恋通

春薇-Harura-

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物語

痛み

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朝、学校に行くと昨日と同じ様に靴箱の中に手紙が入っていた。

未来からか…

周りに見つからないようにバックの中に入れると、教室へ向かった。

俺は、いつも階段を上がる足が重くてしょうがなかった。

だけど、今日は何故か足が軽く感じていた。


「階段より…廊下の方が長い…」


俺は1年5組で、学年の中で1番靴箱から遠い教室だ。
特にこの学校は廊下が長く、雨の日の校内部活で走らされた時は脚が折れるかと思った。

やっとの事で教室に着くと、未来が居た。

(いやいや、手紙入ってたんだから居ないとおかしいだろ…)

そんな変なボケツッコミを頭の中ですると、溜息を付き、自分の席へと座った。


「…!大ちゃん!おはようっ!」


未来は振り返ると、にこにこと笑みながら挨拶をしてきた。


「…うん、おはよ…う…」

「…大ちゃん?眠いの?」


何故か突然強い睡魔に襲われ、視界が狭くなり始めた。


「…う、ん…」


何とか返事をすると、そのまま俺は眠りに落ちた。








____夢を見た。

俺は真っ暗な空間に立っていて、辺りは何も見えなかった。

手探りで歩いて行くと、そこには光り輝く"何か"があった。

その方向へ行くと、そこには…未来が居た。


『…おいで』


いつもの未来の声、姿。

…だけど、何か違う。

"おいで"

そう発した未来の声は、どこか…遥か遠い所から聞こえた気がした。

でも俺は、自分の意志とは関係なく未来の方へと進んで行った。

それと同時に、未来も先を向くと真っ直ぐ歩いて行った。


…どれ位歩いただろうか、でも、不思議と疲れはない。

すると未来は立ち止まり、くるりと振り返り俺の方を向くと、手を広げ、また


『おいで』


と言った。

未来の方へ近付こうとしたその時…


「っ、あ゛…っ?!」


背中の激しい痛みに襲われ、俺はその場に倒れ込んだ。

痛みに耐えながら背中を触ると…触るだけで分かるくらい、パックリと大きく傷口が開いてあり、指先から肘辺りまで血で真っ赤に染まった。

…意識が朦朧とし、目を瞑った。


「…い…ん……だ…ちゃ…」


誰かに呼ばれている…

声を発する力も出ず、俺は意識を失った。
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