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第4章
決戦と再会と別れ
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『・・・これがジョーとヨーコの出会ってから亡くなるまでのお話よ。』
オーメスが話し終わると、リリは腕組みをして感慨深い表情で頷いている。
「なるほどにゃ~!まさに衝撃の真実ですにゃ!にゃぁポン?」
りりはポンを見た。
「すやすやZzz・・・。」
ポンは寝息をかいている。
「って!寝とるやにゃいか~~い!!」りりは気持ちよく寝ているポンに軽くツッコミを入れた。
『りり?ポンはまだ子供なの、お昼寝の時間だからそっとしてあげて?』
「あっはい!ごめんにゃさい!」
『オーメス、母親らしくなってきたじゃないか?』
『あら、そうかしら?これが母性と言うものなのかしら。』
『そうかもしれんなぁ。』
ホーオスとオーメスは交互に微笑んだ。
「それよかさぁ、みさの前世の人がこの国を作ったなんてマジ驚いたよぉ!ねぇ?みさ。ねぇ聞いてる?」
「う、うん。あぁ、そうだね。あたしも、ビックリ・・・。」
「それそれ!高いとこが苦手なの前世の人のせいだからね!」
さきは呆れたような表情で言った。
するとその時、鳳凰の目線の先に何かがウネウネと飛んでいるのが見えた。距離があるため小さいが、ミミズの様にウネリながら空を飛んでいる。
向こうもこちらに気付き、方向を変えてこちらへと向かって来た。
徐々に距離が縮まり、その姿と大きさがはっきりと確認できる程の距離になった頃、どうやらウネウネとしたそれはミミズではない事が分かった。
「おぉ!鳳凰ではないか?!久しぶりだなぁ!」
『何と!青龍じゃないか!やはりお前も動物園に向かってるのだな?』
目の前に現れたのは、鳳凰の2倍の大きさはある【龍ノ神・青龍】だった。青龍は、何故か指の間に緑色のスダチを挟み、手には黄色いユズを握っている。
「オレは讃岐ノ国の玄武から念話があってな。とんでも無い話を聞いて飛んできたのだ!!金長の奴め!新神(しんじん)の分際で!阿波ノ国は元々オレの管轄!それを好き勝手荒らしやがって!何を考えてるか知らんが特産物のスダチの生産を止めようとしてるそうだ!そしたら今度は麒麟のジャン爺様の首を狙おうとしてるだなんて!あいつ、オレを怒らせたらどうなるか教えてやる!」
『青龍を怒らせたら大事だな、イカズチが落ちる!我も怒りでどうにかなりそうだ。だが、それよりも青龍よ、4年もの間、土佐ノ国の護国任務ご苦労だったな。それも今年でもう終わりだ!ところでその手にあるのは土佐ノ国特産のユズと阿波ノ国特産のスダチではないか!』鳳凰は青龍の手元を見て指摘した。
「おぉ!さすがは我が友よ。良く気づいてくれた。両手でコレを持ってると何だか願いが叶う龍に見えるだろう?ほら。」青龍はそう言ってカッコよくポーズをとった。
それに対して鳳凰は『はぁ?何を言ってるのか分からんが?』と冷たくあしらった。
「い、いやいや、これはドラゴンジョークだ!オレは決してスベってなどおらんぞ!」青龍は冗談がウケる自信があったのか鳳凰の反応に少しショックを受けていた。
「いや、実のところはだな、この任務が終わったら夕飯で焼き魚にスダチを絞って晩酌しながら飯を食って、その後ユズ湯で疲れを癒そうと思ってな。」と、青龍は苦し言い訳をした。
『そうかそうか。それは良いな・・・。まぁとにかくあの金長を討ち、我は土佐の国、青龍は阿波の国へと戻ろうではないか!』鳳凰は苦笑いをしながら話題を戻した。
「あぁ!もちろんだ!!」
そして、鳳凰と青龍は久しぶりの再会のため昔話に花が咲き盛り上がっていた。
『わ~はっはっはっは!』
「だっはっはっは!」
するとそこへ「あの~盛り上がってるとこすみません。 現土佐ノ国の守護神、青龍様でらっしゃいますか?」と、青龍に声をかけてきたのはさきだった。
「あぁその通りだ。しかし鳳凰よ、えらく大所帯だな。《折紙憑き》は主以外の守護は出来んはずじゃぁ?いや、何か訳ありの様だ。あぁあぁ、あえては聞かぬ、お前は昔から優しい奴だったからな。オレは良く知っているぞ。」青龍が詮索するのを止めると『青龍、有難う。』と静かに礼を言った。
「きゃ~~!今日は特大吉日だわ!こんなに立て続けに神様に会えるなんてそうそうある事じゃないわ!写真撮っとこ!カシャ!カシャ!って言うか~、さっきもだけどあたし、動物の声が聞こえてるってどういう事?」
するとそこで「どっひゃ~~~あ!!!りゅっ!龍が!目の前にいるにゃ~!!」りりは青龍を見て驚いた。
そして「うわーぁっ!!すっご~い!!初めまして~。」ポンは冷静なリアクションを取った。
「おぉ、お初にお目にかかる。白狸と黒猫、そして人間の子供2人にどういう関係かは知らぬが、まぁ宜しく頼む。」青龍はみんなの頭の上を泳ぐように旋回しながらみんなに挨拶をした。
『本当だな。そう言えばさっきからさきと話が通じているな。みさが通訳をしてないのに。しかもポンとりりが青龍の姿が見えている?となると、さっきのイナリ神社で浴びたオーラが原因かもしれんな!』
「オーラですかにゃ?そういえば!最初は右近さんと左近さんの黄色いオーラに包まれたにゃ!」
『そうだ、あの黄色いオーラは”見える”力を発するオーラだ。』
「そのあと、みさからピンクのオーラが出てたよね!」
『そのピンクのオーラは”聞こえる”力を発するオーラなのだ。オーラは個々に違う色をしているのだが、それは他人に移すことが出来るのだ。すなわち、その2種類のオーラを浴びた事によって、見えなかったものが見え、聞こえなかったものが聞こえる様になってしまったのだ。だが我々にとっては煩わしさが無くなって好都合だったな。』
「なんか、良く分かんないけどこれからは皆普通に会話が出来るって事だよね~?良かったじゃ~ん!」
「世の中には不思議な力があるんだにゃ~。ふっしぎだにゃ~」
「おっ!みなさ~ん!りりがふしぎだにゃ音頭をおどりますよ~。」
ポンがりりの余興紹介をした。
「や~れ ふっしぎっだにゃ~♪
そ~れ ふっしぎっだにゃ~♪
ふっしぎにゃ音頭でよよいのよい♪それ!よよいのよい!♪さぁさ皆さんご一緒に~♪・・・。」
『青龍よ上手いじゃないか!』
「当たり前だ、阿波の踊りで鍛えておるからなぁ。」
『我だって、よさこいで踊り染めておるわ。』
「わはははは~♪」
・・・・上空は快晴。一行は賑やかに、目的地とべ動物園へと向かう・・・。
・・・ここは、とべ動物園内
【爬虫類舎】
薄暗い室内、色んな種類の蛇や亀たちが暮している。その中で圧倒的存在感を放っているのが巨大ニシキヘビと巨大リクガメである。
「シャー!皆は、まだ到着してないのかシーら?シャー!ねぇ黒丸っち~。」ニシキヘビが早い口調で誰かと話している。
「う~ん、ま~だみたいやなぁ~。ニシキは~ん。青龍には~念話しといたから~もうじき~着くと~思うわ~。」
相手のリクガメはゆっくりとした口調で話している。
実は彼らは【讃岐ノ国】からやってきた蛇と亀のコンビ陰陽神の【玄武】である。あまりにも早く動物園に着いたため、それぞれ蛇と亀に憑依り合図があるまで時間つぶし、ではなく、待機している所である。
【ホワイトタイガー舎】
ここでは、とても希少種なために普通の虎たちとは隔離された場所で暮らしている白い虎がいる。
「ガオ~!ガオ~~ゥ!」
「ほら、ゆうなちゃん見てみて。
珍しいわねぇ、白い虎よ~。
ホワイトタイガーって言うのよ。」
「いや~!こわい~!
ゆうなペンギンが見た~い~!」
親子連れがホワイトタイガーを遠目から見ているが子供は興味が無いようだ。
「怖がられちゃった。虎やライオンに比べたら全然怖くないと思うんだけどなぁ。」
メスのホワイトタイガーがしょんぼりしながら言った。するとガシャン!と内側の檻の扉が開いた。
「ソノちゃん!ご飯の時間だよ~!」
「サオリ~!待ってたよ~!あたしお腹ぺこぺこ~!」
彼女は、飼育員のサオリ。
ホワイトタイガーのメスのソノを愛情たっぷり飼育している。
サオリは、他の飼育員とひとつ違う所がある。それは、彼女もまた【アニマル・サイキック】(動物と話せる能力)の持ち主なのである。
「ソノちゃん、もうすぐでここに来て2年だからだいぶ慣れてきたね。」
「モグモグ!ムシャムシャ!ええ、サオリがあたしとお話し出来るから本当助かってる。お願いとか聞いてくれるし。」
「ふぁ~~!!少し静かにしてくれるか?眠りの妨げになる。」
ソノの隣の檻にいるのが同じくホワイトタイガーのオスのタイガである。
「あっ、タイガくんごめんなさい。ソノ、サオリとお話してて、もう少し静かにするね。」
「タイガくん私が話しかけたからいけなかったよね、ごめんね。」
「あぁ、頼むよ。」
ホワイトタイガーは、大変希少種のため、なるべくストレスがない様に、檻も個々に設けてある。飼育員も細心の注意を払い体調管理を行っている。だが、実はタイガの中には今、ある神が憑依っていた。
・・・・・・再び上空。
「もうすぐ着きそうだね。青龍さんは着いたらどうするの?」
さきが青龍に聞いた。
「俺は、とりあえずワニかトカゲか、適当に憑依って、指示があるまで待機するとしよう。」
「それじゃまた後で会おうね!!」みんなは青龍に手を振っている。
「あぁ!では先に行く!さらばだ!」
『あぁ、また念話する。』
青龍は螺旋を描くように去って行った。
「鳳凰様?ひとつ気になる事があるんですが伺ってもよろしいですかにゃ?」
『あぁ、何だ?』
「青龍様は元々阿波ノ国の守護神で、鳳凰様は元々土佐ノ国の守護神。オイラはてっきり鳳凰様は伊予ノ国の守護神だと思ってました。なら、この伊予ノ国の守護神は、一体誰にゃんですかにゃ?」
『りりは知らんかったのか、それなら教えてやろう、この伊予ノ国の守護神はな、【猫ノ神・白虎】だ!見た目は白い虎なんだが実は猫ノ神、我らがかつて護国神隊をしていた頃、隊長をしていたのも他ならぬ白虎だ。』
「へえぇ!じゃぁ、りりの奥さんのシイさんと同じだね~!白猫なんでしょ?」
『まぁそうだな!その白虎はもうすでに動物園に着いているはずだ、地元だからな。』
「すご~い!とうとう白虎様にも会えるのね!ワクワク♪ドキドキ~!みさ~!もうすぐで動物園に着くみたいよ~!って寝てるし~!」
「着いたら起こしてあげよ?」
「うん、そうだね。」さきとポンはミサの可愛い寝顔を見つめていた。
《四国に住んでいる陰陽神(いよかん)達の正しい配置地図。》
・・・・・・その頃動物園では。
【ペンギン舎】
優雅に泳ぐペンギンの巨大水槽。
その上空に不気味な黒い円形をした影の様な物が現れた。
「母さん~!あれ~何だろ~!?」
「タクトくん!泳ぐのやめてこっちに来なさい!何か不気味ねぇ、飼育員のユウキさんのところに教えに行きましょう!」
コウテイペンギンの親子は飼育員の所に向かった。
ペンギンの飼育員ユウキ。彼もまた動物と話せる能力の持ち主。
「なんだって?空に怪しい黒い影が?すぐにサオリちゃんに伝えに行くよ!タイガとジャンにも伝えなくちゃ!」
【ホワイトタイガー舎】
「ん?何か違和感のある気配を感じるな。ジャン爺様もお気づきだろうか?とうとう奴らが嗅ぎつけて来たか。久しぶりに白虎隊の集結だ!」ホワイトタイガーのタイガに憑依っていたのは、なんと【伊予ノ国の守護神・猫ノ神の白虎】だった。
【キリン舎】
長い首をしたキリン達は優雅にしなやかに歩いている。
その中で高い木の葉っぱを食べているキリンがいる。
「ムシャムシャ。わしは、やっぱり葉っぱより人参が食べたいなぁ、一応避難しておる身じゃから、文句は言えんがのぅ。しかし、何やら邪悪な陰の気配を感じるのぅ。わしの居場所を嗅ぎつけおったかぁ、やはり麒麟がキリンの中じゃギャグにもならんか。では念のため結界を張っておくかのぅ。」
キリンの中でジャン爺は仙人の姿に変わり座禅を組んで印を結び動物園全域にドーム状の結界を張った。
「これで良しと。」
【モンキー舎】
「キーーー!ウキーー!キーー!」
猿たちがザワついている。
「どうしたの?!みんな!落ち着いて!」
猿の飼育員のマリが騒ぎだした猿達をなだめている。
「一体ここで何が起きてるの?!」マリは空を見上げ不気味な雰囲気を肌で感じているようだ。
「こちら白虎!!全神に一斉念話をしている!奴らは園内に既に来ているようだ!ペンギンエリア上空に黒い影あり!あれは時空間移動術!陰陽導師クウコウらの陰陽導術に違いない!」
『こちら鳳凰!ただ今、動物園上空!もう間も無く現地に到着する!そのまま現地に向かう!』
「こちら青龍!鳳凰、俺もすぐに
加勢に向かう!」
「玄武達!聞こえるか?」
白虎が玄武に話しかける。
「シャー!全てキッチリ聞こえてるわ!私達は、ジャン爺様の護衛に向かいます!」
「承知した!!私もジャン爺様の元へ向かう!各々頼んだぞ!
