4 / 4
第4話 希いごと
しおりを挟む
第4話 希いごと
「ミラ!ディオ!マートン!」
見つけたのは3人。私より2つ年下の女の子のミラに、1つ年上の男の子のマートン、そして2つ年上の男の子のディオだ。3人のうち男の子2人は、私たち子どもの中でも年長者で、私含めよく3人で子どもたちの相手をしている。マートンは少し気弱だけど優しい男の子で、ディオは頭が良くてちょっと無愛想だけど優しい男の子。ミラは私によく懐いてくれている女の子で、デイジーの次に一緒に寝ることが多い。
「「エリィ!」」 「エリィ姉さま!」
3人は驚いたように私を呼んだ。
「よかったあ。無事だったんだね」
「うん。それにしても、何でこんなところに魔族と魔物が…結界があるはずだよね…?」
ほっと一安心して声をかけるが、マートンがそれに返事をしたきり、ミラとマートンは怯えたように魔物のいた方向に目を向けている。仕方ない。魔物というのは、一般人にとってそれだけ脅威の存在なのだから。
「それより!レンのところに戻ろう」
まだ他にも子どもたちがいる。でも、ところどころ聞こえてくる悲鳴は、手遅れになっているかもしれないことを知らせてくる。だけど、無事な子もディオたちのようにいるかもしれないから。3人を連れてライオネルのところに戻ってまた探しに行かないと。
「いや、あれだけ囲まれてる中を突っこんでいくのは無理だろ」
少し考えた素振りを見せたディオが、眉間に皺を寄せてそう呆れたように言う。半分、生を諦めたような悟ったような目をしている。
でも、確かに、そう思ってしまった。ディオは冷静に今の状況を分析しているからこその言葉で、その目なんだろう。私が飛び出してきた家は、今や魔物達が押し寄せていて、入れなくなってしまっている。さらには、火魔法を使える魔物がいるのか、今いる外はあちらこちらで火が上がっていて、夜のはずなのに燃え盛る炎で明るく見える。
じゃあ、どうすればいいの?
ーーライオネルのところに戻るのが一番だろう。でも、それは出来ない。
魔物がいないところまで逃げるべき?
ーーでも、それは一体どこまで行けば安全だってわかる?
じゃあ、他の子供たちと合流すべき?
ーーでも、それでディオたちを危険に晒すのは本末転倒だよ。
私だけで他の子供たちを探す?
ーーいや、今ディオたちと離れるのは愚策。
私に、今みんなを守れて助けられる力があればいいのに。
そう思うけど、今の私じゃどうしようもできない。
うぅ、泣きそう。いや、ダメダメ。今は泣いてる場合じゃない。とにかく、今はディオたちを安全なところまで逃がすことを考えよう。
「でも!ここにいたら危ないから逃げなきゃ。森の方はダメだから、街の方に行こう!それで、誰か助けを呼ぼう!」
運が良かったら、ハンターの人がいるかもだし。そうじゃなくても戦える人は必要だ。常駐の騎士はいるだろう。今の状況を話したら、きっと来てくれるはず。そしたら、他の子どもたちが助かる確率は上がる。
問題は、そこに行くまでに、私たちが無事でいられるかってこと。助けを呼びに行くことを魔族にバレないようにしないといけない。あとは、他の子どもたちが助けを呼ぶまで、ーーいや、それは考えたくない。
泣きそうになりながらの私の言葉に3人はコクリと頷いてくれた。
頼むから、無事でいてね。唇を噛み締めて、小刻みに震えている指先を誤魔化すようにぎゅっと自分の手を握って、そう願いながら街へと走り出す。私たちも無事ではいられないかもしれない、そんな策ではあるけれど、私の中では大きな賭けだった。いるかも分からない神様に、私自身を賭けた。『セシルの聖剣』原作では子どもたちが全滅だったから、原作に抗うことはできるのかっていう賭け。
「ミラ!ディオ!マートン!」
見つけたのは3人。私より2つ年下の女の子のミラに、1つ年上の男の子のマートン、そして2つ年上の男の子のディオだ。3人のうち男の子2人は、私たち子どもの中でも年長者で、私含めよく3人で子どもたちの相手をしている。マートンは少し気弱だけど優しい男の子で、ディオは頭が良くてちょっと無愛想だけど優しい男の子。ミラは私によく懐いてくれている女の子で、デイジーの次に一緒に寝ることが多い。
「「エリィ!」」 「エリィ姉さま!」
3人は驚いたように私を呼んだ。
「よかったあ。無事だったんだね」
「うん。それにしても、何でこんなところに魔族と魔物が…結界があるはずだよね…?」
ほっと一安心して声をかけるが、マートンがそれに返事をしたきり、ミラとマートンは怯えたように魔物のいた方向に目を向けている。仕方ない。魔物というのは、一般人にとってそれだけ脅威の存在なのだから。
「それより!レンのところに戻ろう」
まだ他にも子どもたちがいる。でも、ところどころ聞こえてくる悲鳴は、手遅れになっているかもしれないことを知らせてくる。だけど、無事な子もディオたちのようにいるかもしれないから。3人を連れてライオネルのところに戻ってまた探しに行かないと。
「いや、あれだけ囲まれてる中を突っこんでいくのは無理だろ」
少し考えた素振りを見せたディオが、眉間に皺を寄せてそう呆れたように言う。半分、生を諦めたような悟ったような目をしている。
でも、確かに、そう思ってしまった。ディオは冷静に今の状況を分析しているからこその言葉で、その目なんだろう。私が飛び出してきた家は、今や魔物達が押し寄せていて、入れなくなってしまっている。さらには、火魔法を使える魔物がいるのか、今いる外はあちらこちらで火が上がっていて、夜のはずなのに燃え盛る炎で明るく見える。
じゃあ、どうすればいいの?
