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爆弾魔
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彼の話。
『彼は 死刑判決を受け
刑務所へ移送中
車内でひどく暴れため
対人用麻酔銃で撃たれ
一時的に意識を失っております』
眼鏡をかけた女の人がそう言うと
私の前の男の人が
『はぁ?死刑判決って…
それに対人用麻酔銃なんて聞いた事ないし…
どっから話せばいいんだ?これは』と
言葉を返した。
『いつも通りいこう!!』
私がそう言うと
スキンヘッドの男の人が
『それもそうだな。
ちなみに、
彼は何の罪で
死刑判決を受けたんだ?』と言った。
すると、
資料を見ていた
アンジェラアキ風の女の人が
『ここに
爆発物取締法の爆発物使用がどうって
書かれてるけど
たぶんこれが
死刑判決を受けた理由なのかな…』と言った。
アンジェラアキ風の女の人が
見ていた資料のページを開き見ると
爆発物取締法についてと
爆発物使用による刑罰と
プラスチック爆弾の作り方及び
使用方法が書かれていた。
『う~ん、
プラスチック爆弾に限らず
爆発物は素材があって
作り方さえわかれば
誰にでも作れるからな…』
資料のページを見つつ
スキンヘッドの男の人が言うと
男の人が
『爆発物の事が書かれてるってことは
彼は少なくとも
ここに書かれてる
プラスチック爆弾を作り
何処かで爆破させ
その罪で死刑判決を
言い渡されたんだろうな』と言った。
『うん?
そう言えば
前に資料室で見たけど
プラスチック爆弾って食べられるの?』
マシュマロヘアーの女の人がそう言うと
私を含めた全員が『はぁ?』と声を上げた。
『いや、
なんかお腹空いちゃって…』
マシュマロヘアーの女の人が
照れ笑いしつつ言うと
少女も
『私も…お腹空いたかも…』って言った。
『まぁ…ニトログリセリンは
舐めても無害で
味は甘いって聞いた事があるが
お腹いっぱいに
ニトログリセリンを食った折には
胃が爆弾になるだろうな』
スキンヘッドの男の人が
そう言って笑った。
『なっ!?
胃が爆弾って…それに
そんなに笑わなくてもいいじゃん!!』
マシュマロヘアーの女の人がそう言うと
スキンヘッドの男の人が
『冗談だよ。
まぁ、
C4爆弾の成分である
RDXまで食べたら
流石に冗談抜きで死ぬだろうけど…』と
言葉を返した。
『RDX?
なにそれ?』
マシュマロヘアーの女の人が
スキンヘッドの男の人に言うと
スキンヘッドの男の人は
『RDXは
トリメチレントリニトロアミンと呼ばれ
爆薬の一種であり
もし口にしたなら
脱力感 めまい 頭痛
吐き気 痙攣 意識喪失などの症状を
引き起こし長期または
反復暴露による中枢神経系の障害により
てんかんのような症状を起こすんだ。
あっ…そうだ、
RDX繋がりでこんな話があるんだが…』
と言い 話を続けた。
『なんでもベトナム戦争中のアメリカ軍で
プラスチック爆薬を食べた87人が
中毒を起こして入院し
うち5人が死亡してたらしい…』
スキンヘッドの男の人が言い終えると
マシュマロヘアーの女の人が
『なにそれ怖っ!?
あれ?
その話から考えると
さっき私が言ったプラスチック爆弾は
食べれるかって話って…』と言い
スキンヘッドの男の人が
『まぁ、
ニトログリセリンは
狭心症治療薬にも使われるから
ニトログリセリンは大丈夫だな』と
言葉を返した。
いや、
大丈夫じゃないよ それ。
『コホン、
よろしいですか?』
眼鏡の女の人がそう言うと
全員が眼鏡をかけた女の人に
視線を向けた。
『爆弾の成分の話は置いといて…
彼が何故死刑判決を受けたかですが
こちらのページに
「爆発物使用による大量殺人により…」と
書かれています』
眼鏡の女の人が言い終えると
男の人が『大量殺人?
うん?殺人って殺人だよな?』と言った。
『うん?
当たり前な事を聞いてどうしたの?』
アンジェラアキ風の女の人が言うと
男の人が『いや、
自殺と殺人は 死に値する罪だって
定められているから
半死者とはいえ 彼は…』と言い
少女が『彼は直接
相手を殺した訳じゃなく
爆弾で殺したから
ここでの殺人の罪の判定には
当てはまらないよ…』と言葉を返した。
『うん?
どう言う事だ?』
男の人が少女に聞くと
少女が『例えば、
大量虐殺でも
直接的な殺し方じゃ無い場合
ここでの罪状は 殺人じゃなくなるって
至上者がおっしゃってたよ…』と
言葉を返した。
『うん?
