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第3章
自戒の旅と折り紙憑き
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伊予イナリ神社にて狛狐の右近と左近によりヨーコの記憶を見たポン達は、とべ動物園に向かうため再び上空を飛行中・・・。
「ねぇねぇ~。りりぃ。」
「うん?何だにゃポン。」
「ヨーコさんとジョーさんが別れてから2人はどうやってまた再会したの?りりがヨーコさんに出会うまでの間に何があったのかな?」
「えっ?どうやってって言われてもにゃ~、確かにそれはオイラも気になってたにゃ。」
すると話を聞いていた鳳凰がこちらに顔半分が見えるように振り向いた。
『あぁ、りりはジョーの事は良く知らないのよね。』話しかけて来たのはオーメスだった。
「オーメス様ぁ!そうなんですにゃ。シイちゃんから聞くまで、2人が恋人って事にも気付かないくらいですからにゃ~、にゃははは。」
『それじゃ私から教えてあげるわね。まずは私達が、ジョーとヨーコの中に憑依(はい)っていたという事を伝えておかなくちゃいけないの。』
「ええ?!鳳凰様はジョーさんの中にに入ってたんですかにゃ~?!それは一体どういう事ですかにゃ?!」
「それはビックリだね!りり~?驚きすぎて鼻水出てるよ?」
「おっ!ズズズ~。ありがとにゃ!」
『驚かせちゃったわね。だから私達はある日から、ずっとジョーとヨーコと一緒だったの。ジョーが父親と兄を倒した時の事、彼が炎の術を使えたのもヨーコが風の術を使えたのも、私達の力があったからなの。ジョーの父親には私達が憑依っていた事は秘密にしていたから。加えて、ジョーには特別な力があったわ。実は彼にも、エヒメノミコト様と同じ《万物の声が聞ける力》を持っていたの・・・。』
生まれつき、ジョーには動物や植物、さらには万物の化身・神獣の声をも聞くことが出来た。
あの頃、ヨーコ達のような狐族を捕らえる狐狩りにより、数多くの苦しむ狐達の声が後を絶たなかった。そんな苦しめる側にいることが何よりも苦痛になり、無差別な父のやり方に疑問と矛盾を感じるようになっていたジョーは、次第に父に背く様になった。その頃、ジョーは決心した。父と兄を止めようと。だが、自分にはまだそんな力は無いと分かっていたジョーは、ある事を思い出した。【あの方】なら力になってくれるかもしれないと。そしてジョーは父に《修行の為ひとり旅に出て行きます、ご心配なく。》と書いた置き手紙を残し家を出た。
幼少の頃のおぼろげな記憶を頼りに、四国中央山にある迦楼四塔と言う場所を目指した。
ここで役に立ったのが動物や植物の声が聞けるという能力だった。
本来ならば1週間程かかる距離を、木の精や野ウサギなどから道無き道の獣道、最短で着く近道を教えてもらいながら進んで行ったお陰でたったの3日3晩で目的地まで辿り着いた。
だが、その場所には目を疑う光景があった。他国に亡命しようと流れ着いたのか、狐達が7匹程倒れていた。ジョーは慌てて皆に声をかけて回ったが、すでに息絶えていた。
すると、空から気配がした。それは、馬のような足並みで空を蹴り、優雅に駆け降りて来た。身体に炎を纏い、頭には短いツノが2本あり、肌はウロコ模様で、脚のヒヅメは象のように太く力強く、馬のような体格に立髪をなびかせながら悠々と現れたその姿はまさしく仙獣・麒麟だった。
そして地面に着地すると同時にスーッと、白髪に長い白髭の老人の姿に変わった。
「ジャン爺様!お久しぶりです!
僕を覚えていますか?ジョーです!」
「おお、お前は~、誰じゃったかな~?」
「ですよね・・・。僕がまだ子供だった頃、この場所に捨てられた僕を拾って頂いた。」
「あぁ、そんな事もあったかのぉ~。そうじゃ~それより、ちょうど良かったわ~若いの!この狐っ子達をこれから供養するんでの、運ぶのを手伝ってくれんかのぉ?」
「はい!もちろんです!」
ジョーはジャン爺の指示通り狐達をある場所に運んだ。
ここ迦楼四塔はその名の通り4本の塔が建っており、その中心に大きな岩がある。その岩は【カガミ岩】と言われジャン爺はこの岩の上で四神獣の指揮を取っている。
「この岩の周りに狐っ子達を並べてくれるか。」
「はい!分かりました!」
ジョーは指示通りに狐達を岩の周りに几帳面に均等に並べた。
「うむ!バッチリじゃな!では早速始めるぞい、あぁ、お前は~あっちに行って待っておれ。」
ジョーはその場を離れたが、どうやって供養するのかが気になり、塔の陰に隠れてこっそり様子を見ていた。
ジャン爺は岩の上に立ち、何やらブツブツと念仏を唱えている。すると岩の周りに並べられた7匹の狐達から急に炎が上がり燃え始めた。そして炎は高く燃え上り、狐の姿の炎が天に向かって狐火の如く駆け昇って行った。
すると炎は無くなり、狐達の姿も居なくなっていた。
それを見ていたジョーは「うわ~!!」と、驚きの余り声が漏れてしまった。それに気付いたジャン爺はジョーの方を見て「こらこら、あっちに行っとれと言うたのに。若いっちゅうのはええのぉ~!好奇心旺盛でのぉ!」少し半分笑顔で半分呆れた様な表情で言った。
「すみません。それにしてもジャン爺様!さっきの狐達は、一体どこへ消えたんですか?」ジョーはジャン爺に質問をした。
するとすぐに「そりゃ、天ノ国じゃよ。」とジャン爺が答えた。
「天ノ国ですか。」
「そうじゃとも。罪も無き者の亡がらは見るに耐えんよのぉ。」ジャン爺はどこか悲しげな表情で天を見上げた。
「はい、おっしゃる通りです。」ジョーは、表面上は冷静を装い答えたが内心では、自らの眼の前で狐達の亡がらが天に召される様子を生まれて初めて見た驚きと、その行為をいとも簡単に成し遂げたジャン爺の凄さを改めて痛感し、さらにジャン爺への尊敬の念を抱いていた。
「お前も同感か。そうじゃ、名を何と言うたかの?」
「ジョーです。マツヤマ ジョーと言います。」
「マツヤマ?と言うことは伊予ノ国の者か?」
「はい、生まれは伊予ノ国ですが。陰陽導師として今は土佐ノ国で暮らしています。」
「そうか。それで、ここへは何をしに来たんじゃ?」ジャン爺は白くて長いあご髭を触りながら聞いた。
「そのことなのですが、実は父と兄の暴走を止めたいんです。しかし今の僕では力不足で・・・。」ジョーは歯を食いしばり拳を強く握り締めている。
「ほうほう、なるほど。それで?要するにわしに一体何を求めておるんじゃ?イタッ」ジャン爺は話をしながら鼻をほじり、そして鼻毛を抜いてそれを確認するとフッと息を吹きかけて飛ばした。
「お願いします!僕に力を与えて頂下さい!」ジョーは両膝と頭を地面に付けて土下座をして懇願した。
「力が欲しいじゃと?」
「はい!僕は陰陽導師の家系に育ちましたが全く付いて行けず、しかも父と兄の無差別な狐狩りにも矛盾を感じています。だからあの人達を止めたいんです!」
「お前の話は良~く分かった。ジョーと言ったな?」
「はい!」
「さっき狐っ子達を運ぶのを手伝ってくれたお礼じゃ!力を貸してやろう。」
「本当ですか?!あ、ありがとうございます!」
「その代わりじゃ!ひとつだけ注意点がある・・・。」
「注意点・・・ですか?」
「そうじゃ、良く覚えておくのじゃ。世の中には何かを得れば何かを失う、正負の法則で成り立っておるのじゃ。わしはお前の力を借りて手伝って貰った、その代償でお前に力を貸す。そしてジョー、お前はわしから力を借りる代わりに何を払う?それは命じゃ。」
「命・・・ですか?それは僕が死ぬということですか?」
「命と言うと誤解を招くのぉ。
いわゆる寿命がその代償じゃ!
