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26気持ちを立て直す(リント)
しおりを挟む俺は意識を取り戻すとヒュートの家にいた。
「俺は‥」
「もう、リントさんやばかったんですから。ミルフィさんに拒絶されて気を失って‥ったく。俺が気づいて転移させたから良かったものの。あのままだったら殺されてたかも知れませんよ」
「ミルフィが俺を‥」
「リントさん?」
俺の頭は全く働いていない。何も考えれない。何も感じない。この世はもう真っ暗闇で俺はこの先どうやって‥
何とか座っては見るが身体に力が全く入らない。
「ほら!しっかりして下さい。それくらいで番を諦めれるんですか?リントさんの思いはその程度だったんです?ミルフィさんが本気であの殿下を好きだとでも思ってるんです?まさかですよね?あんな会ったばかりの王子。それに彼女が身分に目がくらむ様な人じゃないってわかってますよね?」
いつもの自信は粉々に砕け散っていてクレイブのそんな煽りにさえも食いくけない。
「リントさん?ほんとに大丈夫っすか?」
頬をバチバチ叩かれる。
「ミルフィ‥ミルフィ‥ミルフィ俺を捨てないでくれ‥俺なんでもするから‥ああ‥どうしたら‥あいつかなり整った顔立ちだったし、それに俺よりあいつの方がしゃれてるって言うか、紳士だったし‥」
「ったく、重症っすね。お~い!リントしっかりしろ!あんただって大国ピュタール国の王子なんだぞ~!」
「それが何だって言うんだ!」
そんな事ミルフィはとっくに知ってる。でも、俺への態度は全然変わっていない。
「こんな話、今するのもどうかと思いますけど、マクフォールってやつはどうやら方向転換したみたいですよ。自分の婚約者にするより王子にミルフィを差し出す方が有利と判断したんじゃないかと。マクフォールは意外と父親には弱いらしくって実際領地経営もうまく行ってないこんな時に父親からミルフィさんの事を何とかしろと言われたみたいですから。それにジェグニカ公爵とキンリー公爵は繋がっているようなんです。もしかしたらミルフィさんがリントさんの番だと知れてそれで二人を引き離そうとしてるんじゃないかと思えるんですが」
「はっ?それは本当か?それじゃミルフィはあの王子に騙されてるのか?
クッソ!許せん。俺の大切なミルフィを騙すなんて!!」
「えっ?そこです?リントさんもっと自分の身の危険も考えて下さいよ。まあ、ミルフィさんに何かあったらリントさんが人として、いえ、竜人としてどうしようもなくなる事ははっきりしましたけど、リントさんだって命を狙われてるかもしれないんです。だから、もっと危機感持って下さいよ」
「俺がその辺の奴らに命を狙われたからってどうってことない。そんな事よりミルフィはか弱い人間なんだ。針一本、いや縄一つあれば簡単に命を奪うことも出来るんだ。とにかくそういう事ならなおさらミルフィを救い出さないとな」
「そうですね。このままでは不安です。心配ないですから、俺がチャチャッと転移で連れ戻します。でも、事情はリントさんから説明して下さいよ」
「いや、俺も行く。ミルフィの事を人に任せたりできるか?俺が行く」
「いや、でも、ミルフィさんリントさんを拒否したんでしょう?それなのに顔を出したら彼女何て言うか。一緒に行かないとかごねられたらどうする気なんです?また、しょぼしょぼになって‥」
「あの時はミルフィが本気で俺を嫌っているのかと思ったからだ。でも、そうじゃないと今はわかる。ミルフィはあの王子に騙されてるんだ!」
ったく。(これは私の望んだ事なの。リントは国に帰って私の事なんか忘れてって‥)ミルフィの言った言葉が思い出されるとぐっさっと楔を突き刺されたように胸が軋んだ。
ミルフィを忘れて別の女と幸せになれると思ったのか?
きっとマクフォールや王子。ああ、王妃もいたな。あいつらに言い含められたんだな。
そりゃ王妃や王子に詰め寄られて脅されりゃ無理もない。
しかし、焦った~。
納得出来る答えが導き出されると俺はやっと気持ちを立て直せた。
そうだ。ミルフィが俺を本気で拒絶するなんてあり得ない。
昨夜の嬉しそうなミルフィを思い出して俺はばかだったと自分を奮い立たせる。
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