となると彼は
プラスチック爆弾を使用し
遠隔的に多くの人を殺した罪で
死刑判決を言い渡されたけど
ここでの判断は
殺人じゃないから
普通の半死者と同じ扱いなのか?』
男の人がそう言うと
眼鏡をかけた女の人が
『そうですね。
ここでの罪状は
現実の罪状とは違いますし』と言った。
確かに…
ここでの罪は
現実の刑罰に準じず
至上者が定めたルールに則り判断される。
だから、
私達は 半死者の情報を
資料から読み取って判断し
生き死にを判断しなければいけない。
ただ、
自殺を行った者と
殺人を行った者は
半死状態だったとしても
死に値する罪とされ
死の判定を受ける事になる。
『いや、
プラスチック爆弾で
沢山の人を殺したんだから
死で良いんじゃね?』
ギャル男がそう言うと
眼鏡をかけた女の人が
『その理論だと
自衛隊や軍人は
一度戦争が起きたならば
皆 死の判定が下されますよ』と言った。
『確かに。
戦争は罪の無い人や
多くの兵隊が死ぬからな。
そしたら、
必然的にここは
必要無くなって
至上者が直接 裁くことになるだろうな』
スキンヘッドの男の人がそう言うと
『考えただけでも
すごく大変そう…』と
マシュマロヘアーの女の人が言った。
あれ?
そう言えば
彼の罪についてばかり話していたけど
彼は何故爆弾を使って
大量殺人なんて行ったのだろう…
それに誰でも作れるって言ってたけど
爆弾の材料はどこから手に入れたんだろう…
『ねぇ、
彼ってなんで
大量殺人を起こそうと思ったんだろう?』
私がそう言うと
資料を見ていた茶髪の女の人が
『えっと…資料によると
学生時代 虐められていた復讐だそうです。
ちなみに、
爆破現場に同窓会の会場を選んだ理由は
1人でも多くの人間を
巻き込むためだったそうです』と
言葉を返した。
復讐…それに
1人でも多くの人間を
巻き込むためって…
『虐めた人間だけじゃなく
会場に来た人間を
1人でも巻き込もうとした…って
認識で良いのかな…』
恐る恐るマシュマロヘアーの人が言うと
アンジェラアキ風の女の人が
『公平な立場で見なきゃいけないのは
わかってるけど
学生時代からの虐めって言っても
虐められてた方からすると
昨日今日のように覚えてる事だから
いつまでも忘れられないんだよね…』と
言葉を返した。
『…まぁ、
俺的に言わせたら
爆弾使って殺すより
正々堂々殴り合いをしろって言いたいな』
男の人がそう言うと
スキンヘッドの男の人も
『まぁ、
そこまで言うとアレだが
爆殺するよりかは
ずっとスマートな解決方法だな』と言った。
確かに。
虐めは良くないし
虐められた事に対し
復讐をしたくなる気持ちも
わからなくないけど
殴り合いもどうなんだろう…
そんな事を考えていると
眼鏡をかけた女の人が
『そんなものなのでしょうか?』と言った。
『うん?
どうした?』
スキンヘッドの男の人が言うと
眼鏡をかけた女の人は
『復讐の為に
爆弾まで作るって気持ち…
私には理解できません』と言葉を返した。
『う~ん、
私も本人の気持ちに
100%共感かって言われたら
正直 共感は出来ないけど…
ただ それだけ恨んでたんだと思うよ』
私がそう言うと
眼鏡をかけた女の人が
『私は生きてた時、
親に言われるまま
勉強し有名な大学へ入って
公務員に就職することだけを考えてました。
なので、
虐めってわからなくて…』と言い
少女が『お姉ちゃん…可哀想…』と言った。
『…もう終わった話だし
ここに来てからは
少しだけ気が楽になった部分があるので
大丈夫です』
眼鏡をかけた女の人が少女にそう言うと
ギャル男が『なんか、
気持ちわからないことないかも…。
俺も生きてた時は
いろいろあって高校を中退して
兄弟から親の期待を裏切った奴って
罵られ家に帰ることも出来ず
気づいたらここに居たし』と言い
男の人が
『うん?
気づいたらここに居たって事は
そのギャルメイクは
ここに来た時にはもうそうなってたのか?』
と言葉を返した。
『あっ…これは、
生きてた時から
ギャルメイクが好きだったと言うか…
だから、
至上者と話した時に
「君は君らしく居て良いよ!!」って
言われてやってるんだ』
ギャル男がそう言うと
スキンヘッドの男の人が
『心が広いな。
至上者は』と呟いた。
確かに…私は
至上者と話す機会が無いし
どうやってここに来たのかもわからないけど
みんなの話を聞いてると
至上者はとても心が広いんだと思う。
そんな事を考えていると
眼鏡をかけた女の人が手を叩き
『はい、
話が脱線したので
元に戻します』と言って
全員が眼鏡をかけた女の人の方を向いた。
『まず、
彼の話ですが
爆弾を使用し
大量殺人を行った事による
死刑判決は間違いないでしょう。
それと、
使用した爆弾は
資料にもあるようにプラスチック爆弾で
製造方法は…』
言いかけてスキンヘッドの男の人が
『資料に書いてある製造方法だが
少し俺の知ってるプラスチック爆弾と
作り方が違うみたいだ…』と言った。
『作り方が違う?
と言うと?』
マシュマロヘアーの女の人がそう言うと
スキンヘッドの男の人が
『まぁ、
詳しく言うと
いろいろ引っかかるから言えないが
この鉄粒を粘土に混ぜるって部分
普通のプラスチック爆弾の作り方と違うぞ』と言葉を返した。
『鉄粒?
