9 / 54
8
しおりを挟むその夜、わたしの腕になにやら気持ちの良い感触がする。大きな温かい手でさすられているような感覚が…
その何とも言えない感触が何度も何度も腕のあたりをいったりきたりしている。わたしはまるで愛しむ様に優しく扱われていて…
わたしは無意識にその感触に体を摺り寄せた。
瑠衣はおぼろげに気づくと目の前にレオナルドがいた。彼のいつものようにベッドの上で裸のたくましい胸をむき出したままで…
瑠衣の頬はその胸にぴたりと押し付けられていた。
「レオナルド…」
わたしはうっとりと彼の名を呼んだ。
わたしはもう気づいていた。3か月前に狼と出会う夢を見たがそれがレオナルドだったという事を、それでも獣人になったレオナルドはほとんど人間の姿と変わらないし、もしかしたら人間より優しいかもしれないと……
でもそんなことがある?いいの。これは夢なんだから…
「ああ…瑠衣このままでいて、ずっと会いたかった…」
レオナルドの低くて甘い声が耳底に響いてわたしはうっとりとなった。彼がわたしの髪にそっと口づけた。
わたしはそのまま彼の腕に抱かれてうなずいた。
「わたしもあなたに会いたかった。このままわたしを抱いていて欲しい…」
瑠衣は彼の胸に顔をうずめた。
「瑠衣!起きてくれ!このあざはどうしたんだ?答えてくれ瑠衣?」
いきなりレオナルドが大きな声を出したのでわたしはすっかり目覚めた。
「もう、いい気持ちで寝てたのよ。なにレオナルド?」
「このあざはどうした?」
レオナルドが聞いているのは数日前修仁にひどくつかまれて出来た腕のあざの事だった。
わたしはついしゃべってしまった。
「このあざはしゅうじんって言う男につけられたのよ」
「お前の主人か?瑠衣お前は誰かに仕えているのか?」
仕えてるって言うか…まあ彼との関係はそんなもんよね…
「ええ、王子っていう人にね」
「王子?どこの?」
どこのって?わたしだってそんな事しらないわよ。それを聞いてどうするつもり?まあいいか、どうせ夢なんだし…
「彼はマニプールってところでは…」
彼は話を最後まで聞かずに聞いた。
「マニプール?それはどこにある?」
「そうね…日本国東京都ってわかる?」
「日本?東京都?聞いたことがない」
「でしょうね…わたしだってアディドラ国なんて聞いたことないもの」
そりゃそうよ。これは夢なんだから…
「でも瑠衣はその男に暴力を振るわれてるんだろう?大丈夫なのか?」
「大丈夫じゃない…もういい加減逃げ出したいって思ってる」
ここは本心で言うべき所よね。
「瑠衣それならここに来ればいい。俺は瑠衣の事が‥‥」
彼がまわた腕が心地よくわたしを抱きしめる。ごつごつした手のひらが何度も背中を往復する。
その感触はわたしのすっかり力ませた体の力を抜いて行かせた。
わたしはその胸の中に溺れるように顔をうずめる。レオナルドはそんなわたしの髪に自分の頬を摺り寄せてきて…
「瑠衣…」
わたしはその感触にずっと溺れていたいと思う。彼の腕の中でずっとこうしていたい。うっとりした気分もう…レオナルドったらわたしの事が?
そんなことを思ったら体の芯がギュッと疼いた。こんな感覚最近はもうほとんどなかったのに…
もうわたしったら…これは夢なのよ。
わたしよほどレオナルドが気に入ったみたいね。わたしの思い通りになるんだから、ここはもちろん!
