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第十六章 転身

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「沙織ちゃんは、大好きな次男のお兄ちゃんは変わらんか?」
海野さんがfanからのメールを見ながら聞いてきた。

「お兄ちゃんからは、フラれました。
お前はアイドルになったんだから、俺から卒業しろって言われたんです。
兄には、可愛い彼女が出来ました」

「あらら。まあ、アイドルとしては仕方がないな。
月奈ちゃんには、綺麗になりたい高校生たちから質問がいっぱい着てるで」

「すぐ出来る綺麗になる方法はありますか? これ多いなあ」

「ありますよ。布団に入ってスマホを触る暇があったら、寝て下さい。
寝不足はお肌の大敵です」

「いいダイエット法はありませんか? これも多かった」

「きちんと3食食べて、それ以外は間食しない。
真凛と一緒の時に、楽屋のお菓子に手をつけるの見たことが有りません」

「厳しいなあ、高校生には無理やで」

「クラスで一番キレイな子は、あなたが見ていないところで努力しています」

「確かになあ。簡単にキレイになる方法は無いってことやな」

「みんなお手軽な方法に流れるんですよ。
これを食べれば綺麗になる、痩せるなんてものはありません。
運動、睡眠、食事のバランスなんです」

「それでも、女の子は沙織ちゃんみたいなスタイルに憧れるんよ」

「みんなに沙織がレッスンしているところを見せたらいいんですよ。
お弁当2個食べて差し入れを食べても、痩せて帰ってますよ」

「沙織ちゃん、どうなん?」

「今はnew year consentのレッスンをやってます。
朝の9時にレッスン場に入って、午後7時くらいまで踊ってますね」

「相変わらず、自分の出ない曲までレッスンしてるん?」

「ええ、コンサートで披露する全曲、踊れますよ」

「貪欲やな」

「師匠の教えを守ってます、いつチャンスが来るか分かりませんから」

「何の準備もせず、チャンスを貰えたら俺だってとか言う若手の芸人に聞かせてやりたいわ」
シーホークのお二人にも言いたい事はあるようだ。

沙織は特別に緊張した様子もなく、シーホークさんとも噛み合っている。
和気あいあいとトークが進んで、番組は終わった。
本番に強い、やっぱり沙織の才能は本物だ。

番組終了後に、シーホークさんと皆んなで撮影した。
直ぐにSNSにUPされる。

沙織ちゃん、真凛と変わらないほどトークが面白い。
垢抜けん小猿だった沙織ちゃんの画像を見せてよ。
今度は一人で出て欲しい。
SNS上では沙織のトークが評判になっていた。

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