石ころみたいな物か?』
男の人がそう言うと
スキンヘッドの男の人は
『資料の写真から見るに
鉄粉を丸めて作った物みたいだ』と言った。
『鉄粉を丸めて作った物…
弾丸の弾より少し小さいですね』
眼鏡をかけた女の人がそう言うと
少女が『なんか、
てつはうみたい…』と言った。
てつはう?
てつはうってなんだろう…
そんな事を考えていると
マシュマロヘアーの女の人が
『それ知ってる。
えっと…歴史の授業の時に
蒙古襲来でモンゴル軍が
鎌倉武士を苦しめた武器って
確か、
森口先生が言ってたような…』と言い
男の人が『森口先生って誰だよ?』と
言葉を返した。
『森口先生は
私が生きてた時に
社会を担当してた先生だよ。
それより、
そのてつはうがどうしたの?』
マシュマロヘアーの女の家がそう言うと
少女が『えっと…
その爆弾って
沢山の人を一気に殺す為に作ったんだよね?
たぶん、
その鉄粒を爆発させた時に
飛び散らせて被害を大きくしようとしたから
入れたんだと思う…』と言った。
『…そうか。
だから、
大量殺人になったのか』
スキンヘッドの男の人がそう言うと
『あ~ 言われてみれば、
プラスチック爆弾をただ爆破しても
こんなに大きな被害は出ないな』と
男の人が言った。
『最初からこうなるように
綿密な計画を立て
この爆弾を作ったんでしょうね…きっと』
眼鏡をかけた女の人が
ため息を吐きつつ言うと
少女が『うん…やり方は間違ってる…けど
誰も彼を責める事は出来ない』と言った。
彼は虐めの復讐に
爆発物を使って決着をつけた。
やり方は間違ってる。
けど、
彼が行った事を
誰も責める事は出来ない。
何故か…その理由を私ならこう考える。
『まっすぐ生きるための復讐…?』
私がそう言うと
眼鏡をかけた女の人が
『まっすぐ生きるための復讐…
確かにそう言う考え方もありますね』と言い
男の人が
『まぁ…折り合いの付け方は人それぞれだし
彼が虐められてた時に
先生達は彼を助けたか…
同級生は彼を見て見ぬ振りしなかったか…
言うだけ愚問なんだろうけど
もし出来てたなら
爆発物を使って
復習なんてしなかったんだろうな』と
言葉を返した。
そう、
他人だからじゃない。
必要なのは
自分が相手の立場だったなら…
それを考えれた時
少しだけ気持ちを楽にする事が出来る。
例えるなら
傘を忘れて帰れない同級生に
傘を貸してあげる感じ。
私がもし
彼だったなら…
爆弾とまではいかなくても
意識失うまでボコボコに
顔を殴ってやりたい人はいる。
けど、
あの日もだけど
今も私はその暴力(解答)に
染まらない自分で良かったと思ってる。
だって、
同じことしたら
同じになっちゃうし
何より今以上に
そんな自分嫌いになってたと思うし。
だから…
『ねぇ、
今から呆れる事を言うけど
呆れずに聞いてくれる?』
私がそう言うと
全員がこちらを向き
眼鏡をかけた女の人が
『どうぞ、
きっとあなたの解答は
もう決まってるんですよね?』と言った。
『うん。
彼を生かしてあげよう』
私がそう言うと
眼鏡をかけた女の人は
ため息を吐きつつ私に
『念の為聞きますが、
何故彼を生かそう思うんですか?』と
言った。
『えっと…彼の行為って
誰しも酷い虐めにあった人なら
わかると思うんだ。
それに、
生きてれば虐めっ子の1人や2人
殺したいと思うのは仕方ないこと。
まぁ、
実行に移すのはやり過ぎだけど…でも
彼はまっすぐ生きるために復讐をしたなら
その行為を責められる人はいないし
その罪を死ではなく
生きることで償わなきゃいけないのも
また彼だと思う。
だから…』
私がそこまで言うと
少女が『…彼は 死刑判決を受けたし
ここで 死を選ばなくてもいいと思う』と
言った。
『う~ん、
確かに ここで死を選ばなくても
彼は 死刑になるからっていうのは
わからなくもないし
俺も生きてた時に犯人に復讐したいと
思ったこともある…出来なかったけど。
ただ、
彼は生かして償わせるには
時間が足りないんじゃないか?』
スキンヘッドの男の人が言うと
私が『時間なんて関係無いよ。
それに、
謝罪だけが全てじゃないし』と
言葉を返した。
そう、
「人は寿命って時間で生かされてて
その中で別れや出会いを繰り返して