ーーライオネルのところに戻るのが一番だろう。でも、それは出来ない。
魔物がいないところまで逃げるべき?
ーーでも、それは一体どこまで行けば安全だってわかる?
じゃあ、他の子供たちと合流すべき?
ーーでも、それでディオたちを危険に晒すのは本末転倒だよ。
私だけで他の子供たちを探す?
ーーいや、今ディオたちと離れるのは愚策。
私に、今みんなを守れて助けられる力があればいいのに。
そう思うけど、今の私じゃどうしようもできない。
うぅ、泣きそう。いや、ダメダメ。今は泣いてる場合じゃない。とにかく、今はディオたちを安全なところまで逃がすことを考えよう。
「でも!ここにいたら危ないから逃げなきゃ。森の方はダメだから、街の方に行こう!それで、誰か助けを呼ぼう!」
運が良かったら、ハンターの人がいるかもだし。そうじゃなくても戦える人は必要だ。常駐の騎士はいるだろう。今の状況を話したら、きっと来てくれるはず。そしたら、他の子どもたちが助かる確率は上がる。
問題は、そこに行くまでに、私たちが無事でいられるかってこと。助けを呼びに行くことを魔族にバレないようにしないといけない。あとは、他の子どもたちが助けを呼ぶまで、ーーいや、それは考えたくない。
泣きそうになりながらの私の言葉に3人はコクリと頷いてくれた。
頼むから、無事でいてね。唇を噛み締めて、小刻みに震えている指先を誤魔化すようにぎゅっと自分の手を握って、そう願いながら街へと走り出す。私たちも無事ではいられないかもしれない、そんな策ではあるけれど、私の中では大きな賭けだった。いるかも分からない神様に、私自身を賭けた。『セシルの聖剣』原作では子どもたちが全滅だったから、原作に抗うことはできるのかっていう賭け。
0
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
前世のノリで全力面接対策したらスパイを疑われた
碧井 汐桜香
ファンタジー
前世の記憶のあるジョセフィーヌ・アイジャルは、ついに学園を卒業する。
王宮に士官するために、筆記試験は無事に好成績で突破し、最後の面接試験だ。
前世の通りにガクチカ、自己PRと企業分析。完璧に済ませて臨んだ面接は、何かおかしな様子で……?
私の生前がだいぶ不幸でカミサマにそれを話したら、何故かそれが役に立ったらしい
あとさん♪
ファンタジー
その瞬間を、何故かよく覚えている。
誰かに押されて、誰?と思って振り向いた。私の背を押したのはクラスメイトだった。私の背を押したままの、手を突き出した恰好で嘲笑っていた。
それが私の最後の記憶。
※わかっている、これはご都合主義!
※設定はゆるんゆるん
※実在しない
※全五話
え?わたくしは通りすがりの元病弱令嬢ですので修羅場に巻き込まないでくたさい。
ネコフク
恋愛
わたくしリィナ=ユグノアは小さな頃から病弱でしたが今は健康になり学園に通えるほどになりました。しかし殆ど屋敷で過ごしていたわたくしには学園は迷路のような場所。入学して半年、未だに迷子になってしまいます。今日も侍従のハルにニヤニヤされながら遠回り(迷子)して出た場所では何やら不穏な集団が・・・
強制的に修羅場に巻き込まれたリィナがちょっとだけざまぁするお話です。そして修羅場とは関係ないトコで婚約者に溺愛されています。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる