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25突然の別れ(リント)
しおりを挟む俺はミルフィが仕事に出掛けるとクレイブと会った。
ヒュートの手伝いはもちろん終わらせてからだ。
「それであいつはどんなやつだ?」
「はい、マクフォールは事業に失敗してかなりの借金があるようで、それを取り戻そうと闇カジノに手を出してそこでも負けが込んでそれで闇ギルドから毒草の栽培を持ち掛けられたようです」
「そんなことだろうな」
「それよりあいつミルフィさんに気があるみたいですよ。何とか彼女といい仲になってあの力を利用しようとしてるみたいですよ」
「ああ、でもミルフィは真面目だからな、仕事であいつと接触する事は避けられん、だからと言って…うん?」
いきなり脳内のミルフィセンサーが作動する。
なんでミルフィがオロク王子といる?それにあれは王妃じゃないのか?
「クレイブ、ミルフィの身に危険が迫ってる」
俺はピゅタール国王子としてマニール国の王宮に急ぎ出向いていく。
「いきなりで悪いがオロク第二王子に会いたい」
王宮の豪華な客間に通され待つこと1時間。
「お待たせしました。リント・ヴァルデマル殿下。今日はどのようなご用件でしょう?」
一体何の用なんだと言いたいばかりのオロク殿下。
その後ろにはマクフォールがいる。あいつミルフィを利用して何を企んでいる?
それにしてもミルフィは別室にいるようだがクレイブに様子を見に行かせたんだ。大丈夫。
俺は焦る気持ちをぐっと押し込みとにかくこいつらと話をつけるのが先決だと気持ちを切り替える。
脳内で怒りと焦りが火花を散らすのを何とか押しとどめようとするが、無理だった。
怒りが口を突いて出る。
「どんなだって?オロク殿下、私のミルフィに何をする気なんですか?彼女は私のものです。勝手な真似は止めて頂きたい!」
オロク殿下が目をむく。はっ、ざまぁ見ろミルフィは俺の番なんだぞ。それを…
「おかしいですね。ミルフィはそんな話はしていませんでしたがマクフォール、君は何か知ってるか?」
「いえ、彼女は婚約を解消したことは知っています。それに父親が侯爵位を剥奪されて困っていることも。殿下はそんなミルフィの力になりたいと思われているのですよね?」
ふん。マクフォールが手のひらを擦り合わせているのが丸わかりだ。
オロクは真面目な顔で頷いた。
「もちろんだ。ミルフィの今後は素晴らしいものになる。実は私とミルフィは婚約する事になった。ですので、あなたのものだなどと二度と言わないでもらいたい!」
これは茶番か?
何でこんな話になってる?
俺は怒りも露にオロクに食ってかかるが、俺だって一国の王子。彼を殴ったりはしない。
「はっ?どういうつもりだ?俺の番と知っての事か?事と次第によってはただではすまされないが?」
オロクは済ました顔で俺を見た。
「これだから竜人は…そもそもミルフィがあなたを受け入れたんですか?一方的な言い分ならあなたの勝手な片思い。誰と婚約しようとそれは彼女の勝手じやありませんか!」
オロクに言われる事に腹が立つが確かにミルフィは俺を受け入れた訳じゃない。
いや、だが彼女とは既に交わり魔力を分け与えるまでの関係で、まあ、それもミルフィは知らない事だから。
胸の奥がギシギシ軋んで腹の底で魂玉が苦痛でうねるのか血液の流れに拍車がかかり心の臓がひどく痛んだ。
「そんなの認めない!俺はヴァルデマルの竜帝の子。マニールごときの戯言を聞くつもりなどない!」
ああそうだ!俺はどんな手を使ってもミルフィを諦めるつもりはない。彼女が俺を受け入れてくれるまで俺は…
そこにミルフィが現れた。
「ミルフィ無事か?良かった」
一歩前に踏み出すとミルフィが手を前に差し出した。俺はその場で踏みとどまる。
ミルフィがじっとこちらを見てすぐに視線を彷徨わせた。
握りしめた拳の中にじわりと汗が出る。
「リント。あのね。私、決めたの。オロク殿下の婚約者になるって。だから私の事は諦めて。あなたは竜帝になる人。きっと相応しい女性がいるはずよ。だからもう、ピゅタール国に帰った方がいい」
耳を疑った。
「何を言ってる?ミルフィ正気か!いきなり会ったばかりの奴と婚約?お前がそんな女じゃないってわかってる。何を言われた?父親の命でも取るとでも言われたか?そんなの俺に任せろ。直ぐに父親を助けてやる。俺はお前無しでは生きてはいけない。頼む。考えて直してくれ!」
「違うの。これは私の望んだ事なの。リントほんとに私を思っているなら私の事なんか忘れて。もう、あなたの顔は見たくないの。国に帰って欲しいの。お願い!」
「ウソだ!ウソだ!ウソだ!ウソだ!そんなの認めない。俺はお前を心から愛してるんだ。どうしてそれをわかってくれない?ミルフィお前を愛してるんだ…お前だってほんとは‥」
俺は立っていられなくなりその場に倒れ込む。
番に拒否!?あり得ないだろ!何がどうなってる?俺のミルフィが?
ちょっと待ってくれ。
「ミルフィ頼む。考え直してくれ。俺はお前だけなんだ‥」
俺は必死で縋る。
「もう、決めたの。だからリント‥さようなら」
ミルフィが遠ざかって行く。俺のミルフィが‥
俺は遂に力が尽きたように身体中の力がなくなって意識が遠退いて行った。
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