成長していく。
だから、
あなた方はアルムスター孤児院の宝です。
どうか、
いつまでも笑顔を絶やさぬよう
幸せな日々を私達と共に送りましょう…」
って
誰が言ったのか覚えてないけど
とても大好きだった人が言ってた気がする。
その通りだし
誰もその成長を止める権利は無い。
もちろん、
それが死刑判決を受けた人だとしても
最後の瞬間 成長の先で
どんな事を感じ
どんな事を思うかを
奪う権利は誰にも無い。
だから、
私は…
『何回も言うけど
彼は生きて罪を償うべきだよ』
私がそう言うと
少しの沈黙後
『そうだな。
俺もそれがいいと思う。
生きてるうちに償えるなら
それが1番だ』と
スキンヘッドの男の人が言った。
『だね。
私も難しい事はわからないし
いろんな知識がある訳じゃないけど
確かに 彼は、
死刑になるまでに
いろんな意味で
自分にも周りにも償わなきゃダメだと思う。
だから、
私も生かすに賛成!!』
マシュマロヘアーの女の人がそう言うと
男の人が『俺も生かすに賛成だ。
まぁ、
彼のその根性は気にいらねぇし
やり方もめちゃくちゃだが
一生懸命昔の自分と決着を付けるために
自分と戦ってんだ。
死刑になるまでの時間くらい
自分を見つめ直し
悔いの残らないようにすればいいだろう』と
言った。
『私ももし、
上司からの嫌がらせで自殺してなかったら
きっと…』
アンジェラアキ風の女の人がそう言うと
私が『私は記憶が無いけど…きっと
私だってみんなと同じで
もし一歩違ったなら
彼と同じように
誰かを殺してたかもしれない』
と言った。
しばらくして
『では、
採血を採ります』と
眼鏡をかけた女の人が言い
私は生かすに票を入れた。
それから数時間後、
囚人護送車内で暴れ
対人用麻酔銃で撃たれ
意識を失った男は
念の為警察病院に運び込まれた後
病室のベットの上で目を覚ました。
『どうか、
彼が次産まれ変われる時は
幸せな人生でありますように…。
そして、
爆発に巻き込まれた人々も
早く転生出来ますように…』
その様子を窓の外から見ていた私が
祈りを捧げていると
背後から少女が
『…お姉ちゃん』と声を掛けてきた。
『うわっ!?…びっくりした!!
どうしたの?』
驚きつつ少女に言うと
少女はいつになく真顔で
『お姉ちゃんはとても優しいね』と言った。
『優しい?
優しくないよ。
ただ、
私は悪い事をした人にも
悪い事をされた人にも
幸せになってほしいだけ…えっと、
これって優柔不断って奴かな…えへへ…』
『…うん。
お姉ちゃんは優しくて優柔不断で
誰も見捨てられなくて
いつも一生懸命で
辛い事苦しい事は
1人で抱え込んでばかりで…』
言いつつ真顔だった少女が泣き始めた。
『えっ…えぇ…どうしたの?
えっと…えっと…』
どうして泣いているのかわからず
困っていると肩を振るわせ泣いていた少女が
しゃくり上げながら
『お姉ちゃん…私ね…
ずっとお姉ちゃんに
謝りたかった事があるの…でも
今…お姉ちゃんに言うと…
お姉ちゃんは…うぅ…』と言い
見ていられなかった私は
少女を抱きしめつつ
『私は大丈夫だから…
もう泣かないで』と言った。
何もかも覚えてないし
不安に思うことも沢山あるけど
私はとても優しい家族に恵まれてる。
過去なんてどうでもいいし
今は目の前で泣いてる優しい少女の
涙を止められるようになれたなら…
もっと 頑張らなきゃ…
それからしばらくして
病室に入ってきた警察官に彼は
『申し訳…ありませんでした…』と謝ると
警察官は『痛くなかったか…いや、
痛かったよな。
こちらこそ突然
撃ってしまい申し訳なかった』と言った。
『謝るのは僕の方です。
僕が暴れたから…』
彼がそう言うと
警察官は『不安だったんだよな?
君の調書見せてもらったよ』と言い
話を続けた。
『流石に爆発はやり過ぎだけど
カッターナイフで君を脅し
金を巻き上げた
中学時代の同級生もやり過ぎだ。
それに、
放課後 教室の屋上で
全裸にされて飛び降りろと
殴る蹴るの暴力を振るうなんて
とてもふざけた奴らじゃないか。
先生はいったい何を見ていたんだか…』
『もういいです。
それに僕は彼らを殺して…』
『良いわけないだろ!!
君の傷ついた心はどうなる!?