ユウキありがとう!サオリと一緒に他の動物達にも避難するように伝えてくれ!」
「あぁ!分かった!任せてくれ!」
ユウキは親指を立ててウィンクをした。
「ユウキとサオリが私と会話が出来る事が何より助かる。ありがとう!」白虎は頭を下げてお礼を言った。
「気にしないで?頭を上げてよ。困った時はお互い様よ。」
サオリは優しく白虎に言った。
するとペンギンエリア上空に浮かんだ黒い影が少しずつ徐々に広がって行く。するとその黒い影は、ゆっくりと渦のように回転し始めた。
そして「ゴゴゴゴゴゴゴゴ!」という音を立てながら黒渦の回転スピードが上がっていく。
すると突然ビュン!!っと勢い良く中から何かが飛び出した。
それは回転しながら物凄い速さで落ちて行った。
そして勢いよくバシャーーン!とペンギンの水槽の中へと落下した。
そして「ブクブクブク・・・・」と勢いのまま水底まで沈んで行った。
ペンギン達は驚いて周囲に散っていったが1匹のペンギンだけが水の中に入って行った。そして間も無くして水面に浮き上がって来た。
「ブクブクブク、ぷはー!あぁ!死ぬかと思った~!ってすでに死んでたか!おっ!ありがとうペンギン君!この恩は必ず返すよ。」
「礼には及びません、あなたからは悪いオーラが感じられなかったので、取り敢えず助けただけですから。」
「そうか!まぁなんでも良い、とにかく助かった、ありがとう!僕はある奴から逃げて来たんだが・・・一体ここはどこなんだ?」
「ここは、僕らの暮らす動物の楽園、とべ動物園ですよ。」
「動物の楽園?そうか、地獄では無さそうで安心したよ!僕はジョー、君の名は?」
「僕は、コウテイペンギンのタクトです。」
「そうか、タクト!もうすぐで僕の追っ手があの黒い渦から出て来るはずだ!タクトはみんなを連れて避難してくれ!出来るか?」
「はい!分かりました!任せて下さい!」タクトはペタペタ小走りで走って行った。
すると空中に現れた黒い渦からビュン!!っと何かが出てきては空中でピタッと止まった。
後から出てきたのは、なんとジョーとうり二つの姿だった。そこへ鳳凰と青龍が到着した。みさとさきの姿は無い、どうやら先に安全な場所に降ろしたようだ。
『あれは?ジョーか?!ジョーなのか?』鳳凰は空中に浮かぶジョーに言った。
「鳳凰、久しぶりだな!元気にしてたか?」
「鳳凰!あれはニセモノだ!本物のジョーは僕だ!」
ペンギンエリア内のジョーが叫んだ。
『どちらかが本物でどちらかが偽者。』すると、りりの後ろに再びヨーコが現れた。
「鳳凰様、答えは簡単よ。2人に問題です、私は一体誰でしょう?」
「誰ってお前は、あの時の女狐じゃないか!?」
「ふふふ・・・。」
ヨーコは微笑し、また姿を消した。
『なるほどな、ヨーコ感謝する!偽者は奴だ!青龍はあっちを助けてやってくれ。それから・・・。』
「承知した!」
『金長!目を閉じるなよ!秘技!太陽光波!!』
ピカーーーーーー!!!!
鳳凰は、羽根を頭上に大きく広げて円を作り、その中に眩しい光を集中蓄積させて、光線を放った。
「通電!!」
バリバリバリバリバリバリ!!!!
青龍は激しい電流を体に纏っている。
「ぐわぁーーーーあ!!目が!目が見えん!」鳳凰は空中にいたジョーに攻撃した。
ザパーーーン!!
逃げる様にそのまま水槽に落下した。すると
「放電!!」ズドーーン!!
青龍がとどめの一撃を放った。
バチバチバチバチ!!
空中にいた2人目のジョーがペンギンの水槽内で落雷により感電した。
「ぐあああーー!!くそっ!何故分かったんだぁぁ!?」
水槽から這い上がる姿はすでにジョーの姿ではなかった。
『やはりお前だったか!金長!!
彼女にはちゃんと名前がある!お前は彼女の名前を呼ばず女狐と呼んだ!だからおのずとお前が偽者だと分かったんだ!金長!お前は罪を犯した!陰陽導師クウコウとカンコウをジャン爺様の許可なく無断で自らに取り入れ、その力を得たな!?』
「ガハハハ!ハメやがったな!やられたぜ~!!あぁそうだ!だったら何だ!?朱雀さまよぉ!?」
『もう・・・もう二度とお前のような奴には負けはせん!』
「フン!強がりだけは一人前、いや、一鳥前のようだが、お前にこの国を救えるのか??」
『黙れ!!化け狸め!!』
「黙るのはお前の方だ。」
その時、護衛に行ったはずの白虎が駆けつけた!
「天罰!!氷結地獄!!」
水槽の水が一気に固まり金長の足を凍らせた。
「ポン!見てみろにゃ!リアル猫ノ神様の天罰だにゃ~!!」
「クソッ!足が氷つきやがった!!これじゃぁ身動きが取れねぇぇ!なんてな。」
すると金長の右手から緑色のオーラを出し、先端が尖った形に変化させた。そして、ズババッ!!と膝下を自ら切断した。
「あらよっと。」
金長はそのまま宙に浮き、上昇した。そして切ったはずの両足から、ドバッ!!と人間の足が出てきた。
「白虎隊長、酷いじゃないですか。俺があんたに何かしましたか?」
「いや、これから何かするんだろ?!
俺たちはそれを止めに来たんだ!!!」
「あんたらを倒さなけりゃ、あいつの長い首は獲らせてくれそうにないですねぇ・・・こっちもやられっ放しでは終わらせませんよ!
そろそろ反撃させて貰います!」
金長は両手を胸の前にクロスさせて目を閉じた。すると、両肩から腕がさらに2本ずつ生え、金長の顔とは別に左右に現れた顔はなんと、右側にクウコウ、そして左側にカンコウの顔が現れた。
「怒りの面!!」目を閉じた状態で怒りの表情をした、カンコウの顔が正面に切り変わり、そしてギロッと目を見開いた。金長は衝撃の変貌を遂げ、三面六手の【鬼神・阿修羅(きじん・アシュラ)へと姿を変えた。
「六手無羅斑(ムシュムラムラ)!
怒曇波鈍灯(ドドンパドンドン)!!」阿修羅が呪文を唱えると瞬く間に空に暗雲が立ち込め、辺りを闇へと変えた。
「あんたらでは、今の俺には勝てんよ。分かるだろう?このおぞましい陰の力を!!・・・感じるだろう?!特別に陰陽導術の禁術を見せてやろう・・・。陰陽導術!!太陰月・夢幻樹限無(ムゲンジュゲム)!」『何だ!これは一体!!力が抜けるようだ!』
「鳳凰!白虎隊長!ここは一旦引きましょう!!鬼神・阿修羅になったあいつには今は敵いません!作戦を練りましょう!」青龍は阿修羅の異様な悪気に敏感に気づき皆を非難させた。
「クソッ!!あれではさすがに我々でも手も足も出せんか!!」
「おやおや?もう終わりですか?情けないですねぇ。では、遠慮なくアイツの長い首を獲りに行くとしましょうか。」
阿修羅金長は、方向を変えキリンエリアに向かう。
「大丈夫だ!今、ジャン爺様の護衛には玄武がついている!あいつらなら時間稼ぎをしてくれるはずだ!!」
その頃、離れた場所で先に降ろされていたみさとさきは。
「どこだろ~?タヌキ~。
鳳凰さんにポンくんのパパとママを探しておくように言われたけど、結構広いからねえ。」
「さきの力で何とか出来ないの?」
「無理だよ~!探知能力はナイナイ!!」
その時、みさの耳に何か聞こえた。というより頭の中で声が聞こえ、何かの映像が、イメージとして見えた。
「何これ?!今何か見えた!声も聞こえた!」
「やっぱり!あの時みさにも【見える力】が移ったんだ!」
「えっ!?何のこと?」
「(聞いてなかったんだまぁ良いか!)後で教えたげる。それより何が見えて何て聞こえたの?」
「場所は・・・どこかの部屋の中で、“エヒメノミコト”ってはっきり聞こえた!何だろう?」
「(そっか前世の事も知らないんだ!)こっちに気付いてるんだわ!他に何かヒントになるイメージを見つけて!」
「分かった、やってみる!」
みさは目を閉じて眉間にシワを少し寄せて意識を集中させた。
「あっ!白いタヌキ!ポンのママだよきっと!場所は・・・あっ!
医務室!パパの病院で見た事ある漢字だから間違いないよ!」
「でかした!じゃあ医務室に行くよ!ってそれどこ??」
「僕が案内するよ!こんな時に子供だけでは危ないから!」
そこに現れたのはペンギンの飼育員ユウキだった。
「あっ!飼育員のお兄さん!ちょうど良かった!ってかお兄さんイケメンだね!」
「それはどおも!さぁ医務室に行きたいんだよね?こっちだよ!急いで!」みさとさきは、ユウキの案内で動物園内にある医務室に走って向かった。
「イケメンでめっちゃ親切~!」
「そうだね!助かったわ!」
みさたちは医務室に到着した。
ユウキが扉を開けると白衣を着た獣医師がこちらに気付き、その奥にゲージが見えた。みさは医務室内に入ると、すぐに上を見上げた。
「やっぱりここだ、あの時この天井が見えてたんだ。」
「ナナ先生、突然ですが失礼します!この子たちに医務室に行きたいと言われまして。」
「ここに用なんて一体何かしら?お嬢ちゃんたち?まさかタヌキちゃんたちの飼い主?なわけないわよね。」
「あっ!居たあの時のタヌキだ!ゲージの中!」柵で出来たゲージの中には、普通の色のタヌキと白い色のタヌキが居た。
「みさ、たしか白い方がポンくんのママって言ってたよね?」
「うん、ポンと最初に会った時にそう言ってたよ。」
「じゃあ、寝込んでる普通のタヌキの方がポンくんのパパってことね!獣医さん?この子どうしちゃったの?」
「体調は悪くないのよ?落ちたみたいだけどケガも無いし、食事もちゃんと食べてるし、なぜかそうやってずっとぐったりしてるのよ。」
「みさが聞こえた声がポンくんのパパからなら話しかけてみたら?」
「うん、そうだね!」
みさはタヌキに話しかけた。
「あなた達は、ポンくんのご両親ですか?」
「あぁ、僕はポンの父のカンだ。」
「私がポンの母です。この度はご迷惑をおかけしてしまって申し訳ありません。お恥ずかしい・・・。」
「でも、なぜ息子の事を?もしかしてここまで来てくれたんですか?」
「ええ!ポンくんと一緒に2人に会いに来たのよ?」
「本当か?!あの子には申し訳ないことをした、どれほど心配をさせたことか。」
「ポンくんなら大丈夫!私達やお友達もいるし、しゅごしんだっているんだよ!」
「そうか、あの子は独りじゃ無いんだな、安心した。君たちは僕たちを助けてくれた人間の?」
「そうだよ!わたしのパパの病院にあなた達を連れてったのがさきのパパなんだよ!」
「そうか、なんて優しい人間たちだ!僕たちは運が良かった!あの日僕があの丘から足を滑らせて落ちるところを妻に助けられたんだが、勢い余って一緒に落ちてしまった所までは覚えているんだが。」
「そう、思わず私悲鳴あげちゃったんだけど。急にあなたが光り始めたと思ったら、何かが落ちた時の衝撃を和らげたの。」
するとその時みさの体が、あの時のようにピンクの光に包まれた、そしてそれに反応したかのようにカンの体が青い光に包まれた。みさとカンの胸の辺りから、スーっと、同時に人の形をしたオーラが出てきた。
「やはり、そなただったのじゃな。」
「おぉ、近くにいるのは感じていた!姉君、愛比売命(エヒメノミコト)。」
「ひさかたぶりよのぅ・・・
月夜見尊(ツクヨミノミコト)」
「何?この人たち!?」
「みさ、私もポンのパパの方は分かんないんだけど、みさから出てるその人は、あんたの前世の人なの!キツネの神社でみさが寝てる時にこうやって出てきて。」
「私の前世?じゃ、私はこの人の生まれ変わり?」
「そういうことじゃ、飲み込みが早いのぅ。本来なら、みさが眠ってる間しか出られぬのじゃが。
どうやら月夜見尊の陰の引力でわらわは引き出されたようじゃのぅ。」
「2人は姉弟なの?」
「わらわは達は姉弟じゃが、親の離別により若い頃に離れ離れだったのじゃ。」
「それじゃツクヨミさんの生まれ変わりがポンのパパのカンさんてこと?凄い偶然ね!」
「いや、偶然では無い、必然じゃ。このタヌキが今生きてここにおるのも、月夜見尊の力により守られたからに他ならない。そしてわらわたちは互いに引き寄せあい、今こうして再び巡り逢えた、これが誠の家族の愛の力じゃ!!」
「エヒメノミコトさん、熱いねぇ!!きっと愛に生きた人なのね。」
「ちなみにツクヨミさんの力ってどんな力何なんですか?」
「わたしの力は【抱擁】。わたしの転生者であるカンがあの日、丘からチイと一緒に落ちて行く時に、2人の周りに抱擁オーラの壁で包み込み落ちた時の衝撃を和らげたのです。」
「そうだったんですね!