力を得る代わりに寿命が短くなる、それでも良いなら力を貸してやる。」
「分かりました!」
「本当に良いのじゃな?」
「はい!もちろんです!」
「(なんと!自らの命が削られてまでも成し遂げたいのか?!)どうやら決心は固い様じゃな。よし!では、カガミ岩の前に来るのじゃ。」
ジョーは岩の前に向かい、ジャン爺は岩の上に飛び乗った。
「では、始めるぞ!」
ジャン爺は、またブツブツと念仏を唱え出した。
「・・・。」
ジョーはジッとジャン爺を見つめ、ひたすら待った。
すると4つある塔のひとつが光り出した。そしてその光は天空を突き刺す様に真上に飛び出した。
次の瞬間、天空からジョーに向かって雷の様に光が落ちて来た。
「うわあぁぁぁぁぁ!!!」
ジョーは突然の事に驚き、訳が分からず戸惑ったが、身体には何の異変も起きていなかった。
「終わったぞぃ!」
「えっ?もう終わったんですか?!」
「あぁそうじゃ。今お前の中には、四神・朱雀の一部である陽の力が憑依ったようじゃ!見てみよ!この4本の塔にはそれぞれ四神が祀られておってな、その中からお前を選んだのが朱雀じゃったようじゃな。」
「凄い!何だかみるみる力が湧き出て来るようです!」
「朱雀と心で会話してみよ!
そして、強くなる為に精進せぇよ!」
「はい!!ジャン爺様!ありがとうございました!!このご恩は一生忘れません!・・・」
・・・その後、修行を終えて父の元ったジョーはあの日、ヨーコ達と出会い、あの惨劇を経て、ヨーコ達と別れてから、ジョーはひとり旅に出ていた。
四国に88カ所点在する寺々を巡り、自らの心を清める為の過酷な旅。また、それは自らを戒めるための旅でもあった。何故なら、どんな理由があろうとも自分の父と兄をジョーは殺めてしまったのは事実なのだから・・・。
そして、四国の寺々88カ所の全てを参り終えたジョーは、導かれる様にある寺に辿り着いた。
四国88カ所の寺には属していないこの寺は、神仏習合と言う仏とその守護神を祀っている寺である。
そしてこの寺こそ凰蓮寺だった。
本堂の前に立ち、手を合わせる。
なんとなくこの場所の空気や雰囲気に居心地が良くなったジョーは、ここで修行をする事を心に決めたのだった。
当時の住職だった瀬戸内 楽動住職に弟子にして欲しいと頼み込むとあっさりと二つ返事で了承を得ることができた。
それもそのはず、この寺には住職以外他に誰も居らず、参拝客も滅多に来る事のない寂しげなこの場所にジョーが来た事で珍しい客人扱いをされた。
しかもその客人に弟子にしてくれと懇願されたとあって、尚更に住職は喜んでジョーを寺へと快く招き入れてくれたのだった。
2年間の厳しい修行を経て逞しくなったジョーは、すでに住職代理として仕事をこなすまでに成長していた。
その頃、凰蓮寺にひとりの客人が訪れて来た。その人はとても美しい顔立ちと黒髪に透き通る様な色白の肌の女性だった。
「私は麒麟の使いです、あなたに言伝を預かっています。」
とその女性が言うのでジョーは驚き、目を見開いた。
そして続けて「お久しぶりですね、ジョーさん。」
女性はジョーにそう言うと、ジョーは一瞬だけ戸惑ったがすぐに誰だか分かった。
「もしかして・・・君はヨーコか?」
女性は微笑んでコクンと頷いた。なんとその女性はあのヨーコだった。
「久しぶりだなぁヨーコ!立派に人間の姿になって!見違えたよ!」
「ありがとう。あなたも以前よりも増して逞しくなったわね。」
「あぁ、でもまだまだだよ。師匠でもあるこの寺の住職には足元にも及ばないんだ。」
「ふ~ん、そうは見えないけどなぁ。」
「だから、いつか住職に追いつきたいと思ってるんだ!」
「ええ、ジョーなら大丈夫よ。」
「ありがとう!あぁ、そうだ!
ジャン爺様からの言伝って言ってたな!一体何だい?」
「その事なんだけど、その前に話しておかないといけない事があって。」
ヨーコは神妙な表情に変わり話しを続けた。
「実は朱雀様が【#折____#り紙憑き】になられる事になったの。」
「えっ?朱雀様が?」
「ええ、そして今私たちの中には朱雀様の一部の力が憑依っているでしょ?だから私たち一緒じゃないとその儀式が出来ないみたいなの。」
「ちょっと待ってくれ!折り紙憑きの儀式は陰陽導師しか行えないはず!しかもヨーコの中に憑依ってるって?一体どういう事なんだ?!」
「あれ?ジョーは知らなかったの?それじゃぁ掻い摘んで話すわね。実は・・・。」
・・・ジョーがジャン爺の所で朱雀の力を与えて貰ったあの日、後日遅れてヨーコも迦楼四塔に辿り着いていた。ヨーコもまた狐狩りから逃れる為にやって来た、そしてそこで同じくジャン爺から護身術を学び朱雀の力を与えられていた。そこで与えられたのは朱雀の陰の力、その力が今ヨーコには憑依っているのだ・・・。
「・・・という事なの。」
「いやぁ驚いた~!まさかヨーコにも朱雀様の力が憑依っていたとは。」
「偶然か必然か、私たちは何らかの使命を与えられているのかもしれないわね。」
「あぁ、そうかもしれないな。
それでジャン爺様から、折り紙憑きの儀式を僕にと?」
「ええ、陰陽導師の生き残りであるあなたに白羽の矢が立ったの。」
「分かった!そういう事なら早速始めよう!折り紙憑きの儀式を!