遺族の人達の前では言えなかったが
君に対して彼らがした事は
外傷が無くても
心に消えない傷を付けたのと同じだ。
なのに、
彼らは…』
警察官は
驚く彼をそのままに
同僚達の前では言えない本音を言うと
『世間が何と言おうと
僕は君を忘れないから』と言った。
産まれて初めて見るような
とても暖かい笑顔だった。
嬉しかった。
嬉しかったけど
彼は後悔した。
爆弾による大量殺人により
死刑を言い渡された彼は
死刑まで僅かなところで
初めて自分をまっすぐ見てくれた人に出会い
もう少し生きたいと思った。
けど、
そんな彼の命の砂時計は
静かに刻々と流れていき…
死刑当日、
彼は刑務所内の
死刑を行う部屋で
首に縄をかけられ
その時を待っていた。
最終確認をする警察官の声が聞こえる…
見えると怖いからと
彼からのお願いで布を被してもらった。
けど、
本当は怖くなって迷惑をかけない為に
被せてもらった。
『はぁ…はぁ…』
怖い…でも、
自分が殺したあいつらは
もっと怖かったんだろうな…
縄が首にかけられ
縄に意識が集中する。
『何か言い残す事はありますか?』
あの警察官と違う警察官の声が聞こえ
彼は震える声で
『…ありがとう』と呟いた。
そして、
彼の絞首刑が執行された。
~~~爆弾魔~~~
END
『彼は 死刑判決を受け
刑務所へ移送中
車内でひどく暴れため
対人用麻酔銃で撃たれ
一時的に意識を失っております』
眼鏡をかけた女の人がそう言うと
私の前の男の人が
『はぁ?死刑判決って…
それに対人用麻酔銃なんて聞いた事ないし…
どっから話せばいいんだ?これは』と
言葉を返した。
『いつも通りいこう!!』
私がそう言うと
スキンヘッドの男の人が
『それもそうだな。
ちなみに、
彼は何の罪で
死刑判決を受けたんだ?』と言った。
すると、
資料を見ていた
アンジェラアキ風の女の人が
『ここに
爆発物取締法の爆発物使用がどうって
書かれてるけど
たぶんこれが
死刑判決を受けた理由なのかな…』と言った。
アンジェラアキ風の女の人が
見ていた資料のページを開き見ると
爆発物取締法についてと
爆発物使用による刑罰と
プラスチック爆弾の作り方及び
使用方法が書かれていた。
『う~ん、
プラスチック爆弾に限らず
爆発物は素材があって
作り方さえわかれば
誰にでも作れるからな…』
資料のページを見つつ
スキンヘッドの男の人が言うと
男の人が
『爆発物の事が書かれてるってことは
彼は少なくとも
ここに書かれてる
プラスチック爆弾を作り
何処かで爆破させ
その罪で死刑判決を
言い渡されたんだろうな』と言った。
『うん?
そう言えば
前に資料室で見たけど
プラスチック爆弾って食べられるの?』
マシュマロヘアーの女の人がそう言うと
私を含めた全員が『はぁ?』と声を上げた。
『いや、
なんかお腹空いちゃって…』
マシュマロヘアーの女の人が
照れ笑いしつつ言うと
少女も
『私も…お腹空いたかも…』って言った。
『まぁ…ニトログリセリンは
舐めても無害で
味は甘いって聞いた事があるが
お腹いっぱいに
ニトログリセリンを食った折には
胃が爆弾になるだろうな』
スキンヘッドの男の人が
そう言って笑った。
『なっ!?
胃が爆弾って…それに
そんなに笑わなくてもいいじゃん!!』
マシュマロヘアーの女の人がそう言うと
スキンヘッドの男の人が
『冗談だよ。
まぁ、
C4爆弾の成分である
RDXまで食べたら
流石に冗談抜きで死ぬだろうけど…』と
言葉を返した。
『RDX?
なにそれ?』
マシュマロヘアーの女の人が
スキンヘッドの男の人に言うと
スキンヘッドの男の人は
『RDXは
トリメチレントリニトロアミンと呼ばれ
爆薬の一種であり
もし口にしたなら
脱力感 めまい 頭痛
吐き気 痙攣 意識喪失などの症状を
引き起こし長期または
反復暴露による中枢神経系の障害により
てんかんのような症状を起こすんだ。
あっ…そうだ、
RDX繋がりでこんな話があるんだが…』
と言い 話を続けた。
『なんでもベトナム戦争中のアメリカ軍で
プラスチック爆薬を食べた87人が
中毒を起こして入院し
うち5人が死亡してたらしい…』
スキンヘッドの男の人が言い終えると
マシュマロヘアーの女の人が
『なにそれ怖っ!?
あれ?
その話から考えると
さっき私が言ったプラスチック爆弾は
食べれるかって話って…』と言い
スキンヘッドの男の人が
『まぁ、
ニトログリセリンは
狭心症治療薬にも使われるから
ニトログリセリンは大丈夫だな』と
言葉を返した。
いや、
大丈夫じゃないよ それ。
『コホン、
よろしいですか?』
眼鏡の女の人がそう言うと
全員が眼鏡をかけた女の人に
視線を向けた。
『爆弾の成分の話は置いといて…
彼が何故死刑判決を受けたかですが
こちらのページに
「爆発物使用による大量殺人により…」と
書かれています』
眼鏡の女の人が言い終えると
男の人が『大量殺人?
うん?殺人って殺人だよな?』と言った。
『うん?
当たり前な事を聞いてどうしたの?』
アンジェラアキ風の女の人が言うと
男の人が『いや、
自殺と殺人は 死に値する罪だって
定められているから
半死者とはいえ 彼は…』と言い
少女が『彼は直接
相手を殺した訳じゃなく
爆弾で殺したから
ここでの殺人の罪の判定には
当てはまらないよ…』と言葉を返した。
『うん?
どう言う事だ?』
男の人が少女に聞くと
少女が『例えば、
大量虐殺でも
直接的な殺し方じゃ無い場合
ここでの罪状は 殺人じゃなくなるって
至上者がおっしゃってたよ…』と
言葉を返した。
『うん?
