【完結】 悪女は今日もパンを焼く 【R18】

灰色 猫

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11月に入り、専門学校入学予定者の事前研修が行われた。

日曜日の午前中を使って、『パンとは何か』
基本の講義を受ける。
その後は少人数のグループに別れて、自己紹介やパン職人になる夢の実現に向けてのディスカッションがあった。

現役高校生は、元気で、夢がいっぱい。
反面、脆い部分もたくさん有る。
事前研修で厳しいことを言っているのも、意味がある感じだった。

「姉さん、パン焼いてる?」
振り返ると、伊桜稜也だった。

「新しいオーブン買ったから、今はテストを繰り返してるわ」

「俺は、やっとバイトが出来る身体になった。
12月から、近所のパン屋でバイトするんだ」

「それは、おめでとう。頑張ってね」

「姉さんの焼いたパン、食ってみたい」

「次の事前研修の時に持ってくるよ」

「本当?やったあ」
スポーツマンらしい、明るい陽気さが彼の魅力だった。
勝手に姉さんと呼ばれてるが、嫌な気にはならない。
ただ、周りの女の子の目が怖い。
近づき過ぎないように、気をつけよう。

家に帰って、風呂上りに缶ビールを開ける。
試作したパンが冷蔵庫にいっぱいあるので、ホットサンドにして夕食だ。

今日の研修を思い出していく。
少人数グループには、高校生が7人、社会人が2人と私だった。
社会人の2人は、いい印象が無い。
高校生は元気いっぱい、中でも一人気になる男の子がいた。
家がパン屋だが、東京で一人暮らしさせてもらう条件で後を継ぐと言っていた。
スマートな感じで、伊桜君とは対極の甘い雰囲気を持っている。

製パン科の人気は、この二人で分け合う予感がした。

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