と、その前に、とりあえず住職にこの事を話すよ。ヨーコもここに来るまで疲れただろう?紹介がてら中で一服しよう。一緒においで。」
「ええ、ではお言葉に甘えさせて頂くわ。その前にお手洗いをお借りしても良いかしら?」
「あぁ、案内するよ。」
ヨーコが用を済ませた後ジョーはヨーコを連れて住職の居る茶の間に向かった。
「住職~!お休みの所失礼します!」
「バリバリバリ。ズズズ~。」
茶の間に着くと瀬戸内住職は煎餅を食べながらお茶をすすり飲み、まったりと休憩をしているところだった。
「ん?ジョーくんか?そんなに急いでどうした?おや?後ろの女性は?まさか!」
「あぁっ、住職紹介しますね。
この方は・・・。」
「ジョーくんの彼女かな?!」
「いえいえ!まだ彼女では!」
「まだって~!もうすぐで彼女になりますって雰囲気という解釈で良いのかな?」
「いや~!住職さ~ん!!!」
バッコーーーン!!!
ヨーコはいきなり住職の頭を思いっきり柄杓でシバいた。倒れる住職。頭にはたんこぶが出来ている。
「おぉい!ヨーコ!何やってんだーー!!!」
「あっ!ごめんなさい!つい。」
「住職ーーぅ!!だ、大丈夫ですかぁ?!ヨーコ?何で柄杓なんて持ってるんだよ?!」
「お手洗いの後に水場があったから手を洗って、そのまま持って来ちゃった。住職さん大丈夫ですか?」
「あ、あぁ大丈夫だ。心配ない・・・一瞬だけ・・・千手の仏様が手招きしているのが見えた。」
「それ!亡くなる寸前だったじゃないですかぁーーーぁ!!!」
「だって、住職さんが変な事言うから~。」
「すまん、すまん。なんせ客人が来る事が珍しいもんでな、嬉しくてつい、からかっただけじゃ。」
「良かった~ぁ!ご無事でなによりです。」
「して、何か用事じゃったのでは?」
「そうそう!そのことなんですが・・・。」
ジョーはヨーコからの話しを簡潔に、住職に説明した。
「なんと!それは唐突じゃなぁ!
よし!すぐに儀式の準備に取りかかろう!場所は本堂を使うと良い。」
ジョー達は仏像のある本堂の間に移動した。本堂には中央に大仏が鎮座してあり、右側には不動明王、左側には千手観音の仏像が並んでいる。
「ジョーさん、折り紙はこれを使って下さい。」
ヨーコは一枚の紙を差し出した。
「これはジャン爺様から預かった憑き神専用の特別な和紙です。」
「あぁ、知っている。父上がよく使っていたからね。この和紙は、ある特別な樹木の繊維から作られていて、濡らしても燃やしても大丈夫な程の特殊な紙なんだ。」
「さすが良くご存知ね、でも1つ違うのは、この紙にはジャン爺様の力も憑依っているの。」
「そうなのか?それは本当の意味で特別な和紙だなぁ!良し!これを使わせて貰おう。」
そしてジョーは、本堂の床板に何やら書き始めた。その後和紙にも何かを書いてそれを器用に折り始めた、そして出来上がったのは折り鶴だった。
「良し!準備完了だ!ヨーコはそこに立ってくれ。」
そう指示するとジョーはヨーコと向かい合わせに立った。足元に書かれていたのは陰と陽の文字が書かれた陰陽陣だった。陰の方にはヨーコ、陽の方にはジョーが立っている。
「ヨーコ?さっきの柄杓持ってる?」そう言われてまだ柄杓を持っていたヨーコは柄杓を差し出した。そして柄杓の器の部分に折り紙を入れた。
「ヨーコそのまま持っててくれ。」
「はい、分かりました!」
そしてジョーはブツブツ念仏を唱え始めた。
「・・・イヌイーネェウシトラウータツミィウマヒツジサルト~リ~~ィ。
四神朱雀鳳凰殿!この折り紙に憑き!転身なされよ!!」
すると、当然足元の陰陽陣から赤と青の光が円柱状に2人を囲むように現れそして、ジョーからは赤いオーラ、ヨーコからは青いオーラが頭頂部辺りから伸び出て来ては、そのまま吸い込まれる様に柄杓の器の中に入って行き、間もなくしてその光は立ち消えて行った。ヨーコはふらっとよろめき倒れそうになった所をジョーが支え受け止めた。
「大丈夫かい?」
「ええ、大丈夫よ。ありがとう。少し力が抜けちゃった。」
「この儀式はオーラパワーを少し捧げる必要があるから少し疲れるんだ。」そこへ瀬戸内住職が様子を見に来た。
「儀式は終わったようじゃの。
どれどれ鳳凰をひと目見てみたいのぉ。」住職は柄杓の中の折り鶴を手に取った。「出でよ!鳳凰!!」
・・・シーーン・・・
「ありゃりゃ?出てこんなぁ。」
「住職、無理もありません、最初の主は儀式を行った者と決まっています。折り鶴をこちらへ良いですか?」残念そうな顔の住職は折り鶴をジョーに手渡した。
「特に呼び出すのに言葉は無くても良いのです、こうして心の声で。」
ジョーは手の平に折り鶴を乗せると、突然眩く光り始めた。そして光りが止み目を開けると手の上にあったはずの折り鶴は消えていた。
『主ジョーよ、お初にお目にかかる。心の声しかと聞こえたぞ。我は鳥ノ神鳳凰、陽のホーオスと申しす。これより朱雀改め折り紙憑きの陰陽神として任務を全うする所存、以後宜しく頼む。』
『あなた!少し挨拶が硬いのではないかしら?コホンッ。主ジョー様、初めまして!わたくしホーオスの妻、陰のオーメスと申します。只今より世のため主の為、お守りとして職務を全うして参りたいと思っております。どうぞ宜しくお願い致します。』
『お前こそかしこまり過ぎやしないか?』
『あら!そんなことないわよ。あなたよりはビシッと決まったと思うけど?』
「初めまして。鳳凰様!こちらこそ宜しくお願いします!しかしなんて美しくて壮麗な姿なんだ!」と、ジョーは鳳凰の姿を見て圧倒された。
そして「本当!しかも鳳凰様が夫婦だったなんて!」と、ヨーコも賛同し。
さらに「なんと圧巻!このお方が鳳凰様か!実に壮麗優美じゃのぉ!」と瀬戸内住職も感動した。
『今日から守護神として主と共に寄り添って参ります。わたくし達の入る《守護符》はどちらへ?』と、オーメスが言うと。
「それならこれを!この寺のお守りです。ほら、ジョー君。」瀬戸内住職がジョーにお守りを手渡した。
「ありがとうございます。それでは、鳳凰様参ります。」ジョーは印を結んだ。
「【神封栓】!」
すると鳳凰はお守りの中にスーッと吸い込まれるように入って行った。
「これで鳳凰様は今日から僕の守護神となったんですね。それにしてもどうして朱雀様が折り紙憑きに?ずっと土佐ノ国を守っていたのに。」
「その事なんだけどまだ話して無かったわね。実は、朱雀様は四神選で新神の陰陽神に敗れてしまったの。」
「なんだって?!新神に?それは一体どこの何ノ神だ?」
「それは、阿波ノ国の狸ノ神
金長 力土よ!」
「キンチョウ?聞かない名前だな。」
「私もよ、だけど生前は、かなりの暴れん坊だったと聞いたわ。」
「あの朱雀様が力技で負けたのか!?くそっ!!さぞ悔やまれた事だろう!いつか僕が無念を晴らしてやる!」
「ジャン爺様が考案した【ジャン拳】での四神選で、朱雀様は金長にパーで負けたそうよ。」
「パーで?!パーは鳥ノ神の朱雀様が得意とする攻撃じゃないか!」
「そう、だから金長が少し上手(うわて)だったのよ。目には目をパーにはパーを!っていうことなんでしょう。脳天に一撃!両手チョップをお見舞いされたんだって。」
「なんて卑劣な!金長め!