となると彼は
プラスチック爆弾を使用し
遠隔的に多くの人を殺した罪で
死刑判決を言い渡されたけど
ここでの判断は
殺人じゃないから
普通の半死者と同じ扱いなのか?』
男の人がそう言うと
眼鏡をかけた女の人が
『そうですね。
ここでの罪状は
現実の罪状とは違いますし』と言った。
確かに…
ここでの罪は
現実の刑罰に準じず
至上者が定めたルールに則り判断される。
だから、
私達は 半死者の情報を
資料から読み取って判断し
生き死にを判断しなければいけない。
ただ、
自殺を行った者と
殺人を行った者は
半死状態だったとしても
死に値する罪とされ
死の判定を受ける事になる。
『いや、
プラスチック爆弾で
沢山の人を殺したんだから
死で良いんじゃね?』
ギャル男がそう言うと
眼鏡をかけた女の人が
『その理論だと
自衛隊や軍人は
一度戦争が起きたならば
皆 死の判定が下されますよ』と言った。
『確かに。
戦争は罪の無い人や
多くの兵隊が死ぬからな。
そしたら、
必然的にここは
必要無くなって
至上者が直接 裁くことになるだろうな』
スキンヘッドの男の人がそう言うと
『考えただけでも
すごく大変そう…』と
マシュマロヘアーの女の人が言った。
あれ?
そう言えば
彼の罪についてばかり話していたけど
彼は何故爆弾を使って
大量殺人なんて行ったのだろう…
それに誰でも作れるって言ってたけど
爆弾の材料はどこから手に入れたんだろう…
『ねぇ、
彼ってなんで
大量殺人を起こそうと思ったんだろう?』
私がそう言うと
資料を見ていた茶髪の女の人が
『えっと…資料によると
学生時代 虐められていた復讐だそうです。
ちなみに、
爆破現場に同窓会の会場を選んだ理由は
1人でも多くの人間を
巻き込むためだったそうです』と
言葉を返した。
復讐…それに
1人でも多くの人間を
巻き込むためって…
『虐めた人間だけじゃなく
会場に来た人間を
1人でも巻き込もうとした…って
認識で良いのかな…』
恐る恐るマシュマロヘアーの人が言うと
アンジェラアキ風の女の人が
『公平な立場で見なきゃいけないのは
わかってるけど
学生時代からの虐めって言っても
虐められてた方からすると
昨日今日のように覚えてる事だから
いつまでも忘れられないんだよね…』と
言葉を返した。
『…まぁ、
俺的に言わせたら
爆弾使って殺すより
正々堂々殴り合いをしろって言いたいな』
男の人がそう言うと
スキンヘッドの男の人も
『まぁ、
そこまで言うとアレだが
爆殺するよりかは
ずっとスマートな解決方法だな』と言った。
確かに。
虐めは良くないし
虐められた事に対し
復讐をしたくなる気持ちも
わからなくないけど
殴り合いもどうなんだろう…
そんな事を考えていると
眼鏡をかけた女の人が
『そんなものなのでしょうか?』と言った。
『うん?
どうした?』
スキンヘッドの男の人が言うと
眼鏡をかけた女の人は
『復讐の為に
爆弾まで作るって気持ち…
私には理解できません』と言葉を返した。
『う~ん、
私も本人の気持ちに
100%共感かって言われたら
正直 共感は出来ないけど…
ただ それだけ恨んでたんだと思うよ』
私がそう言うと
眼鏡をかけた女の人が
『私は生きてた時、
親に言われるまま
勉強し有名な大学へ入って
公務員に就職することだけを考えてました。
なので、
虐めってわからなくて…』と言い
少女が『お姉ちゃん…可哀想…』と言った。
『…もう終わった話だし
ここに来てからは
少しだけ気が楽になった部分があるので
大丈夫です』
眼鏡をかけた女の人が少女にそう言うと
ギャル男が『なんか、
気持ちわからないことないかも…。
俺も生きてた時は
いろいろあって高校を中退して
兄弟から親の期待を裏切った奴って
罵られ家に帰ることも出来ず
気づいたらここに居たし』と言い
男の人が
『うん?
気づいたらここに居たって事は
そのギャルメイクは
ここに来た時にはもうそうなってたのか?』
と言葉を返した。
『あっ…これは、
生きてた時から
ギャルメイクが好きだったと言うか…
だから、
至上者と話した時に
「君は君らしく居て良いよ!!」って
言われてやってるんだ』
ギャル男がそう言うと
スキンヘッドの男の人が
『心が広いな。
至上者は』と呟いた。
確かに…私は
至上者と話す機会が無いし
どうやってここに来たのかもわからないけど
みんなの話を聞いてると
至上者はとても心が広いんだと思う。
そんな事を考えていると
眼鏡をかけた女の人が手を叩き
『はい、
話が脱線したので
元に戻します』と言って
全員が眼鏡をかけた女の人の方を向いた。
『まず、
彼の話ですが
爆弾を使用し
大量殺人を行った事による
死刑判決は間違いないでしょう。
それと、
使用した爆弾は
資料にもあるようにプラスチック爆弾で
製造方法は…』
言いかけてスキンヘッドの男の人が
『資料に書いてある製造方法だが
少し俺の知ってるプラスチック爆弾と
作り方が違うみたいだ…』と言った。
『作り方が違う?
と言うと?』
マシュマロヘアーの女の人がそう言うと
スキンヘッドの男の人が
『まぁ、
詳しく言うと
いろいろ引っかかるから言えないが
この鉄粒を粘土に混ぜるって部分
普通のプラスチック爆弾の作り方と違うぞ』と言葉を返した。
『鉄粒?
