ピリ辛×ちょい甘+コク=猛愛?一夜を共にしたからっておかしくありません?

はなまる

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19マクフォール管理官の手伝いに行く1

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 それから数日後の休日私はマクフォール管理官の領地に出向いて病人の治癒をやってみる事になった。

 この前の事故でのことは今でも信じれないけど、頼られると放っておけない性格の私、とにかく自信はないけど精一杯やってみるつもり。

 それにマクフォール伯爵領は王都から近く馬車で行けば数時間の距離だったのでそれも引き受けた理由の一つだった。

 その日は朝早くに出掛ける事になっていてマクフォール管理官が食堂まで馬車で迎えに来てくれる事になっていた。



 「俺も行くから」

 「リント。言っておくけどこれは仕事なの。遊びで行くんじゃないのよ。それに相手は管理官なのよ。あなたを連れて行ける訳がないじゃない!」

 「俺のことは助手とでも言ってくれればいい。いや、婚約者の方がいいか?」

 あのキス以来リントはさらに私に絡んでくるようになった。私もつい浮ついてことを言われて絆されるのも悪いんだけど。

 まさか今日付いて来ると言うとは思わなかった。

 だってリントは雲の上の存在。

 彼の事を意識すればするほどこんな気持ちになってはいけないとわかってる。

 それなのにどうして私につきまとうの?

 「いい加減にして!私がいつ貴方の婚約者になったって言うのよ。何度も行ってるけどリントと結婚するつもりはないのよ。私は仕事があればもうそれでいいんだから」

 朝から頭痛がしてこめかみを指で揉む。

 「頭が痛いのか?見せてみろ。なぁ‥」

 優しい声がしてふっと顔を上げると心配そうな顔のリントが私を見つめる。

 ふっと手が差し伸べられて両手で髪に触れたと思ったら頭痛がすぅっとおさまった。

 「えっ?リント何したの?何だか頭痛が治った‥気が?」

 「おまじない。ミルフィの苦痛がなくなるようにって祈った」

 「うそ。そんなの嘘よ。もう、いつも適当なんだから‥」

 そんな断わるわけないと思うがリントは竜人だし、それくらいの竜力を持っていてもおかしくはないんだし‥

 それに王子なんだし‥胸の奥がズクンと痛む。

 もう!



 リントはちょっと気分を悪くしたみたいな顔で私を覗き込む。

 さっきの事は本当だったって事?

 もう、リントってっば‥優し過ぎ。

 「あの、リントごめん。助かった。ありがとう」

 うれしくて私は思わずお礼を言った。

 彼の曇った顔がぱぁっと太陽が雲間から顔を出すかのような笑顔に変わる。

 「いいんだ。ミルフィのためなら俺どんなことだってやるつもりだから。だから俺も連れて行ってくれないか?マクフォール領ではどんな状態かもわからない。俺は心配でたまらないんだ」

 「そうね‥管理官とふたりきりって言うのも嫌だし‥その代わり余計な事は絶対しないでよ。約束できる?」

 「ああ、ミルフィの言うことをきくからさぁ」

 「わかった。じゃあ、大人しくしててよ」

 リントは大きくうなずいて嬉しそうに着古したよれよれのマントを羽織った。マントは丈が少し短くてリントには全く不釣り合いだった。

 そのマント多分マベルの旦那さんのじゃないかな?

 

 私は夜明け前に置きて作ったサンドイッチや卵焼きやチーズやそれに子供たちもいるかもとアップルパイを焼いた。

 それらを多めに籠に入れると馬車の音が聞こえた。管理官が到着したのだろう。



 マクフォール管理官が食堂の入り口から入って来た。

 「ミルフィさん、今日は本当にありがとう。早速だが出発できそうか?」

 管理官はやけに機嫌が良さそうだ。

 「はい、支度は出来てます。申し訳ありませんがリントさんも一緒に連れて行きたいのですが」

 私がすぐにリントの同行を申し出る。

 途端に彼がきゅっと眉間に皺を寄せる。

 これって絶対いやらしい事考えてたよね?やっぱりリントの言うようにしてよかった。

 嫌な予感してたのよ。

 ったく、男ってどうしてこうすぐにいやらしい事を考えるのかな‥

 前世の婚約者リヒトの事を思い出してしまった。ああ、胸がむしゃくしゃする!

 沸き上がった感情はチクチク痛むではなく、むかむかするような感情だった。




 「えっ?だが、彼が行ってもなぁ、具合の悪い者ばかりがいる場所に行くんだし足手まといになるんじゃないか?」

 しれっと距離を詰めて来るセクハラ管理官。

 まあ、白々しくそんな事を言うんですか。

 「いえ、彼も痛みを治す事が出来るので役に立てると思うんです。私も1人ではどの程度お役に立てるかもわかりませんし、少しでも人数が多い方がいいと思うんですが‥いいですよね管理官!」

 おしとやかにほんのり頬笑みを浮かべてもう決まった事ですよと言ってやる。

 詰めた距離から一歩下がりマクフォール管理官はリントの頭からつま先までを見た。

 管理官の目にはリントはすごくダサい男に見えているはず。これがほんとに王子かってほど。

 「まあ、人手があるのは助かるしな。ああ、いいとも彼も同行してくれ‥いえ、殿下とお呼びした方がいいのかな?」

 彼はクラバットを直しながら着ていたスーツの方の埃をはたいて見せると仕方がないとばかりに片手で髪をかき上げて見せた。

 ふん、何よ、気取っちゃって!あなたなんかに興味はありませんけど‥



 その時「管理官殿、今は私はただの一般人。そんな事は気にしないでくれ」とリントがさらっとそう言いさわやかな笑顔を浮かべるとさっと私の握っていた籠を取った。

 「さあ、ミルフィ。荷物は俺が持つから」

 私はすごく重かった籠を持ったままだったので、とは言ってもリントもお茶の入った大きな水筒を持っていてそっちの方が絶対重かったはずなのだが、彼は軽々と水筒と籠を馬車まで持って行ってくれた。

 リントの何気ない優しさ、こんな所すごく好きだな私。



 管理官は機嫌を損ねたのか先に歩きだした。



 「ミルフィ、これも持って行って下さい」

 その時マベルがひざ掛けを持って走って来た。

 「まあ、助かるわマベルありがとう」

 「いえ、早いのでまだ冷えると思いますから‥これは管理官様。今日はよろしくお願いいたします。夕食の頃には戻れると伺っておりますので帰りはぜひうちに寄って食事でもなさってください」

 マベルは管理官に会釈をして挨拶をする。

 「こちらこそミルフィさんをお借りします。そうですね夕食までには帰れるようにするつもりですので、では行ってきます」

 私はマベルに親指を立てて見せる。グッジョブですマベル!



 私はリントの手を借りて馬車に乗りマクフォール管理官は後ろ側に座り渡りとリントは隣同士で御車台側に座った。

 「ミルフィまだ眠いんじゃないのか?朝早くから弁当ありがとな。俺にもたれて寝ていいぞ」

 リントはかいがいしく私の世話を焼いてくれる。

 ひざ掛けを掛けようとすると「ああ、俺が掛けてやるから」って。

 「あっ、うん。ありがとう」って私も言ったりして。

 管理官に見せつけるみたいにリントの方に頭をもたれかけたりもして。

 管理官は渋い顔を見せると目を閉じた。

 マクフォール管理官。残念でしたね。計画が狂って‥

 私は目を閉じるとニンマリした。

 何だかいつになくリントのそばにいると安心出来た。

 もう、こんなことしたらリントを勘違いさせるのに‥





 
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