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第12話
融合
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眠りから目覚めた「魔書ディクシオン」
その目の前には香音の顔があり、双方の目と目が合った瞬間、突然に魔書の表紙がバッと開くと、風もないのにページが勝手にパラパラパラパラとめくれはじめた。そして最期のページがめくれ終わると同時にパタッとまた魔書は閉じた。
「何これ?どうしちゃったの?!」
「大丈夫です、これは魔書が香音さんをリーダーと認識した証拠です。」
「えっ?そうなの?」
「そのままで見つめていて下さい。始まりますよ、融合が。」
「ゆ、融合?!」
すると、香音の手の上にあった魔書が少しずつ薄くなり、終いには見えなくなった。
「あれ?魔書が見えなくなったよ!何で⁈」
香音はさっきまで目の前にあった魔書が手の平から消えたのを見て戸惑っている。
「香音さんと魔書の融合が完了したのです。大丈夫ですよ、一時的に見えなくなっただけで、香音さんの指示があればまた現れます。試しに『出でよ、ディクシオン』と魔書の姿をイメージしながら唱えてみて下さい。」
「分かったわ、やってみる。」
香音はそっと目を閉じて、手の平に意識を集中させた。
「出でよ!ディクシオン‼︎」
すると、香音の頭の上で、ボフン‼︎という音がした。
見ると魔書が開いた状態で香音の頭の上に帽子の様に乗っていた。
「あっははは!香音ちゃん、頭に魔書が乗っかってるよ?」
一部始終を静かに見守っていた勝利は緊張の糸が切れた様に笑いながら言った。
「もう~、先輩ったら!笑わないで下さいよ~。」
「ごめんごめん!だって手に出てくると思ったら頭に乗っかってるからさぁ!」
「おかしいなぁ。手の平に現れる様に集中したんだけどなぁ。」
香音は頭の上の魔書を手に取った。
「最初から思い通りにするのは難しいものです。しかし初めてにしては大したものですよ。」
「私もっと上手に出せるように頑張るわ!」
「ええ。香音さんなら大丈夫ですよ。」
「うん、ありがと。」
こうして、香音は魔書ディクシオンのリーダーとなった。
「改めて申し上げておきますが、これからのこの香音さんの役割が、カツ殿の目標達成に大きく影響を及ぼします。1人は2人のために、2人は1人のために、二人三脚での協力が肝になっていきます。
どうかそれだけはお忘れなく。」
「二人三脚かぁ。なんか恥ずいね。」
「私の方こそ恥ずかしいですよぉ。」
「でも、お互いに力を合わせてかなきゃいけなんだってんだからそんな事言ってられないな。香音ちゃんよろしく頼むね!」
「こちらこそ、どこまでできるか分かりませんけど、先輩のために力の限り頑張りますね!」
「うん!ありがとう!」
2人はそう言って握手を交わした。
「それでは香音さんの魔書との融合が無事に完了致しましたので、早速ですが、次の段階へと移りましょうか。」
「次の段階かぁ。」
「お願いします!」
こうして香音は無事に魔書を手にし、融合する事に成功した。だが、魔書を取り扱うのは容易ではない。ここからが本番なのであった。
その目の前には香音の顔があり、双方の目と目が合った瞬間、突然に魔書の表紙がバッと開くと、風もないのにページが勝手にパラパラパラパラとめくれはじめた。そして最期のページがめくれ終わると同時にパタッとまた魔書は閉じた。
「何これ?どうしちゃったの?!」
「大丈夫です、これは魔書が香音さんをリーダーと認識した証拠です。」
「えっ?そうなの?」
「そのままで見つめていて下さい。始まりますよ、融合が。」
「ゆ、融合?!」
すると、香音の手の上にあった魔書が少しずつ薄くなり、終いには見えなくなった。
「あれ?魔書が見えなくなったよ!何で⁈」
香音はさっきまで目の前にあった魔書が手の平から消えたのを見て戸惑っている。
「香音さんと魔書の融合が完了したのです。大丈夫ですよ、一時的に見えなくなっただけで、香音さんの指示があればまた現れます。試しに『出でよ、ディクシオン』と魔書の姿をイメージしながら唱えてみて下さい。」
「分かったわ、やってみる。」
香音はそっと目を閉じて、手の平に意識を集中させた。
「出でよ!ディクシオン‼︎」
すると、香音の頭の上で、ボフン‼︎という音がした。
見ると魔書が開いた状態で香音の頭の上に帽子の様に乗っていた。
「あっははは!香音ちゃん、頭に魔書が乗っかってるよ?」
一部始終を静かに見守っていた勝利は緊張の糸が切れた様に笑いながら言った。
「もう~、先輩ったら!笑わないで下さいよ~。」
「ごめんごめん!だって手に出てくると思ったら頭に乗っかってるからさぁ!」
「おかしいなぁ。手の平に現れる様に集中したんだけどなぁ。」
香音は頭の上の魔書を手に取った。
「最初から思い通りにするのは難しいものです。しかし初めてにしては大したものですよ。」
「私もっと上手に出せるように頑張るわ!」
「ええ。香音さんなら大丈夫ですよ。」
「うん、ありがと。」
こうして、香音は魔書ディクシオンのリーダーとなった。
「改めて申し上げておきますが、これからのこの香音さんの役割が、カツ殿の目標達成に大きく影響を及ぼします。1人は2人のために、2人は1人のために、二人三脚での協力が肝になっていきます。
どうかそれだけはお忘れなく。」
「二人三脚かぁ。なんか恥ずいね。」
「私の方こそ恥ずかしいですよぉ。」
「でも、お互いに力を合わせてかなきゃいけなんだってんだからそんな事言ってられないな。香音ちゃんよろしく頼むね!」
「こちらこそ、どこまでできるか分かりませんけど、先輩のために力の限り頑張りますね!」
「うん!ありがとう!」
2人はそう言って握手を交わした。
「それでは香音さんの魔書との融合が無事に完了致しましたので、早速ですが、次の段階へと移りましょうか。」
「次の段階かぁ。」
「お願いします!」
こうして香音は無事に魔書を手にし、融合する事に成功した。だが、魔書を取り扱うのは容易ではない。ここからが本番なのであった。
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