やはり相当なダメージだったんだろう。そんな素振りひとつ見せなかったがやはり早くお守りの中に入ろうとされたのは、そういう事だったのか。」
「きっとね、だから鳳凰様には少し休んでてもらいましょう?」
「あぁ、もちろん。」
「ヨーコはこれからどうするんだ?」
「私はこの任務が終わったから、もう予定はないわ。」
「そうか、戻らなくても良いのか?」
「えぇ、どうしたの?」
「いや~、もし何かあった時に、君が近くに居てくれたら、助かるなぁ~っと思ったんだ。」
住職は隠れてこっそり聞き耳を立てている。
「えぇ良いわよ?どうしよう!泊まる場所探さなきゃ!」
「あっ、それなら大丈夫だよ。良かったら僕の家を使いなよ、僕は基本的に寺でお勤めをして家にはたまに寝に帰ってるだけだから。一軒家だから1人だと広すぎるし、逆に誰かに使って貰えると助かるんだ。」
「本当?ありがとう~!ペットとか飼っても良いかな?」
「あぁもちろん。生活に必要なものはだいたい揃ってあるから、無くなったら教えてくれたら買っておくよ。」
「何から何まで親切にしてくれてありがとう~!!ジョー大好き!」嬉しさ余りジョーに抱きつくヨーコ。
「僕も同じ気持ちだよ?」
「えっ?」2人は見つめ合った。
「あははははは!」
ヨーコは突然笑い出した。
「どうしたの?」
ジョーは少し困惑と驚きの表情で聞いた。
「だって~!これって両想いだよね~!」
「あぁ、そうなるね。」
「私、誰かと両想いなんて初めてだから、嬉しくて。なんか笑えてきちゃった。」ジョーは安心した表情に変わった。
「僕もヨーコと両想いで嬉しいよ。」
するとヨーコはふとジョーの首筋をみた。
「これ、私たちが初めて会った日、私が噛んだ歯痕。」
「あぁ、まだ残ってるんだ。本当はとても痛かったんだぞ。」
「ふふっ。」と、ヨーコはいたずらに笑ったあと、突然ジョーの首筋にカプッと噛み付いた。
「痛っ!びっくりしたぁ。何で噛むんだよ?」ジョーは優しく怒った。
「ふふ。愛はね、時に痛みを伴うものなのよ?」ヨーコはジョーの耳元で囁いた。ジョーは不思議そうな顔をした。
「それってどう言う意味だい?」
とジョーが聞くとヨーコはニコっと笑った
「ふふふ。ヒーミーツ。」
ヨーコはジョーに背を向けた。
「なんだよ、教えてくれよ~。」
「教えな~い。」
「待て~ぃ。」
「ふふふ。」面白がるヨーコ。
首筋の歯痕をみると2つの歯痕がVの字に重なりハート型になっていた。
それは痛みは伴ったもののヨーコが付けた歯痕のハートは、魔除けか、はたまた、まじないか。
もしくは【愛のしるし】だったのかも知れない。
こうしてこの日から2人は付き合い始め、恋人としての暮らしが始まった。
年月が経ち、瀬戸内住職は定年退職により寺を退き隠居生活に入り、寺の住職はジョーに引き継いだ。そして間もなくして寺に迷い込んできた白猫はシイと名付けられ寺の飼い猫になった。それからさらに間もなくして黒猫のりりがヨーコに拾われることになる。
そして、その間ヨーコはジャン爺から鳳凰の力を与えられたことで寿命が短くなって行った事に加え、狐から人間に長期間化け続けたことによるリスクが生じ始め身体に負担がかかり、とうとう不治の病にかかってしまっていた。
ジョーはヨーコの異変に気付き、なんとかしようと自分のお守りをヨーコに託した。
鳳凰の力のおかげで少しは元気になったのだが・・・。
「ジョーさん聞いて欲しい事があります。」
「どうしたの?改まって。」
「私は幸せ者です。あなたに出会えてこうして一緒に暮らす事ができて。私のためにお守りを託してくれて嬉しかった。でも、もう私の身体は鳳凰様の力をお借りしても消えかけの灯火にすぎないの。」
「何言ってるんだよ!そんなこと!」
「わかるの!自分の命の最後くらい。だから、私の可愛い息子にお守りをを託したいの。」
「りりにか?」
「ええ。」
「そんな事したらヨーコ!本当に!」
「だから言ったじゃない、もうすぐでお迎えが来るわ。」
「ヨーコ!行かないでくれよ!」
「りり?おいで。」
ベッドに寝ているヨーコの上にりりは飛び乗ってきた。
「にゃ~~ぉ」
「りり?これをあなたにプレゼントするわ。あなたに何かあったら必ず守ってくれるわ。」
「にゃわ~~ん」
りりは撫でて欲しいと催促をするように頭や身体をヨーコに擦り付けた。
それにヨーコは優しく応えた。
数日後のことベッドに横になっいるヨーコがジョーを呼んだ。
「ジョーさん?百合が見たいの、起こしてくれるかしら?」
「ああ、分かった。」ジョーはゆっくりヨーコの身体を起こし、そしてヨーコは1人でベッドから下り、ベランダに出た後、百合の花壇にしゃがみ込み、指で優しく花びらを撫でた。
「百合さん。元気でね。あなたと同じ名前のを付けたりりの事を見守っていてね。」
そして、ヨーコはその場に倒れ込んだ。それを見たジョーは慌てて救急車を、呼んだ。
「ヨーコ!ヨーコ~!!しっかりしろよ!」
ジョーは泣き叫び気が動転している。救急車で運ばれる道中、一緒に乗りこんだ涙のジョーがヨーコの顔を覗き見てみるとそこには優しく微笑み、目には涙が流れていた。
それからというもの、ヨーコを失ったジョーは何をするにも気力を失い住職の仕事もままならなくなっていた。そして酒に溺れる日々を送っていたある日、夜中に歩道をフラフラよろめきながら歩いていた時、ふっと車道に飛び出してしまった。そしてジョーは、後ろから来る車と衝突してしまうという事故に遭い、病院に運ばれたが敢え無く亡くなってしまった。そして残されてしまったりりとシイは、一緒に寺に居たためそのまま居つくようになったのだった・・・。
「ねぇねぇ~。りりぃ。」
「うん?何だにゃポン。」
「ヨーコさんとジョーさんが別れてから2人はどうやってまた再会したの?りりがヨーコさんに出会うまでの間に何があったのかな?」
「えっ?どうやってって言われてもにゃ~、確かにそれはオイラも気になってたにゃ。」
すると話を聞いていた鳳凰がこちらに顔半分が見えるように振り向いた。
『あぁ、りりはジョーの事は良く知らないのよね。』話しかけて来たのはオーメスだった。
「オーメス様ぁ!そうなんですにゃ。シイちゃんから聞くまで、2人が恋人って事にも気付かないくらいですからにゃ~、にゃははは。」
『それじゃ私から教えてあげるわね。まずは私達が、ジョーとヨーコの中に憑依(はい)っていたという事を伝えておかなくちゃいけないの。』
