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第十七話
青い花の精霊
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「さぁ、そろそろ出口だ。出口付近は気を付けてくれよ!放り出されるから!」
ジョーはポンとりりにさらっと忠告した。
「えっ?えっ?ちょっとジョーさん!放り出されるってどういう事だにゃ?」耳を疑うようなジョーの忠告にりりは戸惑っている。
その忠告通り、ふたりの体は、何かに引っ張られるような、まるで吸い込まれるような感覚になり、体がズズズズと自分の意思とは関係なく引きずられるように出口へと引っ張られていく。
「うわ!なんだにゃ??体が勝手に前に!」
「あわわわわ!何これ??面白~い!」
「楽しんでる場合じゃないにゃ!体が言うこと聞かないにゃ!」
そして出口が近づくにつれて、その吸引力は強さを増していく。
そしてお互いに掴まり合うポンとりりだが、あっという間に出口へと回転しながらひゅーーーっと引っ張られるように光の外へと放り出されてしまった。
そして勢いよく飛び出したポンとりりは林の中に不自然にある、四角形に大きく深く空いたの穴の中にドサッと落ちた。
「いててて~!りり、大丈夫?」
「あぁ、オイラは大丈夫だにゃ。何とか無事着地できたにゃ。しかしあんなに勢いよく飛び出るなんてビックリしたにゃ。」
「本当だね、でも面白かった。」
「なぁ、ポン。オイラ達、この花の上に落ちたお陰で助かったみたいだにゃ。」
ポンとりりは深く掘られた穴の中にある花壇の上に落ちたようだ。
「本当だ!大変!お花さん踏んづけちゃってごめんなさい!」
するとジョーとヨーコがふたりのお守りから現れた。
「2人とも無事なようだね。」
ジョーは安心した表情で言った。
「良かった。メコノプシスに助けられたようね。」
ヨーコも安心した表情で言った。
「メコノなんとかってこの花の名前ですかにゃ?」
「そうよ。このメコノプシスは通称『ヒマラヤの青いケシ』とも呼ばれていて、寒い場所でしか咲かないの。」
「へぇ~そうなんですねぇ。ぽくたちを受け止めてくれてありがとうね。」
するとメコノプシスの花の中からひょっこり青色の衣装の可愛い妖精が現れた。
「わぁ!ビックリしたぁ!」
花の妖精は驚いた様子でふたりに言った。
「これはこれはこの花の妖精さん、こんにちは。お邪魔してすまなかったね。」
「妖精さんごめんなさいね。すべて私たちの責任です。どうか許してくださいね。私はヨーコよ。」
「僕はジョー。」
「オイラはりりだにゃ。」
「ぽくはポンだよ。あなたのお名前は?」
「私はメコノプシスを守る精霊リンと申します。あなた達がここに来ることはソウコウさんから聞いていました。」
「本当かい?それなら話が早い。ソウコウさんは元気なのかい?」
「ええ、ソウコウさんはお元気ですよ。ただ・・・。」
「何?ソウコウさんがどうかしたのかい?」
ジョーは心配そうに聞いた。
「実は少しずつ視力が低下してしまって。今では肉眼では目は見えないの。」
「しかし、ソウコウさんは万里眼があるはずじゃ?」
「そう、『万里眼』。別名『神眼』でしか今は見る事ができないの。」
「神眼?!その呼び名は初めて聞いたな。」
「ソウコウさんは、どんな遠くのモノも見え過ぎるがゆえに、見たくもないモノも見てきから、ずっと苦しんできたのよ。」
「そうだったのか。知らなかった。」
「そうだ!こんなとこで話もなんだから、ソウコウさんを呼んでくるわね。
そこのハシゴから上に上がってて?」
リンは宙を華麗に舞いながら、ポンとりりに指示をした後、林の中に不自然にある大きな岩の隙間から中へと入っていった。
「さて、この上に行けば良いんだにゃ?」
「ハシゴって、これだよね?ぽくから登って良い?」
「ああ、ポンはハシゴで登るにゃ。オイラはこんなの使わなくてもいいにゃ。」
りりはそういうと、スタタタタッと壁を駆け上がっていった。
「りり~ズルいよ~!よいしょっ!よいしょっ!」
ポンはそう言いながら両手両足を一生懸命に使ってなんとかハシゴを登り切る事ができた。
「ふ~ぅ!無事、上に来れた。あれっ?林の中に大きな岩がたくさんあるけど何だろう?しかもなんか寒いし!」
「たしかに、さっきからにゃんだか寒いと思ってたにゃ。オイラは寒いの苦手のんだにゃ~。」
すると岩の隙間から、再びリンが現れた。
「お待たせしました~!扉が開きますので、ふたりとも少し離れていて下さい。」
ふたりは慌てて後ろに下がった。
するとその後、ゴゴゴゴゴーー!!という音と共に大きな岩が、こびり付いたコケを落としながら横に動き始めた。
岩は、人がひとり通れる程の隙間ができた頃に止まった。
ポンとりりは、その開いた隙間の暗闇の中から人の気配を感じた。
「いや~、こんなとこまで、よく来たねぇ。」
そう言いながら現れたのは、長い白髪を後ろで束ね、前髪は長く垂らしている、見た目は初老の男性。
その彼こそが、ジョーの叔父である、『マツヤマ ソウコウ』その人だ。
「ソウコウさん!」
ジョーは久しぶりの再会に目を潤ませている。
「この人が、ジョーさんの叔父さんかにゃ。どこかジョーさんに似てるにゃ。」
りりはジョーとソウコウの顔を見比べている。
「ジョーさん、やっと会えて良かったね!」ポンも嬉しそうに言った。
