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物語
黒い本
しおりを挟む__ガララッ
図書室へ行くと、静寂の中に扉を開ける音が響いた。
「…誰も居ないのか?」
でも未来は居るはず…とりあえず、奥に行ってみるか。
静かな図書室の中、俺の足音だけが響く。
…まるで、世界の中心みたい。
なんて馬鹿げた事を思いながら奥へと向かった。
図書室の1番奥の席を見ると、そこには頬杖を付き本を読んでいる未来が居た。
__ドキッ
…?俺、今何でドキッとした…?
突然の胸の高揚に不思議に思いながら、未来へと近付いた。
すると未来も俺に気付いたらしく、にこ、と笑むと手招きをして「隣に来て」と言った。
俺は未来の元へ行くと静かに隣に座った。
「その黒い本…何?結構大きい本だな…」
「あ…ちょっと、勉強してたの!理科の勉強!大ちゃんも勉強しなきゃだめだよー?」
「分かってるよ。勉強じゃ未来に負けるけど、俺は勉強よりスポーツの方が得意だからな。」
少し自慢げに言うと、未来はクスクスッ、と笑った。
「何その自慢…じゃあ、何かスポーツしてるの?」
「うん、サッカーやってる。」
「えっ、意外…大ちゃん細いから水泳かと…」
「細いは余計。部活もサッカーだし、今週は顧問と副顧問が野暮用で休みらしいから無いけど…活動始まったら見に来るか?」
「…!うんっ、行く!楽しみー♪」
未来はぱあ、と表情を明るくしパタパタと足を揺らした。
「あ、そう言えば…未来の知り合いに新谷 沙耶って居る?」
「うん!親友だよっ!…まさか…沙耶の事好きとか?」
「バーカ、そんなんじゃない。新谷の彼氏が俺の幼馴染みで、部活中とか一緒に居るといっつも彼女がどうとかこうとか…だから、知ってるのかなって思っただけ。」
「いいよねー、沙耶の彼氏さんって鈴原さん…だったっけ?」
「そう、鈴原翔平。あいつサッカー上手くて羨ましいよ…子供の頃から一緒にしてたはずなのにこうも差が出来るなんてな…」
窓の外を見て小さく溜息を付く。
「大ちゃんだって、上手でしょ?」
「上手かったらあいつなんかに憧れねぇよ…ほら、そろそろ暗くなるから、帰ろ。」
「はーいっ」
その後、2人で一緒に分かれ道まで帰った。
…だけど俺は、心のどこかでずっとあの"黒い本"のの事が気になっていた。
あの未来の目…どう見ても、勉強してる様には見えなかった。
何か深刻か問題でも抱えている様な目…いや、顔をしてた。
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