前世さまありがとうございました!僕はともかく妻のチイを助けて頂けてありがとうございました!」
「礼には及びませんよ、わたしもあなたに死なれては困りますからね、それより外では何が起きてるのですか?異様な気配を感じるのですが?!」
「ツクヨミ、わらわたちと一緒に来てくれ、 ジャンが危ないのじゃ!」
「ジャンさんが?!一体どう言う事ですか?!」
「説明は後じゃ、とにかく付いてくるのじゃ!そなたの力が必要なのじゃ!」
「分かりました!」
そして、みさはカンを、さきはチイを抱きかかえ医務室を出て行く。
「お兄さん、お姉さん!ありがとうございました!」
「何かよくわかんないけど連れて行くのね?気を付けて!」
ナナとユウキは手を振り2人を見送る。
「いや~無事に両親と息子が再会。良い話じゃないですかぁ~
ねぇナナ先生?」
「ええ、それなら良かったわ。
この職場でのあなたのその能力私も欲しいわぁ。」
急いでポンと鳳凰の所に向かうみさとさき。
「カンさんとチイさん!もうすぐでポンに会えるからね!」
「ありがとう!このご恩は一生忘れない!」
「いいえ~!気にしないで~!」
みさとさきが外に出た時、すでに空は暗雲に包まれていた。
「何?!この空!!まだ夜じゃ無いのに真っ暗じゃん!!」
「お~い!きみ達~!!」
向こうの方から駆け足でこちらに向かってくる女性が2人を呼んでいる。
「え?私達しかいないよね?誰?あのお姉さん。」
「あっ!さおり姉ちゃん!」
「みさの知り合い?」
「うん、いとこのさおり姉ちゃん。」
「はぁはぁはぁ、みさちゃん来てたんだぁ。この子はお友達?」
「そう!親友のさきだよ。さき、さおり姉ちゃんはね、ここで飼育員さんをしてるんだよ!」
「そうだったの?知らなかった!」
「それより、こんな所に居たら危ないから、私と一緒に避難しましょう。」
「さおり姉ちゃん!私達このタヌキさん達を子供に会わせないといけないの!だからゴメン!」
「・・・なら私も一緒に行くわ!」
「本当?!助かるよ!じゃ行こう!」
こうしてみさとさきはさおりと共に、ポンの元へと向かった。そのころ鳳凰たちは・・・。
『ジョー!!どうしてお前がこんな所にいるのだ?!』
『そうよ?!あの日からずっと動向は探ってたけど、元気そうで良かったわ!』
「ホーオス、オーメス・・・心配かけてごめん。あの日以降成仏も出来ずに独り路頭に迷っていたんだが、このままじゃダメだと思っていた矢先に風の噂で父と兄が金長の力を利用し神格化したと!そしてあいつらの動向を探っていると今回の企みを知った。そしてその頃、ヨーコと再会したんだ。いや、彼女が僕を探し会いに来てくれた。そして僕はヨーコに事の全てを伝え協力を仰ぎ、陰陽神達を集めてこの動物園の動物に憑依り待機する様に計画を立てたんだ!」
するとりりの後ろからスーッとヨーコが現れた。
「ジョーさんの言う通りです。
でも、それは私の恩師である麒麟のジャン先生を護るためなんです。」
「ジャン先生?何故君がジャン爺様の事を先生と呼んでいるんだ?!」
白虎達は不思議そうに聞いた。
「実は、私はジョーに出会う前、讃岐ノ国で生まれました・・・。」
四国の北に位置する讃岐ノ国。
この国でも狐狩りは行われていた。ヨーコはその脅威から逃げるため、妹達を連れ、南へと向かい、四国中央山にたどり着いた。
そこは4つの国が一望できる場所。そこで仙獣・麒麟のジャンと出会い、生まれた国での事を全てを話した。不憫に感じたジャンはヨーコらを優しく受け入れてくれ、そして身を守るための護身術や化け学、人間の言語学習などの修行を付けてくれたのだった。
「その後、土佐ノ国に移りジョーさんと出会って、それから後は妹達が見せた記憶の映像通り・・・。」
そして、ヨーコはジャンから愛比売命が人間の子供に転生している事を聞き念話により愛比売命に国の危機だと言う事を伝えた。その後、りりに直接語りかけ、イナリ神社に来るよう指示し、そこで全てを明かそうとした。
『我らは偶然にもここにポンの両親を迎えに来る事になっていたのだが。』
「いいえ、偶然ではないわ!
鳳凰さまが折り紙憑きとしてりり達と一緒に居て下さったお陰で、ここに来ることが分かってたからそうしたんです、その方が何かと都合も良かったので。」
「ヨーコさん凄いにゃ~!さすがだにゃ!!」
「りりに褒められると嬉しいわ。
ありがとう。」
「りりくん、久しぶりだ!シイは元気にしてるか?」
「あ、はい!元気ですにゃ。子供も出来ましたにゃ。」
「そうか、それは幸せそうでなによりだ!良かった。」
『あなた!ジャン爺様に金長が接触したみたいよ!』
『そのようだな!早く加勢しなくては!あいつに弱点は無いのか?!』
「ホーオス、オーメス!聞いてくれ!僕に良いアイデアがあるんだ!!ちょっといいかな?」
・・・・ボソボソ。
ジョーは陰陽神達を集めて何やら話をしている。
「おーい!みんなぁ!」
「ポンのパパとママ連れて来たよ~!」
みさとさきがポン達の元に合流した。
『お前達ご苦労だったなぁ!
ちょうど良かった!たしかあれを持っていたな?」
「父ちゃ~ん!母ちゃ~ん!会いたかったよ~~!!」
「ポン、心配かけてごめんなぁ。
父ちゃんドジしちゃって。」
「ポンちゃんお友達たくさんできた みたいね!母ちゃん嬉しい。」
「うえ~~んえんえん!」
「ポン、そこは泣いても良いところだにゃ・・・。うっぅう・・・
にゃ~~んにゃんにゃん」
ポンにつられてりりがもらい泣きしている。
『ジョー、ヨーコ!我に力を貸してくれ!ジャン爺様には許可を頂いた!みさ!さき!青龍!あれを貰えるか!・・・』
〈キリン舎〉
「おいおい!俺の邪魔をするんじゃねぇよ!爬虫類ども!!」
「それは~~無理な~~注文や~!」
黒丸は阿修羅の前に立ち塞がっている。
「イライラするしゃべり方すんじゃねえよ!ノロいのは動きだけにしろ!」
「シャー!あんたさ、今、地雷踏んだよ!黒丸っちに言っちゃいけない言葉、言っちゃったねぇ!」
ニシキは阿修羅に絡みつき締め上げながら言った。
「だ~れが~ノロいや~~と~~ぅ?!」
「だからお前だよ!!このノロい亀さん!!ぐっぐぐ苦しい!!」
阿修羅は6本の手で必死に締め付けるニシキを外そうとしている。
「シャー!もがけばもがくほど食い込むよ~~!」
「そんなにわしの事~~ノロいノロいて言うんなら~~!お望み通り~~!じわ~じわ~っと~~!
呪い殺してやるでえ~~!!」
ニシキは阿修羅の6本の腕を後ろで縛り上げ、手が使えないようにした。
「われぇ!存分に喰らわしたるで!!玄武突死球(げんぶつしきゅう)!!」
黒丸は空中で高速回転をしながら金長に突進した。
ギュルルルルルーー!ドスッ!!
「ぐわはぁーーーーあっ!!!」
攻撃は腹部に命中し阿修羅は吹っ飛んだ。
「シャー!効いたわね!シャー!もういっちょ!」
ニシキは瞬時に阿修羅から離れ、今度は黒丸の甲羅の側面に巻きついた。
ヒューーーー・・・ドガーーン!!!
吹き飛ばされた阿修羅は白くま舎に激突した!近くにいた白くまのピンフは突然の事に驚いてプールの中に飛び込んで行った。
阿修羅は起き上がり再びゆっくりと宙に浮き上がってきた。
「クソ!なかなかヤルじゃねえか!」
「シャー!黒丸っち~!!行っくわよー!!」
ギュルルルルル!!!
「玄武突死球!!黒護摩!!」
ニシキは黒丸をベーゴマの様に阿修羅に目掛けて投げ飛ばした。
ビューーー・・・ドゴッ!!
「ぐをはーーーーぁ!!!」
ギュルルルルル!!!
激しく命中し苦悶の表情の阿修羅。だが、ニヤっと不敵な表情を浮かべ、回転する黒丸に6本の腕を回した。
「残念!リーチだ!!」
なんと、阿修羅は背中を丸め衝撃を吸収しダメージを最小限に抑えていた、そして次の一手に出た。
黒丸の甲羅を6本の腕でしっかりと抱え込み、そして思い切り振りかぶり、勢い良く投げ飛ばした。
ビューーーーーン!!
投げ飛ばされた黒丸の向こうにはキリンに憑依った麒麟のジャン爺の姿が。
「シャー!しまった!!間に合わない!」
黒丸がジャン爺にぶつかりそうになったその時だった。
ビュンッ!!!
と、一瞬何かが、風の様にニシキの前を通った。ガシッ!ギュルルルルル!誰かが黒丸を受け止めた。
「おお!?あんたさんは?!」
『なんとか間に合ったようだ!
黒丸大丈夫か?いや、お前に心配は無用だったな!足止めご苦労。
今度は我が相手だ!!』
そこに現れたのは、鳥頭、人身、背中には大きな羽根、尻には狐の尾とその周りに鳳凰の尾があり、その姿はまるで【天神・迦楼羅(カルラ)】だった。
『ジャン爺様、許可を頂きありがとうございました。」
迦楼羅は後ろにいるジャン爺に振り向かずに言った。
「今回は特例じゃ!宜しく頼んだぞい。」
「鳳凰さま~!ヨーコさ~ん!
ジョーさ~ん!頑張れ~!そんな奴に負けるにゃ~!」
りりが下から一生懸命応援している。
「おいおい!!マジか?!まさか俺たちみてえに憑依合体しちまったのか?!こりゃ、面白れぇ事になってきたじゃねえか!!」
『面白がるのも今のうちだ!金長!!お前のような奴は真の陰陽神ではない!我が今ここで成敗してやる!!』
「がははははっ!お前が俺を成敗だと?出来るもんならやってみろ!!」
『黒丸!ニシキ!我の武器になってくれ!!』
「シャー!任せときな!」
「お安い御用や!」
ニシキは長い体をピンと真っ直ぐに伸ばして先の尖った矛に変化し右手に装備された。黒丸は頑丈な甲羅で強固な盾に変化し迦楼羅の左手に装備された。
「おぉ!大層な装備をして!それで良いのかぁ?おい!じゃあこっちも装備しようかねぇ!」
阿修羅は6本の腕を前に出して手指を鋭くすぼめると、ジャキン!と尖った刃物に変わった。
「凶器の数なら負けてねえぞ!?」
『その様だな!さぁかかって来い!』迦楼羅は阿修羅を挑発する様に言った。
「へへへ、じゃぁ遠慮なく・・・。」
阿修羅はヒュンッと目の前から消えた。そして突如、迦楼羅の目の前に現れ、6本の手刀で乱れ打ち攻撃をするも、甲羅の盾により防御されてしまった。
「くそっ!傷ひとつ付きゃ~しねえとは!!!」
『こちらも攻めさせて貰うぞ!』
迦楼羅は羽根を羽ばたかせて急上昇した。
「何だ?上から攻撃をしようなんて頭が高え!面白い!来てみろ!!」
迦楼羅は急降下して阿修羅に向かっていった、その時だった。
「ぐわあぁぁぁぁぁ!!!目が目がしみる!!痛え!痛えよぉぉぉ!!なんだコレ!?すっぺ~~ぇ!!」阿修羅の真後ろには青龍が居た。
「誰だぁ~!?俺に何をかけた!?まさか??これは俺の大嫌いなカンキツの味と匂い!」
阿修羅の顔3面共悶え苦しむ表情をしている。
「お''え''~~~~ぇ''!!早く洗い流さねえと!水!み~ず~!」
『よし、効いたな!まぁそう慌てるな!!!喰らえ!!四国無双!陰陽神獣四(イヨカンジュースー)!!!』
迦楼羅は上空から阿修羅の左胸に矛を投げつけ一気に貫通させた。
ズザッ!!!「ぐふぁっ!!」
「もう二度とお前の好き勝手にはさせん!そしてあの時の雪辱を今晴らす!【迦楼羅焔・突風祇射矢(かるらえん・とっぷぎあ)】!!」
続けざまに特大の球状炎を両手を上げて作り出し、さらにその炎を弓矢の様に構え阿修羅めがけて狙いを定めた。
『さらばだ!』
迦楼羅は左腕を前に伸ばし人差し指、中指、親指を銃の様に突き出し、狙いを定め、引きつめた右手を離した。それは突風の勢いで無数の炎の矢が放たれ、見事に阿修羅を射止めた。
ズザッ!ズザッ!ズザッ!ズザッ!ブォオオオオ!!!
「うぁあああ!!ヴァヂ~!!」
阿修羅は全身火達磨の様に燃えている。
「ほ~う、熱いか?ならば冷ましてやろう!氷天下!!」
パキパキキキ!!
白虎は阿修羅の全身を氷らせて動きを封じた。
「金長~~~!!!
今度こそトドメだ~~!!!
一輝痛感(いっきつうかん)!!
雷電(ライディーン)!!」
ゴロゴロゴロゴロ・・・
ピカッッ!!ズドーーーン!!!
最後は、青龍が怒りの鉄槌を阿修羅の脳天に突き落とした。
バリバリバリバリ!!!
プス プス プス。
イカズチにより氷は溶け、虫の息の阿修羅はそのままキリン舎内の茶色い水溜りに落下した。
ヒューーー…バシャン!!!
