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23わかってる。リントと別れなきゃって
しおりを挟む私達は無事に王都に帰って来た。
「ただいま~マベル。遅くなってごめん。すぐに手伝うから」
いつものように食堂はにぎわっていた。
「ミルフィちゃん、どこ行ってたんだ?あっ、まさかそいつとデートか?許せんな~俺達のミルフィちゃんなのに~」
いつのの常連さん。20代の独身男で毎日ここに夕食を食べにやって来る。
「もう、そんなわけないじゃない!」
私は適当にあしらってキッチンに急いだ。
持って帰って来たシマクロを冷蔵箱に入れる。
「マベルごめんなさい、忙しかったでしょう?」
「ミルフィ、疲れてるでしょう?ここはいいから休んでてください」
マベルは忙しそうにしながら私を気遣う。
リントもすぐに後を追ってキッチンに入って来た。
「そうだぞ。ミルフィいいから少し休め。ここて俺が手伝うから‥あっ、それからこれを冷蔵箱に入れておけ」
「なに?これってモドリじゃない?もしかして私の為に?キャ、冷たい。リント魔法で腐らないようにしてくれたの?もぉ!大好き」
私はついうれしくてリントに抱きつく。
「ば、ばか、いきなり‥!!」
リントの顔が真っ赤になって思わず飛びのく。
でも、よく考えればこんなやり方手慣れてるんじゃ?
「リントってやっぱり女の扱いに手慣れてるのね。こんな気の利いた事をさらりと出来るなんて‥」
うれしいけどつい過去の経験がそんな事を言わせた。
「ばか、俺が好きになったのはお前だけだ。今まで女に何かをしてやりたいなんて気持ちになった事はなかった。お前だけだ。俺はお前が喜ぶことならどんな事だってする」
すごくうれしかった。でもその反面この関係は絶対に続かないとも思った。
受け入れたら私は二度と立ち直れないほど傷つく‥
「またまた、それが女たらしだって言ってるのよ。マベル、私やっぱり少し休んで来る。後片付けは手伝うからごめん」
私はリントがまともに見れなくて目を反らすと部屋に上がった。
「おい、ミルフィ。何で俺が女たらしなんだよ!お前だけって言ってんだろ!!」
そんな声が聞こえたけど無視した。
部屋に入ると着替えをしてベッドの横になった。
リントとの事はやっぱりはっきりさせた方がいい。でも今は疲れた。
私は少しうとうとしたらしかった。気づくと窓の外は真っ暗になっていて耳をすませば食堂の喧騒はもうおさまっていた。
いけない。マベルに片付けやるって言ってたのに!
私が飛び起きるとキッチンに駆け下りた。
食堂はもう終わったらしくマベルは片付けをしていた。
「マベルごめん。すぐに手伝うから」
「いいんですよ。ミルフィも疲れたでしょう?食事にします?リントさんがさっきから待ってましたよ」
マベルは大きな鍋を洗いながら私の方に振り返った。すぐにリントがキッチンに顔を出す。
「ミルフィ起きたのか?大丈夫か、顔色悪いぞ」
「ううん、大丈夫。そう言えばリントあれから手伝ってくれたの?」
「ああ、俺はそんなに疲れてないから大丈夫だから‥」
リントは片付けた皿を持って入って来た。
「ありがとう‥」ほんとリントってば優しいんだから。こんなんじゃもうここに来ないで何て言えなくなる。
でも、いつまでも好意に甘えるわけには行かないのに。
でも、その前にリントにお礼がしたい。少しでも感謝を伝えたいから。
「そうだ。リントがお土産にくれたモドリでカルパチョなんてどうかな?新鮮だしマベルもきっと食べた事ないと思うわ。少し待っててすぐに作るから」
私は頭の中でメニューを決める。
短時間で作れるもの‥今日のスープはコンソメ風だったのでそれに薄切りしたポテトや野菜を入れて肉をミンチ状にしてそれを小さく丸めてスープの中に入れて行く。
明日は魚のフライなんかいいかも、タルタルソースも作れば‥そんな事を考えながら鍋の火力を小さく落とす。
それにシマクロも燻してみたいし‥鰹節みたいに出来たらいいんだけど‥
次は冷蔵箱から冷たく冷えたモドリを取り出すと身をきれいにさばいて骨を取り一口サイズに切って行く。
オリーブオイル、レモン汁、塩、コショーを混ぜ合わせて、玉ねぎに似た野菜をスライスして水に晒して水けをきると調味液と和えてなじむまでおく。
その間に残り物のパンをちぎって残っていたホワイトソースと混ぜて上にベーコンやチーズをのせてリゾット風な料理が出来上がった。
モドリを皿に盛りつけ調味液と混ぜた玉ねぎ風な野菜を乗せればカルパチョ風な料理が出来上がった
これで良し!
出来上がった料理をテーブルに運んでいく。
リゾットに具たくさんスープ。カルパチョ。テーブルの上には賑やかな夕食の出来上がり。
「はぁぁぁ~すげぇいい匂いだ。あっ、これってモドリか?あの魚がこんなうまそうになったのか?いつもミルフィの腕前には感動をするな‥」
リントが涎をたらさんばかりに料理を凝視している。
フフッ、喜んでもらえたみたいで良かった。
「もう、リントったらお世辞は言いから‥マベル食べましょうよ」
マベルも席に着くと一斉に食事を始めた。
「これは?」
マベルが不思議そうな顔で尋ねた。
「ええ、新鮮な魚ならレモンを利かせて食べるのはどうかと思って。こっちがホワイトソースとパンを混ぜたの。どう?」
マベルがカルパチョもどきを口に運ぶ。リントももちろんカルパチョを口にほおばった。
「「な、なにこれ~?!すげぇうまい!!」
リントは次々にカルパチョを食べる。
「これはすごくあっさりして生魚とは思えないです。何だか特別な日に食べたい料理ですねぇ」
マベルは美味しそうに舌鼓を打つ。
「良かった。これもリントが新鮮なまま持って帰ってくれたおかげね。ありがとうリント」
「うっ、ぐほっ!‥いや、いいんだ。それにしてもうますぎ!!」
リントは嬉しそうに皿に今度はリゾットを手に取った。
「うぐっ!ミルフィ。俺死ぬかも知れない。なんて優しい味。このスープはまた具沢山で心までいっぱいになるな。もう、俺のミルフィどんだけだよぉぉ~」
どれもこれも美味しそうに食べるリントに心は幸せな気持ちでいっぱいになる。
こんな時間を手放さなきゃいけないなんて‥無理かも。
その夜、私はリントにもう来ないでと言えないまま終わった。
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