ピリ辛×ちょい甘+コク=猛愛?一夜を共にしたからっておかしくありません?

はなまる

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1侯爵家没落?

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 もうすぐ学園も卒業というある日の事、私は学園長から呼び出しを受けた。

 「ギスタン侯爵令嬢呼び出して済まない」

 「とんでもありません。学園長」

 学園長は申し訳なさそうな顔をして私を見た。

 何があったんだろう?私は自分が何かしでかしたのかもと脳内を探ってみる。

 まあ、座りなさいと言われ私は戸惑いながらも学園長室の少し硬いソファーに腰を下ろした。

 学園長も向かいに腰かけると気まずそうに声を出した。

 「実は‥君の家がな‥」

 口ごもる学園長の顔は苦悶を浮かべている。

 「我が家が何か?」

 すぐに父の顔が思い浮かぶ。もしやまた借金取りが学園にまで?

 聞き返す間もなく学園長が口を開いた。

 「ああ、言いにくいが君の家が‥ギスタン侯爵家がなくなった。いや、こんな事を言うのは本当に‥御父上が借金の返済に焦げ付きを出されてそれを商会から訴えられたんだ。一度訴えを起こされるとどんな貴族であっても調べられる。それで、いや、はつきり言おう。ギスタン侯爵家は取り潰しになった。借金返済の為財産は没収されるらしい。だから、君の家はもう…」

 学園長の話している意味がわかると背筋に冷たいものが伝う。



 ああ、私は侯爵令嬢ではなくなったと知らせが届いたのか‥

 おぼろげな現実が脳裏に浮かんだ。

 えっ?それって私は侯爵令嬢でもなくなって帰る場所もなくなるって事?

 うそ!

 そんなの信じられない。

 

 思わず食いつくように声を上げる。

 「そんな…嘘です。確かに父には借金があり自堕落な生活をしていましたが」

 あまりの事にそれ以上言葉にならない。

 「ああ、私も実に残念だよ。それで、最近屋敷には帰っていたのか?」

 ぐったり肩を落とした私を心配するような声が落ちてくるが言っている内容は一刻も早くこの話を終わらせたいと言う気持ちがひしひしと伝わって来る。

 私は考える間もなく急いで尋ねられたことに返事を返す。

 「いえ、父は私を嫌ってましたから母が亡くなってからは殆ど…」

 父は、銀の髪色や緋色の瞳の私が生まれた時から自分の子ではないと私を嫌っていた。

 生まれてから今までに優しい言葉一つかけて貰ったこともない。

 母の不貞を疑い夫婦仲も悪かった。

 そして無茶な投資を繰り返し酒に溺れていたのだ。

 「はぁ~…」

 私は大きな溜め息を吐き出した。



 「そうか、なるべく早くに屋敷に帰った方がいい。必要な私物や大切な思い出の品など、持ち出しが必要だろう?卒業までは学園の寮にいれるがその後の行き先は決まっているか?」

 学園長は畳みかけるように話を急ぐ。

 言われている意味を理解するとはっと顔を上げた。

 「はい、学園を卒業したら文官の仕事が決まっていますので。住むところは政務局員が入れる寮を希望してますので、それほどの心配はないかと」

 そう言いながらも脳内で今後の予定を確認していく。

 今までも父を頼れなかったし、母は病弱で幼い頃から自分の事は自分でやる癖が身に付いていたので今後の生活の心配はあまりなかった。



 「そうか、良かった。ギスタン侯爵令嬢。いや、ミルフィさん学園を卒業しても頑張ってな。何かあれば何時でも頼って欲しい。では、なるべく早く屋敷に帰って父上と話し合うようにな」

 学園長はそこまで口早に言うとほっと責任は果たしたみたいな顔をした。



 「はい、ご心配をお掛けして申し訳ありませんでした。早めに自宅に戻って確認しますので、色々ありがとうございました」

 私も最後に頭を下げてお礼を言って学園長室を後にした。





 そのまま自宅に足を運んだ。屋敷の玄関を入ると執事のロベルトが出迎えてくれた。

 「お嬢様。こんなことになって申し訳ございません」

 ロベルトは幼い頃から我が家の執事をしている。

 私はロベルトに駆け寄る。

 「ロベルト。そんな、私の方こそごめんなさい。まさか、ここまで父が愚かだったなんて思ってもいなかったの」

 「いいえ、お嬢様は悪くはありません。旦那様はばかです」

 あっ、そう!そのばかはどこ?

 「それでお父様は?」

 「旦那様は商会の方々に訴えられて警護官に連れていかれました。おそらく牢に入ることになるのではと…」

 ロベルトの顔が一気に曇る。

 「ロベルトのせいじゃないわ。全部お父様のしたことだもの」

 そこにロベルトと同じように長くこの屋敷で働いてくれている侍女のアニスが来た。彼女とロベルトは夫婦なのだ。

 「お嬢様…」

 「アニス。ごめんなさい。あなた達には迷惑ばかりかけて…」

 「そんなこと気にしないで下さい。それよりお嬢様これからどうされるのかと心配で…」

 「そんなこと気にしないで、私は仕事も決まってるし住む所だってあるのよ。何も心配はいらないから」

 そう言ってアニスと抱き合う。



 その横をきちんとした身なりの執行官らしい人たちが横切る。

 「あなたは?」

 「はい、この家のものです」

 「この方はギスタン侯爵令嬢です」

 ロベルトが失礼じゃないかと言わんばかりに声を荒げた。

 「そうですか。私達は政務局の執行官です。事情はご存知ですか?」

 顔色一つ眉さえ動かさず執行官らしき人は言う。

 「はい、一応」

 「では、わかってますね?財産は全て借金返済の為没収となります。持ち出せるのはあなたの身の回りのものだけです。あっ、申し訳ありませんが貴金属類のたぐいはだめですので」

 「わかりました。アニス手伝ってもらえる?」

 私は必死で平然を装った。

 「ええ、お嬢様。さあ、行きましょう」



 くずおれてしまいそうな身体をアニスがさっと手を差しのべて支えてくれた。

 「ありがとうアニス。あなたがいてくれてほんとに良かったわ」

 私は泣き出しそうになったがぐっと語らえた。

 急いで脳内で何を持ち出せるか見繕っていく。

 平民となるならドレスの類はもういらないだろう。仕事には制服が貸与されると聞いているし、不断に着る服や下着があればいいだろう。

 でも、母の形見のペンダントと指輪は持ち出せるのか?そんな事をおぼろげに思っていた。




 
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