「たしか水を欲しがっていたな?
その水で良ければ使ってくれ。」
青龍がそう言ったが返事は無かった。
「・・・・。」阿修羅は完全にノックダウンした。
迦楼羅は仲間達連携による協力の元、見事に阿修羅・金長を倒した。
「白虎隊長、みんなありがとう!!」
「鳳凰、よくやったのぉ。」
キリンから出てきた麒麟のジャン爺が後ろから声をかけてきた。
「ジャン爺様!ご無事でなによりです。」
「あぁ、お陰さんでな。わしの結界は要らんかったのぉ。いやはや、これもすべてはジョーと鳳凰による発想と転換の賜物じゃのぉ。あの時白虎からの念話で・・・。」
『・・・ジャン爺様!お願いがあります!ジョーを神格化する許可を頂きたいのです!!・・・』
「・・・まぁ、わしは勿論、二つ返事じゃったが、まさか天神・迦楼羅に憑依合体するとは驚いたわい!!」
『憑依合体は神格化した者3名が必要で、しかも我の力の一部を持っているジョーとヨーコが憑依合体すれば、陰陽バランスも良いので、こちらが優勢に戦えるのではと。』
「なるほど、いやはや!見事じゃった!!あの日ジョーとヨーコの2人に力を与えていた事が今ここで役立つとはな。しかしあの時、阿修羅の金長は何故あんなに悶え苦しんでいたのじゃ?!」
『ええ、あれはジョーとポンの父であるカンからのヒントで、奴らに弱点は無いかと話をしていた時、意外な共通点に気が付いたんです・・・。』
「・・・弱点かぁ、弱点になるか分かりませんが父も兄も【ユズ】が昔から苦手で、逆に僕は大好きなんですが。」ジョーは自信無さげに話した。
「金長は、僕の祖先なんです。
まさかこんな事になっているとは!確か金長は、何よりも【スダチ】が苦手だったという話を聞いた事があるったようなぁ。」
カンも自信無さげに話した。
『なるほど!それが本当なら青龍が言っていた、金長が阿波のスダチ生産を阻止しようとしているのも合点がいく!・・・』
『・・・ひとつの賭けでしたが、たまたま青龍が持っていた土佐のユズと阿波のスダチ。さらに一緒に来ていたみさとさきが持って来ていた伊予のミカンジュースがあり、それを搾って混ぜた特製柑橘ジュースを青龍に持たせておいたのです。』
「なるほどな!それが見事に的中したわけじゃな!奴に苦手なものがあったとはのぉ。」
すると迦楼羅の身体からジョーとヨーコが分離する様に現れてきた、それと同時に鳳凰と玄武達も元の姿に戻った。そしてポンの元にみんな集まった。
『とにかくみんなのお陰でジャン爺様をお守りすることが出来た!みんなの勝利だ!改めてありがとう!!そして、ポン。ご両親と再会出来て良かったな。』
『ポン、私たち何も親らしい事は出来なくてごめんなさい。』
「そんなこと無いです!ポクをここまで優しく守って連れて来てくれました!ありがとうございました!」
「息子が大変お世話になりました!僕たちからもありがとうございました!」カンとチイがポンを間に挟んで鳳凰に深々とお辞儀をした。
『約束通り、私たちのシュゴシンとしての役目はここで終わります。ポン、立派な大人になるのよ。』
「オーメスさまぁ~~。」
『ポンよ、短い間だったが楽しかった。お前はそのまま、優しいポンのままでいるんだぞ。』
「ホーオスさまぁ~~。」
「鳳凰よ、金長が敗れた今、四神選を行う意味は無くなった。
よって今から折紙憑きとしての役目を終いとし四神としてまたこの国を護ることを命ずる。
青龍は阿波に、鳳凰は朱雀として土佐に、永久護国すること!!」
『かしこまりました。』
「仰せの通りに。」
鳳凰と青龍は目を合わせニコっと笑った。
次第に暗雲は晴れ渡り青空が広がっていった。
憑依合体が解け分離した金長、クウコウ、カンコウは水溜りで倒れたまま。
すると空から何かが駆けて近づいてきた。
「おーい、みんなぁ!」
現れたのは狛犬の金と銀だった。
『あいつ、一体どこで道草を食っていたのだ!?』
「遅くなって申し訳ない!手続きに時間かかっちゃいまして!」
『手続きだと?』
「いやぁきっと皆さんなら金長をバシッと成敗してくださると思いましてね、奴らの地獄行きの手続きをしていたんですよ!おっ!そろそろ地獄の門が現れる頃だ!」すると上空に巨大な門が現れた。
そして少しずつ門は開き始めた。
「金銀!!やるじゃないか!見直したぞ!!」
「いやいや、それほどでも~!」すると門の中から誰かが出てきた。頭の上には輪っかが浮いてあり、背中には羽根が生えた子供の姿をしている。
「やあやあ!神様皆様皆々様~。
天ノ国行きはこの方々でよろしいですかね?」現れたのは天ノ国からやって来た千手観音の千本の手から生まれた天の使い。ひょうきん者の【千天坊】だった。
「あれぇ?!たしかに地獄行きの門を予約したと思ったんだけどなぁ?」銀が困った様子で言った。
「おろ?何ですか?もしかして予約間違いですか?困りましたね~。」千天坊も困った様子で言った。
「かまわぬ!そ奴らをわらわ達が浄化し天ノ国への入国ができる様にしてやろう。」と切り出したのはエヒメノミコトだった。
「皆の者!今日起きた事は決して忘れてはならぬ!彼らは許されざる大罪を犯した!」園内の動物達も耳を動かし、エヒメノミコトの話に耳を傾けている。
「だが!そ奴らの更生を願い!そして今ここに抱擁の力でそ奴らを許し、冥福を祈るのじゃ!仏の顔も三度までと言う。千手観音様もお許し下さるであろう!ではツクヨミ、頼んだぞ!」
「はい、お任せを!皆さん!目を閉じ、手を合わせわたしのオーラを感じて下さい!・・・では参ります!【法要】!!」
園内がツクヨミの抱擁の力に包まれて金長らを弔う為の法要が行われた・・・。
そして金長たちは無事に浄化され千天坊に天の門に連れられて中に入って行った。法要が終わり任務を終えたエヒメとツクヨミは転生者であるみさとカンの中に戻って行った・・・。
「・・・父も兄も可哀想な人でした。母を亡くした悲しみを誤魔化すために狐狩りをしていた!だけどこれで僕も彼らを許す事が出来ます。」
「私もジョーさんがそう言うなら彼らを許すわ。」
「ヨーコ・・・ありがとう。」
「本当、可哀想な奴らだったなぁ。ユズもスダチも苦手だなんてよぉ!そうだ!折角伊予ノ国に来てんだ!にきたつの里でユズ湯に入って晩飯は焼き鯖にスダチかけて白飯で食いてぇなぁ~!」
『青龍、本当好きだなぁ!ユズとスダチ!』
「当ったりめぇだろ~!誰だと思ってんだバカ野郎!青龍様だぞ!!」
『はいはい、面白い面白い。』
「青龍様だぞ!」
『もういいわ!!』ビシッ!!!鳳凰は両羽根を合わせて、青龍の頭にチョップでツッコんだ。
「それよりも困ったのぅ折り紙憑きに空きが出てしまった。
誰かおらんかのぅ。」
「僕がなります!」
「私も一緒に!」
「ふむふむ、良いじゃろう!神格化を果たした狐ノ神・ヨーコと陰陽導師・マツヤマジョーか。
異色の折り紙憑きじゃが民の者たちからも今後話題になりそうじゃな!
わしからも折り紙付きじゃ!
宜しく頼むぞ!」
「はい!お任せ下さい!」
「ジャン先生、ありがとうございます!」ジョーとヨーコは目を合わせてニコっと笑った。
「では皆の衆!ご苦労だった!安心して護国を全うしてくれ!」
陰陽神達は各々の国に帰って行った。
そして鳳凰が飛び立とうとしたその時。
「鳳凰さまぁ!少しの間だったけど~~!あなたの子供になれて~~!ぽく幸せでした~~!!!」
ポンはポロポロと涙を流しながら飛び立つ鳳凰に向かって叫んだ。
鳳凰はニコっと笑顔を見せ、何も言わずに飛び立って行った。
すると鳳凰の羽根が1枚、ヒラヒラと舞い落ちてきた。羽根は丁度ポンの頭の上に乗った。ポンはそれをすぐに手に取りそして、ギュッと胸に強く押し当て、溢れる涙を堪え歯を食いしばっている。
「サヨナラは言わにゃい、いつかまた会えるから・・・。鳳凰さまのあの頬笑みから、オイラはそう聞こえたにゃ。」
「グスッ・・・うん・・・。ぽくもそう聞こえたよ・・・。きっと、また会えるからって。ねぇ、りり?ぽく、強くなりたい。」
「えぇ?どうしたんだにゃ?急に。」
「だって、見たでしょ?陰陽神さま達が誰かを守るために戦ってる姿を。とってもカッコ良かったじゃん!」
「あぁ!めちゃくちゃカッコ良かったにゃ!特に白虎さまが!」
「ぽくも誰かの事を守れるようになりたい!ずっと守られてるだけじゃダメだと思うんだ。だからりりも一緒に付き合ってよね。」
「あぁ、モチロンにゃ!」
「ポン、りり。また会おう。」
バサッ、バサッ、バサッ。
遠く離れていく鳳凰からそう聞こえてきた気がした。
こうして無事に両親との涙の再会を果たし、そして鳳凰と涙の別れをしたポンの摩訶不思議な冒険は幕を閉じた。
それから1年後・・・。
四国全体で少しずつ変化が起き始めていた。それは『神の住む国』という噂が全国的に徐々に広まり観光客が増えつつあった。
四国に88カ所あるお寺を巡るお遍路参りは、すべてのお寺を巡る事で心が清めらるのだという。
かつてヨーコが夢見ていた【聖なる世の中】に近づいているのは言うまでもない。いや、むしろ今、四国は【神聖なる世の中】になりつつあるのかもしれない。そして、凰蓮寺にもその恩恵は心ばかりかあったようだ。
「ポンく~ん!みさと一緒に遊びに来たよ~!」
さきがみさと銀次郎を連れてやって来た。
すると床下からひょこっとポンが顔を出した。
「わぁ~、2人とも来てくれたんだぁ。さきちゃんあれ持って来てくれた?」
「えぇ、バッチリ持って来たわよ!」さきが取り出したのは写真だった。
「念写って言ってね、幽霊とか普通は写らないものを撮る技なの!あの時撮っておいて良かったぁ!」
「すごい!ちゃんと写ってる。」
そこには公園で鳳凰とりりとさきと銀次郎が写った写真と青龍と撮った写真があった。
「銀はあれからまた次郎の中に憑依ってるの?」
「そうなの~、何か居心地が良いみたいで。」
「宿主の次郎もまんざらではないみたい。」
「ははは、そうなんだぁ~それなら良かったね。」
「それと青龍様との写真なんだけど、ポンのしっぽしか写ってないけどいる?」
「ははは、うん、記念に貰うよ。」
「ポンくん、私からも渡したい物があるんどけど貰ってくれる?」
「みさちゃん、なになに?」
それは半紙に筆で描かれた2枚の絵だった。
「何でか分かんないんだけどね。
あの日、鳳凰さんとお別れした時、あの時の場面の夢をよく見るの。あたしお習字習ってるんだけどね、その時に何となく描いてみたの。どう?」
「ポンくん凄くないこの絵!みさってこういう才能もあるんだよね~!」
「うん!本当!スゴイよ~みさちゃん!!鳳凰さまとぽくだね!とっても上手~!!これぽくにくれるの?」
「うん!もちろん。」
「ありがとう~!嬉しいよ~!2人共ぽくの最高の友達だよ!」
「えへへへ~~照れる~!」
照れのあまりバシッとポンを叩くみさ。
「痛いよ~みさちゃ~ん。」
「あっ!ごめんっ。つい嬉しくて!」舌を出しておどけるみさ。
「それより~なんだか最近参拝客増えてきたよね。」さきがおもむろにそう言うと。
「それは、シイちゃん達のお陰なんだにゃ。」
りりが忍び足でいきなり現れて、みさたちは一瞬ビクっとなった。
「何でも、招き猫がと子招き猫がいると言うウワサが広まって、ひと目会いに訪れる人が増えて来てるんだにゃ。」
「へえ~そうなんだぁ~。」
「あと誰が広めたのか、白い狸に出くわすと幸せが訪れるって言うウワサが町で広まってるみたいだにゃ!ほら~!早速やって来たにゃ。」
「あぁ~!白いタヌキ発見~!!」
「やっと会えたで~!!」
ポンに会いに来たのはヒデとタカだった。
「お~い!待てよ~!」
「俺たちも幸せにしてくれ~ぃ!」
ヒデとタカはこちらに近づいて来ている。
「あらら、こっちに来ちゃった~!なんでぽくを追っかけてくるんだよ~!」
慌てて逃げ出すポン。
「待て~!幸せの白いタヌキ~!」
そう呼ばれて嬉しそうな顔をしながらも、走って逃げるポン。
「ぽく、何にもしてないのに~ぃ!」
賑やかな声につられてカンとチイも外に出てきた。
皆はその様子を、笑顔で、優しく見守っていたのだった・・・。
未完
オーメスが話し終わると、リリは腕組みをして感慨深い表情で頷いている。
「なるほどにゃ~!まさに衝撃の真実ですにゃ!にゃぁポン?」
りりはポンを見た。
「すやすやZzz・・・。」
ポンは寝息をかいている。
