5 / 7
誤解
しおりを挟む「いや、王がそう言ったのならそれは俺のせいなんだ。将来だってそうだ。シャルは何も悪くなる事はない。俺から君を望んでおいて、そんな悪い状況にはさせない」
「え……王は私の家族が大切なのは分かっているぞって言ってきたのに?その時、セザーは結婚について何も言わなかったのに?」
私を望んでいたという彼の発言の衝撃で頭がいっぱいになった私は思っていたことを吐き出した。驚きでパチパチと目を瞬かす。
「……王のそれは、悪い癖だ。殺すぞと脅しているのではなく、シャルの家族を王自ら保護していているが、命令を飲んで妻となればもっと確実に俺が家族を守ってくれるだろうから俺に嫁げと言いたかったんだろう」
セザーは私の発言に体を強ばらせ、私から目を逸らした。表情には悔恨の感情が浮かんでいる。
「それに、シャルを望んでいることは俺の口から言うつもりだったんだが、王が世話になった俺の為だと言い張ってきてな。俺がシャルを娶りたいと奴に洩らしたのは俺なんだが、思っていたよりしつこくて断りきれなかったんだ。だから、悪いのは俺の方だ。拒否権がないのに結婚を押し付けて……シャルに嫌がられたと思うと結婚について言うことも出来なくて、愛人だとかする気もさせたくもないのに言ってしまって……」
「え?」
「できるなら、もう一度チャンスをくれないか?シャルには、申し訳なかった。でも、諦められない。俺はシャルを手放したくないんだ」
頭が上手く働かない。
「セ、セザーは私のことが好きなの?王は結婚させたかっただけ?私は今後も大丈夫なの?」
「そうだ。そんなに心配するな」
「なぜ、最初からそう言ってくれないの」
「俺が今日そう言わなかったか?その発言にそれなりの笑顔で頷いていたように覚えているが……いや、いつもと雰囲気が違ったな。やはりシャルは無理をしていたか……」
「え、あ、そ、そうだったんだ……」
何も頭に入らない状態で返事はやはりするべきでなかったようだ。流石に限界突破しすぎたらしい。大切な所も聴き逃している。
「……言っただろう。シャルは疲れているんだ。もう寝た方がいい」
彼は私に敷かれていた体を起こして、私に布団をぐるぐると巻いた。
彼の肌に感じる温かさが離れていくのに、少し悲しい気持ちになった。
「シャル。おやすみ」
私を諭すような言葉を発しながら、頭を撫でられる手の動きは昔の母を思い出した。少々声に怖さがあるが、その発言に私は彼に甘えてもいいのだと感じさせる。
「……おやすみなさい」
彼の言葉にしたがって目を瞑ると、その途端に深い眠りに落ちた。
0
あなたにおすすめの小説
女公爵になるはずが、なぜこうなった?
薄荷ニキ
恋愛
「ご挨拶申し上げます。わたくしフェルマー公爵の長女、アメリアと申します」
男性優位が常識のラッセル王国で、女でありながら次期当主になる為に日々頑張るアメリア。
最近は可愛い妹カトレアを思い、彼女と王太子の仲を取り持とうと奮闘するが……
あれ? 夢に見た恋愛ゲームと何か違う?
ーーーーーーーーーーーーーー
※主人公は転生者ではありません。
冷酷王子と逃げたいのに逃げられなかった婚約者
月下 雪華
恋愛
我が国の第2王子ヴァサン・ジェミレアスは「氷の冷酷王子」と呼ばれている。彼はその渾名の通り誰に対しても無反応で、冷たかった。それは、彼の婚約者であるカトリーヌ・ブローニュにでさえ同じであった。そんな彼の前に現れた常識のない女に心を乱したカトリーヌは婚約者の席から逃げる事を思いつく。だが、それを阻止したのはカトリーヌに何も思っていなさそうなヴァサンで……
誰に対しても冷たい反応を取る王子とそんな彼がずっと好きになれない令嬢の話
「離婚しよう」と軽く言われ了承した。わたくしはいいけど、アナタ、どうなると思っていたの?
あとさん♪
恋愛
突然、王都からお戻りになったダンナ様が、午後のお茶を楽しんでいたわたくしの目の前に座って、こう申しましたのよ、『離婚しよう』と。
閣下。こういう理由でわたくしの結婚生活は終わりましたの。
そう、ぶちまけた。
もしかしたら別れた男のあれこれを話すなんて、サイテーな女の所業かもしれない。
でも、もう良妻になる気は無い。どうでもいいとばかりに投げやりになっていた。
そんなヤサぐれモードだったわたくしの話をじっと聞いて下さった侯爵閣下。
わたくし、あなたの後添いになってもいいのでしょうか?
※前・中・後編。番外編は緩やかなR18(4話)。(本編より長い番外編って……orz)
※なんちゃって異世界。
※「恋愛」と「ざまぁ」の相性が、実は悪いという話をきいて挑戦してみた。ざまぁは後編に。
※この話は小説家になろうにも掲載しております。
売られた先は潔癖侯爵とその弟でした
しゃーりん
恋愛
貧乏伯爵令嬢ルビーナの元に縁談が来た。
潔癖で有名な25歳の侯爵である。
多額の援助と引き換えに嫁ぐことになった。
お飾りの嫁になる覚悟のもと、嫁いだ先でのありえない生活に流されて順応するお話です。
【4話完結】 君を愛することはないと、こっちから言ってみた
紬あおい
恋愛
皇女にべったりな護衛騎士の夫。
流行りの「君を愛することはない」と先に言ってやった。
ザマアミロ!はあ、スッキリした。
と思っていたら、夫が溺愛されたがってる…何で!?
【完結】お父様(悪人顔・強面)似のウブな辺境伯令嬢は白い?結婚を望みます。
カヨワイさつき
恋愛
魔物討伐で功績を上げた男勝りの辺境伯の5女は、"子だねがない"とウワサがある王子と政略結婚結婚する事になってしまった。"3年間子ども出来なければ離縁出来る・白い結婚・夜の夫婦生活はダメ"と悪人顔で強面の父(愛妻家で子煩悩)と約束した。だが婚姻後、初夜で……。
婚約破棄される令嬢は最後に情けを求め
かべうち右近
恋愛
「婚約を解消しよう」
いつも通りのお茶会で、婚約者のディルク・マイスナーに婚約破棄を申し出られたユーディット。
彼に嫌われていることがわかっていたから、仕方ないと受け入れながらも、ユーディットは最後のお願いをディルクにする。
「私を、抱いてください」
だめでもともとのその申し出を、何とディルクは受け入れてくれて……。
婚約破棄から始まるハピエンの短編です。
この小説はムーンライトノベルズ、アルファポリス同時投稿です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる