月夜の小鳥は哀切な嘘をつく【本編完結。アナザーストーリー連載中★】

山葵トロ

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8.

12-12※

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 真の怒りと云うものは、本能をも凌駕するものなのだと思う。

  
 「あ……、やぁ……ん、もっと奥ぅ、奥、グリグリして……ぇ 」

 AV紛いの阿呆っぽい台詞を吐きながら淫らに足を巻き付けてやれば、ごくっと息を飲んだ央翔が、更に大きくした自分自身を真祝の最奥へと突き入れた。
 

 「くっ、は……、あ、あ…… 」

 目の裏に、星がチカチカと散る。 どれだけ、大きくなんだよ。

 
 結局、お前らはαとβなんだ。表面じゃ何を言おうと、奪って、踏みつけにしたって、いい存在。Ωの、俺の意思なんて必要ない。

 麻薬のような、αの匂いに抱かれながら、それでも、昨夜みたいに快楽に溺れて意識を飛ばすことはない。胸の中で燃える何かが、本能に抗い、理性を繋ぎ止めている。


 「可愛、い……、真祝さ、んっ。もっと、もっと、悦くなっ、て……っ 」

 「あ……、だめっ、それ、いぃ……、も、だめ……っ」


 容赦なく打ち付ける欲望に、ゴリゴリと奥を押し潰される。内壁がうごめいて、央翔のものを締め付けた。

 「真祝さんのナカ、溶けそ…… 」


 これが、二海人、お前の望んだことなんだろ? 

 
 ここには居ないのに、どこかで二海斗がこの情景を見ている気がした。

 「あぁ! すごい……っ。いいっ、いいよぉ…… 」

 「真、祝さっ…… 」


 せめて、最後にこの部屋に残してやる。お前を愛している俺が、他の男に抱かれた痕跡を。

 涙が、真珠の玉のように、ポロポロと落ちてゆく。


 好きだ……。 好きだよ、二海人 。

 こんな仕打ちを受けたって、他の男に抱かれたって。


 「愛して、る。二海……  」

 しかし、零れる言葉は、央翔の口唇によって止められた。狂おしい想いが、口付けで伝わってくる。だけど、心は揺らがない。


 それでも、他の男のモノになったって、俺はお前を愛してるんだーーー。



 

 


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