「ええ?!鳳凰様はジョーさんの中にに入ってたんですかにゃ~?!それは一体どういう事ですかにゃ?!」
「それはビックリだね!りり~?驚きすぎて鼻水出てるよ?」
「おっ!ズズズ~。ありがとにゃ!」
『驚かせちゃったわね。だから私達はある日から、ずっとジョーとヨーコと一緒だったの。ジョーが父親と兄を倒した時の事、彼が炎の術を使えたのもヨーコが風の術を使えたのも、私達の力があったからなの。ジョーの父親には私達が憑依っていた事は秘密にしていたから。加えて、ジョーには特別な力があったわ。実は彼にも、エヒメノミコト様と同じ《万物の声が聞ける力》を持っていたの・・・。』
生まれつき、ジョーには動物や植物、さらには万物の化身・神獣の声をも聞くことが出来た。
あの頃、ヨーコ達のような狐族を捕らえる狐狩りにより、数多くの苦しむ狐達の声が後を絶たなかった。そんな苦しめる側にいることが何よりも苦痛になり、無差別な父のやり方に疑問と矛盾を感じるようになっていたジョーは、次第に父に背く様になった。その頃、ジョーは決心した。父と兄を止めようと。だが、自分にはまだそんな力は無いと分かっていたジョーは、ある事を思い出した。【あの方】なら力になってくれるかもしれないと。そしてジョーは父に《修行の為ひとり旅に出て行きます、ご心配なく。》と書いた置き手紙を残し家を出た。
幼少の頃のおぼろげな記憶を頼りに、四国中央山にある迦楼四塔と言う場所を目指した。
ここで役に立ったのが動物や植物の声が聞けるという能力だった。
本来ならば1週間程かかる距離を、木の精や野ウサギなどから道無き道の獣道、最短で着く近道を教えてもらいながら進んで行ったお陰でたったの3日3晩で目的地まで辿り着いた。
だが、その場所には目を疑う光景があった。他国に亡命しようと流れ着いたのか、狐達が7匹程倒れていた。ジョーは慌てて皆に声をかけて回ったが、すでに息絶えていた。
すると、空から気配がした。それは、馬のような足並みで空を蹴り、優雅に駆け降りて来た。身体に炎を纏い、頭には短いツノが2本あり、肌はウロコ模様で、脚のヒヅメは象のように太く力強く、馬のような体格に立髪をなびかせながら悠々と現れたその姿はまさしく仙獣・麒麟だった。
そして地面に着地すると同時にスーッと、白髪に長い白髭の老人の姿に変わった。
「ジャン爺様!お久しぶりです!
僕を覚えていますか?ジョーです!」
「おお、お前は~、誰じゃったかな~?」
「ですよね・・・。僕がまだ子供だった頃、この場所に捨てられた僕を拾って頂いた。」
「あぁ、そんな事もあったかのぉ~。そうじゃ~それより、ちょうど良かったわ~若いの!この狐っ子達をこれから供養するんでの、運ぶのを手伝ってくれんかのぉ?」
「はい!もちろんです!」
ジョーはジャン爺の指示通り狐達をある場所に運んだ。
ここ迦楼四塔はその名の通り4本の塔が建っており、その中心に大きな岩がある。その岩は【カガミ岩】と言われジャン爺はこの岩の上で四神獣の指揮を取っている。
「この岩の周りに狐っ子達を並べてくれるか。」
「はい!分かりました!」
ジョーは指示通りに狐達を岩の周りに几帳面に均等に並べた。
「うむ!バッチリじゃな!では早速始めるぞい、あぁ、お前は~あっちに行って待っておれ。」
ジョーはその場を離れたが、どうやって供養するのかが気になり、塔の陰に隠れてこっそり様子を見ていた。
ジャン爺は岩の上に立ち、何やらブツブツと念仏を唱えている。すると岩の周りに並べられた7匹の狐達から急に炎が上がり燃え始めた。そして炎は高く燃え上り、狐の姿の炎が天に向かって狐火の如く駆け昇って行った。
すると炎は無くなり、狐達の姿も居なくなっていた。
それを見ていたジョーは「うわ~!!」と、驚きの余り声が漏れてしまった。それに気付いたジャン爺はジョーの方を見て「こらこら、あっちに行っとれと言うたのに。若いっちゅうのはええのぉ~!好奇心旺盛でのぉ!」少し半分笑顔で半分呆れた様な表情で言った。
「すみません。それにしてもジャン爺様!さっきの狐達は、一体どこへ消えたんですか?」ジョーはジャン爺に質問をした。
するとすぐに「そりゃ、天ノ国じゃよ。」とジャン爺が答えた。
「天ノ国ですか。」
「そうじゃとも。罪も無き者の亡がらは見るに耐えんよのぉ。」ジャン爺はどこか悲しげな表情で天を見上げた。
「はい、おっしゃる通りです。」ジョーは、表面上は冷静を装い答えたが内心では、自らの眼の前で狐達の亡がらが天に召される様子を生まれて初めて見た驚きと、その行為をいとも簡単に成し遂げたジャン爺の凄さを改めて痛感し、さらにジャン爺への尊敬の念を抱いていた。
「お前も同感か。そうじゃ、名を何と言うたかの?」
「ジョーです。マツヤマ ジョーと言います。」
「マツヤマ?と言うことは伊予ノ国の者か?」
「はい、生まれは伊予ノ国ですが。陰陽導師として今は土佐ノ国で暮らしています。」
「そうか。それで、ここへは何をしに来たんじゃ?」ジャン爺は白くて長いあご髭を触りながら聞いた。
「そのことなのですが、実は父と兄の暴走を止めたいんです。しかし今の僕では力不足で・・・。」ジョーは歯を食いしばり拳を強く握り締めている。
「ほうほう、なるほど。それで?要するにわしに一体何を求めておるんじゃ?イタッ」ジャン爺は話をしながら鼻をほじり、そして鼻毛を抜いてそれを確認するとフッと息を吹きかけて飛ばした。
「お願いします!僕に力を与えて頂下さい!」ジョーは両膝と頭を地面に付けて土下座をして懇願した。
「力が欲しいじゃと?」
「はい!僕は陰陽導師の家系に育ちましたが全く付いて行けず、しかも父と兄の無差別な狐狩りにも矛盾を感じています。だからあの人達を止めたいんです!」
「お前の話は良~く分かった。ジョーと言ったな?」
「はい!」
「さっき狐っ子達を運ぶのを手伝ってくれたお礼じゃ!力を貸してやろう。」
「本当ですか?!あ、ありがとうございます!」
「その代わりじゃ!ひとつだけ注意点がある・・・。」
「注意点・・・ですか?」
「そうじゃ、良く覚えておくのじゃ。世の中には何かを得れば何かを失う、正負の法則で成り立っておるのじゃ。わしはお前の力を借りて手伝って貰った、その代償でお前に力を貸す。そしてジョー、お前はわしから力を借りる代わりに何を払う?それは命じゃ。」
「命・・・ですか?それは僕が死ぬということですか?」
「命と言うと誤解を招くのぉ。
いわゆる寿命がその代償じゃ!
