魔手 ~Magic Hands〜

マシュー

文字の大きさ
16 / 19
第15話

王子マック

しおりを挟む
そこには王子らしく正装したマックの姿があった。


「やぁ、お待たせ。」
マックは、なぜか元気が無いような表情をしている。

「坊ちゃん。そんなにしょげてるということは、また王にこっ酷く叱られたんでしょう。」

「えっ?ねぇピーちゃん、なんでマッくんが叱られるんだよ。」

「それは、坊ちゃんが王に許可なく人間界へ入ってしまったからです。」

「それじゃあピーちゃんも一緒じゃねぇの?」

「いえいえ、わたしは王の命令を受けて坊ちゃんを連れ戻しに行ったまで。しかし、もしも坊ちゃんを連れ戻せなかったらわたしも怒られていましたが、あの時香音さんが坊ちゃんを保護して頂いたお陰で無事に連れ帰る事が出来ました、改めてありがとうございました。」
ピーシュは香音にお辞儀をした。

「いえいえ、どういたしまして!」
香音はニコッと笑顔で言った。


「そうだったのか、でもまぁその罰はちゃんと受けた訳だから、もう大丈夫なんだよな?マッくんも腹減っただろ?こっちに来て一緒に飯食おうぜ!」

「うん、お腹ペコペコ。」

「よーし!じゃあこっち来~い!」
勝利はマックの手を取りテーブルへと連れて行った。

「そうだ!坊ちゃん、カツ殿と香音さんが魔手と魔書を使えるようになりましたよ。」

「えっ!本当に??凄いね~‼︎」

「あんなの楽勝だったよ!オレは早く目標を叶えてこの魔手を外して、そんでマッくんにちゃんと返さないといけないからな!」

「カツトシ。僕のために目標を叶えてくれるの?」

「お前のためでもあるし、俺のためでもあるし。ん~、まぁ俺が頑張れば俺もお前も嬉しいんだからなぁ!もうやるしかないっしょ!」


「うん!僕も応援するよ!頑張ろうね!」

「あぁ!ありがとう!マッくん!」

「魔手を拾われたのがカツトシで良かった。」

「あの時これ拾って開けなけりゃこんなことにはならなかったからな。きっとこうなる運命だったんだろうな。」

「そうだね。」

「それよりマックくん、何が食べたい?なんでも言って?先輩が何でも出してくれるから。」


「カツ丼‼︎」
マックは満面の笑みで言った。

「カツ丼好きだねぇ~‼︎あの時に味をしめたなぁ?よぉし!任せとけ‼︎」
すると勝利は両手からカツ丼を出した。

「はいよ!たらふく食べな!」

「カツ殿、一度魔手から出したモノは、魔書に、先程マスターした、イメージングの共有をして、その上でイメージングの転写をしておくと後々便利ですよ。」

「そうなの?よし、分かった。香音ちゃん、良い?」

「もちろん。」
香音は両方の手の平を広げた。
すると手の平に魔書が現れた。

そして勝利は、香音の手の平の魔書に両手を重ねた。

勝利は目を閉じて集中している。

すると、ピカッと光ったと思ったら、開いたページにカツ丼が転写された。

「イメージを共有して転写できた‼︎これめっちゃ集中力使うぜ~‼︎ふぅ~‼︎」

「凄い!こんな短時間で出来るなんて!僕、2人とも尊敬しちゃうよ!」

「大した事ねぇよこんなの。マッくんにも出来るから、マジで大丈夫!」

「本当に?」

「あぁもちろん!俺にも出来たんだから王子のお前に出来ないなんて逆におかしいだろぅ?」

「そうだよ!マックくん!何でもやれば出来るよ!」


「ありがとう!僕、魔天界の国の王子なのに魔法学が教科の中で一番苦手なんだ。でも2人を見てたらなんだか出来る気がしてきたよ!」

「良いねぇ!その意気だぞ!俺も頑張るから!」


「うん」

「がはははは!」
「うふふふ」
「あはははは!」
勝利、香音、マック、は笑顔で笑い合っている中、ピーシュはマックの成長に感動して涙を流している。

「グスン。坊ちゃん、こんなにも成長なさって。グスン。お2人のお陰です。ありがとうございます。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

処理中です...