「って!寝とるやにゃいか~~い!!」りりは気持ちよく寝ているポンに軽くツッコミを入れた。
『りり?ポンはまだ子供なの、お昼寝の時間だからそっとしてあげて?』
「あっはい!ごめんにゃさい!」
『オーメス、母親らしくなってきたじゃないか?』
『あら、そうかしら?これが母性と言うものなのかしら。』
『そうかもしれんなぁ。』
ホーオスとオーメスは交互に微笑んだ。
「それよかさぁ、みさの前世の人がこの国を作ったなんてマジ驚いたよぉ!ねぇ?みさ。ねぇ聞いてる?」
「う、うん。あぁ、そうだね。あたしも、ビックリ・・・。」
「それそれ!高いとこが苦手なの前世の人のせいだからね!」
さきは呆れたような表情で言った。
するとその時、鳳凰の目線の先に何かがウネウネと飛んでいるのが見えた。距離があるため小さいが、ミミズの様にウネリながら空を飛んでいる。
向こうもこちらに気付き、方向を変えてこちらへと向かって来た。
徐々に距離が縮まり、その姿と大きさがはっきりと確認できる程の距離になった頃、どうやらウネウネとしたそれはミミズではない事が分かった。
「おぉ!鳳凰ではないか?!久しぶりだなぁ!」
『何と!青龍じゃないか!やはりお前も動物園に向かってるのだな?』
目の前に現れたのは、鳳凰の2倍の大きさはある【龍ノ神・青龍】だった。青龍は、何故か指の間に緑色のスダチを挟み、手には黄色いユズを握っている。
「オレは讃岐ノ国の玄武から念話があってな。とんでも無い話を聞いて飛んできたのだ!!金長の奴め!新神(しんじん)の分際で!阿波ノ国は元々オレの管轄!それを好き勝手荒らしやがって!何を考えてるか知らんが特産物のスダチの生産を止めようとしてるそうだ!そしたら今度は麒麟のジャン爺様の首を狙おうとしてるだなんて!あいつ、オレを怒らせたらどうなるか教えてやる!」
『青龍を怒らせたら大事だな、イカズチが落ちる!我も怒りでどうにかなりそうだ。だが、それよりも青龍よ、4年もの間、土佐ノ国の護国任務ご苦労だったな。それも今年でもう終わりだ!ところでその手にあるのは土佐ノ国特産のユズと阿波ノ国特産のスダチではないか!』鳳凰は青龍の手元を見て指摘した。
「おぉ!さすがは我が友よ。良く気づいてくれた。両手でコレを持ってると何だか願いが叶う龍に見えるだろう?ほら。」青龍はそう言ってカッコよくポーズをとった。
それに対して鳳凰は『はぁ?何を言ってるのか分からんが?』と冷たくあしらった。
「い、いやいや、これはドラゴンジョークだ!オレは決してスベってなどおらんぞ!」青龍は冗談がウケる自信があったのか鳳凰の反応に少しショックを受けていた。
「いや、実のところはだな、この任務が終わったら夕飯で焼き魚にスダチを絞って晩酌しながら飯を食って、その後ユズ湯で疲れを癒そうと思ってな。」と、青龍は苦し言い訳をした。
『そうかそうか。それは良いな・・・。まぁとにかくあの金長を討ち、我は土佐の国、青龍は阿波の国へと戻ろうではないか!』鳳凰は苦笑いをしながら話題を戻した。
「あぁ!もちろんだ!!」
そして、鳳凰と青龍は久しぶりの再会のため昔話に花が咲き盛り上がっていた。
『わ~はっはっはっは!』
「だっはっはっは!」
するとそこへ「あの~盛り上がってるとこすみません。 現土佐ノ国の守護神、青龍様でらっしゃいますか?」と、青龍に声をかけてきたのはさきだった。
「あぁその通りだ。しかし鳳凰よ、えらく大所帯だな。《折紙憑き》は主以外の守護は出来んはずじゃぁ?いや、何か訳ありの様だ。あぁあぁ、あえては聞かぬ、お前は昔から優しい奴だったからな。オレは良く知っているぞ。」青龍が詮索するのを止めると『青龍、有難う。』と静かに礼を言った。
「きゃ~~!今日は特大吉日だわ!こんなに立て続けに神様に会えるなんてそうそうある事じゃないわ!写真撮っとこ!カシャ!カシャ!って言うか~、さっきもだけどあたし、動物の声が聞こえてるってどういう事?」
するとそこで「どっひゃ~~~あ!!!りゅっ!龍が!目の前にいるにゃ~!!」りりは青龍を見て驚いた。
そして「うわーぁっ!!すっご~い!!初めまして~。」ポンは冷静なリアクションを取った。
「おぉ、お初にお目にかかる。白狸と黒猫、そして人間の子供2人にどういう関係かは知らぬが、まぁ宜しく頼む。」青龍はみんなの頭の上を泳ぐように旋回しながらみんなに挨拶をした。
『本当だな。そう言えばさっきからさきと話が通じているな。みさが通訳をしてないのに。しかもポンとりりが青龍の姿が見えている?となると、さっきのイナリ神社で浴びたオーラが原因かもしれんな!』
「オーラですかにゃ?そういえば!最初は右近さんと左近さんの黄色いオーラに包まれたにゃ!」
『そうだ、あの黄色いオーラは”見える”力を発するオーラだ。』
「そのあと、みさからピンクのオーラが出てたよね!」
『そのピンクのオーラは”聞こえる”力を発するオーラなのだ。オーラは個々に違う色をしているのだが、それは他人に移すことが出来るのだ。すなわち、その2種類のオーラを浴びた事によって、見えなかったものが見え、聞こえなかったものが聞こえる様になってしまったのだ。だが我々にとっては煩わしさが無くなって好都合だったな。』
「なんか、良く分かんないけどこれからは皆普通に会話が出来るって事だよね~?良かったじゃ~ん!」
「世の中には不思議な力があるんだにゃ~。ふっしぎだにゃ~」
「おっ!みなさ~ん!りりがふしぎだにゃ音頭をおどりますよ~。」
ポンがりりの余興紹介をした。
「や~れ ふっしぎっだにゃ~♪
そ~れ ふっしぎっだにゃ~♪
ふっしぎにゃ音頭でよよいのよい♪それ!よよいのよい!♪さぁさ皆さんご一緒に~♪・・・。」
『青龍よ上手いじゃないか!』
「当たり前だ、阿波の踊りで鍛えておるからなぁ。」
『我だって、よさこいで踊り染めておるわ。』
「わはははは~♪」
・・・・上空は快晴。一行は賑やかに、目的地とべ動物園へと向かう・・・。
・・・ここは、とべ動物園内
【爬虫類舎】
薄暗い室内、色んな種類の蛇や亀たちが暮している。その中で圧倒的存在感を放っているのが巨大ニシキヘビと巨大リクガメである。
「シャー!皆は、まだ到着してないのかシーら?シャー!ねぇ黒丸っち~。」ニシキヘビが早い口調で誰かと話している。
「う~ん、ま~だみたいやなぁ~。ニシキは~ん。青龍には~念話しといたから~もうじき~着くと~思うわ~。」
相手のリクガメはゆっくりとした口調で話している。
実は彼らは【讃岐ノ国】からやってきた蛇と亀のコンビ陰陽神の【玄武】である。あまりにも早く動物園に着いたため、それぞれ蛇と亀に憑依り合図があるまで時間つぶし、ではなく、待機している所である。
【ホワイトタイガー舎】
ここでは、とても希少種なために普通の虎たちとは隔離された場所で暮らしている白い虎がいる。
「ガオ~!ガオ~~ゥ!」
「ほら、ゆうなちゃん見てみて。
珍しいわねぇ、白い虎よ~。
ホワイトタイガーって言うのよ。」
「いや~!こわい~!
ゆうなペンギンが見た~い~!」
親子連れがホワイトタイガーを遠目から見ているが子供は興味が無いようだ。
「怖がられちゃった。虎やライオンに比べたら全然怖くないと思うんだけどなぁ。」
メスのホワイトタイガーがしょんぼりしながら言った。するとガシャン!と内側の檻の扉が開いた。
「ソノちゃん!ご飯の時間だよ~!」
「サオリ~!待ってたよ~!あたしお腹ぺこぺこ~!」
彼女は、飼育員のサオリ。
ホワイトタイガーのメスのソノを愛情たっぷり飼育している。
サオリは、他の飼育員とひとつ違う所がある。それは、彼女もまた【アニマル・サイキック】(動物と話せる能力)の持ち主なのである。
「ソノちゃん、もうすぐでここに来て2年だからだいぶ慣れてきたね。」
「モグモグ!ムシャムシャ!ええ、サオリがあたしとお話し出来るから本当助かってる。お願いとか聞いてくれるし。」
「ふぁ~~!!少し静かにしてくれるか?眠りの妨げになる。」
ソノの隣の檻にいるのが同じくホワイトタイガーのオスのタイガである。
「あっ、タイガくんごめんなさい。ソノ、サオリとお話してて、もう少し静かにするね。」
「タイガくん私が話しかけたからいけなかったよね、ごめんね。」
「あぁ、頼むよ。」
ホワイトタイガーは、大変希少種のため、なるべくストレスがない様に、檻も個々に設けてある。飼育員も細心の注意を払い体調管理を行っている。だが、実はタイガの中には今、ある神が憑依っていた。
・・・・・・再び上空。
「もうすぐ着きそうだね。青龍さんは着いたらどうするの?」
さきが青龍に聞いた。
「俺は、とりあえずワニかトカゲか、適当に憑依って、指示があるまで待機するとしよう。」
「それじゃまた後で会おうね!!」みんなは青龍に手を振っている。
「あぁ!では先に行く!さらばだ!」
『あぁ、また念話する。』
青龍は螺旋を描くように去って行った。
「鳳凰様?ひとつ気になる事があるんですが伺ってもよろしいですかにゃ?」
『あぁ、何だ?』
「青龍様は元々阿波ノ国の守護神で、鳳凰様は元々土佐ノ国の守護神。オイラはてっきり鳳凰様は伊予ノ国の守護神だと思ってました。なら、この伊予ノ国の守護神は、一体誰にゃんですかにゃ?」
『りりは知らんかったのか、それなら教えてやろう、この伊予ノ国の守護神はな、【猫ノ神・白虎】だ!見た目は白い虎なんだが実は猫ノ神、我らがかつて護国神隊をしていた頃、隊長をしていたのも他ならぬ白虎だ。』
「へえぇ!じゃぁ、りりの奥さんのシイさんと同じだね~!白猫なんでしょ?」
『まぁそうだな!その白虎はもうすでに動物園に着いているはずだ、地元だからな。』
「すご~い!とうとう白虎様にも会えるのね!ワクワク♪ドキドキ~!みさ~!もうすぐで動物園に着くみたいよ~!って寝てるし~!」
「着いたら起こしてあげよ?」
「うん、そうだね。」さきとポンはミサの可愛い寝顔を見つめていた。
《四国に住んでいる陰陽神(いよかん)達の正しい配置地図。》
・・・・・・その頃動物園では。
【ペンギン舎】
優雅に泳ぐペンギンの巨大水槽。
その上空に不気味な黒い円形をした影の様な物が現れた。
「母さん~!あれ~何だろ~!?」
「タクトくん!泳ぐのやめてこっちに来なさい!何か不気味ねぇ、飼育員のユウキさんのところに教えに行きましょう!」
コウテイペンギンの親子は飼育員の所に向かった。
ペンギンの飼育員ユウキ。彼もまた動物と話せる能力の持ち主。
「なんだって?空に怪しい黒い影が?すぐにサオリちゃんに伝えに行くよ!タイガとジャンにも伝えなくちゃ!」
【ホワイトタイガー舎】
「ん?何か違和感のある気配を感じるな。ジャン爺様もお気づきだろうか?とうとう奴らが嗅ぎつけて来たか。久しぶりに白虎隊の集結だ!」ホワイトタイガーのタイガに憑依っていたのは、なんと【伊予ノ国の守護神・猫ノ神の白虎】だった。
【キリン舎】
長い首をしたキリン達は優雅にしなやかに歩いている。
その中で高い木の葉っぱを食べているキリンがいる。
「ムシャムシャ。わしは、やっぱり葉っぱより人参が食べたいなぁ、一応避難しておる身じゃから、文句は言えんがのぅ。しかし、何やら邪悪な陰の気配を感じるのぅ。わしの居場所を嗅ぎつけおったかぁ、やはり麒麟がキリンの中じゃギャグにもならんか。では念のため結界を張っておくかのぅ。」
キリンの中でジャン爺は仙人の姿に変わり座禅を組んで印を結び動物園全域にドーム状の結界を張った。
「これで良しと。」
【モンキー舎】
「キーーー!ウキーー!キーー!」
猿たちがザワついている。
「どうしたの?!みんな!落ち着いて!」
猿の飼育員のマリが騒ぎだした猿達をなだめている。
「一体ここで何が起きてるの?!」マリは空を見上げ不気味な雰囲気を肌で感じているようだ。
「こちら白虎!!全神に一斉念話をしている!奴らは園内に既に来ているようだ!ペンギンエリア上空に黒い影あり!あれは時空間移動術!陰陽導師クウコウらの陰陽導術に違いない!」
『こちら鳳凰!ただ今、動物園上空!もう間も無く現地に到着する!そのまま現地に向かう!』
「こちら青龍!鳳凰、俺もすぐに
加勢に向かう!」
「玄武達!聞こえるか?」
白虎が玄武に話しかける。
「シャー!全てキッチリ聞こえてるわ!私達は、ジャン爺様の護衛に向かいます!」
「承知した!!私もジャン爺様の元へ向かう!各々頼んだぞ!