力を得る代わりに寿命が短くなる、それでも良いなら力を貸してやる。」
「分かりました!」
「本当に良いのじゃな?」
「はい!もちろんです!」
「(なんと!自らの命が削られてまでも成し遂げたいのか?!)どうやら決心は固い様じゃな。よし!では、カガミ岩の前に来るのじゃ。」
ジョーは岩の前に向かい、ジャン爺は岩の上に飛び乗った。
「では、始めるぞ!」
ジャン爺は、またブツブツと念仏を唱え出した。
「・・・。」
ジョーはジッとジャン爺を見つめ、ひたすら待った。
すると4つある塔のひとつが光り出した。そしてその光は天空を突き刺す様に真上に飛び出した。
次の瞬間、天空からジョーに向かって雷の様に光が落ちて来た。
「うわあぁぁぁぁぁ!!!」
ジョーは突然の事に驚き、訳が分からず戸惑ったが、身体には何の異変も起きていなかった。
「終わったぞぃ!」
「えっ?もう終わったんですか?!」
「あぁそうじゃ。今お前の中には、四神・朱雀の一部である陽の力が憑依ったようじゃ!見てみよ!この4本の塔にはそれぞれ四神が祀られておってな、その中からお前を選んだのが朱雀じゃったようじゃな。」
「凄い!何だかみるみる力が湧き出て来るようです!」
「朱雀と心で会話してみよ!
そして、強くなる為に精進せぇよ!」
「はい!!ジャン爺様!ありがとうございました!!このご恩は一生忘れません!・・・」
・・・その後、修行を終えて父の元ったジョーはあの日、ヨーコ達と出会い、あの惨劇を経て、ヨーコ達と別れてから、ジョーはひとり旅に出ていた。
四国に88カ所点在する寺々を巡り、自らの心を清める為の過酷な旅。また、それは自らを戒めるための旅でもあった。何故なら、どんな理由があろうとも自分の父と兄をジョーは殺めてしまったのは事実なのだから・・・。
そして、四国の寺々88カ所の全てを参り終えたジョーは、導かれる様にある寺に辿り着いた。
四国88カ所の寺には属していないこの寺は、神仏習合と言う仏とその守護神を祀っている寺である。
そしてこの寺こそ凰蓮寺だった。
本堂の前に立ち、手を合わせる。
なんとなくこの場所の空気や雰囲気に居心地が良くなったジョーは、ここで修行をする事を心に決めたのだった。
当時の住職だった瀬戸内 楽動住職に弟子にして欲しいと頼み込むとあっさりと二つ返事で了承を得ることができた。
それもそのはず、この寺には住職以外他に誰も居らず、参拝客も滅多に来る事のない寂しげなこの場所にジョーが来た事で珍しい客人扱いをされた。
しかもその客人に弟子にしてくれと懇願されたとあって、尚更に住職は喜んでジョーを寺へと快く招き入れてくれたのだった。
2年間の厳しい修行を経て逞しくなったジョーは、すでに住職代理として仕事をこなすまでに成長していた。
その頃、凰蓮寺にひとりの客人が訪れて来た。その人はとても美しい顔立ちと黒髪に透き通る様な色白の肌の女性だった。
「私は麒麟の使いです、あなたに言伝を預かっています。」
とその女性が言うのでジョーは驚き、目を見開いた。
そして続けて「お久しぶりですね、ジョーさん。」
女性はジョーにそう言うと、ジョーは一瞬だけ戸惑ったがすぐに誰だか分かった。
「もしかして・・・君はヨーコか?」
女性は微笑んでコクンと頷いた。なんとその女性はあのヨーコだった。
「久しぶりだなぁヨーコ!立派に人間の姿になって!見違えたよ!」
「ありがとう。あなたも以前よりも増して逞しくなったわね。」
「あぁ、でもまだまだだよ。師匠でもあるこの寺の住職には足元にも及ばないんだ。」
「ふ~ん、そうは見えないけどなぁ。」
「だから、いつか住職に追いつきたいと思ってるんだ!」
「ええ、ジョーなら大丈夫よ。」
「ありがとう!あぁ、そうだ!
ジャン爺様からの言伝って言ってたな!一体何だい?」
「その事なんだけど、その前に話しておかないといけない事があって。」
ヨーコは神妙な表情に変わり話しを続けた。
「実は朱雀様が【#折____#り紙憑き】になられる事になったの。」
「えっ?朱雀様が?」
「ええ、そして今私たちの中には朱雀様の一部の力が憑依っているでしょ?だから私たち一緒じゃないとその儀式が出来ないみたいなの。」
「ちょっと待ってくれ!折り紙憑きの儀式は陰陽導師しか行えないはず!しかもヨーコの中に憑依ってるって?一体どういう事なんだ?!」
「あれ?ジョーは知らなかったの?それじゃぁ掻い摘んで話すわね。実は・・・。」
・・・ジョーがジャン爺の所で朱雀の力を与えて貰ったあの日、後日遅れてヨーコも迦楼四塔に辿り着いていた。ヨーコもまた狐狩りから逃れる為にやって来た、そしてそこで同じくジャン爺から護身術を学び朱雀の力を与えられていた。そこで与えられたのは朱雀の陰の力、その力が今ヨーコには憑依っているのだ・・・。
「・・・という事なの。」
「いやぁ驚いた~!まさかヨーコにも朱雀様の力が憑依っていたとは。」
「偶然か必然か、私たちは何らかの使命を与えられているのかもしれないわね。」
「あぁ、そうかもしれないな。
それでジャン爺様から、折り紙憑きの儀式を僕にと?」
「ええ、陰陽導師の生き残りであるあなたに白羽の矢が立ったの。」
「分かった!そういう事なら早速始めよう!折り紙憑きの儀式を!
