魔手 ~Magic Hands〜

マシュー

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第14話

イメージングの転写

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勝利の驚異的な感覚的センスと互いに持つ魔手と魔書の連携により、見事に「イメージングの共有」を無事にクリアした2人にピーシュは次の課題を提示する。


「カツ殿、香音さん、お見事でした。互いにイメージの波長も抜群に合っていましたよ。それとどうやらおふたりの相性はとても良いようですね。」

「えっ!?俺と香音ちゃんの相性って良いの??やった!」

「えっ?そうなんですかぁ?意外ですねぇ。」

「おいおい香音ちゃ~ん。意外ってどーゆーことー?」


「あはははは!やはり馬が合っていますね!おふたりはお似合いのカップルですよ。」

「ピーシュさんったらやめて下さい!私と先輩はそんなんじゃありませんから!私はただ・・・。」
香音は言葉を詰まらせた。

「香音ちゃん・・・。」

「私はただ、先輩の力になれたら、先輩が喜んでくれたらって、それだけなんです。」

「香音ちゃん・・・俺のために・・・。ありがとう。」
勝利は瞳をウルウルと潤ませながら言った。

「いつも仕事で助けて貰ってますからね。困った時はお互い様ですよ。だからまた私が困った時はお願いしますね!」

「うん、もちろん!」

「どうぞ、これ使って下さい。」
香音は勝利にハンカチを手渡した。

勝利は受け取ったハンカチで涙を拭った。

「先輩って涙もろいんですね?意外でした。」

「いや~。最近涙もろくてさぁ。すぐ感情入っちゃうんだよね。歳だね。」

「歳ってまだ若いのに~。私と1歳違うだけですよね?」

「実はね。俺、年齢を5歳サバ読んでたんだ。」

「えっ?そうだったんですか?!」

「・・・・。」
勝利は一瞬黙った。

「うっそぴよよよよ~~ん!」

「えっ??」

「ドッキリ大成功~‼︎」


「ヒド~イ‼︎一瞬本当に信じちゃったじゃないですか~!」

「ごめんごめん!なんかしんみりしちゃったから空気を変えようと思って。」

「もう!先輩ったら!」

「やはり相性が良いですねぇ。」

「もう、ピーシュさんもからかってるし~。」
香音は頬を膨らませて言った。

「いやいや、本当の事ですよ。とても頬笑ましい。」

「そうだよ、相性が良いのは良い事なんだから。仲良くやろうよ!」

「まぁ、それはそうなんですが・・・ですね!楽しくいきましょう!」

「おっ!良いねぇ!そうこなくっちゃ!」

「それよりピーシュさん、次は何をすれば良いの?」


「イメージングの共有ができたので、次は『イメージの転写』というのをマスターします。」

「へぇ~、『共有』の次は『転写』かぁ。一体どうやれば良いんだ?」


「これらは初歩中の初歩ですし、勝殿ならこの『転写』も難なくマスターできるでしょうね。」


「ヘェ~!そうなんだぁ。で、その『転写』ってのはどうやれば良いの?」


「まずはイメージしたものを具現化しないように意識をします。」


「分かった!とりあえずやってみるよ。」
勝利はまずは何かを強くイメージをした。
そして手からそのイメージしたモノが出現しないように意識をした。

「おっ?手から出てこない!うまくいったんじゃない?コレ!」

「素晴らしい!それではそのままその両手を香音さんの両手に上から添えるように置いて下さい。」

2人は言われた通り両手を合わせた。

「カツ殿はそのままイメージをキープしつつ、香音さんは魔書をイメージして下さい。」

「おう!」
「はい、分かりました。」

すると香の両手からページが開かれた魔書が現れた。2人の両手は魔書をサンドイッチのように挟んだ状態になっている。

「さぁ、ではここでカツ殿はキープしていたイメージを解放してみて下さい。」


「よし来た!行くぜ!イメージ解放っと‼︎」

すると魔書は一瞬だけ柔らかい明るさに発光した。


「はい、完了です。カツ殿、両手を離して魔書を見てみて下さい。」


言われた通り魔書のページを見てみると、そこにはハサミが印刷さていた。

「おお~~‼︎やったぜ!ピーちゃんこれって成功だよな?なっ!?」

「成功どころではありません。」

「えっ?」

「大成功です‼︎」

「うおっしゃーーーー‼︎やったね!香音ちゃん!香音ちゃんがちゃんとやってくれたから、ありがとう!」

「良かったですね!先輩!一発で成功って凄いですよ!」

「これはカツ殿の持って生まれたセンスの賜物でしょう。」

「やっぱり?いや~、俺って天才じゃんね?」

「先輩!ちょっと褒めたらこれなんだからから~、調子に乗らないで下さい!」

「ごめんなちゃい!」

「これで無事イメージングの基本は大丈夫ですね!」

「でもイメージをキープすんのって意外とムズいのね!たぶん慣れれば何とかコントロール出来そう。」

「そう、練習あるのみですね。」

「私も魔書を両手にイメージしたら出すことが出来たわ。私ももっと練習しなくちゃ。」

「お2人の向上心は素晴らしいですね。その向上心を誰かさん分けて欲しいものです。」

「ピーちゃん、誰かさんって誰のこと?」

「それは当然、マック坊ちゃんの事ですよ。魔手を人間界に落としてしまった張本人ですからねぇ、まったく。」

「執事のピーちゃんも大変なんだね。」

「はははは。もう慣れちゃいましたけどね。」

「『習うより慣れろ』って見習いの時、先輩から言われたの思い出した。」

「それ、その通りだと思います。見て習うのが見習いですが、結局は慣れた方が早く身につくんですよね。」

「流石ピーちゃん!元美容師‼︎」


「ありがとうございます。あっそうでした‼︎そろそろマック坊ちゃんもこちらに来られるハズです。ご主人様から勝手に人間界に行った事でこっぴどく怒られた後に。」

「マジで?!マッくんかわいそう!」

「この国のルールだから私たちは何も言えないけど、マックくんにしてあげる事と言ったら、あとで慰めてあげる事しか出来ないなぁ。」

「香音ちゃん優しいな~。マッくんが羨ましいーー‼︎」


すると扉が開く音がした。

そこへ顔を見せたのはマックだった。








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