石ころみたいな物か?』
男の人がそう言うと
スキンヘッドの男の人は
『資料の写真から見るに
鉄粉を丸めて作った物みたいだ』と言った。
『鉄粉を丸めて作った物…
弾丸の弾より少し小さいですね』
眼鏡をかけた女の人がそう言うと
少女が『なんか、
てつはうみたい…』と言った。
てつはう?
てつはうってなんだろう…
そんな事を考えていると
マシュマロヘアーの女の人が
『それ知ってる。
えっと…歴史の授業の時に
蒙古襲来でモンゴル軍が
鎌倉武士を苦しめた武器って
確か、
森口先生が言ってたような…』と言い
男の人が『森口先生って誰だよ?』と
言葉を返した。
『森口先生は
私が生きてた時に
社会を担当してた先生だよ。
それより、
そのてつはうがどうしたの?』
マシュマロヘアーの女の家がそう言うと
少女が『えっと…
その爆弾って
沢山の人を一気に殺す為に作ったんだよね?
たぶん、
その鉄粒を爆発させた時に
飛び散らせて被害を大きくしようとしたから
入れたんだと思う…』と言った。
『…そうか。
だから、
大量殺人になったのか』
スキンヘッドの男の人がそう言うと
『あ~ 言われてみれば、
プラスチック爆弾をただ爆破しても
こんなに大きな被害は出ないな』と
男の人が言った。
『最初からこうなるように
綿密な計画を立て
この爆弾を作ったんでしょうね…きっと』
眼鏡をかけた女の人が
ため息を吐きつつ言うと
少女が『うん…やり方は間違ってる…けど
誰も彼を責める事は出来ない』と言った。
彼は虐めの復讐に
爆発物を使って決着をつけた。
やり方は間違ってる。
けど、
彼が行った事を
誰も責める事は出来ない。
何故か…その理由を私ならこう考える。
『まっすぐ生きるための復讐…?』
私がそう言うと
眼鏡をかけた女の人が
『まっすぐ生きるための復讐…
確かにそう言う考え方もありますね』と言い
男の人が
『まぁ…折り合いの付け方は人それぞれだし
彼が虐められてた時に
先生達は彼を助けたか…
同級生は彼を見て見ぬ振りしなかったか…
言うだけ愚問なんだろうけど
もし出来てたなら
爆発物を使って
復習なんてしなかったんだろうな』と
言葉を返した。
そう、
他人だからじゃない。
必要なのは
自分が相手の立場だったなら…
それを考えれた時
少しだけ気持ちを楽にする事が出来る。
例えるなら
傘を忘れて帰れない同級生に
傘を貸してあげる感じ。
私がもし
彼だったなら…
爆弾とまではいかなくても
意識失うまでボコボコに
顔を殴ってやりたい人はいる。
けど、
あの日もだけど
今も私はその暴力(解答)に
染まらない自分で良かったと思ってる。
だって、
同じことしたら
同じになっちゃうし
何より今以上に
そんな自分嫌いになってたと思うし。
だから…
『ねぇ、
今から呆れる事を言うけど
呆れずに聞いてくれる?』
私がそう言うと
全員がこちらを向き
眼鏡をかけた女の人が
『どうぞ、
きっとあなたの解答は
もう決まってるんですよね?』と言った。
『うん。
彼を生かしてあげよう』
私がそう言うと
眼鏡をかけた女の人は
ため息を吐きつつ私に
『念の為聞きますが、
何故彼を生かそう思うんですか?』と
言った。
『えっと…彼の行為って
誰しも酷い虐めにあった人なら
わかると思うんだ。
それに、
生きてれば虐めっ子の1人や2人
殺したいと思うのは仕方ないこと。
まぁ、
実行に移すのはやり過ぎだけど…でも
彼はまっすぐ生きるために復讐をしたなら
その行為を責められる人はいないし
その罪を死ではなく
生きることで償わなきゃいけないのも
また彼だと思う。
だから…』
私がそこまで言うと
少女が『…彼は 死刑判決を受けたし
ここで 死を選ばなくてもいいと思う』と
言った。
『う~ん、
確かに ここで死を選ばなくても
彼は 死刑になるからっていうのは
わからなくもないし
俺も生きてた時に犯人に復讐したいと
思ったこともある…出来なかったけど。
ただ、
彼は生かして償わせるには
時間が足りないんじゃないか?』
スキンヘッドの男の人が言うと
私が『時間なんて関係無いよ。
それに、
謝罪だけが全てじゃないし』と
言葉を返した。
そう、
「人は寿命って時間で生かされてて
その中で別れや出会いを繰り返して
成長していく。
だから、
あなた方はアルムスター孤児院の宝です。
どうか、
いつまでも笑顔を絶やさぬよう
幸せな日々を私達と共に送りましょう…」
って
誰が言ったのか覚えてないけど
とても大好きだった人が言ってた気がする。
その通りだし
誰もその成長を止める権利は無い。
もちろん、
それが死刑判決を受けた人だとしても
最後の瞬間 成長の先で
どんな事を感じ
どんな事を思うかを
奪う権利は誰にも無い。
だから、
私は…
『何回も言うけど
彼は生きて罪を償うべきだよ』
私がそう言うと
少しの沈黙後
『そうだな。
俺もそれがいいと思う。
生きてるうちに償えるなら
それが1番だ』と
