だけど妻はうんとは絶対に言わなかった。だから、一か八か胎児の方に魔水晶の振動数を遮断する術を掛けたんだ。
でも、私の術は何の意味もなく、妻は出産直後に帰らぬ人となった——。
⁕
「そこの28番って書かれた扉よ」
私とラミは車を降りて、シェニアさんに教えて貰った扉まで向かう。28番と書かれた扉をノックすれば、しばらく反応が無かった扉は、外を確かめるように少しだけ開く。
「どちら様ですか?」
隙間からは中の人物は見えず、声だけがした。
「プルム・サンシャインと申します」
そう私が答えても、住人は無言で、しばらく扉も動かない。こちらも黙って中の様子をうかがっていると、やっと扉が全て開いた。
扉を開けた男性は、私の父親像としては想像もしていなかった、端正な顔立ちの中年男性だった。中肉中背で背は標準よりも少し高く、髪の色は透き通った海の様な神秘的なコバルトブルーで、あまりに自分とはかけ離れたその容姿に、この人は父親ではないと思う。
「プルム……すまなかった……私のせいで……」
いや、どうやらこの人が父親で合っていたようだ……。
「私のお父さんですか?」
「ああ、父と名乗る資格があるなら……」
父とわかれば、急に目の前にいるこの男性に親しみを覚え、愛を期待する感情が高まり始める。
「あの……お話しするお時間をいただけませんか?」
「もちろん。さあ、中へ」
ユグレが先に連絡を取っていたのが良かったのか、父はすんなりと私とラミを家の中に招き入れてくれ、リビングルームまで案内してくれた。玄関からここまでは人の気配をまったく感じず、部屋は綺麗に整頓されているが、無造作に置かれた日用品にどこか違和感を感じた。リビングの隅の日当たりのいい場所にロッキングチェアが置かれており、そこには女性もののひざ掛けが掛けられていて、何となく母のではないかと感じる。
「あの、モルフォさん……あの椅子に触れてみても良いですか?」
「あれは……」
父は物憂げな様子で返事をためらっている。
「ダメなら無理は言いません。変なお願いをしてすいませんでした」
「いや、プルム、良かったら座ってくれ」
「いいんですか!?」
「ああ」
私はロッキングチェアに向かい、ひざ掛けを手に持って腰を掛けた。ゆらゆらと前後に揺らせば、どこか懐かしい気持ちが心の中に広がり、陽だまりを感じれば、胸が締め付けられて涙がこぼれてしまった。
「ごめんなさい、私、疲れてるのかしら……」
慌てて涙を拭けば、父が私の元にやってきて跪いて手を握ってくれた。
「これは、プルムのお母さんのお気に入りの椅子だったんだ。プルムがお腹の中にいる時、この椅子に座ってお腹を愛おしそうにさすりながら、ゆらゆらと揺れていたんだよ」
「お母さんの……だった?」
私の問いかけに、父は言葉に詰まり俯いてしまう。そういえば、この家に入った時から感じる日用品の違和感は、時が止まったようだったのだ。壁に掛けられたカレンダーは、よく見れば日付が二十年以上前のものである。
父と部屋の様子に嫌な予感がし、母が今はいないことを理解した。
「プルム……まずはあちらのソファに移動しないか? 連れの人も立たせたままでは悪い。それに、これからお互いにキツイ話になる」
父の指し示したソファに移動し、三人で腰を掛けた。父は杖を取り出すと、テーブルの上に紅茶を出してくれた。
「魔法を使われるんですね」
ラミの質問に、父は苦笑いしながら紅茶に口をつける。
「ああ、家の中だけは他に人がいないのを良い事に魔法を使ってしまう」
「失礼ですが、プルムの母親である奥様は?」
「プルムを出産して、そのまま亡くなったよ」
父は、私の方を見ようとしなかった。
「それはお気の毒に……それで、プルムを施設に預ける事になったんですか?」
「端的にいえばそうだ」
「では、詳細に教えて頂けますか?」
父はやっと顔を上げ、私を見て頷いた。
「妻の名はマリー。科学界の人間で、私が魔法を使える事も知らなかった——」
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大学の卒業旅行に科学界に来たんだ。
その時に、たまたま街で出会ったのが、花屋で働いていたマリーだよ。私の一目惚れだった。
彼女に会いたくて、旅行中は毎日花を買いに行き、旅行が終わって魔法界に帰れば、彼女に会いたくて仕方なかった。
それで、思い切ってこちらに移住する事を決意して、仕事も見つけ、マリーと交際を始めることが出来たんだ。そのまま結婚まではトントン拍子で進んだ。
彼女は科学界の養護施設で育ったので、家族に憧れがあったんだ。私との結婚も喜んでくれたが、プルムを身籠った時の彼女の喜びは別格で、涙を流して喜んでいたよ。
マリーは妊娠中はずっと酷い眩暈や嘔吐を繰り返したが、最初は私も悪阻だと思っていて、こちらの医師に診断と対処法を委ねていた。だが、どんどん大きくなるお腹と比例するように衰弱していくマリーを見て、やっと科学界と魔法界の人間の身体の作りの違いに気づき、私は魔法界の図書館に何度も通って調べたんだ。
それで、胎児の魔力が強くて、お腹にいる段階で魔水晶から振動数を取り込んでいるんだと思った。実際はプルム自身が振動数を生み出す特殊な力があったんだが……。
科学界の人間の身体は、私達とは構造が異なり、魔力を生み出せる身体ではない。振動数に晒されるのもあまり良くないのに、それを私達のように直接体内に入れるとなると、魔法界の人間とは比べ物にならないほど負担が大きく、猛毒でしかなかった。
妻を助けたい一心で……私は……プルム、すまない。私は妻に中絶を勧めた。
だけど妻はうんとは絶対に言わなかった。だから、一か八か胎児の方に魔水晶の振動数を遮断する術を掛けたんだ。
でも、私の術は何の意味もなく、妻は出産直後に帰らぬ人となった——。
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