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30告白はふたり?
しおりを挟む食事が終わってお父様はロベルトを書斎に招いた。
私は父と先に父の書斎まで一緒に行って後からロベルト様が入って来た。
「どうぞ」
「失礼します」
私は父の隣のソファーに座っていてロベルト様は父の真向かいに座った。
父は食事の後の酒をとモルトウイスキーを勧めるとロベルト様もいただきますと同意した。
私はお酒は苦手なので紅茶を煎れてもらってあった。
父は一口ウイスキーを飲むと口を開いた。
「エークランド辺境伯。実は先日の夜会での話なんだが‥アンドレアとの婚約話はロドミール伯爵をあぶりだす作戦でな‥本当に申し訳なかった。あなたはロドミール伯爵とは縁続きということもあって我々もあなたを信用していいかわからなかったものだから‥利用されたと解釈されたと思われても仕方のない事。本当に申し訳なかった。それで」
そうなんだよね。私達ロベルト様を利用しちゃってほんとにごめんなさい。
私は父が謝るのと一緒に頭を下げて心からお詫びを言おうとしたが。
「いえ、そんな事はいいんです。ルシアも助けてもらったんですしロドミールの悪だくみが公になって良かったと思っています。私は利用されたなどと思ってはいません。どうかティートン侯爵もう気になさいませんように」
「そうか」
~しばしの沈黙~
ロベルト様は何度かグラスを傾けてウイスキーの飲んだ。
そしてやっと何かを決意したかのように口を開いた。
「あの‥それでアンドレア嬢との婚約はどうなるのでしょう?いえ、私は」
そこで扉をノックする音が。
「失礼します」
アイスが入って来た。
「なんだ?」
「アイスです。旦那様。実はお話があるんです」
「今はエークランド辺境伯と話をしている。アイスお前の話は後にしろ!」
ロベルト様がアイスと顔が会う。
じろりと睨みつけるような視線にアイスは何かを感じ取ったらしい。
「エークランド辺境伯。もしかしてアンドレアに告白する気じゃありませんよね?」
えっ?アイス今なんて言った?こ・く・は・く?何を?
ロベルト様が立ちあがって動揺しまくる。
「まさか。気づいてたのか?俺がアンドレアを好きだって‥一体いつ?いや、ちょっと待ってくれ。俺はまだ何も話していないのに‥」
アイスもいつもの彼とは思えないほど顔を赤くして私のそばに走り寄った。
そして父に向かって「旦那様ご無礼をお許しください」一礼をして私の横に跪いた。
「アイスまさかお前!」
ロベルト様がそう呟き慌ててアイスの横に滑り込むように跪いた。
「アンドレア。君を心から愛している。どうか私と結婚して欲しい」ロベルト様が声を発した。
「いや、アンドレア。聞いてくれ。俺はずっとお前を慕っていた。だけど叶わぬ恋だと諦めようとしてきた。でも、エークランド辺境伯が現れてアンドレアを奪われるんじゃないかって‥俺は決心したんだ。お前にきちんと告白しようって。お前が好きだ。ずっと好きだった。これからもずっと死ぬまで。この気持ちは永遠に変わることはないと誓う。俺はお前と一緒にいたいんだ。だから結婚してくれないか?」
私は一度にふたりの男性から愛の告白をされた。
ロベルト様の金色の瞳が強い決心を思わせた。
その反面、アイスの顔はいつもの冷淡さは消え失せていて自信なさげな顔で真っ青の瞳はゆらゆら揺らめいていた。
私だって驚いている。
私はふたりを見つめながら固まった。
あっ!私は思わず胸のペンダントに手を伸ばした。アイスがくれたというピンク水晶に指先が触れた。
ドクンと心臓が脈打った。
わたし‥
アイスの心つかいに胸がチクリと痛んだ。
ロベルト様の告白は素直にうれしかった。私はロベルト様が好きだって思っている。
でも、アイスはそうじゃない。
ううん、もちろん大好き。
彼はいつだって兄妹のような存在で頼れる優しいお兄さんみたいで。
でも、男性として意識した事なんかなかった。
アイスが私の事そんな風に思っていたなんて今まで気づかなかった。
もしかしてわざと?
また心の奥がうずいた。
アイスの気持ちに嘘はないって思うし、彼はきっと口数の少ないそれでいてそっと気遣いをしてくれるとってもいい旦那様になるに違いないって思う。
アイスの気持ちはすごくうれしいの。
傷つけたくもない。
でも、異性としてと言われると私はロベルト様に気持ちがあって‥
私はもどかしく交互にふたりを見つめた。
「アンドレア。すまなかった。いきなりこんな事言って悪かったな」
アイスはそう言うとすっと立ち上がった。
「アイス?」
「カッコ悪いよな。それにアンドレアだって困るよな。いきなり思ってもない奴から告白なんて。迷惑だったよな。いや、悪い。もう忘れてくれ。俺もどうかしてた。あんな事があって俺も血迷ったんだ。旦那様申し訳ありませんでした」
アイスは書斎から出て行こうとしている。
「アイス。ごめん。でも、気持ちはうれしかった。その‥気持ちに応えれなくてごめん」
私は慌ててアイスに声をかける。もしロベルト様と知り合っていなかったら私アイスの気持ちに応えたかもしれない。
でも、そんな事を言うのはずるい事だってわかっているから。だから。
これ以上は言わない。
「ああ、わかってるって」
何でもないって風を装うアイスの背中が震えていた事には気づかないふりをした。
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