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第13話
イメージングの共有
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勝利たちは、来た道を戻り、出口を抜けた。
「本棚扉を閉じますので、少々お待ちくださいね。」
ピーシュはそういうと、2つに分かれている本棚の、向かって右側の本棚の前に立つと、すーっと手でなぞりながら一冊の本の前で止まった。するとその本を3本の指でぐぐぐっと押した。
ガシャン!という音がすると、今度は最初に引き出して横に回していた左側の本棚に移動し、その本を縦に戻し、3本の指で押して元に戻った。
すると同時に、さっき押した本も手前に出てきて元の位置になり、また何の変哲も無い本棚へと戻った。
「さてと、カツ殿、そして香音さん。」
「あぁ。」
「はい。」
「お待たせしました。お腹空きませんか?」
「そういや腹減ったなぁ。」
「私もお腹ぺこぺこです。」
「そうですよね。こちらでお食事休憩にしましょう。わたくしご準備いたしますので少々お待ちくださいませ。」
「おぉ、分かった。」
「私も何か手伝いましょうか?」
「いえいえ、お客様のお手を煩わせる事は出来ませんから。」
そういうと、ピーシュは小走りに入り口の扉へと向かい扉を両開きにするとパンパン!と手を叩いた。
すると、大きな四角いテーブルとイス4脚が歩いて部屋へと入ってきた。
そしてテーブルは部屋の真ん中辺りで止まり、イス4脚はそれぞれの配置に付いた。
「すごー!テーブルとイスが自分でセッティングしてる!おもろー!」
「不思議~!これも魔法で動いてるのかしら?」
「どうぞどうぞ、お好きなお席におかけください。さて、早速ですがカツ殿。後はもう分かりますね?お食事はございません。お二人の好きな食べ物、飲み物、スウィーツもろもろはカツ殿がイメージングしてテーブルに出して下さい。」
「あっ、そうか!俺が食べ物想像したら良いんだ!そうだなぁ、何にしようかなぁ?よっし!カツカレーライスが食べたいな!」
すると勝利の手からカツカレーライスが現れた。
「すっげ!やっぱこの力改めて便利だわ!あっ、スプーンがいるなぁ。」
すると右手からスプーンが現れた。
「香音ちゃんは何が食べたい?」
「私は、チーズインハンバーグとライスが食べたいです。」
「よし来た!チーズインハンバーグとライスね!スプーンも付けとこう!」
すると右手にチーズインハンバーグ、左手にライスとスプーンが現れた。
「お待たせしました。チーズインハンバーグとライスのセットです。どうぞ召し上がれ。」勝利は店員風に言った。
「ありがとうございます。わぁ美味しそう!頂きます!」
「俺もいただきまーす!」
「やはりカツ殿のイメージング力はズバ抜けていますね。」
「そうだろ?俺、想像力だけは凄いのよ!ってあとはポンコツってか!あははは!」
「先輩はひとりノリつっこみも天下一品ですよね。」
「サンキューでーす!」
「あっ!飲みもん出してなかったなぁ。香音ちゃん何が良い?」
「私はお水で大丈夫です。」
「オッケ!そうだついでにスウィーツも出しておこうか!何が良いかな?でも俺女子が好きそうなスウィーツ分かんないや。」
「スウィーツだったら私、ミルクレープが好きなんです。先輩知ってます?」
「なになに?ミルク?クレープ?ミルク味のクレープってこと?」
「先輩ミルクレープ知らないんですか?っていうことは先輩が知らないモノって出せないんじゃないですか?」
「うん、想像できないから、香音ちゃんの言うミルクレープは出せないね。」
「こんな時はどうすれば良いんでしょうか?ピーシュさん、何か良い方法はありませんか?」
「香音さん、さすがです。良い所に気付きましたね。解決方法はあります!
