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第4話 希いごと
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第4話 希いごと
「ミラ!ディオ!マートン!」
見つけたのは3人。私より2つ年下の女の子のミラに、1つ年上の男の子のマートン、そして2つ年上の男の子のディオだ。3人のうち男の子2人は、私たち子どもの中でも年長者で、私含めよく3人で子どもたちの相手をしている。マートンは少し気弱だけど優しい男の子で、ディオは頭が良くてちょっと無愛想だけど優しい男の子。ミラは私によく懐いてくれている女の子で、デイジーの次に一緒に寝ることが多い。
「「エリィ!」」 「エリィ姉さま!」
3人は驚いたように私を呼んだ。
「よかったあ。無事だったんだね」
「うん。それにしても、何でこんなところに魔族と魔物が…結界があるはずだよね…?」
ほっと一安心して声をかけるが、マートンがそれに返事をしたきり、ミラとマートンは怯えたように魔物のいた方向に目を向けている。仕方ない。魔物というのは、一般人にとってそれだけ脅威の存在なのだから。
「それより!レンのところに戻ろう」
まだ他にも子どもたちがいる。でも、ところどころ聞こえてくる悲鳴は、手遅れになっているかもしれないことを知らせてくる。だけど、無事な子もディオたちのようにいるかもしれないから。3人を連れてライオネルのところに戻ってまた探しに行かないと。
「いや、あれだけ囲まれてる中を突っこんでいくのは無理だろ」
少し考えた素振りを見せたディオが、眉間に皺を寄せてそう呆れたように言う。半分、生を諦めたような悟ったような目をしている。
でも、確かに、そう思ってしまった。ディオは冷静に今の状況を分析しているからこその言葉で、その目なんだろう。私が飛び出してきた家は、今や魔物達が押し寄せていて、入れなくなってしまっている。さらには、火魔法を使える魔物がいるのか、今いる外はあちらこちらで火が上がっていて、夜のはずなのに燃え盛る炎で明るく見える。
じゃあ、どうすればいいの?
ーーライオネルのところに戻るのが一番だろう。でも、それは出来ない。
魔物がいないところまで逃げるべき?
ーーでも、それは一体どこまで行けば安全だってわかる?
じゃあ、他の子供たちと合流すべき?
ーーでも、それでディオたちを危険に晒すのは本末転倒だよ。
私だけで他の子供たちを探す?
ーーいや、今ディオたちと離れるのは愚策。
私に、今みんなを守れて助けられる力があればいいのに。
そう思うけど、今の私じゃどうしようもできない。
うぅ、泣きそう。いや、ダメダメ。今は泣いてる場合じゃない。とにかく、今はディオたちを安全なところまで逃がすことを考えよう。
「でも!ここにいたら危ないから逃げなきゃ。森の方はダメだから、街の方に行こう!それで、誰か助けを呼ぼう!」
運が良かったら、ハンターの人がいるかもだし。そうじゃなくても戦える人は必要だ。常駐の騎士はいるだろう。今の状況を話したら、きっと来てくれるはず。そしたら、他の子どもたちが助かる確率は上がる。
問題は、そこに行くまでに、私たちが無事でいられるかってこと。助けを呼びに行くことを魔族にバレないようにしないといけない。あとは、他の子どもたちが助けを呼ぶまで、ーーいや、それは考えたくない。
泣きそうになりながらの私の言葉に3人はコクリと頷いてくれた。
頼むから、無事でいてね。唇を噛み締めて、小刻みに震えている指先を誤魔化すようにぎゅっと自分の手を握って、そう願いながら街へと走り出す。私たちも無事ではいられないかもしれない、そんな策ではあるけれど、私の中では大きな賭けだった。いるかも分からない神様に、私自身を賭けた。『セシルの聖剣』原作では子どもたちが全滅だったから、原作に抗うことはできるのかっていう賭け。
「ミラ!ディオ!マートン!」
見つけたのは3人。私より2つ年下の女の子のミラに、1つ年上の男の子のマートン、そして2つ年上の男の子のディオだ。3人のうち男の子2人は、私たち子どもの中でも年長者で、私含めよく3人で子どもたちの相手をしている。マートンは少し気弱だけど優しい男の子で、ディオは頭が良くてちょっと無愛想だけど優しい男の子。ミラは私によく懐いてくれている女の子で、デイジーの次に一緒に寝ることが多い。
「「エリィ!」」 「エリィ姉さま!」
3人は驚いたように私を呼んだ。
「よかったあ。無事だったんだね」
「うん。それにしても、何でこんなところに魔族と魔物が…結界があるはずだよね…?」
ほっと一安心して声をかけるが、マートンがそれに返事をしたきり、ミラとマートンは怯えたように魔物のいた方向に目を向けている。仕方ない。魔物というのは、一般人にとってそれだけ脅威の存在なのだから。
「それより!レンのところに戻ろう」
まだ他にも子どもたちがいる。でも、ところどころ聞こえてくる悲鳴は、手遅れになっているかもしれないことを知らせてくる。だけど、無事な子もディオたちのようにいるかもしれないから。3人を連れてライオネルのところに戻ってまた探しに行かないと。
「いや、あれだけ囲まれてる中を突っこんでいくのは無理だろ」
少し考えた素振りを見せたディオが、眉間に皺を寄せてそう呆れたように言う。半分、生を諦めたような悟ったような目をしている。
でも、確かに、そう思ってしまった。ディオは冷静に今の状況を分析しているからこその言葉で、その目なんだろう。私が飛び出してきた家は、今や魔物達が押し寄せていて、入れなくなってしまっている。さらには、火魔法を使える魔物がいるのか、今いる外はあちらこちらで火が上がっていて、夜のはずなのに燃え盛る炎で明るく見える。
じゃあ、どうすればいいの?
ーーライオネルのところに戻るのが一番だろう。でも、それは出来ない。
魔物がいないところまで逃げるべき?
ーーでも、それは一体どこまで行けば安全だってわかる?
じゃあ、他の子供たちと合流すべき?
ーーでも、それでディオたちを危険に晒すのは本末転倒だよ。
私だけで他の子供たちを探す?
ーーいや、今ディオたちと離れるのは愚策。
私に、今みんなを守れて助けられる力があればいいのに。
そう思うけど、今の私じゃどうしようもできない。
うぅ、泣きそう。いや、ダメダメ。今は泣いてる場合じゃない。とにかく、今はディオたちを安全なところまで逃がすことを考えよう。
「でも!ここにいたら危ないから逃げなきゃ。森の方はダメだから、街の方に行こう!それで、誰か助けを呼ぼう!」
運が良かったら、ハンターの人がいるかもだし。そうじゃなくても戦える人は必要だ。常駐の騎士はいるだろう。今の状況を話したら、きっと来てくれるはず。そしたら、他の子どもたちが助かる確率は上がる。
問題は、そこに行くまでに、私たちが無事でいられるかってこと。助けを呼びに行くことを魔族にバレないようにしないといけない。あとは、他の子どもたちが助けを呼ぶまで、ーーいや、それは考えたくない。
泣きそうになりながらの私の言葉に3人はコクリと頷いてくれた。
頼むから、無事でいてね。唇を噛み締めて、小刻みに震えている指先を誤魔化すようにぎゅっと自分の手を握って、そう願いながら街へと走り出す。私たちも無事ではいられないかもしれない、そんな策ではあるけれど、私の中では大きな賭けだった。いるかも分からない神様に、私自身を賭けた。『セシルの聖剣』原作では子どもたちが全滅だったから、原作に抗うことはできるのかっていう賭け。
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