ユウキありがとう!サオリと一緒に他の動物達にも避難するように伝えてくれ!」
「あぁ!分かった!任せてくれ!」
ユウキは親指を立ててウィンクをした。
「ユウキとサオリが私と会話が出来る事が何より助かる。ありがとう!」白虎は頭を下げてお礼を言った。
「気にしないで?頭を上げてよ。困った時はお互い様よ。」
サオリは優しく白虎に言った。
するとペンギンエリア上空に浮かんだ黒い影が少しずつ徐々に広がって行く。するとその黒い影は、ゆっくりと渦のように回転し始めた。
そして「ゴゴゴゴゴゴゴゴ!」という音を立てながら黒渦の回転スピードが上がっていく。
すると突然ビュン!!っと勢い良く中から何かが飛び出した。
それは回転しながら物凄い速さで落ちて行った。
そして勢いよくバシャーーン!とペンギンの水槽の中へと落下した。
そして「ブクブクブク・・・・」と勢いのまま水底まで沈んで行った。
ペンギン達は驚いて周囲に散っていったが1匹のペンギンだけが水の中に入って行った。そして間も無くして水面に浮き上がって来た。
「ブクブクブク、ぷはー!あぁ!死ぬかと思った~!ってすでに死んでたか!おっ!ありがとうペンギン君!この恩は必ず返すよ。」
「礼には及びません、あなたからは悪いオーラが感じられなかったので、取り敢えず助けただけですから。」
「そうか!まぁなんでも良い、とにかく助かった、ありがとう!僕はある奴から逃げて来たんだが・・・一体ここはどこなんだ?」
「ここは、僕らの暮らす動物の楽園、とべ動物園ですよ。」
「動物の楽園?そうか、地獄では無さそうで安心したよ!僕はジョー、君の名は?」
「僕は、コウテイペンギンのタクトです。」
「そうか、タクト!もうすぐで僕の追っ手があの黒い渦から出て来るはずだ!タクトはみんなを連れて避難してくれ!出来るか?」
「はい!分かりました!任せて下さい!」タクトはペタペタ小走りで走って行った。
すると空中に現れた黒い渦からビュン!!っと何かが出てきては空中でピタッと止まった。
後から出てきたのは、なんとジョーとうり二つの姿だった。そこへ鳳凰と青龍が到着した。みさとさきの姿は無い、どうやら先に安全な場所に降ろしたようだ。
『あれは?ジョーか?!ジョーなのか?』鳳凰は空中に浮かぶジョーに言った。
「鳳凰、久しぶりだな!元気にしてたか?」
「鳳凰!あれはニセモノだ!本物のジョーは僕だ!」
ペンギンエリア内のジョーが叫んだ。
『どちらかが本物でどちらかが偽者。』すると、りりの後ろに再びヨーコが現れた。
「鳳凰様、答えは簡単よ。2人に問題です、私は一体誰でしょう?」
「誰ってお前は、あの時の女狐じゃないか!?」
「ふふふ・・・。」
ヨーコは微笑し、また姿を消した。
『なるほどな、ヨーコ感謝する!偽者は奴だ!青龍はあっちを助けてやってくれ。それから・・・。』
「承知した!」
『金長!目を閉じるなよ!秘技!太陽光波!!』
ピカーーーーーー!!!!
鳳凰は、羽根を頭上に大きく広げて円を作り、その中に眩しい光を集中蓄積させて、光線を放った。
「通電!!」
バリバリバリバリバリバリ!!!!
青龍は激しい電流を体に纏っている。
「ぐわぁーーーーあ!!目が!目が見えん!」鳳凰は空中にいたジョーに攻撃した。
ザパーーーン!!
逃げる様にそのまま水槽に落下した。すると
「放電!!」ズドーーン!!
青龍がとどめの一撃を放った。
バチバチバチバチ!!
空中にいた2人目のジョーがペンギンの水槽内で落雷により感電した。
「ぐあああーー!!くそっ!何故分かったんだぁぁ!?」
水槽から這い上がる姿はすでにジョーの姿ではなかった。
『やはりお前だったか!金長!!
彼女にはちゃんと名前がある!お前は彼女の名前を呼ばず女狐と呼んだ!だからおのずとお前が偽者だと分かったんだ!金長!お前は罪を犯した!陰陽導師クウコウとカンコウをジャン爺様の許可なく無断で自らに取り入れ、その力を得たな!?』
「ガハハハ!ハメやがったな!やられたぜ~!!あぁそうだ!だったら何だ!?朱雀さまよぉ!?」
『もう・・・もう二度とお前のような奴には負けはせん!』
「フン!強がりだけは一人前、いや、一鳥前のようだが、お前にこの国を救えるのか??」
『黙れ!!化け狸め!!』
「黙るのはお前の方だ。」
その時、護衛に行ったはずの白虎が駆けつけた!
「天罰!!氷結地獄!!」
水槽の水が一気に固まり金長の足を凍らせた。
「ポン!見てみろにゃ!リアル猫ノ神様の天罰だにゃ~!!」
「クソッ!足が氷つきやがった!!これじゃぁ身動きが取れねぇぇ!なんてな。」
すると金長の右手から緑色のオーラを出し、先端が尖った形に変化させた。そして、ズババッ!!と膝下を自ら切断した。
「あらよっと。」
金長はそのまま宙に浮き、上昇した。そして切ったはずの両足から、ドバッ!!と人間の足が出てきた。
「白虎隊長、酷いじゃないですか。俺があんたに何かしましたか?」
「いや、これから何かするんだろ?!
俺たちはそれを止めに来たんだ!!!」
「あんたらを倒さなけりゃ、あいつの長い首は獲らせてくれそうにないですねぇ・・・こっちもやられっ放しでは終わらせませんよ!
そろそろ反撃させて貰います!」
金長は両手を胸の前にクロスさせて目を閉じた。すると、両肩から腕がさらに2本ずつ生え、金長の顔とは別に左右に現れた顔はなんと、右側にクウコウ、そして左側にカンコウの顔が現れた。
「怒りの面!!」目を閉じた状態で怒りの表情をした、カンコウの顔が正面に切り変わり、そしてギロッと目を見開いた。金長は衝撃の変貌を遂げ、三面六手の【鬼神・阿修羅(きじん・アシュラ)へと姿を変えた。
「六手無羅斑(ムシュムラムラ)!
怒曇波鈍灯(ドドンパドンドン)!!」阿修羅が呪文を唱えると瞬く間に空に暗雲が立ち込め、辺りを闇へと変えた。
「あんたらでは、今の俺には勝てんよ。分かるだろう?このおぞましい陰の力を!!・・・感じるだろう?!特別に陰陽導術の禁術を見せてやろう・・・。陰陽導術!!太陰月・夢幻樹限無(ムゲンジュゲム)!」『何だ!これは一体!!力が抜けるようだ!』
「鳳凰!白虎隊長!ここは一旦引きましょう!!鬼神・阿修羅になったあいつには今は敵いません!作戦を練りましょう!」青龍は阿修羅の異様な悪気に敏感に気づき皆を非難させた。
「クソッ!!あれではさすがに我々でも手も足も出せんか!!」
「おやおや?もう終わりですか?情けないですねぇ。では、遠慮なくアイツの長い首を獲りに行くとしましょうか。」
阿修羅金長は、方向を変えキリンエリアに向かう。
「大丈夫だ!今、ジャン爺様の護衛には玄武がついている!あいつらなら時間稼ぎをしてくれるはずだ!!」
その頃、離れた場所で先に降ろされていたみさとさきは。
「どこだろ~?タヌキ~。
鳳凰さんにポンくんのパパとママを探しておくように言われたけど、結構広いからねえ。」
「さきの力で何とか出来ないの?」
「無理だよ~!探知能力はナイナイ!!」
その時、みさの耳に何か聞こえた。というより頭の中で声が聞こえ、何かの映像が、イメージとして見えた。
「何これ?!今何か見えた!声も聞こえた!」
「やっぱり!あの時みさにも【見える力】が移ったんだ!」
「えっ!?何のこと?」
「(聞いてなかったんだまぁ良いか!)後で教えたげる。それより何が見えて何て聞こえたの?」
「場所は・・・どこかの部屋の中で、“エヒメノミコト”ってはっきり聞こえた!何だろう?」
「(そっか前世の事も知らないんだ!)こっちに気付いてるんだわ!他に何かヒントになるイメージを見つけて!」
「分かった、やってみる!」
みさは目を閉じて眉間にシワを少し寄せて意識を集中させた。
「あっ!白いタヌキ!ポンのママだよきっと!場所は・・・あっ!
医務室!パパの病院で見た事ある漢字だから間違いないよ!」
「でかした!じゃあ医務室に行くよ!ってそれどこ??」
「僕が案内するよ!こんな時に子供だけでは危ないから!」
そこに現れたのはペンギンの飼育員ユウキだった。
「あっ!飼育員のお兄さん!ちょうど良かった!ってかお兄さんイケメンだね!」
「それはどおも!さぁ医務室に行きたいんだよね?こっちだよ!急いで!」みさとさきは、ユウキの案内で動物園内にある医務室に走って向かった。
「イケメンでめっちゃ親切~!」
「そうだね!助かったわ!」
みさたちは医務室に到着した。
ユウキが扉を開けると白衣を着た獣医師がこちらに気付き、その奥にゲージが見えた。みさは医務室内に入ると、すぐに上を見上げた。
「やっぱりここだ、あの時この天井が見えてたんだ。」
「ナナ先生、突然ですが失礼します!この子たちに医務室に行きたいと言われまして。」
「ここに用なんて一体何かしら?お嬢ちゃんたち?まさかタヌキちゃんたちの飼い主?なわけないわよね。」
「あっ!居たあの時のタヌキだ!ゲージの中!」柵で出来たゲージの中には、普通の色のタヌキと白い色のタヌキが居た。
「みさ、たしか白い方がポンくんのママって言ってたよね?」
「うん、ポンと最初に会った時にそう言ってたよ。」
「じゃあ、寝込んでる普通のタヌキの方がポンくんのパパってことね!獣医さん?この子どうしちゃったの?」
「体調は悪くないのよ?落ちたみたいだけどケガも無いし、食事もちゃんと食べてるし、なぜかそうやってずっとぐったりしてるのよ。」
「みさが聞こえた声がポンくんのパパからなら話しかけてみたら?」
「うん、そうだね!」
みさはタヌキに話しかけた。
「あなた達は、ポンくんのご両親ですか?」
「あぁ、僕はポンの父のカンだ。」
「私がポンの母です。この度はご迷惑をおかけしてしまって申し訳ありません。お恥ずかしい・・・。」
「でも、なぜ息子の事を?もしかしてここまで来てくれたんですか?」
「ええ!ポンくんと一緒に2人に会いに来たのよ?」
「本当か?!あの子には申し訳ないことをした、どれほど心配をさせたことか。」
「ポンくんなら大丈夫!私達やお友達もいるし、しゅごしんだっているんだよ!」
「そうか、あの子は独りじゃ無いんだな、安心した。君たちは僕たちを助けてくれた人間の?」
「そうだよ!わたしのパパの病院にあなた達を連れてったのがさきのパパなんだよ!」
「そうか、なんて優しい人間たちだ!僕たちは運が良かった!あの日僕があの丘から足を滑らせて落ちるところを妻に助けられたんだが、勢い余って一緒に落ちてしまった所までは覚えているんだが。」
「そう、思わず私悲鳴あげちゃったんだけど。急にあなたが光り始めたと思ったら、何かが落ちた時の衝撃を和らげたの。」
するとその時みさの体が、あの時のようにピンクの光に包まれた、そしてそれに反応したかのようにカンの体が青い光に包まれた。みさとカンの胸の辺りから、スーっと、同時に人の形をしたオーラが出てきた。
「やはり、そなただったのじゃな。」
「おぉ、近くにいるのは感じていた!姉君、愛比売命(エヒメノミコト)。」
「ひさかたぶりよのぅ・・・
月夜見尊(ツクヨミノミコト)」
「何?この人たち!?」
「みさ、私もポンのパパの方は分かんないんだけど、みさから出てるその人は、あんたの前世の人なの!キツネの神社でみさが寝てる時にこうやって出てきて。」
「私の前世?じゃ、私はこの人の生まれ変わり?」
「そういうことじゃ、飲み込みが早いのぅ。本来なら、みさが眠ってる間しか出られぬのじゃが。
どうやら月夜見尊の陰の引力でわらわは引き出されたようじゃのぅ。」
「2人は姉弟なの?」
「わらわは達は姉弟じゃが、親の離別により若い頃に離れ離れだったのじゃ。」
「それじゃツクヨミさんの生まれ変わりがポンのパパのカンさんてこと?凄い偶然ね!」
「いや、偶然では無い、必然じゃ。このタヌキが今生きてここにおるのも、月夜見尊の力により守られたからに他ならない。そしてわらわたちは互いに引き寄せあい、今こうして再び巡り逢えた、これが誠の家族の愛の力じゃ!!」
「エヒメノミコトさん、熱いねぇ!!きっと愛に生きた人なのね。」
「ちなみにツクヨミさんの力ってどんな力何なんですか?」
「わたしの力は【抱擁】。わたしの転生者であるカンがあの日、丘からチイと一緒に落ちて行く時に、2人の周りに抱擁オーラの壁で包み込み落ちた時の衝撃を和らげたのです。」
「そうだったんですね!