ええ、レオナルドわたしもあなたを愛してるわ。って言うところかな……
わたしはきっとにんまりしているに違いない。
レオナルドと見つめ合って…
「瑠衣、君は現れたと思ったらすぐに消えてしまう。一体君はどこに住んでいる?いろいろなところを探したがさっぱり居所がわからない。ああ…瑠衣、君の全てを覚えておきたい…」
レオナルドの男らしい手で頬を挟まれる。そして唇をそっと重ねて来た。意外なほど柔らかな感触が瑠衣の唇に伝わって、これが夢かと思えるほどリアルな熱さえ伝わって来る。
瑠衣はレオナルドの口づけをうっとりと受け入れると、彼の唇はそのまま耳朶に吸い付き、喉元を通り過ぎた。鎖骨に柔らかな息遣いが伝わると瑠衣はピクンと震えた。
「すまん瑠衣。君はこんな事初めてなんだろう?でも俺に君を味合わせて欲しい。君がいなくなっても思い出せるよう…君の感触を思い出すために。頼む。もちろん最後まで奪ったりしない。約束するから…」
彼の指先はいけない子供みたいにわたしの肌の上をさまよっている。
瑠衣はそっと目を開けてレオナルドを見つめた。彼の瞳はルビーのように輝いて美しい。こんな美しい瞳を持つ彼が嘘を言うはずがない。その瞳には真っ直ぐな彼の気持ちが伝わってくるようなひたむきさがあった。
瑠衣は感激した。なんて優しい言葉なの…わたしをこんなに優しく扱ってくれてそしてわたしを傷つけまいとしているなんて…
ああ…わたしはこんな人に出会いたかったのよ。わたしはきっとそんな思いを夢に描いてるんだわ。
もちろんイエスよ。レオナルド。
「ええ、あなたを信じてるから…」
彼は子供のような嬉しそうな笑顔を浮かべるとすぐにわたしにキスをした。レオナルドの舌がわたしの口腔内に入って来る。熱くて狂おしいほどわたしを求めてくれるレオナルドにわたしも舌を絡ませて答えた。そしてわたしはふわふわと漂っているような感覚になった。
彼の舌に翻弄されてわたしはなまめかしい感触に背中がぞわりと粟立つ。彼に舌を吸い出されると何も考えられなくなってしまう。
そのうち彼の唇はわたしの首筋を伝いおりていく。
ああ…レオナルドわたしの全てを奪って欲しい……
胸の先に唇が触れる。
「んっ、あっ…レオナルドそれは…はぁ…‥あぁ‥‥」
「君の感触を知りたいんだ。お願いだ瑠衣、私に味わわせてくれ…」
舌先で乳首を転がされ、吸い付かれ、そして優しく噛まれる。
「あっ、んぅ…」
甘い疼きが走り、下腹部の奥を刺激した。
「ああ…瑠衣何もかも記憶したい。君のこの可愛く尖ったばら色のような乳首、この素晴らしい感触…もっと、もっと…」
レオナルドは夢中になって乳首を責め続け、反対の乳房をわさわさ揉んだ。
瑠衣はたまらない疼きを感じて甘い声を上げる。
やがて彼の舌はおへそを過ぎて下腹部にまで迫った。
瑠衣は思わず太腿を合わせる。
「いいんだ瑠衣。そのままでいい」
レオナルドは合わせた太腿にまたがるように体を下にずらす。そしてかかとにキスを落とす。そして舌は脚をゆっくり這いあがっていく。
瑠衣は悶えた。
ふくらはぎにキスをされた時は思わずごくりとつばを飲み込んでいた。
たまらない快感が押し寄せてきて、蜜口が潤っていくのが分かる。
ああ…こんなの想定外で…ああ、気持ちいい…彼の舌が這うたびに子宮の奥が疼いて行く。このままじゃわたしから彼を求めてしまうかも…どうしよう…
でもこれは夢なのよ。何をしても関係ないじゃない。
そう思うと瑠衣は感じるまま彼の愛撫に身を任せた。
「はぁ…ううっん‥‥あぁ‥‥」
「瑠衣?気持ちいいか?」
「うん、気持ちいい…もっとしてレオナルド…もっと…」
「ああ…」
レオナルドは太ももまで舌を這わせると、いきなり瑠衣の恥毛にキスをした。そして秘めやかな部分の包皮をざらつく指でぐいっとめくった。
「ああ…瑠衣なんて可愛いんだ。こんな事されるの初めてだろう?君のここは小さくてきれいなピンク色で…ああ‥ここにキスしていいか?」
瑠衣は真っ赤になった。わたしがそんな事いちいち許可するの?もういやだ…
「レオナルドったら…そんな事言えないわ…」瑠衣の声は消えそうなほど小さい。
「ああ、恥ずかしいよな。ごめん」
レオナルドは照れ臭そうに顔を鉾ばせる。
そしてまたいきなりぷちゅっとその膨らみを舌先で舐めた。舌先で転がされそしてその花芽に吸い付かれた。卑猥なちゅうちゅう吸い付く音がして聞こえてくる。
瑠衣は修仁にこんなことをされたことはない。それを言えばこんなのは初めての事で…
なまめかしい強烈な刺激が下腹部の中心から円を描くように広がっていく。
0
あなたにおすすめの小説
いなくなった伯爵令嬢の代わりとして育てられました。本物が見つかって今度は彼女の婚約者だった辺境伯様に嫁ぎます。
りつ
恋愛
~身代わり令嬢は強面辺境伯に溺愛される~
行方不明になった伯爵家の娘によく似ていると孤児院から引き取られたマリア。孤独を抱えながら必死に伯爵夫妻の望む子どもを演じる。数年後、ようやく伯爵家での暮らしにも慣れてきた矢先、夫妻の本当の娘であるヒルデが見つかる。自分とは違う天真爛漫な性格をしたヒルデはあっという間に伯爵家に馴染み、マリアの婚約者もヒルデに惹かれてしまう……。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
強面夫の裏の顔は妻以外には見せられません!
ましろ
恋愛
「誰がこんなことをしろと言った?」
それは夫のいる騎士団へ差し入れを届けに行った私への彼からの冷たい言葉。
挙げ句の果てに、
「用が済んだなら早く帰れっ!」
と追い返されてしまいました。
そして夜、屋敷に戻って来た夫は───
✻ゆるふわ設定です。
気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる