悪夢から逃れたら前世の夫がおかしい

はなまる

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44取り調べ

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 法務院に連れて行かれたキャメリオット公爵夫人の事情聴取が行われた。

 彼女は跡継ぎ問題になると頭に血が上るらしく、離縁してライオスの子供でもないミモザのお腹の子供が公爵家の跡継ぎに慣れないことを完璧に失念していた。

 「いいですか夫人。夫のクリストは婿でありキャメリオット公爵家の血筋は一滴も入ってはいません。

 だからミモザさんとの子共は公爵家の跡継ぎになどなれるわけもないのです」

 リックが声を大にして、血縁関係の系統図まで書いて説明する。

 「そんな。そんな事!じゃあミモザのお腹の子は…」

 「現キャメリオット公爵の子供ですが、公爵家の跡継ぎにはなれません。それにあなたはそのミモザさんを不法監禁した罪でここに連れて来られたんですよ。わかりますよね?」

 「夫を。キャメリオット宰相を呼んで頂戴。あなた私を誰だと思ってるの。夫は宰相なのよ。こんなばかな事はすぐにやめた方がいいわ。後悔するのはあなた達よ」

 「申し訳ありませんが。キャメリオット宰相はただいま国防院で取り調べを受けておられますので、ここに来ることは出来ません」

 「なんですって!」

 リリーが憤慨している頃…



 キャメリオット宰相は国防院の取調室に呼ばれていた。

 取り調べは最高司令官バイス自ら行う。

 「これらの書類を見て下さい」

 クリストにいくつかの書類を見せる。

 「こ、これは…」

 6年前、疫病に効果のある薬剤を分け与える条件としてクリストを宰相に押す事を約束させた証書だ。

 数件の貴族からこの証書の提出協力があった。

 6年前はキャメリオット公爵家に逆らえない弱みを握られていた貴族や子供病でどうしても必要な薬剤が必要だったとか、薬で朦朧とさせられてハニートラップにかかった貴族もいた。

 「こちらもどうぞ」

 さらに出された書類におののくクリスト。

 それはキャメリオット商会がひそかに行っている違法薬物の取引記録だった。

 「こ、これをどこで…」

 顔は引きつり声は上ずる。


 「以前お宅で働いていた使用人がこれを持ち出していました。彼はキャメリオット商会の商品管理をしていたそうです。数字に強くとても優秀だったそうですね。だが、上の者からあらぬ疑いを掛けられやってもいない罪をきせられて首になったんです。この調査をしている時そのうわさを聞きつけて持ちこんで来たんです。いつか仕返しをしてやろうと証拠となる書類を持ち出したと言っていましたよ」

 「こんなもの。そいつが偽造して」

 「ええ、私たちも調べました。でも、ここ。ほら見て下さい」

 バイスが指さす。

 その紙にはキャメリオット商会のK・Ⅿと言う文字がはっきり刻印されていた。

 「これ、お宅の刻印ですよね?おいそれと平民が真似できるものじゃないはずです」

 こうなると気弱なクリストは雪崩のように落ちて行った。

 「すべて白状しろ!もう、言い逃れは出来んぞクリスト・キャメリオット!」

 追い打ちをかけるようにバイスが太い声で脅す。


 クリストはもうだめだとばかりにすべてを話し始めた。

 「宰相になるために伯爵家や子爵家を脅したり貶めた。で、でも、私は違法薬物は手を出すなと言ったんだ。でもリリーが俺が宰相しているうちは手入なんか入れないからと、この際一気に公爵家の力を強くして次の跡継ぎは王家と縁組させたいからって…私は止めたんだ。それに違法薬物の事は一切かかわっていない。信じてくれ。あれはリリーの一存でやったことだ」


 クリストは抜け殻のようになって背中を丸めた。

 そして書類に嘘がない事を認め力なくサインした。



 アルクが法務院に行くと公爵夫人リリーは怒りに震えて言った。

 「何てこと。こんな証拠で認めるなんて!あのくず。もっと早く離縁するべきだった。くやし~い。キャメリオット公爵家はどうなるのよ…私はどうなるのよ。そうよ。あれは違法なんかじゃないの。薬用の薬なの。そう申請してあるはずよ。ちゃんと調べなさいよ。くず!」

 アルクは唇を持ち上げる。

 「ええ、確かに今までそれで証拠をなかなかつかめなかったんです。ですがね公爵夫人。ペルサキス診療所に違法薬物があるって密告させたのはあなたですよね?言い逃れは出来ませんよ。こっちには承認がいるんだ。あの診療所で見つかったのは薬用として流通しているはずのものだった。でも、あなたはそれを違法に売っていた。中毒性のあるあの薬物は厳しい管理の下で使われるはずの物。だが、それを一般の薬剤として売っていた。それもかなり高額な値段で…どうです?これでもまだしらばっくれる気ですか?」

 「それは…もぉぉぉぉ、こんなはずではなかったのに!やっぱりあのくずがぁぁぁぁ~」

 「あなたには脅迫罪の余罪もありますので覚悟して下さい」

 彼女にそう一言添えた。

 リリーは頭を激しく振って頽れた。自慢の銀髪はくしゃくしゃに乱れ目は落ち込み光を失っていった。



 ミモザとセルカークはふたりが連れて行かれるところを部屋の中からこっそり見ていた。

 「あいつらほんとに許せん!ミモザもこれでやっと安心だな」

 「ええ、まさか監禁されるなんて思ってもいなかったから…それにしても先生の記憶が戻ったなんて、そっちの方が信じれませんよ」

 「俺だって記憶が戻ってどれだけ焦ったか…シルヴィの生まれ代わりだって言ってたしどうやって君に告白しようかって悩んだ。でも、こうやってミモザが無事でいてくれて良かった。とにかくこれから頑張るからな」

 「私だって頑張りますから、先生よろしくお願いします」

 手を取り合い見つめ合うがなぜかぎこちなさが漂った。

 お互いの気持ちはわかっていてもまだまだ前途多難なふたりだった。



 アップが遅くなり申し訳ありません。朝パソコンの調子が悪くて遅くなりました。
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