恋通

春薇-Harura-

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物語

待ち合わせ

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その日の夜、俺は手紙の返事を書いた。


『桃山未来様へ』
「どうも、坂神です。長文とか苦手だし、まず手紙とかあんまり書かないから、なるべく短く書きます。俺は文通してもいいけど、未来は大丈夫なのか?バレたりして、周りから冷やかしとか…それが心配です。以上。」


…こんなものでいいのか…?

慣れない事をすると疲れる…そう考えている内に、俺は眠りについた。


「…斗…大斗…大斗!起きなさい!」

「ん、ぁ…?姉ちゃん…か…」

「姉ちゃんか…じゃない!そろそろ出ないと遅刻するよ!」


俺の姉、坂神愛佳。
両親が無くなってから、ずっと俺の面倒を見てくれている。
今はもう社会人で、少し有名な会社に務めてるらしい…


「朝から元気だな…怒った時の鬼みたいな母さんに似てきて…」

「なぁに?何か言ったー?」


にこにこと笑いながらジリジリと俺の方へと寄ってくる。

うわ…これ以上言ったら、殺られる…


「何も…準備して学校行くわ。」

「朝ご飯は?」

「腹減ってない…」


そう言うと「大食いの癖に…」と言った姉の言葉を聞き流し、顔を洗い寝癖を整え着替えると学校へと向かった。

…何故なのか、学校に1歩近付く度に鼓動が高鳴っているような気がする。


「手紙…靴箱でいいのか…?それとも、手渡し…?」


そんな事を考えている内に学校に着いた。

辺りを見回し、誰も見ていないのを確認すると即座に未来の靴箱の中に手紙を入れた。


「誰にも…見られて、ないよな…?」


俺は急いで教室に入った。

もう3.4人は教室に居るが未来の姿は無い。


「良かった…」


そう呟きたがら、自分の机に倒れ込んだ。


「はぁ…」緊張から解放されどっと疲れが込み上げ溜息付きを着いた。

すると…


「おっはよー!」


元気良いな…誰だろう…

その女子の声に皆が「おはよう」と返事を返した。

その子は俺の目の前に来て


「おはよう!」


と大きな声で挨拶をした。

返事を返そうと顔を上げると、そこには未来が居た。


「手紙の返事、ありがとうね♪」


そう言いながら俺の前で手紙をひらひら、と振って見せた。


「ちょっ…!馬鹿、やめろよ!」


照れと焦りで俺は顔を逸らした。


「だって嬉しいんだもんっ♪…ねぇ、今日の放課後、図書室行くんだけど…予定開いてたら、来てくれる…?」


「…良いよ」


そんな顔されたら断れるものも断れない…


「やったあ!じゃあ、待ってるからね!」


__その日の放課後、俺は図書室へと急いだ。
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