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24王妃の治癒をしたら
しおりを挟むその翌日いつもの様に庶務課に仕事に行った。
「ミルフィさん、昨日は色々ありがとう。助かったよ。どうかな?疲れてないか?」
珍しくマクフォール管理官が早く来ていた。
「はい、こちらこそ昨日はありがとうございました。管理官もお疲れではございませんか?」
私は社交辞令でそう返した。
管理官が嬉しそうに口元を綻ばせる。
「いや、問題ない。それより今日の昼飯は俺にご馳走させてくれないか?昨日はあまり話す間もなかったしな」
いえいえ、管理官とこれ以上お近づきになるのは‥
「いえ、お昼は持って来てるのでご好意だけで」
私は急いで机に着く。
「チャムナさん、確か急ぎに仕事がありましたよね」
私はチャムナさんに助けを求める。
彼女も手慣れたものですぐに察してくれて「ええ、これ、すごく急ぎなの。お願いね」
「はい、わかりました」
ここから庶務課は一気に仕事モードになった。
そうやって書類と睨めっこする事数時間。
ガチャリと扉が開き誰かが入って来た。
「で、殿下?どうされたんです?こんな所に!」
殿下って?みんなが一斉に扉に視線を送る。そこにはマニール国の第二王子オロク殿下がいた。
既に第一王太子は結婚して次期国王となるのはほぼ確実となっている。
オロク殿下は女嫌いで有名で色々な縁談を悉く断っていると有名な王子だったはず。
脳内でオロク殿下の情報を整理する。
「すまないなみんな。私に構わず仕事を続けてくれ。マクフォール管理官実は話がある」
「一体どの様なお話でしょう?まあ、殿下こちらの部屋で話を聞かせていただいてもよろしいでしょうか?」
マクフォール管理官は隣の別室に殿下を案内する。
キリリと顔を引き締めた管理官がオロク殿下を案内して部屋に入った。
みんながコソコソ話をするが、しばらくすると所詮平民達の自分に関係ある話であるはずもないかと結論が出てすぐに仕事に戻った。
それから半刻ほどしてオロク殿下と管理官が出て来た。
「ミルフィ、少し話がある」
「はい、何でしょうか?」
もちろん管理官の隣にはオロク殿下もいる。
「実はオロク殿下が君の力が是非見たいとおっしゃっている。これから王妃殿下の所に同行してくれ」
「えっ?でも、私平民ですし。そんな王妃様のところに行くなんて無理です」
「ミルフィとか言ったな。無理ではない。私が許可する。母上はここ数日体調がすぐれない。今すぐ命に関わる事ではないが辛そうな母上を見るのは忍びなくてな。君の治癒魔法も見てみたいしな」
「でも!」
オロク殿下は王族らしく額にかかった金色の髪をサラリと撫で上げると澄んだ美しい碧色の瞳で私を見つめた。
完璧なまでに造形美が目の前に繰り出される。
すごく綺麗。こんな美しい人がこの世にいるなんて‥思わず見惚れてしまう。
「コホン!ミルフィこれはお願いじゃないんだ。私の言う事は命令と思ってくれて良い。さあ、行こうか」
「あの、でも仕事が‥」
「ミルフィさん仕事は後でいい。殿下の言われる事を最優先で。さあ、私も一緒に行くから安心しなさい」
いや、そう言う事じゃなくって!
私の意思は全く関係なく王宮の奥に連れて行かれる。
気づけば煌びやかな絵画の続く廊下を進んでいる。床には沈み込む様な絨毯が敷かれランプは美しいステンドグラスで彩られている。
「さあ、ここが母上の部屋だ。遠慮はいらない」
オロク殿下は躊躇なく扉の前に立つ。
護衛兵がお辞儀をして殿下と私達を通す。部屋に入ると侍女が殿下にお辞儀をしてそのまま奥に進んでいく。
「あの、私はここで」
「何を言ってるんだ?ミルフィ君が母を治癒しなくて誰がするんだ?さあ、いいから、あっマクフォール君はここで待ってて」
「はい、承知しました」
マクフォール管理官は頭を下げてそこで立ち止まった。
いやいや、あなたもついてくるって言いましたよね?心の中で突っ込みを入れるが相手は殿下。逆らえるはずもなく。
奥の部屋の扉を開けて中に進んでいく。
「母上、具合はいかがです?」
部屋は薄暗く王妃様の顔ははっきりとは見えない。
「オロクなの?ええ、何とか。心配しなくていいわ。あなたも忙しいんでしょう?」
「母上、今日はこの国一番の治癒魔法を使う女性をお連れしました。きっと彼女なら母上の病を治してくれるはずです。さあ、ミルフィこっちに」
オロク殿下は私を手招きする。
もう、こうなったら仕方がないとばかりに私は前に進み出た。
おうひはものすごく美しい人だったが金色の髪は艶を失い顔色は悪かった。
「王妃殿下、ミルフィと申します。お目に描かれて光栄です。私の様なものがこの様な所には相応しくないと申し上げたのですが‥」
「オロクが無理やり連れて来たのですね。良いんですよ。あなたは悪くないんですもの」
「母上、無理はいけません。さあ、ミルフィ頼む」
青白い顔で苦痛に顔を歪ませる王妃様をみては放っておくことは出来なかった。
「王妃様、失礼します」
私は手を王妃様のかざして魔力を込める。
じわりと光が手のひらから滲み出て次第にその光が王妃様をつつみこんでいく。
温かな光の粒子が王妃様の身体に吸い込まれて行くと次第に王妃様の顔色に赤みが差していった。
「これは?何だか嘘の様に身体が楽になったわ。さっきまでのひどい頭痛も無くなって。まあ、ミルフィ。これがあなたの力なの。すごいわ。こんな力初めて見たわ。オロクすぐに彼女を聖女に認定する様に教会に話をして、いえ、国王に報告が先よ。これはマニール国にとって一大事ニュースよ」
王妃様は興奮してオロク殿下に俺これ指示を出す。
オロク殿下は嬉しそうにくっと声を上げて「母上、そんなに急がなくても、はいはい、私がすぐに父にも教会にも連絡しますから安心してください。そうだ。母上。私はミルフィと婚約したらどうかと思ってるんですが」
「まあ、オロク、それはいいわ。そうよね。聖女が王子と婚約!オロクあなたもついにいい人が見つかったのね。嬉しいわ。ミルフィさんあなたを歓迎するわ」
王妃様がにこやかに私を見た。
ええ?そんな勝手に決められても、私王子と結婚なんて嫌です。もう貴族はこりごりなんです。気楽に一人で楽しくやって行ければそれでいいと思ってるんですから。
はっきりとそう告げたいが、今の状況ではそんな事が言える様な場合じゃないような。
ああ、どうすればいいのよ!!
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