前世さまありがとうございました!僕はともかく妻のチイを助けて頂けてありがとうございました!」
「礼には及びませんよ、わたしもあなたに死なれては困りますからね、それより外では何が起きてるのですか?異様な気配を感じるのですが?!」
「ツクヨミ、わらわたちと一緒に来てくれ、 ジャンが危ないのじゃ!」
「ジャンさんが?!一体どう言う事ですか?!」
「説明は後じゃ、とにかく付いてくるのじゃ!そなたの力が必要なのじゃ!」
「分かりました!」
そして、みさはカンを、さきはチイを抱きかかえ医務室を出て行く。
「お兄さん、お姉さん!ありがとうございました!」
「何かよくわかんないけど連れて行くのね?気を付けて!」
ナナとユウキは手を振り2人を見送る。
「いや~無事に両親と息子が再会。良い話じゃないですかぁ~
ねぇナナ先生?」
「ええ、それなら良かったわ。
この職場でのあなたのその能力私も欲しいわぁ。」
急いでポンと鳳凰の所に向かうみさとさき。
「カンさんとチイさん!もうすぐでポンに会えるからね!」
「ありがとう!このご恩は一生忘れない!」
「いいえ~!気にしないで~!」
みさとさきが外に出た時、すでに空は暗雲に包まれていた。
「何?!この空!!まだ夜じゃ無いのに真っ暗じゃん!!」
「お~い!きみ達~!!」
向こうの方から駆け足でこちらに向かってくる女性が2人を呼んでいる。
「え?私達しかいないよね?誰?あのお姉さん。」
「あっ!さおり姉ちゃん!」
「みさの知り合い?」
「うん、いとこのさおり姉ちゃん。」
「はぁはぁはぁ、みさちゃん来てたんだぁ。この子はお友達?」
「そう!親友のさきだよ。さき、さおり姉ちゃんはね、ここで飼育員さんをしてるんだよ!」
「そうだったの?知らなかった!」
「それより、こんな所に居たら危ないから、私と一緒に避難しましょう。」
「さおり姉ちゃん!私達このタヌキさん達を子供に会わせないといけないの!だからゴメン!」
「・・・なら私も一緒に行くわ!」
「本当?!助かるよ!じゃ行こう!」
こうしてみさとさきはさおりと共に、ポンの元へと向かった。そのころ鳳凰たちは・・・。
『ジョー!!どうしてお前がこんな所にいるのだ?!』
『そうよ?!あの日からずっと動向は探ってたけど、元気そうで良かったわ!』
「ホーオス、オーメス・・・心配かけてごめん。あの日以降成仏も出来ずに独り路頭に迷っていたんだが、このままじゃダメだと思っていた矢先に風の噂で父と兄が金長の力を利用し神格化したと!そしてあいつらの動向を探っていると今回の企みを知った。そしてその頃、ヨーコと再会したんだ。いや、彼女が僕を探し会いに来てくれた。そして僕はヨーコに事の全てを伝え協力を仰ぎ、陰陽神達を集めてこの動物園の動物に憑依り待機する様に計画を立てたんだ!」
するとりりの後ろからスーッとヨーコが現れた。
「ジョーさんの言う通りです。
でも、それは私の恩師である麒麟のジャン先生を護るためなんです。」
「ジャン先生?何故君がジャン爺様の事を先生と呼んでいるんだ?!」
白虎達は不思議そうに聞いた。
「実は、私はジョーに出会う前、讃岐ノ国で生まれました・・・。」
四国の北に位置する讃岐ノ国。
この国でも狐狩りは行われていた。ヨーコはその脅威から逃げるため、妹達を連れ、南へと向かい、四国中央山にたどり着いた。
そこは4つの国が一望できる場所。そこで仙獣・麒麟のジャンと出会い、生まれた国での事を全てを話した。不憫に感じたジャンはヨーコらを優しく受け入れてくれ、そして身を守るための護身術や化け学、人間の言語学習などの修行を付けてくれたのだった。
「その後、土佐ノ国に移りジョーさんと出会って、それから後は妹達が見せた記憶の映像通り・・・。」
そして、ヨーコはジャンから愛比売命が人間の子供に転生している事を聞き念話により愛比売命に国の危機だと言う事を伝えた。その後、りりに直接語りかけ、イナリ神社に来るよう指示し、そこで全てを明かそうとした。
『我らは偶然にもここにポンの両親を迎えに来る事になっていたのだが。』
「いいえ、偶然ではないわ!
鳳凰さまが折り紙憑きとしてりり達と一緒に居て下さったお陰で、ここに来ることが分かってたからそうしたんです、その方が何かと都合も良かったので。」
「ヨーコさん凄いにゃ~!さすがだにゃ!!」
「りりに褒められると嬉しいわ。
ありがとう。」
「りりくん、久しぶりだ!シイは元気にしてるか?」
「あ、はい!元気ですにゃ。子供も出来ましたにゃ。」
「そうか、それは幸せそうでなによりだ!良かった。」
『あなた!ジャン爺様に金長が接触したみたいよ!』
『そのようだな!早く加勢しなくては!あいつに弱点は無いのか?!』
「ホーオス、オーメス!聞いてくれ!僕に良いアイデアがあるんだ!!ちょっといいかな?」
・・・・ボソボソ。
ジョーは陰陽神達を集めて何やら話をしている。
「おーい!みんなぁ!」
「ポンのパパとママ連れて来たよ~!」
みさとさきがポン達の元に合流した。
『お前達ご苦労だったなぁ!
ちょうど良かった!たしかあれを持っていたな?」
「父ちゃ~ん!母ちゃ~ん!会いたかったよ~~!!」
「ポン、心配かけてごめんなぁ。
父ちゃんドジしちゃって。」
「ポンちゃんお友達たくさんできた みたいね!母ちゃん嬉しい。」
「うえ~~んえんえん!」
「ポン、そこは泣いても良いところだにゃ・・・。うっぅう・・・
にゃ~~んにゃんにゃん」
ポンにつられてりりがもらい泣きしている。
『ジョー、ヨーコ!我に力を貸してくれ!ジャン爺様には許可を頂いた!みさ!さき!青龍!あれを貰えるか!・・・』
〈キリン舎〉
「おいおい!俺の邪魔をするんじゃねぇよ!爬虫類ども!!」
「それは~~無理な~~注文や~!」
黒丸は阿修羅の前に立ち塞がっている。
「イライラするしゃべり方すんじゃねえよ!ノロいのは動きだけにしろ!」
「シャー!あんたさ、今、地雷踏んだよ!黒丸っちに言っちゃいけない言葉、言っちゃったねぇ!」
ニシキは阿修羅に絡みつき締め上げながら言った。
「だ~れが~ノロいや~~と~~ぅ?!」
「だからお前だよ!!このノロい亀さん!!ぐっぐぐ苦しい!!」
阿修羅は6本の手で必死に締め付けるニシキを外そうとしている。
「シャー!もがけばもがくほど食い込むよ~~!」
「そんなにわしの事~~ノロいノロいて言うんなら~~!お望み通り~~!じわ~じわ~っと~~!
呪い殺してやるでえ~~!!」
ニシキは阿修羅の6本の腕を後ろで縛り上げ、手が使えないようにした。
「われぇ!存分に喰らわしたるで!!玄武突死球(げんぶつしきゅう)!!」
黒丸は空中で高速回転をしながら金長に突進した。
ギュルルルルルーー!ドスッ!!
「ぐわはぁーーーーあっ!!!」
攻撃は腹部に命中し阿修羅は吹っ飛んだ。
「シャー!効いたわね!シャー!もういっちょ!」
ニシキは瞬時に阿修羅から離れ、今度は黒丸の甲羅の側面に巻きついた。
ヒューーーー・・・ドガーーン!!!
吹き飛ばされた阿修羅は白くま舎に激突した!近くにいた白くまのピンフは突然の事に驚いてプールの中に飛び込んで行った。
阿修羅は起き上がり再びゆっくりと宙に浮き上がってきた。
「クソ!なかなかヤルじゃねえか!」
「シャー!黒丸っち~!!行っくわよー!!」
ギュルルルルル!!!
「玄武突死球!!黒護摩!!」
ニシキは黒丸をベーゴマの様に阿修羅に目掛けて投げ飛ばした。
ビューーー・・・ドゴッ!!
「ぐをはーーーーぁ!!!」
ギュルルルルル!!!
激しく命中し苦悶の表情の阿修羅。だが、ニヤっと不敵な表情を浮かべ、回転する黒丸に6本の腕を回した。
「残念!リーチだ!!」
なんと、阿修羅は背中を丸め衝撃を吸収しダメージを最小限に抑えていた、そして次の一手に出た。
黒丸の甲羅を6本の腕でしっかりと抱え込み、そして思い切り振りかぶり、勢い良く投げ飛ばした。
ビューーーーーン!!
投げ飛ばされた黒丸の向こうにはキリンに憑依った麒麟のジャン爺の姿が。
「シャー!しまった!!間に合わない!」
黒丸がジャン爺にぶつかりそうになったその時だった。
ビュンッ!!!
と、一瞬何かが、風の様にニシキの前を通った。ガシッ!ギュルルルルル!誰かが黒丸を受け止めた。
「おお!?あんたさんは?!」
『なんとか間に合ったようだ!
黒丸大丈夫か?いや、お前に心配は無用だったな!足止めご苦労。
今度は我が相手だ!!』
そこに現れたのは、鳥頭、人身、背中には大きな羽根、尻には狐の尾とその周りに鳳凰の尾があり、その姿はまるで【天神・迦楼羅(カルラ)】だった。
『ジャン爺様、許可を頂きありがとうございました。」
迦楼羅は後ろにいるジャン爺に振り向かずに言った。
「今回は特例じゃ!宜しく頼んだぞい。」
「鳳凰さま~!ヨーコさ~ん!
ジョーさ~ん!頑張れ~!そんな奴に負けるにゃ~!」
りりが下から一生懸命応援している。
「おいおい!!マジか?!まさか俺たちみてえに憑依合体しちまったのか?!こりゃ、面白れぇ事になってきたじゃねえか!!」
『面白がるのも今のうちだ!金長!!お前のような奴は真の陰陽神ではない!我が今ここで成敗してやる!!』
「がははははっ!お前が俺を成敗だと?出来るもんならやってみろ!!」
『黒丸!ニシキ!我の武器になってくれ!!』
「シャー!任せときな!」
「お安い御用や!」
ニシキは長い体をピンと真っ直ぐに伸ばして先の尖った矛に変化し右手に装備された。黒丸は頑丈な甲羅で強固な盾に変化し迦楼羅の左手に装備された。
「おぉ!大層な装備をして!それで良いのかぁ?おい!じゃあこっちも装備しようかねぇ!」
阿修羅は6本の腕を前に出して手指を鋭くすぼめると、ジャキン!と尖った刃物に変わった。
「凶器の数なら負けてねえぞ!?」
『その様だな!さぁかかって来い!』迦楼羅は阿修羅を挑発する様に言った。
「へへへ、じゃぁ遠慮なく・・・。」
阿修羅はヒュンッと目の前から消えた。そして突如、迦楼羅の目の前に現れ、6本の手刀で乱れ打ち攻撃をするも、甲羅の盾により防御されてしまった。
「くそっ!傷ひとつ付きゃ~しねえとは!!!」
『こちらも攻めさせて貰うぞ!』
迦楼羅は羽根を羽ばたかせて急上昇した。
「何だ?上から攻撃をしようなんて頭が高え!面白い!来てみろ!!」
迦楼羅は急降下して阿修羅に向かっていった、その時だった。
「ぐわあぁぁぁぁぁ!!!目が目がしみる!!痛え!痛えよぉぉぉ!!なんだコレ!?すっぺ~~ぇ!!」阿修羅の真後ろには青龍が居た。
「誰だぁ~!?俺に何をかけた!?まさか??これは俺の大嫌いなカンキツの味と匂い!」
阿修羅の顔3面共悶え苦しむ表情をしている。
「お''え''~~~~ぇ''!!早く洗い流さねえと!水!み~ず~!」
『よし、効いたな!まぁそう慌てるな!!!喰らえ!!四国無双!陰陽神獣四(イヨカンジュースー)!!!』
迦楼羅は上空から阿修羅の左胸に矛を投げつけ一気に貫通させた。
ズザッ!!!「ぐふぁっ!!」
「もう二度とお前の好き勝手にはさせん!そしてあの時の雪辱を今晴らす!【迦楼羅焔・突風祇射矢(かるらえん・とっぷぎあ)】!!」
続けざまに特大の球状炎を両手を上げて作り出し、さらにその炎を弓矢の様に構え阿修羅めがけて狙いを定めた。
『さらばだ!』
迦楼羅は左腕を前に伸ばし人差し指、中指、親指を銃の様に突き出し、狙いを定め、引きつめた右手を離した。それは突風の勢いで無数の炎の矢が放たれ、見事に阿修羅を射止めた。
ズザッ!ズザッ!ズザッ!ズザッ!ブォオオオオ!!!
「うぁあああ!!ヴァヂ~!!」
阿修羅は全身火達磨の様に燃えている。
「ほ~う、熱いか?ならば冷ましてやろう!氷天下!!」
パキパキキキ!!
白虎は阿修羅の全身を氷らせて動きを封じた。
「金長~~~!!!
今度こそトドメだ~~!!!
一輝痛感(いっきつうかん)!!
雷電(ライディーン)!!」
ゴロゴロゴロゴロ・・・
ピカッッ!!ズドーーーン!!!
最後は、青龍が怒りの鉄槌を阿修羅の脳天に突き落とした。
バリバリバリバリ!!!
プス プス プス。
イカズチにより氷は溶け、虫の息の阿修羅はそのままキリン舎内の茶色い水溜りに落下した。
ヒューーー…バシャン!!!
「たしか水を欲しがっていたな?