と、その前に、とりあえず住職にこの事を話すよ。ヨーコもここに来るまで疲れただろう?紹介がてら中で一服しよう。一緒においで。」
「ええ、ではお言葉に甘えさせて頂くわ。その前にお手洗いをお借りしても良いかしら?」
「あぁ、案内するよ。」
ヨーコが用を済ませた後ジョーはヨーコを連れて住職の居る茶の間に向かった。
「住職~!お休みの所失礼します!」
「バリバリバリ。ズズズ~。」
茶の間に着くと瀬戸内住職は煎餅を食べながらお茶をすすり飲み、まったりと休憩をしているところだった。
「ん?ジョーくんか?そんなに急いでどうした?おや?後ろの女性は?まさか!」
「あぁっ、住職紹介しますね。
この方は・・・。」
「ジョーくんの彼女かな?!」
「いえいえ!まだ彼女では!」
「まだって~!もうすぐで彼女になりますって雰囲気という解釈で良いのかな?」
「いや~!住職さ~ん!!!」
バッコーーーン!!!
ヨーコはいきなり住職の頭を思いっきり柄杓でシバいた。倒れる住職。頭にはたんこぶが出来ている。
「おぉい!ヨーコ!何やってんだーー!!!」
「あっ!ごめんなさい!つい。」
「住職ーーぅ!!だ、大丈夫ですかぁ?!ヨーコ?何で柄杓なんて持ってるんだよ?!」
「お手洗いの後に水場があったから手を洗って、そのまま持って来ちゃった。住職さん大丈夫ですか?」
「あ、あぁ大丈夫だ。心配ない・・・一瞬だけ・・・千手の仏様が手招きしているのが見えた。」
「それ!亡くなる寸前だったじゃないですかぁーーーぁ!!!」
「だって、住職さんが変な事言うから~。」
「すまん、すまん。なんせ客人が来る事が珍しいもんでな、嬉しくてつい、からかっただけじゃ。」
「良かった~ぁ!ご無事でなによりです。」
「して、何か用事じゃったのでは?」
「そうそう!そのことなんですが・・・。」
ジョーはヨーコからの話しを簡潔に、住職に説明した。
「なんと!それは唐突じゃなぁ!
よし!すぐに儀式の準備に取りかかろう!場所は本堂を使うと良い。」
ジョー達は仏像のある本堂の間に移動した。本堂には中央に大仏が鎮座してあり、右側には不動明王、左側には千手観音の仏像が並んでいる。
「ジョーさん、折り紙はこれを使って下さい。」
ヨーコは一枚の紙を差し出した。
「これはジャン爺様から預かった憑き神専用の特別な和紙です。」
「あぁ、知っている。父上がよく使っていたからね。この和紙は、ある特別な樹木の繊維から作られていて、濡らしても燃やしても大丈夫な程の特殊な紙なんだ。」
「さすが良くご存知ね、でも1つ違うのは、この紙にはジャン爺様の力も憑依っているの。」
「そうなのか?それは本当の意味で特別な和紙だなぁ!良し!これを使わせて貰おう。」
そしてジョーは、本堂の床板に何やら書き始めた。その後和紙にも何かを書いてそれを器用に折り始めた、そして出来上がったのは折り鶴だった。
「良し!準備完了だ!ヨーコはそこに立ってくれ。」
そう指示するとジョーはヨーコと向かい合わせに立った。足元に書かれていたのは陰と陽の文字が書かれた陰陽陣だった。陰の方にはヨーコ、陽の方にはジョーが立っている。
「ヨーコ?さっきの柄杓持ってる?」そう言われてまだ柄杓を持っていたヨーコは柄杓を差し出した。そして柄杓の器の部分に折り紙を入れた。
「ヨーコそのまま持っててくれ。」
「はい、分かりました!」
そしてジョーはブツブツ念仏を唱え始めた。
「・・・イヌイーネェウシトラウータツミィウマヒツジサルト~リ~~ィ。
四神朱雀鳳凰殿!この折り紙に憑き!転身なされよ!!」
すると、当然足元の陰陽陣から赤と青の光が円柱状に2人を囲むように現れそして、ジョーからは赤いオーラ、ヨーコからは青いオーラが頭頂部辺りから伸び出て来ては、そのまま吸い込まれる様に柄杓の器の中に入って行き、間もなくしてその光は立ち消えて行った。ヨーコはふらっとよろめき倒れそうになった所をジョーが支え受け止めた。
「大丈夫かい?」
「ええ、大丈夫よ。ありがとう。少し力が抜けちゃった。」
「この儀式はオーラパワーを少し捧げる必要があるから少し疲れるんだ。」そこへ瀬戸内住職が様子を見に来た。
「儀式は終わったようじゃの。
どれどれ鳳凰をひと目見てみたいのぉ。」住職は柄杓の中の折り鶴を手に取った。「出でよ!鳳凰!!」
・・・シーーン・・・
「ありゃりゃ?出てこんなぁ。」
「住職、無理もありません、最初の主は儀式を行った者と決まっています。折り鶴をこちらへ良いですか?」残念そうな顔の住職は折り鶴をジョーに手渡した。
「特に呼び出すのに言葉は無くても良いのです、こうして心の声で。」
ジョーは手の平に折り鶴を乗せると、突然眩く光り始めた。そして光りが止み目を開けると手の上にあったはずの折り鶴は消えていた。
『主ジョーよ、お初にお目にかかる。心の声しかと聞こえたぞ。我は鳥ノ神鳳凰、陽のホーオスと申しす。これより朱雀改め折り紙憑きの陰陽神として任務を全うする所存、以後宜しく頼む。』
『あなた!少し挨拶が硬いのではないかしら?コホンッ。主ジョー様、初めまして!わたくしホーオスの妻、陰のオーメスと申します。只今より世のため主の為、お守りとして職務を全うして参りたいと思っております。どうぞ宜しくお願い致します。』
『お前こそかしこまり過ぎやしないか?』
『あら!そんなことないわよ。あなたよりはビシッと決まったと思うけど?』
「初めまして。鳳凰様!こちらこそ宜しくお願いします!しかしなんて美しくて壮麗な姿なんだ!」と、ジョーは鳳凰の姿を見て圧倒された。
そして「本当!しかも鳳凰様が夫婦だったなんて!」と、ヨーコも賛同し。
さらに「なんと圧巻!このお方が鳳凰様か!実に壮麗優美じゃのぉ!」と瀬戸内住職も感動した。
『今日から守護神として主と共に寄り添って参ります。わたくし達の入る《守護符》はどちらへ?』と、オーメスが言うと。
「それならこれを!この寺のお守りです。ほら、ジョー君。」瀬戸内住職がジョーにお守りを手渡した。
「ありがとうございます。それでは、鳳凰様参ります。」ジョーは印を結んだ。
「【神封栓】!」
すると鳳凰はお守りの中にスーッと吸い込まれるように入って行った。
「これで鳳凰様は今日から僕の守護神となったんですね。それにしてもどうして朱雀様が折り紙憑きに?ずっと土佐ノ国を守っていたのに。」
「その事なんだけどまだ話して無かったわね。実は、朱雀様は四神選で新神の陰陽神に敗れてしまったの。」
「なんだって?!新神に?それは一体どこの何ノ神だ?」
「それは、阿波ノ国の狸ノ神
金長 力土よ!」
「キンチョウ?聞かない名前だな。」
「私もよ、だけど生前は、かなりの暴れん坊だったと聞いたわ。」
「あの朱雀様が力技で負けたのか!?くそっ!!さぞ悔やまれた事だろう!いつか僕が無念を晴らしてやる!」
「ジャン爺様が考案した【ジャン拳】での四神選で、朱雀様は金長にパーで負けたそうよ。」
「パーで?!パーは鳥ノ神の朱雀様が得意とする攻撃じゃないか!」
「そう、だから金長が少し上手(うわて)だったのよ。目には目をパーにはパーを!っていうことなんでしょう。脳天に一撃!両手チョップをお見舞いされたんだって。」
「なんて卑劣な!金長め!