それはカツ殿と香音さんのイメージングの共有さえできれば良いのです。」
「イメージングの共有?そんなの一体どうやって?俺が見たことないモノを共有なんて出来るわけ・・・。いや、ちょい待てよ。香音ちゃん!両手貸して!」
「あ、はい!」
香音は手の平を勝利に差し出した。
そしてその両手の平に勝利は自分の両手の平を香音の手の平に合わせるように乗せた。
「これで良いのかは分かんないけど、思い付いたからやってみるね。じゃ、香音ちゃん、ミルクレープを頭の中で想像してみて。」
「はい、分かりました。」
香音は目を閉じてミルクレープの映像を想像した。
勝利も目を閉じている。
すると勝利の頭の中に香音のイメージが反映された。
「おお!できた!これがミルクレープかぁ!めっちゃ美味そうじゃん!これで出せるはず!」
勝利は香音から共有されたミルクレープのイメージを元に手の平にミルクレープを出すために集中した。
すると手の平にはイメージ通りのミルクレープが現れた。
「やった!成功したぞ!これがイメージングの共有かぁ!面白いぞコレ!」
「素晴らしいです!カツ殿!まさかここまでとは思いませんでした!大変お見それしました!」
「いやぁ、それほどでもあるけどさー。」
「こういう時は調子に乗らないんですよ。先輩!」
「あい、すいません。」
「実は、先程申し上げた次の段階というのがまさにこのイメージングの共有の事だったのですが、こんなにも早く習得なさるとは。天晴れです!このペースなら目標達成まで時間の問題ですね!」
「まじかぁ!俺、この魔手気に入っちゃったんだよなぁ。トップスタイリストになるっていう目標を掲げたものの、目標達成したらこの魔手はこの手から離れてしまうんだよなぁ。」
「先輩?何言ってるんですか?トップスタイリストになるためにここまで来たんですよ?しかも魔手は本当はマックくんのモノだったんですから、早く目標達成してマックくんに返さないと!」
「香音ちゃん、正論だね。ごめんね、変なこと言っちゃって。そーだよね、マッくんにコレ返さないとね。よーしとっとと目標達成してマッくんに魔手を返そう。」
「それでこそ先輩です!さぁ早く食べましょ。」
「うん!俺、香音ちゃんが一緒に来てくれて本当良かったよ!ありがとね!」
「いいえ、先輩のためなら私に出来ることは何でもしますから!」
「香音ちゃんは最高の後輩だわ!」
「そんなに褒められたら照れちゃいます!」
「照れたところも可愛いなぁ。」
「さぁさ、早く食べましょ。」
「だね!」
こうして2人はお互いに協力する事により次の段階のイメージングの共有をマスターする事が出来た。
さて、次はどんな試練が待ち受けているのだろうか?
「本棚扉を閉じますので、少々お待ちくださいね。」
ピーシュはそういうと、2つに分かれている本棚の、向かって右側の本棚の前に立つと、すーっと手でなぞりながら一冊の本の前で止まった。するとその本を3本の指でぐぐぐっと押した。
ガシャン!という音がすると、今度は最初に引き出して横に回していた左側の本棚に移動し、その本を縦に戻し、3本の指で押して元に戻った。
すると同時に、さっき押した本も手前に出てきて元の位置になり、また何の変哲も無い本棚へと戻った。
「さてと、カツ殿、そして香音さん。」
「あぁ。」
「はい。」
「お待たせしました。お腹空きませんか?」
「そういや腹減ったなぁ。」
「私もお腹ぺこぺこです。」
「そうですよね。こちらでお食事休憩にしましょう。わたくしご準備いたしますので少々お待ちくださいませ。」
「おぉ、分かった。」
「私も何か手伝いましょうか?」
「いえいえ、お客様のお手を煩わせる事は出来ませんから。」
そういうと、ピーシュは小走りに入り口の扉へと向かい扉を両開きにするとパンパン!と手を叩いた。
すると、大きな四角いテーブルとイス4脚が歩いて部屋へと入ってきた。
そしてテーブルは部屋の真ん中辺りで止まり、イス4脚はそれぞれの配置に付いた。
「すごー!テーブルとイスが自分でセッティングしてる!おもろー!」
「不思議~!これも魔法で動いてるのかしら?」
「どうぞどうぞ、お好きなお席におかけください。さて、早速ですがカツ殿。後はもう分かりますね?お食事はございません。お二人の好きな食べ物、飲み物、スウィーツもろもろはカツ殿がイメージングしてテーブルに出して下さい。」
「あっ、そうか!俺が食べ物想像したら良いんだ!そうだなぁ、何にしようかなぁ?よっし!カツカレーライスが食べたいな!」