その水で良ければ使ってくれ。」
青龍がそう言ったが返事は無かった。
「・・・・。」阿修羅は完全にノックダウンした。
迦楼羅は仲間達連携による協力の元、見事に阿修羅・金長を倒した。
「白虎隊長、みんなありがとう!!」
「鳳凰、よくやったのぉ。」
キリンから出てきた麒麟のジャン爺が後ろから声をかけてきた。
「ジャン爺様!ご無事でなによりです。」
「あぁ、お陰さんでな。わしの結界は要らんかったのぉ。いやはや、これもすべてはジョーと鳳凰による発想と転換の賜物じゃのぉ。あの時白虎からの念話で・・・。」
『・・・ジャン爺様!お願いがあります!ジョーを神格化する許可を頂きたいのです!!・・・』
「・・・まぁ、わしは勿論、二つ返事じゃったが、まさか天神・迦楼羅に憑依合体するとは驚いたわい!!」
『憑依合体は神格化した者3名が必要で、しかも我の力の一部を持っているジョーとヨーコが憑依合体すれば、陰陽バランスも良いので、こちらが優勢に戦えるのではと。』
「なるほど、いやはや!見事じゃった!!あの日ジョーとヨーコの2人に力を与えていた事が今ここで役立つとはな。しかしあの時、阿修羅の金長は何故あんなに悶え苦しんでいたのじゃ?!」
『ええ、あれはジョーとポンの父であるカンからのヒントで、奴らに弱点は無いかと話をしていた時、意外な共通点に気が付いたんです・・・。』
「・・・弱点かぁ、弱点になるか分かりませんが父も兄も【ユズ】が昔から苦手で、逆に僕は大好きなんですが。」ジョーは自信無さげに話した。
「金長は、僕の祖先なんです。
まさかこんな事になっているとは!確か金長は、何よりも【スダチ】が苦手だったという話を聞いた事があるったようなぁ。」
カンも自信無さげに話した。
『なるほど!それが本当なら青龍が言っていた、金長が阿波のスダチ生産を阻止しようとしているのも合点がいく!・・・』
『・・・ひとつの賭けでしたが、たまたま青龍が持っていた土佐のユズと阿波のスダチ。さらに一緒に来ていたみさとさきが持って来ていた伊予のミカンジュースがあり、それを搾って混ぜた特製柑橘ジュースを青龍に持たせておいたのです。』
「なるほどな!それが見事に的中したわけじゃな!奴に苦手なものがあったとはのぉ。」
すると迦楼羅の身体からジョーとヨーコが分離する様に現れてきた、それと同時に鳳凰と玄武達も元の姿に戻った。そしてポンの元にみんな集まった。
『とにかくみんなのお陰でジャン爺様をお守りすることが出来た!みんなの勝利だ!改めてありがとう!!そして、ポン。ご両親と再会出来て良かったな。』
『ポン、私たち何も親らしい事は出来なくてごめんなさい。』
「そんなこと無いです!ポクをここまで優しく守って連れて来てくれました!ありがとうございました!」
「息子が大変お世話になりました!僕たちからもありがとうございました!」カンとチイがポンを間に挟んで鳳凰に深々とお辞儀をした。
『約束通り、私たちのシュゴシンとしての役目はここで終わります。ポン、立派な大人になるのよ。』
「オーメスさまぁ~~。」
『ポンよ、短い間だったが楽しかった。お前はそのまま、優しいポンのままでいるんだぞ。』
「ホーオスさまぁ~~。」
「鳳凰よ、金長が敗れた今、四神選を行う意味は無くなった。
よって今から折紙憑きとしての役目を終いとし四神としてまたこの国を護ることを命ずる。
青龍は阿波に、鳳凰は朱雀として土佐に、永久護国すること!!」
『かしこまりました。』
「仰せの通りに。」
鳳凰と青龍は目を合わせニコっと笑った。
次第に暗雲は晴れ渡り青空が広がっていった。
憑依合体が解け分離した金長、クウコウ、カンコウは水溜りで倒れたまま。
すると空から何かが駆けて近づいてきた。
「おーい、みんなぁ!」
現れたのは狛犬の金と銀だった。
『あいつ、一体どこで道草を食っていたのだ!?』
「遅くなって申し訳ない!手続きに時間かかっちゃいまして!」
『手続きだと?』
「いやぁきっと皆さんなら金長をバシッと成敗してくださると思いましてね、奴らの地獄行きの手続きをしていたんですよ!おっ!そろそろ地獄の門が現れる頃だ!」すると上空に巨大な門が現れた。
そして少しずつ門は開き始めた。
「金銀!!やるじゃないか!見直したぞ!!」
「いやいや、それほどでも~!」すると門の中から誰かが出てきた。頭の上には輪っかが浮いてあり、背中には羽根が生えた子供の姿をしている。
「やあやあ!神様皆様皆々様~。
天ノ国行きはこの方々でよろしいですかね?」現れたのは天ノ国からやって来た千手観音の千本の手から生まれた天の使い。ひょうきん者の【千天坊】だった。
「あれぇ?!たしかに地獄行きの門を予約したと思ったんだけどなぁ?」銀が困った様子で言った。
「おろ?何ですか?もしかして予約間違いですか?困りましたね~。」千天坊も困った様子で言った。
「かまわぬ!そ奴らをわらわ達が浄化し天ノ国への入国ができる様にしてやろう。」と切り出したのはエヒメノミコトだった。
「皆の者!今日起きた事は決して忘れてはならぬ!彼らは許されざる大罪を犯した!」園内の動物達も耳を動かし、エヒメノミコトの話に耳を傾けている。
「だが!そ奴らの更生を願い!そして今ここに抱擁の力でそ奴らを許し、冥福を祈るのじゃ!仏の顔も三度までと言う。千手観音様もお許し下さるであろう!ではツクヨミ、頼んだぞ!」
「はい、お任せを!皆さん!目を閉じ、手を合わせわたしのオーラを感じて下さい!・・・では参ります!【法要】!!」
園内がツクヨミの抱擁の力に包まれて金長らを弔う為の法要が行われた・・・。
そして金長たちは無事に浄化され千天坊に天の門に連れられて中に入って行った。法要が終わり任務を終えたエヒメとツクヨミは転生者であるみさとカンの中に戻って行った・・・。
「・・・父も兄も可哀想な人でした。母を亡くした悲しみを誤魔化すために狐狩りをしていた!だけどこれで僕も彼らを許す事が出来ます。」
「私もジョーさんがそう言うなら彼らを許すわ。」
「ヨーコ・・・ありがとう。」
「本当、可哀想な奴らだったなぁ。ユズもスダチも苦手だなんてよぉ!そうだ!折角伊予ノ国に来てんだ!にきたつの里でユズ湯に入って晩飯は焼き鯖にスダチかけて白飯で食いてぇなぁ~!」
『青龍、本当好きだなぁ!ユズとスダチ!』
「当ったりめぇだろ~!誰だと思ってんだバカ野郎!青龍様だぞ!!」
『はいはい、面白い面白い。』
「青龍様だぞ!」
『もういいわ!!』ビシッ!!!鳳凰は両羽根を合わせて、青龍の頭にチョップでツッコんだ。
「それよりも困ったのぅ折り紙憑きに空きが出てしまった。
誰かおらんかのぅ。」
「僕がなります!」
「私も一緒に!」
「ふむふむ、良いじゃろう!神格化を果たした狐ノ神・ヨーコと陰陽導師・マツヤマジョーか。
異色の折り紙憑きじゃが民の者たちからも今後話題になりそうじゃな!
わしからも折り紙付きじゃ!
宜しく頼むぞ!」
「はい!お任せ下さい!」
「ジャン先生、ありがとうございます!」ジョーとヨーコは目を合わせてニコっと笑った。
「では皆の衆!ご苦労だった!安心して護国を全うしてくれ!」
陰陽神達は各々の国に帰って行った。
そして鳳凰が飛び立とうとしたその時。
「鳳凰さまぁ!少しの間だったけど~~!あなたの子供になれて~~!ぽく幸せでした~~!!!」
ポンはポロポロと涙を流しながら飛び立つ鳳凰に向かって叫んだ。
鳳凰はニコっと笑顔を見せ、何も言わずに飛び立って行った。
すると鳳凰の羽根が1枚、ヒラヒラと舞い落ちてきた。羽根は丁度ポンの頭の上に乗った。ポンはそれをすぐに手に取りそして、ギュッと胸に強く押し当て、溢れる涙を堪え歯を食いしばっている。
「サヨナラは言わにゃい、いつかまた会えるから・・・。鳳凰さまのあの頬笑みから、オイラはそう聞こえたにゃ。」
「グスッ・・・うん・・・。ぽくもそう聞こえたよ・・・。きっと、また会えるからって。ねぇ、りり?ぽく、強くなりたい。」
「えぇ?どうしたんだにゃ?急に。」
「だって、見たでしょ?陰陽神さま達が誰かを守るために戦ってる姿を。とってもカッコ良かったじゃん!」
「あぁ!めちゃくちゃカッコ良かったにゃ!特に白虎さまが!」
「ぽくも誰かの事を守れるようになりたい!ずっと守られてるだけじゃダメだと思うんだ。だからりりも一緒に付き合ってよね。」
「あぁ、モチロンにゃ!」
「ポン、りり。また会おう。」
バサッ、バサッ、バサッ。
遠く離れていく鳳凰からそう聞こえてきた気がした。
こうして無事に両親との涙の再会を果たし、そして鳳凰と涙の別れをしたポンの摩訶不思議な冒険は幕を閉じた。
それから1年後・・・。
四国全体で少しずつ変化が起き始めていた。それは『神の住む国』という噂が全国的に徐々に広まり観光客が増えつつあった。
四国に88カ所あるお寺を巡るお遍路参りは、すべてのお寺を巡る事で心が清めらるのだという。
かつてヨーコが夢見ていた【聖なる世の中】に近づいているのは言うまでもない。いや、むしろ今、四国は【神聖なる世の中】になりつつあるのかもしれない。そして、凰蓮寺にもその恩恵は心ばかりかあったようだ。
「ポンく~ん!みさと一緒に遊びに来たよ~!」
さきがみさと銀次郎を連れてやって来た。
すると床下からひょこっとポンが顔を出した。
「わぁ~、2人とも来てくれたんだぁ。さきちゃんあれ持って来てくれた?」
「えぇ、バッチリ持って来たわよ!」さきが取り出したのは写真だった。
「念写って言ってね、幽霊とか普通は写らないものを撮る技なの!あの時撮っておいて良かったぁ!」
「すごい!ちゃんと写ってる。」
そこには公園で鳳凰とりりとさきと銀次郎が写った写真と青龍と撮った写真があった。
「銀はあれからまた次郎の中に憑依ってるの?」
「そうなの~、何か居心地が良いみたいで。」
「宿主の次郎もまんざらではないみたい。」
「ははは、そうなんだぁ~それなら良かったね。」
「それと青龍様との写真なんだけど、ポンのしっぽしか写ってないけどいる?」
「ははは、うん、記念に貰うよ。」
「ポンくん、私からも渡したい物があるんどけど貰ってくれる?」
「みさちゃん、なになに?」
それは半紙に筆で描かれた2枚の絵だった。
「何でか分かんないんだけどね。
あの日、鳳凰さんとお別れした時、あの時の場面の夢をよく見るの。あたしお習字習ってるんだけどね、その時に何となく描いてみたの。どう?」
「ポンくん凄くないこの絵!みさってこういう才能もあるんだよね~!」
「うん!本当!スゴイよ~みさちゃん!!鳳凰さまとぽくだね!とっても上手~!!これぽくにくれるの?」
「うん!もちろん。」
「ありがとう~!嬉しいよ~!2人共ぽくの最高の友達だよ!」
「えへへへ~~照れる~!」
照れのあまりバシッとポンを叩くみさ。
「痛いよ~みさちゃ~ん。」
「あっ!ごめんっ。つい嬉しくて!」舌を出しておどけるみさ。
「それより~なんだか最近参拝客増えてきたよね。」さきがおもむろにそう言うと。
「それは、シイちゃん達のお陰なんだにゃ。」
りりが忍び足でいきなり現れて、みさたちは一瞬ビクっとなった。
「何でも、招き猫がと子招き猫がいると言うウワサが広まって、ひと目会いに訪れる人が増えて来てるんだにゃ。」
「へえ~そうなんだぁ~。」
「あと誰が広めたのか、白い狸に出くわすと幸せが訪れるって言うウワサが町で広まってるみたいだにゃ!ほら~!早速やって来たにゃ。」
「あぁ~!白いタヌキ発見~!!」
「やっと会えたで~!!」
ポンに会いに来たのはヒデとタカだった。
「お~い!待てよ~!」
「俺たちも幸せにしてくれ~ぃ!」
ヒデとタカはこちらに近づいて来ている。
「あらら、こっちに来ちゃった~!なんでぽくを追っかけてくるんだよ~!」
慌てて逃げ出すポン。
「待て~!幸せの白いタヌキ~!」
そう呼ばれて嬉しそうな顔をしながらも、走って逃げるポン。
「ぽく、何にもしてないのに~ぃ!」
賑やかな声につられてカンとチイも外に出てきた。
皆はその様子を、笑顔で、優しく見守っていたのだった・・・。
未完
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ほかあささん
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大賞は残念ながら取れませんでしたがまた何かチャンスがあればチャレンジしたいと思っています!(^。^)
今度は1月にある絵本大賞にエントリーする予定です!是非とも応援宜しくお願いしま(^O^)
退会済ユーザのコメントです
読んでよかったと心から思いました!
久しぶりに、ほっこり感動する作品に出会えたような気がします。とっても面白いです^ - ^
台詞のテンポの良さと、時折笑える場面がお気に入りになりましたー?
繋がって繋がって膨らんでいくストーリーがすごく魅力的なので、続きが楽しみです!
応援しています(o^^o)
みゃーさん
とても素敵な感想を頂きありがとうございます!嬉しくてにやけちゃいました。( ^ω^ )ストーリーが繋がって繋がって膨らんで行きましたねぇ。そこポイントなんです!続編も繋がって繋がって膨らんで行きますので是非お楽しみにしてて下さいね。