シャロンはまたしても気づいていなった本物のジェリーフィッシュを見失った事に

はなまる

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 ジェリーはシャロンに拒絶されてから、ふさぎ込んでいた。

 彼女から信じれないと言われてもの凄くショックだった。

 腹立たしまぎれに、やけになって外に出かけて女とやりまくってやろうかとも思った。

 今までもそうやって気持ちを紛らわせてきた。

 でも、そんなことをすることがなんの意味もないことに思えて来た。欲しいのはシャロンだけなのに、ジェリーには他の女で気を紛らわすことがむなしいと分かっていた。

 彼はとりとめもなく、むやみに酒を飲んでは朦朧とする日を過ごした。


 だが、脳はシャロンの事を諦められないと僕を苦しめた。


 そうだ、今回は黙っているわけにはいかない。僕は成功していまや金も地位も名誉だってある。いや、そんなことはどうでもいいことだ。とにかくシャロンの本心を知るまでは…

 僕を見つめてあんなに幸せそうに笑った彼女が…あれが噓だったなんてとても信じられない。

 ひょっとしたらレックスと付き合っている話だって嘘かも知れないじゃないか……



 そう思うといてもたってもいられなくなった。

 ジェリーはシボレーのタホという車に乗っている。警察も使っている頑丈で実用的な車だった。

 ジェリーはシャロンのアパートメントの近くに車を止めると彼女が仕事から帰るのを待った。シャロンはまだ僕の車を見たことはない。スモークを張ってある窓ガラスからは僕はわからないはずだ。



 1時間ほど車の中で時間を潰すとシャロンのアパートメントの前にド派手なインパラが乗り付けた。

 誰だ?こんな派手なインパラなんかに乗って…



 ジェリーは顔をしかめた。こんな車に乗る奴は、相当金持ちか自分の」事ばかり気にする奴だ。


 嘘だろ…

 車からレックスがおりて来た。助手席にまわるとドアを開けた。

 シャロンだった…

 シャロンはうれしそうにレックスを見上げて車からおりた。ふたりは彼女のアパートメントに消えて行った。

 ジェリーは、ハンドルを思い切り叩いた。シャロンがレックスと付き合っている。あの話は嘘じゃなかった。

 クッソ!

 ジェリーは車のエンジンをかけると思いっきりアクセルをふかした。

 こころがまっぷたつに割れた。心臓は張り裂け悲鳴を上げていた。



 僕はアッパーマンハッタンから高速に乗るとロングアイランド方面に車を飛ばした。どこに行くかとかスピードを出し過ぎているとかそんなことは何も考えられなかった。気づいたらラガーディア空港近くに来ていた。空港の近くに車を止めると、大きな飛行機が飛んでいくのを眺めた。僕はいっそこのまま外国にでも行ってしまおうかと考えた。

 シャロンと同じ場所にいるのがこれほどつらいと思ったことはなかった。彼女がすぐ近くにいる。なのに心は遠く離れてしまったなんて……



 いきなり電話が鳴った。ジュリーの最初の本を出版してくれたムーンブックス出版のカーチスからだった。

 「バクスターどうですか調子の方は?そろそろ締め切りが近いんですが…」

 ジェリーは現実に引き戻された。

 そうだった。小説を書かなくては…

 「カーチスいいタイミングだな。ああ、まあ何とか間に合わせるよ」彼はいつも実にいいタイミングで電話してくる。まるで僕を見張ってるみたいだ。

 ジェリーは後ろを振り返った。誰もいなかった。


 「いや、次の本も絶対に売れますよ。期待してますから、じゃあまた連絡します」カーチスはしつこくは言わない。さりげなくじわじわ首を絞めるみたいに催促をしてくる。



 ジェリーはやっと現実に目を向けた。彼はラガーディア空港を後にした。


 それから小説の締め切りや、イベントの出席、付き合いで出席しなければならない慈善パーティーなどの予定が入っていて、忙しかった。

 ジェリーは自分はシャロンが言ったような人間ではないと証明したかった。確かに女を次々に変えて遊び惚けた日々もあった。だがシャロンに別れを告げられてから、彼女を見返してやろうと思った。作家になって彼女に嘘はついていなかったと見せつけてやろうと思った。

 だがいざ、シャロンに会うと彼女を忘れられない気持ちが抑えきれなくなって、あんな無様な失態をしてしまった。

 もうシャロンの事なんか忘れてしまえ!


 ジェリーは全精力を傾けて小説を書き始めた。イベントにも顔を出した。

 数日後の慈善パーティーには、顔だけ出して帰ろうとホテルの会場に入った。

 出版関係者から大手企業の役員、議員や有名人の顔もあった。

 ジェリーは適当な挨拶をして、会場を後にしようとした。

 その時レックスを見かけた。

 ジェリーは、その時初めてあのレックスがコッパーカンパニーコーポレーションの一人息子だったことに気づいた。そしてレックスの妹アイリーンとのもめごとも思い出した。

 レックスの会社は大手貿易会社で他にもあのウォルトブックスや不動産やIT会社、投資会社などっを持った大金持ちなことも…



 ジェリーは何だか嫌な予感がした。

 その時レックスがジェリーに気づいた。彼はジェリーを見てほくそ笑んだ。

 シャロンは僕のものだとでも言いたげに…

 クッソ!




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