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ブルーノ伯爵領
しおりを挟む「フィリス様。もう間もなく伯爵家の敷地に入ります」
向かいに座る侍女の声に、振り返る。
「とても素敵なところなのですね、ブルーノ伯爵家の御料地は」
「そのお言葉、奥方様がお喜びになると思います」
首都を馬車で出発して、一週間。
窓辺に座り、色々な景色を見た。
目に映るもの全てが新しく、心が弾む。
それに少し前には城下町を通り、その賑わいに目を見張った。
同じ伯爵位にあるウエスト家とは天と地ほどの差があると思った。
丘陵地帯も森も田畑も放牧地も川の流れも。
どの景色も美しく、それは領主の手が行き届いているからだと解る。
やがて屋敷の外郭の門をくぐると、その先も広大な土地が広がっていた。
道の先に建物が見える。
「あれが……。領主の館ですか」
「そうです。馬車での移動もようやく終わりが見えてきましたが、もうしばらくご辛抱くださいね」
馬車はけっこうな速さで進んでいるというのに、まったく館に近づく気配がない。
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そして、はるかに格下で資金繰りに困っているウエスト家との縁組を了承したのか。
おそらくこの国の貴族なら誰でもその理由を知っているのだろうが、フィリスの耳には一切入ってこなかった。
なぜなら。
フィリスがウェスト伯爵の長女として扱われたのは、この馬車に乗った瞬間からだったからだ。
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