王命で結ばれた平民魔道士と次期辺境伯令息

月下 雪華

文字の大きさ
6 / 7

結婚式の後で

しおりを挟む

 その後、彼は初夜の前と比べ格段に私と共にいるようになる。
 初夜の次の日から数日、私は疲労に起因する発熱や食欲不振に襲われ、ベッドから出られなかった。
 セザーは夜や朝、無理に作った時間の度に来て、看病をして帰った。

 それが治っても私に性的接触をすることなく、あくまで安心と安らぎを与える程度の触れ合いと会話を続けた。
 そこでは、「私が努力しているのを遠くで見て、話していくうちに私が好きになった」だとか、「彼が自領で賊に絡まれた所に駆けつけて王を助け出したから好かれたのだ」とか、「私が出した様々な効率化の論文は辺境にとって本当に役に立つもので、セザーの親は私たちの結婚には最初から賛成だった」とか真実を冗談を入れず、しっかりと伝えてくれた。
 ずっと怖がっていた私がそんな彼に好意を抱くのも当然であって。
 私は、私の望んでいた結婚が出来るのだ。そう思うと、胸がときめいた。

 
 そうして、彼の領内で結婚式をあげる頃には私はもうかなり元気になっていた。

 そして、私たちにとってのやり直しの初夜がやってくる。
 
 
 私は、ぼふりと音を立てて横座りでベッドに乗った。
「シャル。本当に無理してないのか?」
「大丈夫。無理はしてないよ。でも、緊張はしてる」
 せザーが式の間から今に至るまでずっと過保護に反応してくるものだから、私はソワソワしながらも反応を返した。
 彼は前の初夜の時のように上から目線で立ちながら、心配そうに私を眺めている。

「私は、セザーのおかげで家族と気軽に会えるようになったし、私を虐げてきた領主は罰せられたし、私は、こんなに元気になれたの。全部、セザーがいたから。ありがとう、セザー」
 それに今日、王から彼が私の問題に気づいてからは私がもっと虐められないように、色々と彼が守ってくれていたのだとも教えてもらった。セザーが気にしてるようだから本人には言うなと口止めされていたから言うことはないが本当に知らなかったし、助けられていたのだと。それを聞いて、本当に好きになってしまった。

 
「だからね、私、セザーになら何されても良いよ」
 彼のリネン地の服の袖を掴んで、軽く引っ張る。


「……本気か」
「うん」

 今度は魔法なんて使わない。
 セザーの意識で、セザーの手で愛されたい。


 私の手に彼の指が添う。
「俺から触れられるのは気持ち悪くないか?」
「大丈夫だよ」

「……今度は絶対良くするから」
 彼が私の体を押し倒す。


 心臓がバクバクとうるさくなった。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

女公爵になるはずが、なぜこうなった?

薄荷ニキ
恋愛
「ご挨拶申し上げます。わたくしフェルマー公爵の長女、アメリアと申します」 男性優位が常識のラッセル王国で、女でありながら次期当主になる為に日々頑張るアメリア。 最近は可愛い妹カトレアを思い、彼女と王太子の仲を取り持とうと奮闘するが…… あれ? 夢に見た恋愛ゲームと何か違う? ーーーーーーーーーーーーーー ※主人公は転生者ではありません。

冷酷王子と逃げたいのに逃げられなかった婚約者

月下 雪華
恋愛
我が国の第2王子ヴァサン・ジェミレアスは「氷の冷酷王子」と呼ばれている。彼はその渾名の通り誰に対しても無反応で、冷たかった。それは、彼の婚約者であるカトリーヌ・ブローニュにでさえ同じであった。そんな彼の前に現れた常識のない女に心を乱したカトリーヌは婚約者の席から逃げる事を思いつく。だが、それを阻止したのはカトリーヌに何も思っていなさそうなヴァサンで…… 誰に対しても冷たい反応を取る王子とそんな彼がずっと好きになれない令嬢の話

「離婚しよう」と軽く言われ了承した。わたくしはいいけど、アナタ、どうなると思っていたの?

あとさん♪
恋愛
突然、王都からお戻りになったダンナ様が、午後のお茶を楽しんでいたわたくしの目の前に座って、こう申しましたのよ、『離婚しよう』と。 閣下。こういう理由でわたくしの結婚生活は終わりましたの。 そう、ぶちまけた。 もしかしたら別れた男のあれこれを話すなんて、サイテーな女の所業かもしれない。 でも、もう良妻になる気は無い。どうでもいいとばかりに投げやりになっていた。 そんなヤサぐれモードだったわたくしの話をじっと聞いて下さった侯爵閣下。 わたくし、あなたの後添いになってもいいのでしょうか? ※前・中・後編。番外編は緩やかなR18(4話)。(本編より長い番外編って……orz) ※なんちゃって異世界。 ※「恋愛」と「ざまぁ」の相性が、実は悪いという話をきいて挑戦してみた。ざまぁは後編に。 ※この話は小説家になろうにも掲載しております。

貴方の子を産み育ててますが、結婚はお断りします

鳴宮鶉子
恋愛
貴方の子を産み育ててますが、結婚はお断りします

売られた先は潔癖侯爵とその弟でした

しゃーりん
恋愛
貧乏伯爵令嬢ルビーナの元に縁談が来た。 潔癖で有名な25歳の侯爵である。 多額の援助と引き換えに嫁ぐことになった。 お飾りの嫁になる覚悟のもと、嫁いだ先でのありえない生活に流されて順応するお話です。

【4話完結】 君を愛することはないと、こっちから言ってみた

紬あおい
恋愛
皇女にべったりな護衛騎士の夫。 流行りの「君を愛することはない」と先に言ってやった。 ザマアミロ!はあ、スッキリした。 と思っていたら、夫が溺愛されたがってる…何で!?

【完結】お父様(悪人顔・強面)似のウブな辺境伯令嬢は白い?結婚を望みます。

カヨワイさつき
恋愛
魔物討伐で功績を上げた男勝りの辺境伯の5女は、"子だねがない"とウワサがある王子と政略結婚結婚する事になってしまった。"3年間子ども出来なければ離縁出来る・白い結婚・夜の夫婦生活はダメ"と悪人顔で強面の父(愛妻家で子煩悩)と約束した。だが婚姻後、初夜で……。

婚約破棄される令嬢は最後に情けを求め

かべうち右近
恋愛
「婚約を解消しよう」 いつも通りのお茶会で、婚約者のディルク・マイスナーに婚約破棄を申し出られたユーディット。 彼に嫌われていることがわかっていたから、仕方ないと受け入れながらも、ユーディットは最後のお願いをディルクにする。 「私を、抱いてください」 だめでもともとのその申し出を、何とディルクは受け入れてくれて……。 婚約破棄から始まるハピエンの短編です。 この小説はムーンライトノベルズ、アルファポリス同時投稿です。

処理中です...