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番外編(幼稚園・小学生編)

たとえばこんな転生モブがいる2

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 そう、あれは、小学校五年生のある日。

 「お前ら、七海のこと好きなの?」

 「てか、お前ら、どっちが七海とできてんの?」

 「三人で登下校してるしなー」

 「お前ら距離近すぎだし。ただの幼なじみじゃねえだろ」

 おそらくりあちゃんのことを好きなんだろう男子達が、推しとりあちゃんと日向くんの仲をからかい出した。あたりはざわめく。りあちゃんは、どうしよう、二人から離れた方がいいのかな?とでも思ってそうな、不安げな表情だ。推しと日向くんの表情は私の位置からは見えないが、まあ、私は二人がそれは許さないと思うけどなー。
 あとな、推し達の仲に嫉妬した狭量な男子共?推しカプをからかうなんざ、どういうことや?私が相手するぞ?これで、3人が一緒にいなくなったらどうしてくれるんだ?そうなったら、万死に値するぞ?そう思いながら、私は密かに心の中でその男子たちにメンチを切っていた。


 推しと日向くんは、近くにいた女子にりあちゃんを頼むと、からかっていた男子を連れて教室から出ていった。いっせいに、りあちゃんを男子共から守るために女子たちが囲んだ。完全にお姫様を守る騎士じゃん、うちのクラスの女子。うちのクラスの女子たちって強いからね。揃いも揃って、SECOMだから。りあちゃんの。推しと日向くんのこと好きになって、でも、りあちゃんがいて、それでバッサリ振られても、だよね~って、なって、むしろ、じゃないと解釈違いなんでってなる子たちだから。どっちとくっつくか賭け始めるくらいだし。見守る会にはもれなく全員入ってるし。一番りあちゃんと仲のいい、心雪(こゆき)ちゃんと瑠花(るか)ちゃんは、りあちゃんガチ勢だし。この前、りあちゃんの手作りお菓子貰ったって自慢された。くそ羨ましい。



 だいたい、男子共は、推しと日向くんとりあちゃんの仲をからかって、推しと日向くんをりあちゃんから離すのを狙ってたんだろうけど、そんなの、それまでの2人の目もりあちゃんに対する好き好きオーラで溢れてたって言うのに、4年生になったあたりから、砂糖と生クリームを煮詰めに煮詰めて蜂蜜ぶっかけてみましたーって感じの目をしてりあちゃん見てる2人なのに、それはありえないだろって思わず虚無の目でその男子共を見てしまうのは仕方の無い話だと思うんだ。うん。だいたいそれくらいからボディータッチも多くなったし。それまでもベタベタひっつきまくってはいたけど、なんて言うか、触り方に色気がでてきたというか。うん。
 そう。あれは放課後、先生に呼ばれてた推しと日向くんを待ってたりあちゃんが、うっかり寝てしまっていた時のことだ。戻ってきた推しがりあちゃんの寝てる席の前の席に座って、りあちゃんの髪を一房手に取って軽く手で遊ばせた後に、その髪にキスしてるのをうっかり見てしまった時は、音のない悲鳴をあげて鼻血出すかと思った。その時のキスしてる時の推しの目がやばかった。色気ありすぎて、お前ほんとに小学生か?って言いたくなる感じだった。

 まあ、とにかく。男子共に合掌。


 はぁ、だって、明らかにこれは推しと日向くんによる男子達への特別授業だよね!りあちゃんに手を出すなって言う…。からかわれても離れるわけないとか…。そんなことを推しと日向くんが言ってるのかなあ…。え、見たい。絶対イベント的なあれで、スチルあるやつ。ちょっと見てくる。

 少々お待ち下さい。

 ひぇっ。


 うっかり人ひとり殺ってきました、って感じの目をした推しと日向くんがががががが。

 見せられるものじゃなかったので、すまんが、想像に任せるわ。いやー、それにしても推しと日向くん…。笑顔って、凶器なんだね。モブ、理解した。くわばらくわばら。


 まあ、何はともあれ、推しカプを見守る生活は守られたようだ。美少女っぷりに磨きがかかってきたりあちゃんは、相変わらず天使だし。推しと日向くんからのクソデカ感情を向けられているのに、スルーできてるりあちゃんは流石だ。クラス全員どころか学校全員に2人の片思いはバレバレなのに。でも、りあちゃんはそのままでいいんだよぉ。おばちゃん、何でもしたげるからねぇ!精神にモブは磨きがかかってきたよ。だって可愛いは正義だからね。りあちゃんの視神経と脳細胞、ちゃんと繋がってるか不安だけど。あれだけ、2人の甘々対応と甘々の顔見せられて、視界の暴力に訴えられてるというのに。あ、2人はりあちゃんにはあれが通常対応だからか。なるほど、モブ把握した。





 そして、修学旅行の季節がやってきた。


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こんにちは、作者です。
完全に遅れました。すみません。

執筆意欲がね、あるけど、思いつかない。他のやつばっかり思いつく。これはあかん。


【転生したらよく知らない漫画の悪役キャラになってたっていう話】
新作です。良かったらどうぞ。
エレノアっていう孤児の女の子(転生者)が、ハンター冒険者になって、自分の出生の秘密を知って、恩人のライオネルくんの素性を知って、エレノアが成り上がって幸せを掴むまでの物語です。
今のところ(6月14日)1話だけ投稿してます。あんまり伸びてないから、非公開にするかもって悩んでる。



でも、やっぱり、この転生モブちゃん書くの楽しいわー。転生モブちゃんは転生モブちゃんで一個連載したいくらい。転生モブちゃんの相手は転生モブちゃんの苦労人な幼なじみかなー。いつもそーくんれーくんりあちゃんの話聞かされて呆れながらも転生モブちゃんを見守ってあげてる男の子。誰か読みたいって人いる?
まあ、この転生モブちゃんは便利だから、たまーにこの子目線のを書いてきますけど。
中学生編はちょっと待ってね。新キャラの名前がが。一個これだーっ!!って思ったやつをメモするの忘れて、そのまま記憶の彼方に飛んでっちゃったの。ただのばかやん。


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