「まぁ、立ち話もなんだから、みんな中に入りなさい。」ソウコウはそう言うとみんなを岩の中へと案内した。
ジョーはポンとりりにさらっと忠告した。
「えっ?えっ?ちょっとジョーさん!放り出されるってどういう事だにゃ?」耳を疑うようなジョーの忠告にりりは戸惑っている。
その忠告通り、ふたりの体は、何かに引っ張られるような、まるで吸い込まれるような感覚になり、体がズズズズと自分の意思とは関係なく引きずられるように出口へと引っ張られていく。
「うわ!なんだにゃ??体が勝手に前に!」
「あわわわわ!何これ??面白~い!」
「楽しんでる場合じゃないにゃ!体が言うこと聞かないにゃ!」
そして出口が近づくにつれて、その吸引力は強さを増していく。
そしてお互いに掴まり合うポンとりりだが、あっという間に出口へと回転しながらひゅーーーっと引っ張られるように光の外へと放り出されてしまった。
そして勢いよく飛び出したポンとりりは林の中に不自然にある、四角形に大きく深く空いたの穴の中にドサッと落ちた。
「いててて~!りり、大丈夫?」
「あぁ、オイラは大丈夫だにゃ。何とか無事着地できたにゃ。しかしあんなに勢いよく飛び出るなんてビックリしたにゃ。」
「本当だね、でも面白かった。」
「なぁ、ポン。オイラ達、この花の上に落ちたお陰で助かったみたいだにゃ。」
ポンとりりは深く掘られた穴の中にある花壇の上に落ちたようだ。
「本当だ!大変!お花さん踏んづけちゃってごめんなさい!」
するとジョーとヨーコがふたりのお守りから現れた。
「2人とも無事なようだね。」
ジョーは安心した表情で言った。
「良かった。メコノプシスに助けられたようね。」
ヨーコも安心した表情で言った。
「メコノなんとかってこの花の名前ですかにゃ?」
「そうよ。このメコノプシスは通称『ヒマラヤの青いケシ』とも呼ばれていて、寒い場所でしか咲かないの。」
「へぇ~そうなんですねぇ。ぽくたちを受け止めてくれてありがとうね。」
するとメコノプシスの花の中からひょっこり青色の衣装の可愛い妖精が現れた。
「わぁ!ビックリしたぁ!」
花の妖精は驚いた様子でふたりに言った。
「これはこれはこの花の妖精さん、こんにちは。お邪魔してすまなかったね。」
「妖精さんごめんなさいね。すべて私たちの責任です。どうか許してくださいね。私はヨーコよ。」
「僕はジョー。」
「オイラはりりだにゃ。」
「ぽくはポンだよ。あなたのお名前は?」
「私はメコノプシスを守る精霊リンと申します。あなた達がここに来ることはソウコウさんから聞いていました。」
「本当かい?それなら話が早い。ソウコウさんは元気なのかい?」
「ええ、ソウコウさんはお元気ですよ。ただ・・・。」
「何?ソウコウさんがどうかしたのかい?」
ジョーは心配そうに聞いた。
「実は少しずつ視力が低下してしまって。今では肉眼では目は見えないの。」
「しかし、ソウコウさんは万里眼があるはずじゃ?」
「そう、『万里眼』。別名『神眼』でしか今は見る事ができないの。」
「神眼?!その呼び名は初めて聞いたな。」
「ソウコウさんは、どんな遠くのモノも見え過ぎるがゆえに、見たくもないモノも見てきから、ずっと苦しんできたのよ。」
「そうだったのか。知らなかった。」
「そうだ!こんなとこで話もなんだから、ソウコウさんを呼んでくるわね。
そこのハシゴから上に上がってて?」
リンは宙を華麗に舞いながら、ポンとりりに指示をした後、林の中に不自然にある大きな岩の隙間から中へと入っていった。
「さて、この上に行けば良いんだにゃ?」
「ハシゴって、これだよね?ぽくから登って良い?」
「ああ、ポンはハシゴで登るにゃ。オイラはこんなの使わなくてもいいにゃ。」
りりはそういうと、スタタタタッと壁を駆け上がっていった。
「りり~ズルいよ~!よいしょっ!よいしょっ!」
ポンはそう言いながら両手両足を一生懸命に使ってなんとかハシゴを登り切る事ができた。
「ふ~ぅ!無事、上に来れた。あれっ?林の中に大きな岩がたくさんあるけど何だろう?しかもなんか寒いし!」
「たしかに、さっきからにゃんだか寒いと思ってたにゃ。オイラは寒いの苦手のんだにゃ~。」
すると岩の隙間から、再びリンが現れた。
「お待たせしました~!扉が開きますので、ふたりとも少し離れていて下さい。」
ふたりは慌てて後ろに下がった。
するとその後、ゴゴゴゴゴーー!!という音と共に大きな岩が、こびり付いたコケを落としながら横に動き始めた。
岩は、人がひとり通れる程の隙間ができた頃に止まった。
ポンとりりは、その開いた隙間の暗闇の中から人の気配を感じた。
「いや~、こんなとこまで、よく来たねぇ。」
そう言いながら現れたのは、長い白髪を後ろで束ね、前髪は長く垂らしている、見た目は初老の男性。
その彼こそが、ジョーの叔父である、『マツヤマ ソウコウ』その人だ。
「ソウコウさん!」
ジョーは久しぶりの再会に目を潤ませている。
「この人が、ジョーさんの叔父さんかにゃ。どこかジョーさんに似てるにゃ。」
りりはジョーとソウコウの顔を見比べている。
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「まぁ、立ち話もなんだから、みんな中に入りなさい。」ソウコウはそう言うとみんなを岩の中へと案内した。
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