スキンヘッドの男の人が言った。
『だね。
私も難しい事はわからないし
いろんな知識がある訳じゃないけど
確かに 彼は、
死刑になるまでに
いろんな意味で
自分にも周りにも償わなきゃダメだと思う。
だから、
私も生かすに賛成!!』
マシュマロヘアーの女の人がそう言うと
男の人が『俺も生かすに賛成だ。
まぁ、
彼のその根性は気にいらねぇし
やり方もめちゃくちゃだが
一生懸命昔の自分と決着を付けるために
自分と戦ってんだ。
死刑になるまでの時間くらい
自分を見つめ直し
悔いの残らないようにすればいいだろう』と
言った。
『私ももし、
上司からの嫌がらせで自殺してなかったら
きっと…』
アンジェラアキ風の女の人がそう言うと
私が『私は記憶が無いけど…きっと
私だってみんなと同じで
もし一歩違ったなら
彼と同じように
誰かを殺してたかもしれない』
と言った。
しばらくして
『では、
採血を採ります』と
眼鏡をかけた女の人が言い
私は生かすに票を入れた。
それから数時間後、
囚人護送車内で暴れ
対人用麻酔銃で撃たれ
意識を失った男は
念の為警察病院に運び込まれた後
病室のベットの上で目を覚ました。
『どうか、
彼が次産まれ変われる時は
幸せな人生でありますように…。
そして、
爆発に巻き込まれた人々も
早く転生出来ますように…』
その様子を窓の外から見ていた私が
祈りを捧げていると
背後から少女が
『…お姉ちゃん』と声を掛けてきた。
『うわっ!?…びっくりした!!
どうしたの?』
驚きつつ少女に言うと
少女はいつになく真顔で
『お姉ちゃんはとても優しいね』と言った。
『優しい?
優しくないよ。
ただ、
私は悪い事をした人にも
悪い事をされた人にも
幸せになってほしいだけ…えっと、
これって優柔不断って奴かな…えへへ…』
『…うん。
お姉ちゃんは優しくて優柔不断で
誰も見捨てられなくて
いつも一生懸命で
辛い事苦しい事は
1人で抱え込んでばかりで…』
言いつつ真顔だった少女が泣き始めた。
『えっ…えぇ…どうしたの?
えっと…えっと…』
どうして泣いているのかわからず
困っていると肩を振るわせ泣いていた少女が
しゃくり上げながら
『お姉ちゃん…私ね…
ずっとお姉ちゃんに
謝りたかった事があるの…でも
今…お姉ちゃんに言うと…
お姉ちゃんは…うぅ…』と言い
見ていられなかった私は
少女を抱きしめつつ
『私は大丈夫だから…
もう泣かないで』と言った。
何もかも覚えてないし
不安に思うことも沢山あるけど
私はとても優しい家族に恵まれてる。
過去なんてどうでもいいし
今は目の前で泣いてる優しい少女の
涙を止められるようになれたなら…
もっと 頑張らなきゃ…
それからしばらくして
病室に入ってきた警察官に彼は
『申し訳…ありませんでした…』と謝ると
警察官は『痛くなかったか…いや、
痛かったよな。
こちらこそ突然
撃ってしまい申し訳なかった』と言った。
『謝るのは僕の方です。
僕が暴れたから…』
彼がそう言うと
警察官は『不安だったんだよな?
君の調書見せてもらったよ』と言い
話を続けた。
『流石に爆発はやり過ぎだけど
カッターナイフで君を脅し
金を巻き上げた
中学時代の同級生もやり過ぎだ。
それに、
放課後 教室の屋上で
全裸にされて飛び降りろと
殴る蹴るの暴力を振るうなんて
とてもふざけた奴らじゃないか。
先生はいったい何を見ていたんだか…』
『もういいです。
それに僕は彼らを殺して…』
『良いわけないだろ!!
君の傷ついた心はどうなる!?
遺族の人達の前では言えなかったが
君に対して彼らがした事は
外傷が無くても
心に消えない傷を付けたのと同じだ。
なのに、
彼らは…』
警察官は
驚く彼をそのままに
同僚達の前では言えない本音を言うと
『世間が何と言おうと
僕は君を忘れないから』と言った。
産まれて初めて見るような
とても暖かい笑顔だった。
嬉しかった。
嬉しかったけど
彼は後悔した。
爆弾による大量殺人により
死刑を言い渡された彼は
死刑まで僅かなところで
初めて自分をまっすぐ見てくれた人に出会い
もう少し生きたいと思った。
けど、
そんな彼の命の砂時計は
静かに刻々と流れていき…
死刑当日、
彼は刑務所内の
死刑を行う部屋で
首に縄をかけられ
その時を待っていた。
最終確認をする警察官の声が聞こえる…
見えると怖いからと
彼からのお願いで布を被してもらった。
けど、
本当は怖くなって迷惑をかけない為に
被せてもらった。
『はぁ…はぁ…』
怖い…でも、
自分が殺したあいつらは
もっと怖かったんだろうな…
縄が首にかけられ
縄に意識が集中する。
『何か言い残す事はありますか?』
あの警察官と違う警察官の声が聞こえ
彼は震える声で
『…ありがとう』と呟いた。
そして、
彼の絞首刑が執行された。
~~~爆弾魔~~~
END
0
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