やはり相当なダメージだったんだろう。そんな素振りひとつ見せなかったがやはり早くお守りの中に入ろうとされたのは、そういう事だったのか。」
「きっとね、だから鳳凰様には少し休んでてもらいましょう?」
「あぁ、もちろん。」
「ヨーコはこれからどうするんだ?」
「私はこの任務が終わったから、もう予定はないわ。」
「そうか、戻らなくても良いのか?」
「えぇ、どうしたの?」
「いや~、もし何かあった時に、君が近くに居てくれたら、助かるなぁ~っと思ったんだ。」
住職は隠れてこっそり聞き耳を立てている。
「えぇ良いわよ?どうしよう!泊まる場所探さなきゃ!」
「あっ、それなら大丈夫だよ。良かったら僕の家を使いなよ、僕は基本的に寺でお勤めをして家にはたまに寝に帰ってるだけだから。一軒家だから1人だと広すぎるし、逆に誰かに使って貰えると助かるんだ。」
「本当?ありがとう~!ペットとか飼っても良いかな?」
「あぁもちろん。生活に必要なものはだいたい揃ってあるから、無くなったら教えてくれたら買っておくよ。」
「何から何まで親切にしてくれてありがとう~!!ジョー大好き!」嬉しさ余りジョーに抱きつくヨーコ。
「僕も同じ気持ちだよ?」
「えっ?」2人は見つめ合った。
「あははははは!」
ヨーコは突然笑い出した。
「どうしたの?」
ジョーは少し困惑と驚きの表情で聞いた。
「だって~!これって両想いだよね~!」
「あぁ、そうなるね。」
「私、誰かと両想いなんて初めてだから、嬉しくて。なんか笑えてきちゃった。」ジョーは安心した表情に変わった。
「僕もヨーコと両想いで嬉しいよ。」
するとヨーコはふとジョーの首筋をみた。
「これ、私たちが初めて会った日、私が噛んだ歯痕。」
「あぁ、まだ残ってるんだ。本当はとても痛かったんだぞ。」
「ふふっ。」と、ヨーコはいたずらに笑ったあと、突然ジョーの首筋にカプッと噛み付いた。
「痛っ!びっくりしたぁ。何で噛むんだよ?」ジョーは優しく怒った。
「ふふ。愛はね、時に痛みを伴うものなのよ?」ヨーコはジョーの耳元で囁いた。ジョーは不思議そうな顔をした。
「それってどう言う意味だい?」
とジョーが聞くとヨーコはニコっと笑った
「ふふふ。ヒーミーツ。」
ヨーコはジョーに背を向けた。
「なんだよ、教えてくれよ~。」
「教えな~い。」
「待て~ぃ。」
「ふふふ。」面白がるヨーコ。
首筋の歯痕をみると2つの歯痕がVの字に重なりハート型になっていた。
それは痛みは伴ったもののヨーコが付けた歯痕のハートは、魔除けか、はたまた、まじないか。
もしくは【愛のしるし】だったのかも知れない。
こうしてこの日から2人は付き合い始め、恋人としての暮らしが始まった。
年月が経ち、瀬戸内住職は定年退職により寺を退き隠居生活に入り、寺の住職はジョーに引き継いだ。そして間もなくして寺に迷い込んできた白猫はシイと名付けられ寺の飼い猫になった。それからさらに間もなくして黒猫のりりがヨーコに拾われることになる。
そして、その間ヨーコはジャン爺から鳳凰の力を与えられたことで寿命が短くなって行った事に加え、狐から人間に長期間化け続けたことによるリスクが生じ始め身体に負担がかかり、とうとう不治の病にかかってしまっていた。
ジョーはヨーコの異変に気付き、なんとかしようと自分のお守りをヨーコに託した。
鳳凰の力のおかげで少しは元気になったのだが・・・。
「ジョーさん聞いて欲しい事があります。」
「どうしたの?改まって。」
「私は幸せ者です。あなたに出会えてこうして一緒に暮らす事ができて。私のためにお守りを託してくれて嬉しかった。でも、もう私の身体は鳳凰様の力をお借りしても消えかけの灯火にすぎないの。」
「何言ってるんだよ!そんなこと!」
「わかるの!自分の命の最後くらい。だから、私の可愛い息子にお守りをを託したいの。」
「りりにか?」
「ええ。」
「そんな事したらヨーコ!本当に!」
「だから言ったじゃない、もうすぐでお迎えが来るわ。」
「ヨーコ!行かないでくれよ!」
「りり?おいで。」
ベッドに寝ているヨーコの上にりりは飛び乗ってきた。
「にゃ~~ぉ」
「りり?これをあなたにプレゼントするわ。あなたに何かあったら必ず守ってくれるわ。」
「にゃわ~~ん」
りりは撫でて欲しいと催促をするように頭や身体をヨーコに擦り付けた。
それにヨーコは優しく応えた。
数日後のことベッドに横になっいるヨーコがジョーを呼んだ。
「ジョーさん?百合が見たいの、起こしてくれるかしら?」
「ああ、分かった。」ジョーはゆっくりヨーコの身体を起こし、そしてヨーコは1人でベッドから下り、ベランダに出た後、百合の花壇にしゃがみ込み、指で優しく花びらを撫でた。
「百合さん。元気でね。あなたと同じ名前のを付けたりりの事を見守っていてね。」
そして、ヨーコはその場に倒れ込んだ。それを見たジョーは慌てて救急車を、呼んだ。
「ヨーコ!ヨーコ~!!しっかりしろよ!」
ジョーは泣き叫び気が動転している。救急車で運ばれる道中、一緒に乗りこんだ涙のジョーがヨーコの顔を覗き見てみるとそこには優しく微笑み、目には涙が流れていた。
それからというもの、ヨーコを失ったジョーは何をするにも気力を失い住職の仕事もままならなくなっていた。そして酒に溺れる日々を送っていたある日、夜中に歩道をフラフラよろめきながら歩いていた時、ふっと車道に飛び出してしまった。そしてジョーは、後ろから来る車と衝突してしまうという事故に遭い、病院に運ばれたが敢え無く亡くなってしまった。そして残されてしまったりりとシイは、一緒に寺に居たためそのまま居つくようになったのだった・・・。
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