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10ロベルト様とデート(2)
しおりを挟むレストランを出ると街の散策をする事に。
「どこか行きたい所は?」
ふたりで石畳の道路を歩きながらやっと私は任務のための行動を起こす。
「あなたのお屋敷とか」
「ああ、俺の‥でも、俺が住んでるのが辺境だろ?だから屋敷と言っても王都はあまり手入していないからな。こっちに来た時寝るだけ程度で執事がいるにはいるがアンドレアが喜びそうな要因はないと思うぞ」
「でも、ロベルト様が仕事をするところとか見てみたいし」
「なんだそれ?誘ってるのか?」
いきなり手を掴まれてじっと覗き込まれる。
金色の瞳の中心がキュッとすぼまって熱を持ったような感じがした。
「まさか。まだ出会ったばかりですよ」
「男と女にそんなこと関係ないだろう?アンドレアだって知らないはずはないんだろう?」
そんな女だと見透かされてむっとした。
「‥それって私が婚約を4回もしたから?」
思わずロベルトを睨む。
そう言ってああ~ばか。ここは甘えるところじゃない。
男の経験値低すぎていきなりの対応には無理が‥
「なんだ?違うのか?じゃあまだ知らないって事か?」
私は真っ赤になった。
そんな事口で言えるもんですか!!
「なんだ。暗示をかけてその気にさせようとしたからひょっとしたら気軽なお楽しみのつもりかと思ったがそうじゃないのか」ロベルトが小さな声で漏らした。
ええ?じゃあ、私は用済みって事?
ちょ、ちょっと待って。そんなの困るから。私には任務が!
それに何?暗示の事ばれてる?
脳内パニック状態で‥
「そ、そんな訳ないじゃないですか。父が婚約も視野に入れて付き合いをしたいと言ったんですよ!私じゃなく父がです!」
「でも、俺が好きなんだろう?だったら好きな男とキスの一つや二つしたいって思うのが普通だろう?」
「あっ!」
完全にアウトだ。どうすればいいの?
「どうやら俺を好きって言うのは嘘なんだな?一体何が目的だ?はっきり言えよ」
「違うんです。わ、私はもう22歳ですし昨夜の夜会を逃せば二度と結婚のチャンスはないって思ってついあなたに挨拶をするって言った父にあなたを好きだって言ったんです。父は勝手に気を回してしまって‥嘘をついてごめんなさい」
「プッ!お前正直すぎだろ?そこは好きだけどそこは恥ずかしくてとか言えばいいのにさ」
ロベルト様はほんとにおかしそうに笑う。
切れ長の眦からは涙が少し出てお腹を抱えている。
「決めた!お前と付き合う!」
「でも、一夜限りのお相手はお断りです!」
「もちろん真面目な付き合いだ。婚約も視野に入れておこう。さあ、これからどこに行く?」
完全に彼のペースにはまった。でも付き合うって言うならこのまま行けば‥
私はすぐに頭を切り替える。
ある意味単純。
「どこって‥そうだ。欲しいものがあってお店に付き合ってもらえます?」
予定にはなかったがずっといつもお世話になっているメルディとグンネル。今日の護衛のボリ達にもプレゼントしたいと思っていた。
私は小物ショップに入った。
メルディには可愛い猫の置物を。グンネルには大き目のハンカチを。他の4人には靴下を買った。
あっ、ロベルト様には何を?
ペン?便箋?ペーパーウエイト?何々?
「これなんかアンドレアに似合いそうだな」
「えっ?」
それは緑と赤色のタータンチェックのリボンだった。
「ほら、こうして」
片方にまとめた髪に彼は上手にリボンを結んだ。
「あの‥」
「ほら意外といいだろう?」
鏡の前で自分の姿を映される。
後ろから覗き込んだロベルト様の顔がやけに嬉しそうで。
「ありがとうございます」
そうだ。ロベルト様にも何かプレゼントを‥
「俺にはこれでいい」
そう言ってロベルト様が唇にキスをした。ほんの軽いキスだった。
一瞬何が起こったのかわからなかった。
キスとわかって私はロベルト様の鳩尾に拳をお見舞いしていた。
「なっ!何するんですか!」
「うぐぅ!何するんだ!」
「もう帰ります!」
「普通、キスくらいであんなに怒るか?ったく。何の楽しみもないって事か‥」
「私はあなたを楽しませる道具ではありません」
「チッ!ああ、そうだった。ただの暇つぶしだったな。じゃあ、もう誘わなくてもいいな。ばかばかしい。心配するなきちんと送って行く」
「それは困ります。さっき付き合うって言ったじゃありませんか!?男のくせに酷いです」
「はっ?何で困るんだ?俺を好きでもない。その様子じゃまじで婚約する気もないんだろう?」
「それは誤解です。婚約したいんです」
「他を当たってくれ」
彼に馬車に押し込まれるとそこからは一言もしゃべらなくなった。
別れ際、彼のじっと見つめた。
まったくの悪意は感じない。
おまけにデートでこんなに楽しかったのは始めてだった。
「あの‥ロベルト様また会っていただけます?」
「どうして?」
「だって楽しかったから」
「楽しいって‥まあ、楽しいと言えば楽しかったが‥」
「だったら、そうだ。今度ピクニックでもしませんか。私お昼の準備をしますから」
「そうは言っても昼間は忙しいんだ。じゃあ夜会うか?」
夜?まさか私を襲う気?唇に手を当てた。
「なんだ?俺がお前を襲うとでも?勘弁しろ。子供に興味はない!」
「何よ!子供って、私はもう22歳なんですよ。そうだ!」
そこで私は会員クラブ<エンカーレッジ>の事を思い出す。このクラブはカード賭博や違法薬物の温床になっていると聞いた。それにロドミール商会が経営しているクラブでもある。
彼との婚約がうまく行かないなら何か役に立てることをと思った。
「私、エンカーレッジに行きたいです」
「エンカーレッジ?おそこは会員制の男専用クラブだろう?」
「でも女性も同伴なら入れるって聞きました」
「お嬢様がそんなところに?刺激強すぎじゃないのか?」
「わ、私は立派な大人ですよ。だから行ってみたいんです」
「はいはい。まったく。俺は子守りじゃないんだぞ。まっ、俺も一度行ってみたいと思っていた。ちょうどいい。会員になって行ってみるか」
「いいんですか?ありがとうございます」
「その代わりお行儀良くしろよ。おかしな真似をしたらただじゃすまないからな」
「金貨いっぱい持ってきます」
「ばか、そんな意味じゃない。殺されるかもしれないって事だ。絶対に言うことを聞けよ。いいな?」
私はフルフルと首を縦に振った。
彼はそんな私を見て笑い転げながら帰って行った。
そして一度目のデートは終了した。
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