すると勝利の手からカツカレーライスが現れた。
「すっげ!やっぱこの力改めて便利だわ!あっ、スプーンがいるなぁ。」
すると右手からスプーンが現れた。
「香音ちゃんは何が食べたい?」
「私は、チーズインハンバーグとライスが食べたいです。」
「よし来た!チーズインハンバーグとライスね!スプーンも付けとこう!」
すると右手にチーズインハンバーグ、左手にライスとスプーンが現れた。
「お待たせしました。チーズインハンバーグとライスのセットです。どうぞ召し上がれ。」勝利は店員風に言った。
「ありがとうございます。わぁ美味しそう!頂きます!」
「俺もいただきまーす!」
「やはりカツ殿のイメージング力はズバ抜けていますね。」
「そうだろ?俺、想像力だけは凄いのよ!ってあとはポンコツってか!あははは!」
「先輩はひとりノリつっこみも天下一品ですよね。」
「サンキューでーす!」
「あっ!飲みもん出してなかったなぁ。香音ちゃん何が良い?」
「私はお水で大丈夫です。」
「オッケ!そうだついでにスウィーツも出しておこうか!何が良いかな?でも俺女子が好きそうなスウィーツ分かんないや。」
「スウィーツだったら私、ミルクレープが好きなんです。先輩知ってます?」
「なになに?ミルク?クレープ?ミルク味のクレープってこと?」
「先輩ミルクレープ知らないんですか?っていうことは先輩が知らないモノって出せないんじゃないですか?」
「うん、想像できないから、香音ちゃんの言うミルクレープは出せないね。」
「こんな時はどうすれば良いんでしょうか?ピーシュさん、何か良い方法はありませんか?」
「香音さん、さすがです。良い所に気付きましたね。解決方法はあります!
それはカツ殿と香音さんのイメージングの共有さえできれば良いのです。」
「イメージングの共有?そんなの一体どうやって?俺が見たことないモノを共有なんて出来るわけ・・・。いや、ちょい待てよ。香音ちゃん!両手貸して!」
「あ、はい!」
香音は手の平を勝利に差し出した。
そしてその両手の平に勝利は自分の両手の平を香音の手の平に合わせるように乗せた。
「これで良いのかは分かんないけど、思い付いたからやってみるね。じゃ、香音ちゃん、ミルクレープを頭の中で想像してみて。」
「はい、分かりました。」
香音は目を閉じてミルクレープの映像を想像した。
勝利も目を閉じている。
すると勝利の頭の中に香音のイメージが反映された。
「おお!できた!これがミルクレープかぁ!めっちゃ美味そうじゃん!これで出せるはず!」
勝利は香音から共有されたミルクレープのイメージを元に手の平にミルクレープを出すために集中した。
すると手の平にはイメージ通りのミルクレープが現れた。
「やった!成功したぞ!これがイメージングの共有かぁ!面白いぞコレ!」
「素晴らしいです!カツ殿!まさかここまでとは思いませんでした!大変お見それしました!」
「いやぁ、それほどでもあるけどさー。」
「こういう時は調子に乗らないんですよ。先輩!」
「あい、すいません。」
「実は、先程申し上げた次の段階というのがまさにこのイメージングの共有の事だったのですが、こんなにも早く習得なさるとは。天晴れです!このペースなら目標達成まで時間の問題ですね!」
「まじかぁ!俺、この魔手気に入っちゃったんだよなぁ。トップスタイリストになるっていう目標を掲げたものの、目標達成したらこの魔手はこの手から離れてしまうんだよなぁ。」
「先輩?何言ってるんですか?トップスタイリストになるためにここまで来たんですよ?しかも魔手は本当はマックくんのモノだったんですから、早く目標達成してマックくんに返さないと!」
「香音ちゃん、正論だね。ごめんね、変なこと言っちゃって。そーだよね、マッくんにコレ返さないとね。よーしとっとと目標達成してマッくんに魔手を返そう。」
「それでこそ先輩です!さぁ早く食べましょ。」
「うん!俺、香音ちゃんが一緒に来てくれて本当良かったよ!ありがとね!」
「いいえ、先輩のためなら私に出来ることは何でもしますから!」
「香音ちゃんは最高の後輩だわ!」
「そんなに褒められたら照れちゃいます!」
「照れたところも可愛いなぁ。」
「さぁさ、早く食べましょ。」
「だね!」
こうして2人はお互いに協力する事により次の段階のイメージングの共有をマスターする事が出来た。
さて、次はどんな試練が待ち受けているのだろうか?
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