蒼い海 ~女装男子の冒険~

灰色 猫

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第一章 始まり

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指定された新宿の雑居ビル3階まで上がると、カラオケ教室の看板が出ていた。

ドアをノックすると、中に案内される。
女装した男性が講師のようだ。

「講師の伊集院です」
ナチュラルな発声で、違和感の無い話し声だ。
これが出来るなら、教わりたい。

申込書に「出雲 真凛いずも まりん」と書いて、連絡先など記入する。
入会金5,000円と一緒に渡した。

「いつから女装を?」

「1週間くらい前からです」

「どうなりたいの?」

「大学で、普通に話せるようになりたいです」

発声の前に、姿勢を直される。
壁に頭、肩、お尻、かかとをつけて、まっすぐ立つ。
腰骨の前傾角度や頭の位置を修正されながら、理想の姿になった。
でも、その姿勢をキープ出来ない。

肩甲骨周りの柔軟性が足りなくて、腕の位置が前に行こうとする。
腹筋が足りなくて、腰骨が前傾してしまう。

「正しい姿勢が発声の基本です。
毎日、ストレッチと基礎トレーニングをしてください」

「女性らしい振る舞いには、柔軟性が必要です」

そう言って、伊集院先生が前屈して見せる。
真っ直ぐ脚を伸ばしているのに、手のひらが足の前につく。
指先が床に届くのが精一杯の俺には、夢のようだ。

ストレッチやトレーニングのメニューを教わった後、やっと発声に入る。
地声のキーから、徐々に上げて上限までいく。
そこから下げていき、無理なく出せるポイントを探してキープする。

「今から、そのキーで話してください」

先生から普段の生活について、色々と聞かれた。
それに高い地声で答える。

「彼女、聞いててどう?」

「そんなに違和感ないです」聖苑が答えた。

「でも、大学で話すのは難しいね。
真凛ちゃん、田舎の訛りがある。
それに会話が苦手なようだし、話せないのはそっちが原因だと思う」

「どうすればいいですか?」

「彼女に協力してもらおう。
最初は、彼女の言葉をそのままオウム返しで口に出す。
イントネーションやアクセント、言葉使いを叩き込むんだ」

「それと自分から話す意思を持つ。
そうだ、宿題を出そう。
毎日、大学で目が合った最初の人に挨拶をしてみよう」

「どういう風にするんですか?」

「おはよう、でいいんじゃない」

「やってみます」


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