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第9話
共鳴者
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勝年と香音は、ピーシュの案内により、本棚から現れた秘密の隠し扉の中を進んでいる。
「なぁ、ピーちゃん。結構歩いてる感じだけどさぁ、その魔書のとこってまだなの?なんか俺、歩き疲れちったよ。」
「勝殿、頑張って下さい。もう少しですから。」
先頭を歩くピーシュは振り返ると勝利にガッツポーズをして言った。
「うふふ。先輩ったら普段の運動不足が祟ってるんじゃないですかぁ?」
「香音ちゃん。ピンポーン!その通り!」
勝年は指をパチンと鳴らし舌をペロっと出した。
「さぁ、お二人とも。
お疲れ様でした、到着ですよ。」
ピーシュの指差す方は壁で行き止まりになっている。
その壁には腰くらいの高さにえぐり取ったような穴が空いていて、その中には何か分厚い古びた書物らしきモノが横になっている。
3人はそれに近づいて行くと。
「カツ殿、香音さん。静かにお願いしますね。」ピーシュは小声で2人に言った。
「えっ?なんでだよ?」
勝利は小声で言った。
「聞こえませんか?魔書の寝息が。」
ピーシュは壁の穴の中をそーっと覗き込み聞き耳を立てながら様子を見ている。
「あっ、本当だ!確かに何か音がするわね。紙が風で揺れる音だわ。」
香音は目をつむり、右耳に手を当てている。
「ん~?そうかぁ?俺はよく聞こえないなぁ。」
勝年は両方の耳に手を当てている。
「香音さん!素晴らしい~‼︎
魔書の寝息が聞こえるのですか?」
ピーシュは驚きの表情で香音に言った。
「え、ええ。確かに聞こえるわ。
これが魔書の寝息なのね。なんか面白い!」
香音は魔書の寝息に耳を澄ましながらニコっと微笑んでいる。
「香音さん、まさかあなたが選ばれし『リーダー』だったとは。」
ピーシュは目を見開き、真面目な顔で香音に言った。
「えっ?なに?『リーダー』??」
香音と勝年が顔を傾けながら言った後、ピーシュは香音の両手を勢い良く握った。
「お願いします‼︎香音さん‼︎」
ピーシュは握った両手をブンブンと振ってしまうほど興奮している。
「ピーシュ!ちょっと落ち着いて!
そんなに興奮するなんてあなたらしく無いわよ!」
「あっ!申し訳ございません!私とした事がつい取り乱してしまいました!」
「ピーシュ大丈夫?ちゃんと聞くから!私に『魔書の寝息が聞こえた事』と、その『リーダー』っていうのは一体何なのか説明してくれる?」
「すみません。何かをお願いする時にはキチンと説明するのが筋ですよね。
私とした事が、大変失礼しました!」
ピーシュは深々と頭を下げた。
そして頭を上げた後、笑顔のピーシュの目には何故か涙が浮かんでいる。
「ピーちゃん!なんで泣いてんだよ??」
「ピーシュさん!大丈夫?」
「ぐすっ。ええ、大丈夫です。取り乱してしまってすみません。私、魔書との共鳴者がやっと現れた事が嬉しくて。」
「共鳴者??」
2人は同時に頭を傾げた。
「では、隠された魔書の秘密をお話しましょう!」
頭の上にハテナだらけの2人をよそにピーシュは語り始めた。
「なぁ、ピーちゃん。結構歩いてる感じだけどさぁ、その魔書のとこってまだなの?なんか俺、歩き疲れちったよ。」
「勝殿、頑張って下さい。もう少しですから。」
先頭を歩くピーシュは振り返ると勝利にガッツポーズをして言った。
「うふふ。先輩ったら普段の運動不足が祟ってるんじゃないですかぁ?」
「香音ちゃん。ピンポーン!その通り!」
勝年は指をパチンと鳴らし舌をペロっと出した。
「さぁ、お二人とも。
お疲れ様でした、到着ですよ。」
ピーシュの指差す方は壁で行き止まりになっている。
その壁には腰くらいの高さにえぐり取ったような穴が空いていて、その中には何か分厚い古びた書物らしきモノが横になっている。
3人はそれに近づいて行くと。
「カツ殿、香音さん。静かにお願いしますね。」ピーシュは小声で2人に言った。
「えっ?なんでだよ?」
勝利は小声で言った。
「聞こえませんか?魔書の寝息が。」
ピーシュは壁の穴の中をそーっと覗き込み聞き耳を立てながら様子を見ている。
「あっ、本当だ!確かに何か音がするわね。紙が風で揺れる音だわ。」
香音は目をつむり、右耳に手を当てている。
「ん~?そうかぁ?俺はよく聞こえないなぁ。」
勝年は両方の耳に手を当てている。
「香音さん!素晴らしい~‼︎
魔書の寝息が聞こえるのですか?」
ピーシュは驚きの表情で香音に言った。
「え、ええ。確かに聞こえるわ。
これが魔書の寝息なのね。なんか面白い!」
香音は魔書の寝息に耳を澄ましながらニコっと微笑んでいる。
「香音さん、まさかあなたが選ばれし『リーダー』だったとは。」
ピーシュは目を見開き、真面目な顔で香音に言った。
「えっ?なに?『リーダー』??」
香音と勝年が顔を傾けながら言った後、ピーシュは香音の両手を勢い良く握った。
「お願いします‼︎香音さん‼︎」
ピーシュは握った両手をブンブンと振ってしまうほど興奮している。
「ピーシュ!ちょっと落ち着いて!
そんなに興奮するなんてあなたらしく無いわよ!」
「あっ!申し訳ございません!私とした事がつい取り乱してしまいました!」
「ピーシュ大丈夫?ちゃんと聞くから!私に『魔書の寝息が聞こえた事』と、その『リーダー』っていうのは一体何なのか説明してくれる?」
「すみません。何かをお願いする時にはキチンと説明するのが筋ですよね。
私とした事が、大変失礼しました!」
ピーシュは深々と頭を下げた。
そして頭を上げた後、笑顔のピーシュの目には何故か涙が浮かんでいる。
「ピーちゃん!なんで泣いてんだよ??」
「ピーシュさん!大丈夫?」
「ぐすっ。ええ、大丈夫です。取り乱してしまってすみません。私、魔書との共鳴者がやっと現れた事が嬉しくて。」
「共鳴者??」
2人は同時に頭を傾げた。
「では、隠された魔書の秘密をお話しましょう!」
頭の上にハテナだらけの2人をよそにピーシュは語り始めた。
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