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ジェリーはシャロンの事が心配でたまらくなった。
シャロンは騙されている。何とかしてそのことを知らせなければ…
ジェリーはシャロンに電話をした。だがシャロンは彼の番号を拒否設定にしているのか電話は繋がらなかった。
次の夜シャロンのアパートメントに行ってみた。だがシャロンはレックスと一緒に帰って来た。ふたりは片時も離れず部屋に上がっていった。
ジェリーはレックスがいてもいいから、シャロンに本当のことを打ち明けようかと思った。でも彼女は僕を信用していない。レックスは言葉巧みに彼女に僕が嘘をついているように思わせるだろう。
ジェリーは、何とかチャンスを作ろうとふたりを見張るようになった。彼の車はド派手な赤いインパラは目立ったので都合がよかった。
他の女といるところを写真に撮ることが出来れば、シャロンも僕の言うことを信じるしかなくなるはずだ。
僕は車の中で思った。
ひとり暗がりでこんなことをいつまで続ける気なんだと自分に問いかける。
シャロンは二度も僕を信じてくれなかったのに?
いや、シャロンがどうしても僕を信じ切れないのは、僕にも責任のある事だと言い聞かせる。
でも本気でレックスを愛していたら…?
ばか。レックスはシャロンを騙してるんだ。
ジェリーは、無償髭をはやし、目はしょぼついていた。何日も小説のストーリーを書き直したり、シャロンの事を考えて寝ていなかった。
そんな事はお構いなしとでも言うように、レックスは毎日のように彼女を送り、1時間ほどしたら出てくる。これではとても付き合っている恋人とは思えないじゃないか!
レックスはシャロンに何をするつもりなんだ?
しかし時に、レックスがシャロンを見つめる瞳は愁いを帯びているようにも見えてくる。彼女の腰に手をまわす仕草は、腹立たしいほど優しい…クッソ!
シャロンのレックスを見つめる視線は日増しに熱くなっているようにも見えた。
だが、何かがおかしいと僕の本能が告げていた。
彼はどんな女性でも手に入れることが出来る。それにもうすぐ婚約するはず、なのにシャロンのためにこんな尽くす男を演じるのはなぜだ?
もしそれが本物の愛だったら?いきなり沸き上がった考えは脳の隅々まで広がると、ジェリーの心臓を突き刺した。
いや、待て、婚約の話はどうなるんだ?
でも、もしシャロンがレックスを本気で愛してたら…
どれだけ彼女が傷つくか…何とかしなければ!
ジェリー・ブッシュ覚悟を決めろ!
何があってもシャロンを守るんだ!
ジェリーはムーンブックスのカーチスと話をしている時、カテリーナ・ケリーが自分のファンだと聞かされた。
「バクスター、君さえいいと言ってくれれば彼女と対談なんて話もあるんだが…」カーチスは冗談半分に言った。
「カーチス今の話は本当か?」
「ええ、彼女がそんな話をキャスターにしてテレビスタッフに話したそうだ。でもバクスター。自分の正体を絶対に明かす気はないんですよね?わかってますから…」
「対談は無理でもぜひカテリーナと話がしたい」
「何だ。やっぱり美人のモデルだからですか?いいですよ。うちの雑誌でその対談を取り上げてもいいなら、話をしてみますよ」
話はとんとん拍子に決まり、今度の土曜日にミッドタウンにあるアストリアホテルで対談が決まった。会談はふたりで録音と写真を撮ることが条件だった。
ジェリーはカテリーナに会ったら、レックスとシャロンが一緒に写っている親密な写真を見せるつもりだ。彼女が怒ってレックスのところに乗り込んだところを動画に撮るのもいいし、もしかしたらシャロンのところに自分が婚約者だと言いに行くかもしれない。
シャロンは自分が騙されていることに気づくはず…そうなれば目が覚めるはずだ。僕がどんなに愛してるかも、そして彼女自身の気持ちにも…きっと…
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